Aubory Bugg – “i think i had something once”

ナッシュビルを拠点に活動するシンガーソングライターAubory Buggが、ニューシングル「i thought i had something once」をリリースしました。Bonnie RaittやCarole Kingといった往年のクルーナーを彷彿とさせる歌声を持つ彼女は、情景描写豊かな歌詞で知られています。本作でも、街灯が灯る瞬間の切なさや、かつての親密な記憶を鮮やかに描き出し、ノスタルジックで温かみのある世界観を提示しています。

歌詞の中では、過ぎ去った「良い時間」をその最中に気づくことの難しさや、刻々と変化し続ける自己を受け入れる葛藤が綴られています。「まばたきする間に過ぎてしまう」ほど速い時間の流れの中で、子供のような純粋な視点を失いつつある喪失感と、それでも過去の輝きを瞳の裏に追い求める切実な想いが、エモーショナルなヴォーカルを通じてリスナーの心に深く語りかけます。


Bye Parula – “I don’t know”

モントリオール出身のオルタナティヴ・ロックバンドBye Parulaが、ニューアルバム『Something Out of Nothing』を6月5日にSecret City Recordsからリリースすることを発表しました。Robbie Kusterがプロデュース、Warren Spicerがミックスを手掛けた本作には、Bibi ClubのAdèle Trottier-RivardやKarkwaのFrançois Lafontaineら豪華ゲストが参加。先行シングル「KISSBURN」は、執着する相手を追い求める人物の視点から描かれた、自信と色気に満ちた一曲となっています。

アルバムの発表に合わせて、新曲「I don’t know」も第2弾シングルとして公開されました。バンドは4月18日のトロント公演を皮切りにライブ活動を展開し、リリース後の6月11日には地元モントリオールのSala Rossaでアルバム発売記念公演を開催する予定です。初期のバイラルな注目を経て、洗練されたアンサンブルと独創的な世界観が詰まった初のフルアルバムに大きな期待が寄せられています。

Nū – “A BEING, OF COURSE”

Music In Exileの最新作として、Nū(Fetle Wondimu Nega)が長年の友人である映像作家Kalu Oji(Pasa Faho)と共に手掛けた短編映画『A BEING, OF COURSE』のサウンドトラックがリリースされました。2026年1月にシドニー・オペラハウスの「Shortwave」で初公開された本作は、繊細な音響世界を通じて「非限定的(終わりのない)な悲しみ」というテーマを深く掘り下げています。

このプロジェクトは、数ヶ月に及ぶ対話やジャーナリングを通じて、目に見えない喪失感や内省のプロセスを視覚と聴覚の両面から追求したものです。悲しみによって自己の内面へと突き動かされ、自分を超えた大きな存在と繋がっていく様子を描いており、観客が自らの悲しみの旅を探索できるような、親密で救済的な空間を作り上げています。

NewDad – “Kick The Curb”

アイルランドのインディー・ロックバンド NewDad が、新曲「Kick The Curb」をサプライズ・リリースしました。本作は、sign crushes motorist 名義でも活動する希代の才能、Liam McCay をプロデューサーおよび共同執筆者に迎えて制作された、眩暈を覚えるほどに美しく幻想的なナンバーです。バンドは昨年12月、心機一転を図るためにメジャーレーベルの Atlantic Records UK を離れる決断を下しており、本作はその新たな門出を飾る独立後初のシングルとなります。

ボーカルの Julie Dawson は、レーベルを離れたことで「自分たちの作る音楽に対して、かつてないほど幸福で満たされた確信を持っている」と語り、今後はインディペンデントな形で新曲を届けていく意向を明かしています。どこかノスタルジックでありながら、紛れもなく自分たちらしい原点を感じさせるサウンドは、長年のファンへの感謝とともに、今後数ヶ月にわたって続く新たな音楽的展開への期待を抱かせる一曲に仕上がっています。

This House is Creaking – “There’s a Stench in the Air”

シカゴを拠点に活動する This House is Creaking が、ニューシングル「There’s a Stench in the Air」をリリースしました。本作は、アパートに漂う奇妙な臭いや日常の些細な苛立ちをテーマに、自分たちが存在する場所を愛し、折り合いをつけていく過程をポジティブに描いた一曲です。「壁を塗り替えるかもしれないし、そのままにするかもしれない、それは自分たち次第だ」という歌詞の一節は、生活空間を自らの手でコントロールし、そこを自分たちの居場所にしていく決意を象徴しています。

歌詞の中では、部屋の隅にいる虫や空気の濁り、冷蔵庫に貼られた写真といった生活の断片が、どこか幻想的でパーソナルな視点から綴られています。自分に似た顔を霧の中に見出すようなサイケデリックな感覚と、地に根を張る植物のイメージが交錯し、単なる不満の吐露を超えて、現在の住処を「最後の家」として受け入れようとする切実な愛着が表現されています。日常の閉塞感さえも音楽へと昇華させた、彼ららしい独創的な視点が光る作品です。



結成18年、不必要な重みを削ぎ落とした野生。スウェーデンの静寂の中でIceageが再構築した「愛の宇宙」とポストパンクの真髄

デンマークを代表するポストパンク・バンド Iceage が、2021年の『Seek Shelter』以来となる通算6作目のニューアルバム『For Love of Grace & the Hereafter』を発表しました。あわせて新曲「Ember」を、先月リリースの「Star」に続く第2弾シングルとして公開。結成から18年、キャリアの成熟期を迎えた彼らが放つ全12曲の本作は、拡大と収縮を繰り返す「愛の宇宙」を永遠のタンゴのように描き出す壮大な叙事詩となっています。

