Heavy Metal Chess Club – “Discrete Math”
フィラデルフィアを拠点とするバンド Heavy Metal Chess Club が、We’re Trying Records よりニューシングル「Discrete Math」をリリースしました。本作は emo や midwest emo のエッセンスを色濃く反映した楽曲で、ジャンルの特徴であるエモーショナルな昂揚感と、レギュラーチューニングで書かれたという独特なアンサンブルが特徴です。SoundCloudやYouTube Musicといった主要プラットフォームで公開されており、シーンにおいて独自の存在感を放っています。
歌詞では、内面的な葛藤や人間関係における脆さが切実に描かれています。自らの恐怖心や、困難な状況で向き合えなかった過去への後悔を吐露しつつ、「視界から外さないでほしい」という切実な願いが綴られています。小枝のように折れてしまいそうな危うさを抱えながらも、相手との繋がりを求める独白のようなメッセージは、瑞々しいギターサウンドと共にリスナーの感情を強く揺さぶる一曲に仕上がっています。
Slowdiveの残響と90年代MTVの系譜を継ぐ「音のシュルレアリスム」――she’s greenが崩れゆくような繊細なギターで描く、愛の喪失とメランコリーの極致
ミネソタ州ミネアポリスを拠点に活動する5人組バンド、she’s greenが、2026年7月10日にPhoto Finish Recordsから新作『swallowtail EP』をリリースすることを発表しました。初期のシングルやデビューEP『Wisteria』で中西部のオルタナティブ・シーンの旗手として台頭した彼らは、SlowdiveやThe Sundaysを彷彿とさせるドリーミーな音像と、強烈な感情の奔流を融合させた「音のシュルレアリスム」を追求。これまでにHotline TNTやFrikoといった気鋭のアーティストとも共演を重ね、着実にその評価を高めています。
新作EPからの最新シングル「paper thin」は、崩れゆくような繊細なシューゲイザー・ギターと、ゾフィア・スミスの切なくメランコリックなボーカルが交錯するスローナンバーです。愛が目の前で失われていく無力感や、後悔に満ちた心の痛みを描いた本作は、シュルレアリスム的な映像美が光るミュージックビデオと共に、バンドの深化を感じさせる仕上がりとなっています。120 Minutes時代のMTVを思わせるノスタルジーと、現代的なエモーショナルさが同居した一曲です。
轟音のシューゲイザーから親密なネオフォークまで――Sans Meritが描く、脆弱な世界に寄り添う万華鏡のようなサウンドスケープ
オーストラリア出身で現在はロサンゼルスを拠点に活動するミュージシャン、Griffin Jamesによるプロジェクト、Sans Meritの新曲「Doledrines」が公開されました。5月8日にKnekelhuisからリリース予定のセカンドアルバム『Trolley Polly』からの先行シングルとなる本作は、遊び心に満ちた誠実さと、無防備なほどの喜びに溢れた輝きを放つ楽曲に仕上がっています。
サウンド面では、ギターペダルを力強く踏み込むようなエネルギッシュなロックサウンドから、ネオフォークに通じる親密なアコースティックパートまで、多彩な表情を見せます。押し寄せるシューゲイザーの轟音、霞がかったヒプナゴジック・ポップの間奏、そして鋭いポストパンクの要素が交錯し、アルバム全体を通して絶え間なく変化するダイナミックな鼓動を感じさせます。
その根底には、脆弱な世界における大きな問いを反映した叙情的な繊細さが流れています。自身の脆さと自覚的なユーモアのバランスを保ちながら、日常生活の感情の底流を掬い上げるSans Merit独自の視点が、作品に深い人間味と安らぎを与えています。矛盾を抱えながらも躍動する、極めて人間らしい感性が息づく一作です。
First Prize – “Wasted On Me”
英国シェフィールドを拠点に活動するCharlie Kondras 率いるプロジェクト、First Prizeの新曲「Wasted On Me」がBingo Recordsからリリースされました。才能豊かな友人たちとのコラボレーションによって生み出される彼らのサウンドは、きらめく12弦ギターの音色が印象的なジャングル・ポップを基調としています。
楽曲の核となるのは、どこか懐かしさを感じさせるキャッチーなポップ・メロディと、幾重にも重なる甘く美しいハーモニーです。軽快なギターのアルペジオと爽やかなボーカルが混ざり合い、ジャンル特有の疾走感と瑞々しさを存分に味わえる仕上がりとなっています。
LIV ALMA – “Sense Of Gravity”
LIV ALMA(リヴ・アルマ)の新曲「Sense Of Gravity」は、繊細なボーカル、ノイジーなエレキギター、そして加工されたサンプリング音が交錯する独創的な一曲です。クラシックピアノやジャズ・サクソフォンをルーツに持つヨハンナ・クラインが、パンデミック下の隔離期間中にギターや歌を取り入れたことで始動したこのソロプロジェクトは、「巧みな未熟さ」を感じさせるループサウンドが特徴。本作でも、ポップさとノイズ、レフトフィールドな感覚が絶妙なバランスで共存しています。
制作面では、ケルンを拠点とするドラマー兼プロデューサーのヤン・フィリップと共に、重層的な音作りを展開しています。幼少期からの音楽教育と即興演奏で培った感性が、緻密に構成されたサウンドテクスチャの中に息づいており、軽やかさと奇妙さが同居する唯一無二の世界観を提示。Papercup Recordsからリリースされた本作は、型にはまらないアプローチで、彼女のアーティストとしての進化を象徴する仕上がりとなっています。
