バンクーバー地下シーンの異端児PISSが放つ待望の1stアルバム『you made me / skin on linen』――性的対象化の文化に抗うノイズ・パンク過激作「time loop at hot slit」で告げる切実な連帯の宣言
カナダ・バンクーバーのノイズ・ロック・バンドPISSが、満を持して発表する待望のファースト・フル・アルバム『you made me / skin on linen』。2024年のデモ音源集『three demos』のリリースや圧巻のライヴ・パフォーマンスで地元の地下シーンに強烈な印象を残してきた彼らが、その鋭い美学を結実させた初のフルレングス作品です。パンク、詩、サウンド・コラージュ、パフォーマンス・アート、そしてビジュアル・アートを多角的に融合させ、個人的なテーマから政治的なメッセージまでをシームレスに横断する、先鋭的で多面的な芸術性を惜しみなく提示しています。
アルバムの幕開けを告げるリード・シングル「time loop at hot slit」は、社会構造の中に根強く存在する性的対象化の文化と、その中で生きる少女期(girlhood)の葛藤やリアルを探求したノイズ・パンク・トラックです。歪んだギターと切り裂くようなビートの渦の中で、ボーカルのTaylor Zantinghが鋭く重厚なリリックを吐き出し、静かな怒りと切実なエネルギーを交錯させています。ジャンルとしてのパンクの枠組みを拡張しながら、物議を醸すテーマに対して一切の妥協や自己欺瞞なしに向き合う彼らのアティチュードがストレートに凝縮された一曲です。
バンクーバーのアングラ・コミュニティとの深い繋がりから生まれた本作は、フェムやクィア、アウトサイダーたちの声と真摯に響き合い、画一化された音楽シーンに力強い一石を投じる決定盤となっています。閉鎖されたDIYスペースでのコミュニティの絆を描いたミュージック・ビデオの世界観とも共鳴するように、アルバム『you made me / skin on linen』と「time loop at hot slit」は、孤独な個人の叫びを連帯のエネルギーへと昇華させ、PISSというバンドの唯一無二の存在感を確固たるものにしています。
激動のトラブルを越えて届く本物のアメリカーナ精神――GracieHorseがChris Cohenプロデュースの新作『Breaking and Entering』と先行曲「5 Card Stud」で見せる真骨頂
ロサンゼルスを拠点に活動するオルタナティヴ・カントリー/インディー・シンガーソングライターGracieHorse(Gracie Jackson)が、ニュー・アルバム『Breaking and Entering』のリリースを発表しました。かつてボストンのファズ・ロック・バンドFat Creepsを率い、2023年にソロ名義でのデビュー作『L.A. Shit』をリリースした彼女。困難な妊娠後期の最中にレコーディングを完遂し、数年分のデモ音源を誤って消去してしまうアクシデントを乗り越えて完成させた本作は、トレンドに流されない無骨なアティチュードとリアルな楽曲美学が凝縮された注目のセカンド・アルバムです。
プロデュースを務めたのはインディー界の重鎮シンガーソングライターChris Cohen。彼をはじめ、Emily Elhaj(ベース/Angel Olsen作品等)、Dylan Hadley(ドラム/White Fence)、Tyler Cash(ピアノ)、Tim RamseyやConnor “Catfish” Gallagher(ペダル・スチール)といった豪華な演奏陣が集結しました。短編小説のようにディテールに富んだストーリーテリングと、カントリー、ソウル、アメリカーナ、インディー・ロックがシームレスに交錯するサウンド、そしてChris Cohenによる空間を活かした繊細なプロダクションが、GracieHorseのスモーキーで深みのあるヴォーカルの魅力を最大限に引き出しています。
アルバムのオープニングを飾る先行シングル「5 Card Stud」は、スモーキーで骨太なカントリー・ロックの魅力を余すところなく提示する強力なトラックです。ポーカーに興じる友人たちの会話やスラングに着想を得て制作された本作は、「幸運」の本質や人々がそれを何に委ねるかを問いかけるもの。ボタニカで手に入れた幸運の根っこ(Lucky Hand Root)に導かれるように生まれたという軽妙なエピソードとともに、贅沢なペダル・スチールの音色と堂々としたヴォーカルが重なり合い、アルバム全体への期待を最高潮に高める見事な先陣を切っています。
コラボレーションの寵児から孤高のプロデューサーへ――Fineがニュー・アルバム『Jazz Dreams』で見せる、贅沢なミニマリズムと心を解きほぐす圧倒的なトーン
