北欧の歌姫 Susanne Sundfør が8作目の新作『Revelations of Divine Love』を発表、ノルウェーの教会でライヴ録音された先行シングル「I It Am」を公開
ノルウェーのシンガーソングライター Susanne Sundfør が、8作目となるニュー・アルバム『Revelations of Divine Love』のリリースを発表し、先行シングル「I It Am」を公開した。前作『blómi』(2023年)を経て二児の母となり、都市を離れてノルウェーの田園地帯へと移住した彼女が、静寂の中で見出したテーマを体現する楽曲となっている。
アルバム『Revelations of Divine Love』は、女性によって英語で書かれた最古の書物とされる14世紀の神秘家 Julian of Norwich(ノリッジのジュリアン)の同名著作(Grace Warrack による1901年訳)のみをテキストに採用したコンセプト作だ。ノルウェーの教会でライヴ録音された本作は、マーキュリー賞ノミネート歴を持つピアニスト/オルガニストの Kit Downes との共作であり、教会のパイプオルガンを「第2のヴォーカル」としてフィーチャー。宗教の枠組みを超えた普遍的な「愛」をテーマに掲げている。
先行シングル「I It Am」をはじめとする楽曲群では、オルガン伴奏=大音量という従来の概念を覆し、近接マイク(close-miked)による囁くような柔らかで繊細なヴォーカルアプローチを展開。ほぼ一発撮り(single takes)でレコーディングされ、完璧さよりもその場の存在感や生の気配、そして遊び心を重視した音響美が際立つ。静寂と深い省察に満ちた、唯一無二の神聖な作品に仕上がっている。
DIIV × A. G. Cook という異色のタッグが解き放つ、重厚なシューゲイザーの美学と最先端エレクトロニック・プロダクションの衝撃的な融合
ブルックリンのオルタナティヴ・ロック・バンド DIIV が、通算5作目となるニュー・アルバム『ZIRP!』のリリースを発表し、そのオープニングを飾るリード・シングル「The Fountain」を公開した。前作『Frog In Boiling Water』から約2年という彼らにしては異例の早いペースで届けられた今作は、ハロウィン直前にリリースが予定されている。リード曲「The Fountain」は、囁くようなボーカルと不穏なギター・サウンドという DIIV のパブリック・イメージを踏襲しつつも、後半にかけて蠢くシンセ・ビートと浮遊感のあるリード・ギターが交差する、バンドにとって鮮烈な新境地を示すナンバーとなっている。
アルバム全体のプロデュースを手掛けたのは、PC Music の創始者であり Charli XCX との仕事でも知られる A. G. Cook である。Cook は安易なリミックス的手法ではなく、DIIV のライブの熱量や複雑なペダルワークによるギター録音といった生のダイナミズムを重視。コンピュータ上での作業を極力抑えつつ、彼らの肉体的なサウンドをユートピア的かつディストピア的な概念へと昇華させた。ハイパーポップの最高峰とシューゲイザーの第一人者がタッグを組むことで、従来の枠組みを超えた異色の音響空間が作り上げられている。
DIIV は本作『ZIRP!』を、Slayyyter や Eartheater、Turnstile らとともに音楽シーンの既存のカテゴリーを解体する「New Alternative」運動の一環として提示している。長年培ってきたグランジ/シューゲイザーの重厚な美学と、電子音楽的ポップネスが見事なダイナミズムで融合した今作は、ポスト・ジャンル時代におけるオルタナティヴ・ロックの新たな可能性を提示する野心的な重要作である。
現状への不満や無力感と真っ向から向き合う内省的な詞世界――Gollylagging がオルタナティヴなギター・サウンドで紡ぐ不条理な現実への受容と葛藤
ボストンを拠点に活動するDIYインディー・ロック・バンド Gollylagging が、インディー・レーベル Disposable America より10月16日にデビュー・アルバム『Real Life』をリリースすることを発表した。あわせて公開された最新シングル「Comet」のミュージック・ビデオには、ボストンのDIYシーンで親交のあるミュージシャン仲間たちが集まり、バーベキューやゲームを楽しむアットホームで等身大の姿が映し出されている。
今作「Comet」を含むアルバム『Real Life』は、人生の現状に対するもどかしさや不満、そしてそれを受け入れようとする葛藤を深く掘り下げた作品である。同じような人間関係の悩みや日常の問題から抜け出せず、自分を変える力がないように感じてしまう無力感や停滞感と真っ向から向き合ったテーマ性が根底に流れている。