EESE – “Struck Me”
ドイツ・ケルンを拠点に活動するLucaとMaxの親友デュオ、EESEの新曲「Struck Me」がPapercup Recordsからリリースされました。2022年のデビューアルバム以降、セルフプロデュースとミックスに徹底してこだわる彼らは、現代的なツールを駆使した緻密な音作りを特徴としています。本作でも、長い時間をかけて磨き上げられた独自の楽曲構造の中に、彼ららしいクリエイティブなアプローチが光ります。
そのサウンドは、エネルギッシュなギターやシンセサイザーの響きと、幻想的でムード溢れる音楽的風景が同居しており、聴き手をメランコリックな旅へと誘います。特徴的なボーカルが、時にダイナミックに、時に浮遊感のある多層的なサウンドスケープと混ざり合い、現代のインディー・シーンにおいて独自の存在感を放つ仕上がりとなっています。
The Album Leaf & Maiah Manser – “Falling”
The Album LeafがMaiah Manserをフィーチャーしたシングル「Falling」は、ビートを排した純粋なアンビエント・サウンドが深い没入感をもたらす一曲です。Jimmy LaValleが得意とする、幾重にも重なり合う繊細なシンセサイザーのレイヤーと、静謐に揺らめくテクスチャが空間を穏やかに満たしていきます。ビートによるリズムの制約がないことで、音の粒子が空気中に溶け込んでいくような、より自由で広大なサウンドスケープが構築されています。
本作において、Maiah Manserの透明感あふれる歌声は、楽器の一部であるかのようにサウンドの波に溶け込み、リスナーを優しく包み込みます。重力から解き放たれ、タイトルの通り「落ちていく(Falling)」ような心地よい浮遊感と、内省的な美しさが共存する仕上がりです。リズムを削ぎ落とすことで、音の響きそのものの美しさとエモーショナルな旋律が際立ち、聴く者を深い瞑想状態へと誘う至高のアトモスフェリック・ミュージックとなっています。
Good Morning Midnight – “Clarity & Circuit Bender”
ミネアポリスを拠点に活動する Charlie Cacciatore によるソロプロジェクト Good Morning Midnight が、ニューシングル「Clarity & Circuit Bender」をリリースしました。流動的なメンバーやコラボレーターと共に形作られるそのサウンドは、常に変化し続けながらも一本の芯が通った一貫性を持ち合わせています。フォークやインディー・ロックの素養を感じさせつつ、独自の感性で紡がれるメロディが特徴です。
本作「Clarity & Circuit Bender」は、プロジェクトの持つ多面的な魅力を凝縮した一曲に仕上がっています。タイトルが示唆するように、明晰さと実験的なテクスチャが共存しており、リスナーを惹きつける繊細なソングライティングが際立ちます。現在進行形のミネアポリスのインディー・シーンにおいて、着実にその存在感を高めている Good Morning Midnight の最新の探究心が反映された重要なリリースです。
Cat Merkle – “The Same For Us”
シカゴを拠点に活動するシンガーソングライター Cat Merkle が、レーベル Internet & Weed よりニューシングル「The Same For Us」をリリースしました。Amy Winehouse や Lizzy McAlpine に影響を受けた彼女のスタイルは、ドラマチックな昂揚感と親密な情緒を併せ持っています。2024年秋からシカゴの Martyrs’ や Cubby Bear といった名門会場で精力的にライブ活動を展開しており、本作でもそのライブ感のある力強い表現力が存分に発揮されています。
新曲「The Same For Us」は、報われない愛とそれに対する自己決定をテーマにした、痛切でエモーショナルな楽曲です。歌詞では、相手を想いながら書き溜めた「100曲もの未完成の歌」をモチーフに、関係の崩壊を無視し続けようとした葛藤や、相手の不誠実さへの気づきが綴られています。夏の終わりと共に過去を振り切ろうとする決意が込められた本作は、彼女のソウルフルな歌声と相まって、失恋の痛みを超えて前へ進もうとするリスナーの心に深く響く一曲に仕上がっています。
Yangze – “Heart-shaped Eyes”
コペンハーゲンを拠点に活動するアーティスト Yangze が、デンマークのレーベル Escho よりニューシングル「Heart-shaped Eyes」をリリースしました。本作は、彼独自のハイパー・ソフィスティケイテッドなポップ・センスが光る一曲で、緻密にレイヤーされた電子音と、エモーショナルでソウルフルなヴォーカルが見事に融合しています。プロダクション面では、細部まで磨き上げられたアヴァン・ポップの質感を持ちつつも、聴き手の心に直接訴えかけるような普遍的なメロディラインが特徴的です。
これまでの活動でも、実験的なエレクトロニック・ミュージックと現代的なR&Bの境界線を自在に行き来してきた Yangze ですが、今作ではより親密で内省的なムードを醸し出しています。「Heart-shaped Eyes(ハート型の瞳)」というタイトルが示唆するように、恋に落ちた瞬間の昂揚感や戸惑いを、複雑なビートとドリーミーなシンセサイザーのテクスチャで描き出しています。スカンジナビアの最先端シーンを牽引する Escho らしい、独創的かつ高品質なサウンドスケープに仕上がっています。