デンマーク・コペンハーゲン出身の音楽家Fine(Fine Glindvad Jensen)が、来月リリースするニュー・アルバム『Jazz Dreams』を発表しました。エレクトロ・ポップ・グループCHINAHのフロントを務めた過去を持ち、Erika de CasierやAstrid Sonne、IceageのElias Rønnenfeltとの共作や、Dean Bluntとの謎めいたプロジェクトCrying Nudesでも注目を集める彼女。作詞・作曲・プロダクション・録音のすべてを自ら手がけるソロプロジェクトとして、2024年の高い評価を得たデビュー作『Rocky Top Ballads』に続き、より豊潤でスケールの大きな独自のサウンドスケープを構築しています。
アルバムからの最新先行シングル「Everything in the shade」は、Cowboy JunkiesやMazzy Starを彷彿とさせるほんのりとしたカントリー・フォークのニュアンスを纏った、美しくウージィなトーチ・ソングです。静謐でありながらも豊かな広がりを持つミニマルな音像と、微睡むようなヴォーカルが聴き手の緊張を瞬時に解きほぐします。Fine自身が「レコード制作は直線的ではない。部屋に投げ込まれた奇妙なものをそのまま受け入れ、夢自体の論理に身を委ねる。それは残酷だが、自由でもある」と語る通り、不条理さと解放感が同居する幻想的な世界観が見事に表現された一曲です。
すでにリリースされている「I Could」「Run」「Portal」「Moment」といった魅力的な楽曲群とともに構成されるアルバム『Jazz Dreams』は、マルチな才能を発揮するFineの美学が完璧に結実した作品となっています。夢の領域へと引き込まれるような没入感と、聴く者を優しく包み込む穏やかなトーンがアルバム全体を貫いており、シンガーソングライター/プロデューサーとしての彼女の稀有な存在感を確固たるものにする期待の決定盤です。
一度全消去した過去を越え、HMLTDが提示する衝撃の新境地『FANGS』――レイヴとゴスの破滅的融合「ÜberGöth」で描く、消費社会への反抗と「失敗」からの解放
ロンドンを拠点にアヴァンギャルドなポップ・シーンを牽引するHMLTDが、10月23日にLucky Numberよりリリースする待望のサード・アルバム『FANGS』を発表しました。2023年の壮大なロック・オペラ『The Worm』発表後、一度は完成させたアルバムを「安全で保守的すぎる」として全消去し、ゼロからのDIYアプローチで再構築された本作。ロワール渓谷の廃城での隔離生活の中で生まれたサウンドは、オーケストラからAbletonへと移行し、EBMやレイヴ・シンセ、ブラック・メタル、ブログ・ハウスを凶暴にブレンドした新ジャンル「Götherdammerüng(またはÜberGöth)」を確立。後期資本主義下における「消費に囚われた現代人の吸血鬼化(Vampirism)」やクラブ・カルチャーの退廃をテーマに掲げ、ゴスというジャンルを現代のエレクトロニック・ダンス・ミュージックの鏡を通して劇的に再定義した極彩色の問題作となっています。
アルバムの全貌を告げる先行シングル「I Used To Ride In Limousines」は、こうした作品全体の壮大なコンセプトと音像をストレートに体現したトラックです。かつてのクラシックなゴスやEBMのパイオニア精神を受け継ぎながら、強烈なサイドチェーンの効いた4つ打ちビートとレイヴ・シンセ、そしてグロウルが激しく交錯。リリックでは「成功と失敗」の本質に切り込み、生産性や承認欲求によって人間の価値を測ろうとする現代社会の道具主義的なシステムを拒絶。「失敗」の中にこそ存在する解放と真の自己定義を見出すという、歪みつつも凛とした哲学が力強く歌い上げられています。
ダンスフロアの快楽と歌詞がもたらす恐怖や歪みが背中合わせに存在する本作は、ただ聴き手を踊らせるだけでなく、享楽の裏に潜む虚無を暴き出すトロイの木馬のような毒と刺激に満ちています。自己肥大化した現代カルチャーに対する鋭烈な批判でありながら、その陶酔感自体の美しさにも身を投じるHMLTDならではの美学が凝縮。『FANGS』と「I Used To Ride In Limousines」は、アヴァンギャルドな挑発者としての彼らの本領を発揮し、2020年代のオルタナティヴ・シーンに強烈な衝撃を与える傑作の誕生を予感させます。
数々の名インディーバンドを渡り歩いてきたHochheim兄弟とJack Tatumが結実させた新境地:新作『Against The World』とタイトル曲に込められた変貌の全貌
Christoph と Anton の Hochheim 兄弟による双子デュオ Always You が、Hit The North Records より11月13日にニューアルバム『Against The World』をリリースすることを発表しました。プロデュースは Wild Nothing の Jack Tatum が担当しています。Beach Fossils や The Pains of Being Pure At Heart、Jerry Paper などの著名バンドで活躍してきた彼らですが、今作ではこれまでのソフィスティ・ポップ的なロマンティシズムから一転し、より本能的で力強いサウンド領域へと劇的な変化を遂げています。
