The Lemon Twigs – “2 or 3”
The Lemon Twigsが、5月8日にリリースされるニューアルバム『Look For Your Mind!』より、最新シングルを公開しました。本作の核となるコーラス部分は、メンバーのBrian D’Addarioが昨年ブエノスアイレスで初めて演奏した翌朝、夢の中で聴いたメロディと歌詞をそのまま書き留めたものだといいます。夢の中の言葉をはっきりと記憶し、楽曲へと昇華させるという、彼らにとっても極めて珍しく神秘的なプロセスから誕生した一曲です。
楽曲のテーマについてBrianは、「彼女は僕の2倍も3倍も濃い人生を歩んできた」という歌詞の一節から、教養も経験も自分よりはるかに勝る恋人を持つ男性の姿を想起したと語っています。彼女にふさわしい自分であろうと、不慣れな美術や歴史に興味がある振りを装う男のいじらしさや背伸びを、彼ららしい瑞々しいソングライティングで描き出しています。アルバムへの期待をさらに高める、ユーモアと哀愁が同居した仕上がりです。
Kelela – “idea 1”
KelelaがSNSのアカウントをリセットし、新たなリリースの幕開けを予感させる新曲「Idea 1」を公開しました。Oscar SchellerとJaniva Ellisと共に書き上げられた本作は、世界が崩壊していくような感覚の中で、真実を見届け、吸収し、発言し続けることが求められる現代の重圧をテーマとしています。彼女は、こうした状況下で存在し続けることが、特に黒人女性にとって親密かつ特有の重荷であることを明かしています。
本作は安易な答えを提示するのではなく、あえて現実から目を逸らさない姿勢を貫いています。親友であるJaniva Ellisとの共同執筆、Oscar Schellerによる緻密なプロダクション、そして91 Rulesが手掛けた緊張感溢れるビジュアルが一体となり、Kelelaが準備を進めてきた「より大きな対話」の始まりを告げています。静かながらも確固たる意志を宿したこの曲は、彼女の新章を象徴する重要な一歩となっています。
サックスからギター、そして「歌」への回帰。Zoh AmbaがMatadorから放つ、テネシーの泥と祈りが宿る渾身のデビュー作『Eyes Full』
ニューヨークを拠点に活動するサックス奏者 Zoh Amba が、Matador からの初フルアルバム『Eyes Full』のリリースを発表し、先行シングル「Another Time」を公開しました。ニューヨークのアヴァンギャルド・シーンで新進気鋭のサックス奏者として脚光を浴びた Amba ですが、本作では自身の原点である楽器、ギターへと回帰。故郷であるテネシー州キングスポートでの生い立ちを背景に、ブルースとアパラチア・フォークが混じり合う、泥臭くも自由なサウンドを提示しています。
アルバムの核心にあるのは、小さな町で生きる労働者階級の人々の生活へのまなざしです。「本当に見られ、聴かれることを必要としている人々の心に届いてほしい」という Amba の願いが込められた本作は、ノースカロライナ州アシュビルの Drop of Sun Studios でライブ録音されました。親友の Kevin Hyland(エレキギター)と、数年前にニューヨークの路上で出会った Jim White(ドラム)が参加し、親密かつ生々しいセッションが記録されています。
これまで言葉を持たないサックスやインストゥルメンタル音楽を通じて超越的な表現を追求してきた Amba にとって、歌うことやギターに戻ることは、自身の暗い幼少期の記憶と向き合うプロセスでもありました。「何かから逃げようとしても、結局は追いつかれてしまう。だから向き合わなければならない」と語る通り、言語と歌という新たな表現手段を得たことで、自身の内面と過去を深く見つめ直した、極めてパーソナルで重要な一作となっています。
SILVERWINGKILLER – “SHANG FILM”
マンチェスターのアンダーグラウンドから現れたSILVERWINGKILLERは、英国と中国のバックグラウンドを持つ電子音楽デュオであり、UKミュージックシーンにおいて妥協のない独自の地位を築いています。新曲「SHANG FILM」においても、アナログ・アルペジエーターから放たれる攻撃的なベースラインと熱狂的なライブ・ブレイクビーツ、そして英語と中国語が交錯するボーカルが衝突。ワールドミュージックの要素を歪んだテクノロジーで解体・再構築したそのサウンドは、聴き手に強烈な反応を迫る「音の襲撃」とも呼ぶべき緊迫感に満ちています。
