Oneohtrix Point Never – “Dim Stars / For Residue (Extended)”
Oneohtrix Point Neverが、2026年最初の新曲「Dim Stars / For Residue (Extended)」をリリースしました。本作は、昨年発表された通算11作目のアルバム『Tranquilizer』と、映画『Marty Supreme』のサウンドトラックに続く新曲となります。もともと「For Residue (Extended)」は日本盤アルバムのボーナストラックとして収録されていた楽曲であり、今回はその流れを汲む作品として公開されました。
本作は、前作『Tranquilizer』が提示した「感情の漂流(emotional drift)」というテーマをさらに推し進め、より親密で瞑想的な世界観を展開しています。エレクトロニック・ミュージックの先駆者である彼が、前作の空気感を継承しつつ、どのように内省的な響きを深化させているのかを体感できる、静謐ながらも重要なリリースと言えるでしょう。
Rosali – “Other Side”
ノースカロライナ出身のシンガーソングライター、RosaliことRosali Middlemanが、オマハを拠点とするバンドMowed Soundを再びバックに迎え、スタンドアローン・シングル「Other Side」をリリースしました。2年前のアルバム『Bite Down』でも高い評価を得たこのタッグは、本作においても健在です。「Other Side」は、燃え上がるようなカントリー・ロックの疾走感と、Rosaliの力強く広がりのある歌声が魅力の一曲となっており、死後の世界でかつての友人と再会することに思いを馳せるという、絶望の淵から希望を見出そうとする魂の賛歌に仕上がっています。
歌詞には「すべての敵、つまり権力にしがみつく連中を打ち砕く」といった痛烈なメッセージも込められており、理不尽な世界に対する怒りを音楽へと昇華させる強烈なエネルギーを放っています。昨年はSuperchunkのシングル「Bruised Lung」への参加でも話題を呼んだRosaliは、来週から行われるSuperchunkの南東部ツアーでオープニング・アクトを務めることも決定しており、今回のリリースを機にその活動の勢いはさらに加速しそうです。
燃え尽きから再生へ、自身の「内なる炎」を音に刻む――Tony Njokuが新作EP『A World of Bodies on Fire』で辿り着いた、感情の吐息と静かなる啓示
Tony Njokuは、6月12日にリリースする新作EP『A World of Bodies on Fire』の発表とともに、タイトル曲を先行公開しました。前作『All Our Knives Are Always Sharp』で精神的な生存や文化的抵抗といったテーマを扱った彼ですが、本作ではその視点を内面へと向け、身体、自己、そして環境の間に揺れ動く境界線を模索しています。電子的な抽象性とシネマティックな構成を軸にした、全4曲のインストゥルメンタル作品です。
制作背景についてTony Njokuは、燃え尽き症候群や失望を経験した後の怒りや悲しみを解放するプロセスであったと語っています。本作は、彼にとって「激しい吐息」や「静かな啓示」のようなものであり、自分の中に溜まっていた炎の中を突き進み、感情を吐き出すことを目的として生まれました。溢れ出る感情と瞑想的な調べが交錯する、極めてパーソナルで情熱的なEPとなっています。
lavender – “wake up:arms too long”
Oskar RiceとAdam Jacksonによるデュオ、lavenderが、待望のニューシングル「wake up:arms too long」をリリースしました。DJ/プロデューサーとしての側面とインディ・バンドでの活動という異なるバックグラウンドを持つ二人は、Elliot SmithやJ Dillaへの共通の愛情を通じて絆を深めてきました。デビューEPではリードシングル「peppermint」がSpotifyで2,200万回再生を突破するなど大きな注目を集め、BBC Radio 1のJack SaundersやNels Hylton、BBC 6MusicのCerys Matthewsらからも熱い支持を得ています。