アルバムの発表に合わせて、表題曲でもある先行シングル「Against The World」の配信とミュージックビデオの公開もスタートしました。このタイトル曲は新作フルアルバムの核となる存在であり、バンドの新しい方向性を象徴する一曲として位置づけられています。
楽曲「Against The World」は、私たちを分断し不和を生み出す勢力に対して「愛こそが唯一の抵抗である」と宣言する疾走感にあふれたマニフェストです。現状の維持を断固として拒絶し、「誰もがより良い世界を享受する権利がある」という強い信念に突き動かされた、未来への力強い結集の叫びが込められています。
不安と欲求不満が生む衝動や葛藤を研ぎ澄まされたサウンドで解き放つ――Pet FoxがプロデューサーAlex Farrarを迎えて提示する待望のニュー・アルバム『Balance』とタイトル曲の衝動
ボストンを拠点に活動するインディー・ロック・バンドPet Foxがリリースした先行シングル「Balance」は、彼らのエネルギッシュな魅力と緊迫感が凝縮された楽曲です。バンド自身が「不安や欲求不満によって引き起こされる衝動性がテーマ」と語る通り、行動に移す前の思考の重要性や、「衝動性」と「優柔不断」の狭間で揺れ動く心のバランスを描出。突き抜けるギター・サウンドと切実なボーカルが交錯する、疾走感あふれるトラックに仕上がっています。
本作をタイトルトラックに冠したニュー・アルバム『Balance』は、高い評価を獲得したデビュー作『A Face In Your Life』以来、数年ぶりのリリースとなる注目の作品です。アルバムのオープニングを飾る「Balance」の勢いそのままに、彼らが培ってきたインディー・ロックのダイナミズムとソングライティングの進化が余すことなく表現された、バンドにとって新たなターニングポイントとなる一作です。
今作のプロデュースには、 Truth Clubの2023年の名作『Running From The Chase』などを手掛け、現在引っ張りだこの人気プロデューサーAlex Farrarを起用。彼らが制作のインスピレーションとして挙げたAlex Farrarのエッジィで洗練されたサウンド・プロダクションとPet Foxの持つ生々しいバンド・エナジーが融合し、シーンにおいて強い存在感を放つ傑作アルバムを生み出しています。
90年代オルタナティヴの衝動からサイケデリックな深遠へ――Dazyが放つ最長にして最も野心的な新曲「Beat Change」と多作な歩みを凝縮した決定盤コンピレーション
バージニア州リッチモンドを拠点とするJames Goodsonのソロ・プロジェクトDazyがリリースしたシングル「Beat Change」は、プロジェクト史上最も長く野心的な5分半に及ぶロック・ナンバーです。90年代オルタナティヴ・ポップ特有のファズが効いたキャッチーなメロディラインを軸にしつつ、サイケデリックでトリップホップ的な重厚なテクスチャーが渦巻く展開が強烈なインパクトを残します。加齢に伴うリアルな葛藤や人生の儚さに対する切実な恐怖を歌い上げた、ディープでエモーショナルな楽曲です。
本楽曲が収録される10月23日リリースのアルバム『MAXIMUMBLASTSUPERLOUD Vol. 2: 24 Songs From 2023-2026』は、Lame-O Recordsから発売される2023年から2026年までの楽曲を網羅したコンピレーション作品です。2021年にリリースされた初期作品集『MAXIMUMBLASTSUPERLOUD: The First 24 Songs』の続編にあたり、これまで単発でリリースされてきた人気曲に加え、「Beat Change」を含む未発表の新曲7曲が収められています。
1stフルアルバム『OUTOFBODY』(2022年)以降もMilitarie GunやBodysyncとのコラボレーションをはじめ活発な制作活動を続けてきたDazyの足跡を包括した本作は、彼の旺盛なソングライティングと音楽的進化を体感できる充実の一枚です。パンチの効いたポップ・センスとよりトリッピーでスケール感を増したサウンドが全24曲に凝縮されており、彼の多作さと底知れぬポテンシャルを証明する決定盤となっています。
破壊的な心理パターンを探求する暗闇と美しさの絶妙な均衡——ロンドンのポストパンク・トリオBlack Doldrums、真骨頂を示すニューシングル「Compulsion」をリリース
ロンドンのポストパンク・トリオBlack Doldrumsが、2026年11月13日にFuzz Clubよりリリースするサード・アルバム『Repetition Compulsion』から、先行シングル「Compulsion」を解禁しました。結成メンバーであるKevin GibbardとSophie Landersのパートナーシップを感情の核に据えた本作は、80年代ゴシック・ポストパンクやダークウェーブ、さらにJohn CarpenterやVangelisによる映画音楽からインスピレーションを受けた、シネマティックで現代的なトラックです。