結成からわずか数ヶ月でライブシーンの重要存在となった彼らは、Machine GirlやFat Dogとのツアー、さらにはViolent Magic OrchestraやMinami Deutsch(南ドイツ)のサポートを務めるなど、その実力を証明してきました。SFやマニアックなビデオゲーム、そして人間文化からインスピレーションを得た彼らの音楽は、パンクの狂暴性と電子音楽の実験性を等価に持ち合わせています。異世界的でありながらも深い人間性を内包した「SHANG FILM」は、カオスで予測不能な彼らの音楽的アイデンティティを象徴する一曲となっています。
ヴィンテージな温もりと現代的なハイファイさの融合。伝説的スタジオでテープを回し、伝統的ルート・ミュージックの真髄を射抜いた至高のフォーク・ロック
Alex Amenが、6月12日にATO Recordsから待漫のフルレングス・デビューアルバム『Sun of Amen』をリリースします。18歳でテキサスの故郷を離れて以来、カリフォルニアの歴史的なコミューン、ハリウッドのトレーラーハウス、ワシントン州の離島での隠遁生活、さらには車上生活をしながらのロッククライミングや自ら修復したヨットでの航海など、放浪の旅を続けてきた彼。その類まれな経験は、2025年のPitchfork LondonやNewport Folk Festivalといった主要フェスへの出演を経て、瑞々しくも時代を超越したインディー・フォーク・サウンドへと結実しました。
本作は、幼少期にロッキー山脈を背に聴いたJohn Denverや、後に傾倒したNeil Youngの系譜を感じさせつつ、安易なノスタルジーを排した極めて高精細な響きを湛えています。プロデューサーにJonny Bellを迎え、L.A.の伝説的なValentine Recording Studiosなどで録音。録音中にテープマシンが発火するほどのヴィンテージ機材を駆使しながらも、Joni Mitchellの『Blue』が持つような、現代的で透明感のある「ハイファイな質感」を追求しました。11曲の物語の中には、西海岸での愛と喪失を描いた先行シングル「Diamonds」や、離島での孤独を見つめた「Cabin By The Sea」などが収録されています。
音楽と自然をパラレルな活力源とする彼は、現在ニューヨークのブルックリンのフォークシーンに身を置きながら、ヨセミテでのクライミングや航海を続けています。「心を開いて生きれば、人生が歌を連れてきてくれる」と語る通り、本作にはJohn MartynやElliott Smithを彷彿とさせる繊細なソングライティングと、豊かな精神性が宿っています。ピアノ、ギター、そして伝統的なルート・ミュージックの習得に打ち込んだ「修行時代」を経て辿り着いた、静かな驚きと美しさに満ちたこのアルバムは、現代のインディー・ロック・シーンに深い足跡を残すことでしょう。
Rose Hotel – “My Satellite”
Rose HotelことシンガーソングライターのJordan Reynoldsが、サイケデリックな煌めきと自身のルーツであるアメリカ南東部のフォークを融合させた、最新のインディー・ロック・サウンドを提示しています。マルチ奏者としても活躍する彼女の繊細なソングライティングは、柔らかな質感の中にも確固たるアイデンティティを感じさせ、聴き手を深く豊かな音響世界へと引き込みます。
今作に収められたラブソングは、自分でも見失いそうになる「本来の姿」を、深い愛で見守り続けてくれる存在へのオマージュです。地球に寄り添う月のように、どんなに困難な時でもそばにあり、光を反射して進むべき道を照らしてくれる——。愛する人がもたらすポジティブな変化と、その揺るぎない絆の美しさを、情緒的な旋律で見事に描き出しています。
ニューヨーク・ノーウェーブの遺伝子を継承する、デイグロ(蛍光色)のアートパンク。現代の不条理を撃ち抜くCS Cleanersの衝撃作