今作は、長年のコラボレーターであるKonoya(aka Jhootee)から届いたボイスメッセージをOskarがサンプリングし、再構築することで制作がスタートしました。Konoyaをコーラスに迎えたこの楽曲は、共感の重要性と、ケアギバー(支える側)が抱える精神的な重圧という二面性を描いた、ほろ苦くも温かな作品です。Konoyaによる楽曲のアートワークも含め、友情と信頼から生まれたこの曲は、二人の音楽的探求心と深い人間愛が結実したlavenderの新たな真骨頂となっています。
Hush – “Funhouse”
Paige Barlow、Miles Dupire-Gagnon、Gabriel Lambertによって結成されたモントリオールのバンド、Hushが、Simone Recordsよりニューシングル「Funhouse」をリリースしました。彼らはアートロック、ジャズ、クラウトロック、サーフ、ドリームポップといった多様な音楽性をプリズムのように屈折させ、シネマティックでありながらも人間味に溢れた独自のサイケデリック・ポップを鳴らす、モントリオールの新しい音楽シーンを象徴する注目株です。
新曲「Funhouse」は、常識や現実の境界が揺らぐような世界観を投影した楽曲です。「誰でもない私(I’m anybody)」という孤独な自己認識を軸に、「正気(Sanity)」という概念との乖離や、理性を飛び越えた先にある高揚感、あるいは支配的な力への屈服といった、複雑な内面風景が断片的な言葉で綴られています。視覚と感覚が一致しないもどかしさを「Mr. Hot Heat」や「Mr. Backbeat」といった記号的な響きと共に描き出し、リスナーをめくるめく「幻惑の館(Funhouse)」へと引き込むような、中毒性の高い一曲に仕上がっています。
痛みと戸惑いをオーケストラで編み上げる――Lau Roが最新作『Lau』で描き出す、ブラジル音楽の遺伝子と誠実な内省が共鳴する場所
サンパウロ出身、現在はブライトンを拠点に活動するアーティスト、Lau Roが6月26日にMexican Summerよりセカンドアルバム『Lau』をリリースします。肉体的・感情的な困難を抱えていた時期に制作された本作は、不快感や方向感覚の喪失といった内省的な経験を、繊細かつオーケストラルなサイケ・ポップへと昇華させた作品です。ボサノヴァやトロピカリア、そしてブラジル音楽(MPB)への深い愛情を湛えつつ、自らの痛みや戸惑いを誠実に投影したアルバムとなっています。
先行シングルとして公開された「Conclusão」は、関係性の中に潜む痛みと対峙する、情熱的でメランコリックな楽曲です。歌詞では「平和も鏡もないこの結論のなかで、あなたが私に押し付ける重圧の正体が見える」と、相手が抱える孤独の源泉を鋭く見つめています。過ぎ去った過去の影に縛られる相手に対し、心の鎧を脱ぎ捨てて本心を語るよう優しく、しかし毅然と促すメッセージが込められています。
本作は、脳裏をかすめるような理知的な響きと、聴く者を包み込むような温かな慈しみが同居した、非常に人間味あふれるコレクションです。行き場のない感情をコラージュのように繋ぎ合わせたサウンド・デザインは、Lau Roのありのままの姿を映し出し、聴き手に寄り添うような誠実さを放っています。自分自身の内面を丁寧に掘り起こすことで、独自のオーケストラル・ポップの境地を切り拓いた注目のアルバムです。
現代の不安を抱きしめ、光へと向かうインストゥルメンタルの深淵――For BreakfastがMaya Harrisonの歌声と即興的アンサンブルで提示する、最も誠実なポストロックの到達点
For Breakfastが、5月15日にニューアルバム『Longer Than Spring』をリリースします。2020年と2022年のEPで高い評価を得た彼らが、4年間にわたる共作を経て到達した本作は、ポストロックやフォーク、サイケデリック、プログレといった多彩な要素を融合させた、バンドの深化を示す意欲作です。シガー・ロスやPJ Harveyを彷彿とさせる響きを内包しつつも、For Breakfastならではの独自の叙情性を確立しています。
本作には、弦楽器や管楽器からなる即興的なアンサンブル「Borkestra」が4曲で参加しており、ライブさながらの広がりあるサウンドが特徴です。ボーカルのMaya Harrisonが自身の闘病と回復の経験を投影したリリックは、現代社会への不安や存在の恐怖といった深い影を投げかけつつも、同時に愛と希望、そして困難を乗り越える受容のメッセージが込められています。