フロントマンの Jake Regulbuto(ボーカル/ギター)が語るように、誰もが一度は直視する不条理な現実を受け入れていくプロセスが、バンド特有のオルタナティヴなギター・サウンドとともにエモーショナルに表現されている。地元のコミュニティ感を反映した映像美と内省的な詞世界が見事に調和し、アルバムの到着へ期待が高まる重要作である。
事故の衝撃と流浪の日々を越えて——Sam Burtonが新たな傑作『Fairweather Friend』で描く、喪失と再生の物語
Captured Tracks への移籍を発表したパレスチナ系アメリカ人のシンガーソングライター Sam Burton が、2026年10月30日にリリース予定の3rdソロアルバム『Fairweather Friend』と、先行シングル「I’m A Stranger」を公開した。前作『Dear Departed』に引き続き Jonathan Wilson がプロデュースを手掛けた本楽曲は、Otium 監督によるミュージックビデオとともに発表された。Burton 自身が「ノスタルジーと疎外感の狭間に位置する楽曲であり、帰るべき家はどこにもない」と語る通り、変化の波の中で漂う孤独感や郷愁が、美しく繊細なフォークサウンドとして表現されている。
アルバム制作の背景には、ツアー中に見舞われた深刻な自動車事故と、それに伴う流浪の生活がある。事故による罪悪感やバンドメンバーとの癒やしのプロセス、その後のプロジェクトの分裂を経て、Burton は北カリフォルニアのハンボルト近郊の農場に滞在し、Neil Young や Bert Jansch などのソロパフォーマンスを研究しながら本作の約半分を執筆した。録音は Jonathan Wilson とのセッションに加え、ドラマーである Pierce Gibson のエコーパークにあるスタジオにて、プロデューサーなしのバンド主導でも行われ、親密な共同体精神が生々しいライヴ録音の感覚とともに刻み込まれている。
『Fairweather Friend』は、極限まで削ぎ落とされたプロダクションとアコースティックギターのアンサンブルによって、Bob Dylan の『New Morning』を彷彿とさせる親密な響きを生み出している。愛する人々との高揚感と終わりの予感、未知への抱擁、そして真の自由へと至る降伏といったテーマが深く掘り下げられており、Fred Neil、Nick Drake、Leonard Cohen といった偉大なシンガーソングライターの系譜に彼を確固として位置づける作品である。喪失を取り戻せないものとして受け入れながらも、音楽を生み出すという自身の宿命に強迫観念的に突き動かされる Burton の、これまでで最も自信に満ちた姿がここにある。
客席から投げつけられた靴と車へのパンチを乗り越えて――20年の時を経て『ワオ・シナリオ』を宿したThe Wow! Scenarioが辿り着いた、執念と奇跡のポップ・エピカ
イギリスのコメディアンJames AcasterとミュージシャンのGraeme WicksによるプロジェクトThe Wow! Scenarioが、2026年にリリースされるデビュー・アルバム『Stand in the Star. A Verse and a Chorus』を発表し、先行シングル「Zacuti!」を解禁しました。
先行シングル「Zacuti!」は、ゲスト・ヴォーカリストにBC CamplightとEmma Damanを迎えて制作された、プロジェクトの再始動を象徴するナンバーです。かつて自分たちのボーカル表現に限界を感じて一度はお蔵入りとなった楽曲が、実力派シンガーたちの歌声を得たことで鮮やかに生まれ変わり、長年温められてきたユニークなソングライティングの真価を提示する魅惑的な一曲に仕上がっています。
2004年にノーサンプトンシャーのケタリングで結成された彼らは、観客の少ないライブや厳しい評価に挫折し、2007年の音源制作を経て一度は解散を選びました。しかし、10年後の2018年には管楽器を交えたインスト再録を試み、さらに2023年には理想のボーカル陣を招いて3度目の録音を敢行。プロデューサーChris Hamiltonの手により20年以上の歳月をかけて完成したデビュー・アルバム『KNOTS』ならぬ『Stand in the Star. A Verse and a Chorus』は、不屈の執念とユーモアが結晶化した、まさに「通好み」な唯一無二の大作となっています。