11月にリリースされるアルバム『Repetition Compulsion』は、デビュー作『Dead Awake』、2024年の『In Limerence』に続く「State of Mind Trilogy(心理状態三部作)」の完結編です。フロイトが唱えた「強迫的反復」の概念から名付けられた全11曲は、無意識に破壊的なパターンや過去のサイクルを繰り返してしまう人間の心理や人間関係を探求しています。アナログシンセの重厚なレイヤーとコーラスが効いたギター、推進力のあるリズムが対峙し、暗闇と美しさの絶妙な均衡を保った深い世界観を提示します。
近年のイギリスやヨーロッパでの大規模ツアーを経てリリースされる本作は、ポストパンクをノスタルジーではなく生きている進化系として描いた、Black Doldrumsの最高傑作と言える仕上がりです。三部作を堂々と締めくくると同時に、バンドの新たな章の幕開けを告げる重要作であり、彼らがロンドンのダーク・オルタナティヴ・シーンにおいて唯一無二の存在であることを改めて証明しています。
Sharp PinsのJoe GlassがK Records傘下よりアルバム『Snakewards』のデラックス再発を発表!アコースティックに研ぎ澄まされた新曲「It’s No Wonder」とともに、テレキャスターの衝動と追加トラックを携えた拡張盤を解禁
Kai Slater率いるSharp Pinsのメンバーとしても活動するJoe Glassが、アコースティック・スタイルの新曲「It’s No Wonder」をリリースしました。今年1月にHallogalloより発表された彼のソロ・アルバム『Snakewards』が、11月にK Records傘下のPerennialから未発表曲を追加したデラックス盤として再発されることが決定し、本作はその先行シングルとなります。自身の持ち味であるパワー・ポップのセンスを削ぎ落とされた音響へとシフトさせた、哀愁漂う美しいナンバーです。
11月に装いを新たにリリースされるアルバム『Snakewards』は、心から内臓へとダイレクトに響く16曲のスクラップ・ロックのスケッチで構成された作品です。テレキャスターのフックとギターの魅力が炸裂し、Gコードひとつで上層気流にひし形の穴をあけてしまうような勢いと衝動に満ちています。「あと一日くらいはロックンロールを生き延びさせることができるかもしれない」という無骨な美学が貫かれた、粗削りながらも強烈なフックを持つ楽曲群が並びます。
今回のPerennialからのデラックス再発は、かつてKai Slaterのブレイク作『Radio DDR』が同レーベルから拡大盤としてリリースされたのと同様のスペシャルなリロピッチとなります。新曲「It’s No Wonder」を含む3つの追加トラックを加え、Joe Glassが持つキャッチーなメロディ・センスと衝動的なギタリストとしての魅力をより多角的に証明する、インディー・ロック・ファン必聴の拡張盤となっています。
Gently Tenderが待望の2ndアルバム『This Was Once Fields』のリリースを発表!夜のロンドンを駆け抜ける都市への愛憎を描いた新曲「Don’t Sleep」とともに、野外散策から生まれたダイナミックで情熱的なサウンドを解禁
元Palma VioletsのSam Fryer率いるロンドン南部の6人組バンド、Gently Tenderが10月16日にTODO Recordsより待望のセカンド・アルバム『This Was Once Fields』をリリースすることを発表しました。併せて解禁された最新シングル「Don’t Sleep」は、催眠的なギターと伸びやかなポップ要素が交差する、流動的でエネルギッシュなトラックです。Sam Fryer自ら監督を務めたミュージックビデオとともに公開された本作は、夜の都市をドライブする瞬間の高揚感と切なさを鮮やかに描き出しています。
「Don’t Sleep」についてSam Fryerは、深夜のタクシーに乗っているような感覚から「Uber Pop song」と形容しています。歌詞の中では、彼が長年過ごしてきたロンドンという都市に対する愛憎の相克(「この場所を愛している」と叫ぶ声は奥歯を噛み締めながらのもの)が吐露されています。都市生活での葛藤や苦悩と向き合いながらも、アーティストとしての自分を形作ってくれた場所への敬意が込められた、人間味あふれるエモーショナルなナンバーです。
今年3月にリリースされた同名EPに続くニュー・アルバム『This Was Once Fields』は、Sam Fryerがロンドン市内やその周辺での野外散策から得たインスピレーションをもとに制作されました。かつて野原だった場所に都市が築かれていったように、時間の経過や環境の変化、そしてその中で育まれる内面的な記憶や感情の変遷が作品の核となっています。ダイナミックに変化する音響風景と深い詩情が融合した、彼らの新たな音楽的到達点を示す注目の作品です。