録音は2025年1月にウィルトシャーのThe BarnにてGus Whiteが担当し、マスタリングはKatie Taviniが手がけました。さらにJake Murrayのレコーディングによるゲストミュージシャンたちが加わり、緻密かつ重厚な音世界を構築しています。リリース直後の5月28日には、New River Studiosにてアルバムのリリース記念公演も予定されており、彼らの新たな門出を飾る重要な節目となりそうです。
神戸の雨からイタリアの山々まで、世界の記憶を音に刻む――Damian Dalla Torreが最新作『People Pleaser』で到達した、美しくも抽象的な音の風景画
ライプチヒを拠点とするマルチ奏者、Damian Dalla Torreが、ニューアルバム『People Pleaser』からの先行シングル「Longitude」をリリースしました。前作『I Can Feel My Dreams』がガーディアン紙で年間ベストに選出されるなど国際的な評価を確立した彼ですが、本作ではその成功を経て得た自信を糧に、より地に足のついた、アンサンブルとしてのまとまりを重視したサウンドを追求しています。
本作の制作プロセスは、前作のツアー中に訪れたニューヨークや日本の森といった場所での体験や、自身の日常を切り取ったフィールドレコーディングの蓄積に基づいています。神戸の雨音やイタリアの山小屋で響く焚き火の音など、周囲の環境音を意図的に音楽へ統合することで、極めて個人的でありながらも壮大な広がりを感じさせる唯一無二の音世界が構築されました。
中心となるコラボレーションには、ギタリストのBertram Burkertをはじめ、ハープ、オルガン、マリンバなど多彩な奏者や日本のアーティストManami Kakudoらが参加しています。前作までのドラマチックな対比をあえて抑え、ギターと繊細なエレクトロニクスを中心にアコースティックでミニマルな響きを追求した本作は、都市や風景のタペストリーの中で、移ろいゆく自信や迷いといった感情を静かに示唆する、深みのある作品に仕上がっています。
ロンドンの地下から響く新たなゴスの鼓動――Mouth UlcersがデビューEP『Silent Pictures』で再定義するポストパンクの美学
ロンドンを拠点とするゴス、ポストパンク・バンド、Mouth UlcersがデビューEP『Silent Pictures』のリリースを発表し、その先行シングルとして新曲「Closer To You」を公開しました。本作は、今年2月にリリースされたリードシングル「Prevail」に続く新たな一歩であり、バンド結成以来、着実に積み上げてきた楽曲群が待望のEPとして結実することとなります。
新曲「Closer To You」について、バンドは「誰かに対してどうしても惹かれてしまう抗いがたい引力や、相手の美しさに完全に身を委ねてしまうような執着心、そしてその中で自分自身の理性をいかに保とうとするかという葛藤」をテーマにしていると語っています。情熱的な献身と自制心の狭間で揺れ動く心情を鮮やかに描き出した一曲です。
Painting – “Momento” (EERA Version)
ベルリンを拠点とするアヴァンギャルド・ポップ・トリオPaintingは、最新アルバム『Snapshot Of Pure Attention』の楽曲を様々なアーティストが再構築するリミックス・シリーズを展開しており、その第3弾として、ベルリンを拠点に活動するノルウェー人アーティストAnna Lena Brulandによるプロジェクト、EERAが手がけた「Momento (Eera Version)」が2026年4月15日にリリースされました。Brulandは原曲の反復するボーカルラインに強く惹かれたと語り、全ての要素を削ぎ落として声の持つリズムを楽曲の主軸に据えるアプローチをとっています。
原曲の「Momento」は、複雑なリズム構造から「数学のテスト」という作業名で呼ばれていたほど難解かつ実験的な楽曲であり、ジャズ的でメランコリック、そしてトリオの中で最も風変わりな一曲として知られています。一方、EERA自身の最新アルバム『I’ll stop when I’m done』は、マリリン・モンローの言葉を起点に現代女性の複雑な内面とハリウッド黄金時代のスターたちの人生を研究・考察した意欲作であり、リミックスにおいてもPaintingの楽曲が持つリズムと彼女自身の探求心が融合した、繊細かつ力強い響きを体現しています。