ソロの静かな自問自答から力強いアンサンブルへ――Dogs on Shady Laneが描く、成長の葛藤と温かな希望
ブルックリンとプロビデンスを拠点に活動するインディー・ロック・バンドDogs on Shady Laneが、Lauren Recordsよりリリースされる待望のデビュー・アルバム『KNOTS』を発表し、その幕開けを飾るリードシングル「Grow」を解禁しました。
先行シングル「Grow」は、変化をテーマにしたアップビートなナンバーです。ヴァースでは繊細なインディー・フォーク調のアコースティック・ギターを中心に展開しつつ、サビではダイナミックなオルタナティヴ・ロックへと一気に熱量を高めます。ソングライターのTori Hallが叔母(伯母)としての視点から、大切な存在が自分らしさを獲得し成長していく姿を見つめる心情を描いており、メロディックなギター・ソロや温かなピアノのアクセント、パンチの効いたサビのフックが鮮烈な印象を残します。
7年もの歳月をかけて制作・録音されたデビュー・アルバム『KNOTS』は、Hallのパーソナルなソロ・プロジェクトから、協同作業によるフルバンドへと昇華した彼らの確固たる歩みを捉えた作品です。Big Nice Studioにてエンジニアリングされた全8曲の本作は、ギター・サウンドと豊かなヴォーカル・ハーモニーを軸に、内省、クィア・ラブ、家族の絆、人との繋がりといったテーマをパッチワークのように丁寧に紡いだ、彼らにとって最もスケールが大きく洗練された作品に仕上がっています。
Dawn Richardが父と母から受け継いだルーツを完結させ、ニューオリンズの伝統と革新を交差させながら新たなアイデンティティを描き出す新章『Creole Culture』
アーティスティックなR&Bシンガーであるドーン・リチャード(Dawn Richard)が、ニュー・アルバム『Creole Culture』のリリースを発表しました。本作は、2019年の『New Breed』や2021年の『Second Line』の流れを汲み、ニューオリンズ出身のブラックかつネイティブ・アメリカン系女性としての彼女のルーツにオマージュを捧げた作品です。ロサンゼルスを拠点とするジャズ・コレクティヴ「Katalyst」と共に制作され、ビッグ・フリーディア(Big Freedia)や、かつてニューオリンズのソウル/ファンクバンド「Chocolate Milk」で活動していた実父フランク・リチャードなど、ゆかりのある豪華ゲストが参加しています。
アルバムのコンセプトにおいて、彼女は「King Creole」というオルターエゴ(別人格)を採用しています。父の視点から描いた『New Breed』や母の視点を表現した『Second Line』を経て、本作ではこれまで語られてこなかった彼女自身の物語が描かれます。ドーンは「ニューオリンズの文化は本物であるために過去にとどまる必要はなく、進歩的でグローバルなポップカルチャーになり得る」と語っており、伝統を現代かつグローバルな視点へと昇華させる作品となっています。
あわせて公開された新曲シングル「Enough」は、シスター・ナンシー(Sister Nancy)によるダンスホールのクラシック名曲「Bam Bam」をサンプリングした、豊かで多幸感あふれるR&Bソングに仕上がっています。アルバムには今夏先に公開されたデュラン・バーナー(Durand Bernarr)とのデュエット曲「baby, can we?」も収録される予定で、シングルの解禁とともにトラックリストや今後のライブツアー日程も発表されています。
ルーツであるジャマイカの低音とフォークの繊細なハーモニーの結実——音の境界領域(リミナル・スペース)を漂うJune McDoomの最新シングル「Without You」と待望の1stアルバム
ニューヨークを拠点に活動するシンガーソングライターJune McDoomが、名門インディ・レーベルJagjaguwarとの電撃契約を発表し、待望のデビュー・フルアルバム『Follow The Light』のリリースと共にリードシングル「Without You」を公開しました。サウスフロリダのジャマイカ系家庭で育ち、幼少期から父親の自作スピーカーから響く低音とフォーク・ミュージックの繊細なハーモニーに包まれて育った彼女。本作は、パートナーのEvan Wrightと共に時間をかけてパートを重ね合わせ、緻密かつミニマルに構築された音の美学が結実した第一歩となる作品です。