本作はバンド自身と Nis Bysted の共同プロデュースにより、スウェーデンの田舎にある Silence Studio で昨年レコーディングされました。同スタジオでの録音は、名盤『Plowing Into the Field of Love』(2014年)以来2度目となります。最小限のセットアップで全編フルテイクによる録音が行われ、歌詞もセッションのわずか数週間前に書き上げられるなど、徹底して「即興性と生々しさ」が追求されました。

ボーカルの Elias Rønnenfelt は、今作の狙いについて「不必要な重みを削ぎ落とし、2014年当時の強烈なエネルギーを再構築すること」だったと語っています。終末論的な親密さを湛えた彼の歌詞と、野性味あふれるバンドアンサンブルが変幻自在に交錯。瞬間の爆発力を捉えることに重きを置いた本作は、Iceage が持つ本来の衝動と、長年の活動で培われた円熟味が見事に融合した一作に仕上がっています。


WARNING – Stations

英国のドゥーム・メタル・パイオニア WARNING が、歴史的名盤『Watching from a Distance』(2006年)以来、実に20年ぶりとなる待望のニューアルバム『Rituals of Shame』を6月19日に Relapse Records からリリースすることを発表しました。あわせて先行シングル「Stations」の配信も開始。中心人物の Patrick Walker は、2025年1月から週7日体制で制作に没頭し、白紙の状態から本作を書き上げたと語っています。

レコーディングはイギリスのサウスポートにある築140年の元教会を改装した The Arch Studio で行われ、Chris Fullard(Idles、Sunn O)))、Ulver)が録音とミキシングを担当。Walker 自身の人生における変容の時期を反映した本作は、Marillion のような野心的な楽曲構造と、June Tabor を彷彿とさせる簡素で感情的な透明感を併せ持っています。ヘヴィな音楽の中に深い情緒を吹き込む彼ら独自のスタイルは、20年の歳月を経てさらなる深化を遂げています。

歌詞の面では、これまでの Walker の作品を一貫して特徴づけてきた「渇望」「別離」、そして何よりも「愛」というテーマが深く掘り下げられています。長年のファンにとっても、また新たなリスナーにとっても、この新作は彼の現在の感情的な風景を映し出す鏡のような存在です。2025年を通じて全身全霊で取り組んだこのプロジェクトは、単なる復活作を超え、WARNING というバンドの新たな一章を告げる記念碑的な作品となっています。


「永遠に拡張し続ける円形図書館」への招待状。World Brainを迎え、未知の境界線を描き出すDiscovery Zoneの最新作『Library Copy Do Not Remove』

ベルリンを拠点とする JJ Weihl のソロプロジェクト Discovery Zone が、ニューアルバム『Library Copy Do Not Remove』を2026年5月15日に RVNG Intl. からリリースすることを発表しました。先行シングルとして公開された「Dusk」は、フランス人アーティスト World Brain(Lucas Valenti)との共作であり、Mark Dorf が監督・制作したミュージックビデオとともに、アルバムの幻想的な幕開けを飾っています。

本作は、ベルリンの歴史的な「ツァイス・グロース・プラネタリウム」のドーム空間で上演された、没入型マルチメディア・プログラムのために書き下ろされた音のドキュメントです。リスナーは、過去から未来までの全情報を収め、永遠に拡張し続ける「円形図書館(サーキュラー・ライブラリー)」という壮大なネットワークへと誘われます。World Brain とのコラボレーションによるキャッチーかつ浮遊感のあるサウンドが、この壮大なコンセプトに親しみやすい彩りを添えています。

記憶や複製、認識がホログラムのように交錯する空間を通り抜ける本作は、既知の宇宙の境界に横たわる「無限の鏡」からの反射を音楽として昇華しています。プラネタリウムという特殊な空間で生まれた視覚・聴覚体験を一つの緻密な音響作品へと凝縮しており、共作者を迎えたシングル「Dusk」を筆頭に、自己と宇宙の境界を探求する極めて野心的なソニック・ジャーニーに仕上がっています。


地元フィラデルフィアへの愛とDIY精神の結晶。Kurt Vileが「すべてを注ぎ込んだ」と自負するキャリア10作目の最高到達点

フィラデルフィアのアイコン、Kurt Vileが、2022年のメジャーデビュー作『(watch my moves)』以来となる通算10作目のニューアルバム『Philadelphia’s Been Good To Me』を5月にリリースすることを発表しました。フィラデルフィアの住宅街マウント・エアリーにあるホームスタジオを中心にセルフプロデュースされた本作は、本人をして「ホームレコーディング時代の自然な要素を、より高精細なサウンドで再び捉えることができた」と言わしめる、極めてオーガニックな自信作となっています。

先行シングルとして公開された「Chance To Bleed」は、本人が「ヒルビリー・テクノ」と称しつつも、根底には彼が愛する無骨なヒップホップの質感を湛えたロックナンバーです。ゲスト陣には、メンフィスのガレージロック・シーンから Natalie Hoffman や Greg Cartwright、さらにルイヴィルの Ethan Buckler(Slint)らが参加。特に Cartwright とのツインギターは、左チャンネルに Vile、右チャンネルに Cartwright と振り分けられており、スリリングな掛け合いを堪能できます。

フィラデルフィアのライブハウス Kung Fu Necktie で撮影されたミュージックビデオには、前述のコラボレーターに加え、コメディアンの Jim E Brown やラップ界のレジェンド Schoolly D といった地元の顔ぶれが多数登場。キャリアの集大成として「すべてを注ぎ込んだ」と語る本作は、自身のボーカルとエレキギターの表現において最高到達点を更新しており、地元への愛とDIY精神が眩いばかりの輝きを放つ、新たな代表作の誕生を予感させます。