CS Cleanersが、7月10日にリリースされるニューアルバム『What’s This?』より、最新シングル「What’s That?」を公開しました。本作に収録された全11曲は、現代社会の不条理を鋭く突く、鮮烈な「デイグロ(蛍光色)」のアートパンク・サウンドで貫かれています。
バンドの音楽性は、かつてのニューヨーク・ダウンタウンの活気ある音楽シーンを彷彿とさせます。初期CBGBの多様なパンク・ムーブメントから、ノー・ウェーブ(No Wave)特有の解体・再構築的なアプローチまでを独自の感性で昇華。ストイックで鋭利な質感を持ちながらも、型に嵌まらない奔放なスタイルを提示しています。
ルーツには過激でシリアスな音楽性を持ちつつも、彼ら自身は決して深刻になりすぎることはありません。本作は何よりも「ダンス・ミュージック」であることを最優先しており、混迷を極める現代という時代に呼応した、野性的でエネルギーに満ちたグルーヴを解き放っています。
sadie – “Better Angels”
sadieが、来月リリース予定のデビューアルバムからタイトル曲「Better Angels」を公開しました。アルバムの中で唯一、アコースティックな要素を一切排除した完全なエレクトロニック・サウンドで構成されていますが、彼女自身はこれを「作品の心臓部」であると位置づけています。愛する人との間に生じた決定的な溝や、その人物が変貌してしまったことへの葛藤、そして人々の孤立が進む現代社会への絶望の中で書き上げられた、非常にパーソナルな楽曲です。
ミュージックビデオは、インターネット上のクリップをコラージュした、ディストピア的でありながらも美しい映像に仕上がっています。sadieは、現代技術が「デジタルな監獄」として人を隔離する側面と、遠く離れた人々と繋がれる「コミュニティ」としての側面の、相反する性質をこの映像で表現しました。『Better Angels』というタイトルには、自分自身や他者の中にある「希望」を信じるというメッセージが込められています。
American Football – “No Feeling” (feat. Brendan Yates)
American Footballが来月リリース予定のニューアルバム『LP4』より、大きな注目を集めていたTurnstileのBrendan Yatesとのコラボレーション曲「No Feeling」を公開しました。フロントマンのMike Kinsellaは当初、サビの合唱パートの一員として彼を招きましたが、Brendanが提案した高音のハーモニーを聴いた瞬間にメンバー全員がその唯一無二の歌声に圧倒されたといいます。結果として、彼の個性が楽曲を象徴する重要な要素となりました。
Cady BucheとTravis Barronが監督したミュージックビデオは、宇宙や深海といった「美しさと恐怖が同居する場所」をテーマに制作されています。沈没船を舞台に、そこを安住の地としていた幽霊たちのコミュニティが脅かされる物語が描かれており、楽曲が持つ「抗いようのない運命」や「沈みゆく船」といったイメージを、独自の視点で視覚化しています。
Just Mustard – “ENDLESS DEATHLESS” (Daniel Avery remix)
アイルランドの5人組バンド Just Mustard が、最新アルバム『WE WERE JUST HERE』の収録曲を再構築した「ENDLESS DEATHLESS [Daniel Avery Remix]」を公開しました。本作は、4月から5月にかけて予定されている欧州・北米ツアーや、今夏に控える The Cure の野外公演へのサポート出演を前に、アルバムからのリミックス第1弾としてリリースされました。ボーカルの Katie Ball は、制作中に Daniel Avery の作品に多大な影響を受けていたことを明かし、両者の音楽世界の交錯が実現した喜びを語っています。
一方の Daniel Avery も、同アルバムを昨年のベスト盤の一つに挙げ、アイルランドから生まれる「美しい歪み」の潮流をリードする彼らを高く評価しています。バンドがインタビューでブレイクビーツからの影響を公言していたことに触発された Avery は、その精神を汲み取った独創的なリミックスを完成させました。今回のコラボレーションは、互いへの深い敬意から生まれたものであり、ツアーに向けてバンドの勢いをさらに加速させる一曲となっています。