先行トラック「Without You」は、「大切な人を失ったときにどれほど人生が無意味に感じられるか」という切実な気づきと、その存在を決して当たり前だと思わないという決意の感情曲線を表現した一曲です。直線的な生ドラムのビートから始まり、Cocteau Twinsの影響を深く受けたシューゲイザーの煌めくノイズと、ダブの伸びやかなベースラインが絶妙に融合。完成まで何度も工程を繰り返す静かな情熱と忍耐から生まれた、美しく儚い音響空間を展開しています。
デビュー・アルバム『Follow The Light』は、夢と現実の間、意識が覚醒する直前の静寂のような「リミナル・スペース(境界の領域)」を捉えた音のドキュメンタリーです。祖父であるメント奏者Colin Smithから受け継いだアコースティック・フォークの質感と、レゲエ/ダブのルーツ、そしてWall of Soundやドリーム・ポップの美学が等身大の彼女のボーカルを中心に交錯。自分自身の内面や家族の系譜と向き合いながら、暗闇の中で光を見出していく普遍的な美しさを湛えた傑作アルバムに仕上がっています。
音響の詩人Isik Kuralが描く時間と古代遺跡の記憶——グラスゴー撮影の映像美と共に贈る先行シングル「Winter Sun」とRVNG Intl.からの3rdアルバム『Motorcycles and Cherry Wind』
トルコ出身のサウンドアーティスト/コンポーザーIsik Kuralが、名門レーベルRVNG Intl.(国内盤CDはPlancha)より10月30日にリリースする通算3作目のアルバム『Motorcycles and Cherry Wind』から、先行シングル「Winter Sun」を公開しました。本作は、ヴァイオリンとピアノが静かに絡み合う繊細なアレンジとKuralの優しいボーカルが印象的な楽曲で、Barnaby Omar監督がグラスゴーで撮影したミュージックビデオと共に解禁されています。
先行シングル「Winter Sun」は、蜻蛉の羽や坂道のシルエットといった一瞬の風景を写真のように描いた詩的な歌詞を持ち、従来の楽曲というよりも「感覚的な記憶」に近い世界観を作り上げています。名作と評された2024年の前作『Moon in Gemini』で魅せた情緒豊かな音響表現を継承し、どこか不気味で神秘的でありながらも、深く心を穏やかにさせる独特のバランスと優美なアンサンブルを展開しています。
ニュー・アルバム『Motorcycles and Cherry Wind』は、時間のループを巡りながら古代遺跡の記憶を辿る探求者たちを描いた「音の旅行記」のような作品です。受け継がれてきた伝承やノスタルジアを纏ったタイムレスなサウンドは、まるで考古学遺跡の埃っぽい神秘のように豊かで奥行きがあり、生きている者と遠い過去に去った者の両方へ優しく語りかける、詩的で深い味わいを持ったアルバムに仕上がっています。
結成30年を超えるパワーポップの巨星Imperial Teenが放つ7thアルバム『All Over You』——新曲「Overdrive」と共に描く新たなポップ・ユートピア
サンフランシスコ出身のポップ・バンドImperial Teenが、長年籍を置くMerge Recordsより通算7作目となるスタジオ・アルバム『All Over You』を2026年10月9日にリリースすることを発刊し、併せてリードシングル「Overdrive」のミュージックビデオを公開しました。Roddy Bottum、Will Schwartz、Jone Stebbins、Lynn Truellの4人は互いに遠く離れた都市に暮らしていますが、数年に及ぶリトリートとセッションを通じて互いのクリエイティヴィティを結集。結成から30年以上が経過した今も変わらぬ強烈なケミストリーを証明する復帰作となっています。
先行トラック「Overdrive」は、マサチューセッツ州プロビンスタウンでのセッション終盤における一瞬の閃きから生まれ、ボーカルのWill Schwartzがフェリーに乗る直前に奇跡的に一発撮りされた楽曲です。Sex Pistolsへのさりげないオマージュやアルバム唯一のインターネットに関する歌詞を織り交ぜつつ、バンドの真骨頂である緊迫感、ウィット、そしてキャッチーなフックに満ちたフットワークの軽いオルタナ/パワーポップ・チューンに仕上がっています。
アルバム『All Over You』は、バブルガム・ポップや男女の男女ボーカル・ハーモニー、エレクトロ・ビート、グランジのディストーションなどを融合させた、バンド史上最も彩り豊かな音のパレットを展開する作品です。キャピタリズムの下での芸術制作や欲望、途絶といったテーマを扱いながらも、「踊らせ、考えさせ、感情を動かしたい」という彼らの美学を軸に、多幸感とパンク精神が共存する魅力的なポピュラー・ミュージックを提示しています。
