時代のトレンドを鮮やかに一蹴――Dummyが新作『do you love the color of the sky?』で提示する、ノイズと政治的批評を飲み込んだ新たなドリームポップの未来

ロサンゼルスを拠点とするエレクトロニック・ロック/レトロ・フューチャリスト・バンド、Dummyが、名門レーベルPolyvinyl Records移籍第1弾となるニューアルバム『do you love the color of the sky?』の10月リリースを発表しました。高い評価を得た2024年作『Free Energy』に続く本作は、バンド自身とJoo-Joo Ashworthが共同プロデュースを担当。地球環境の悪化(「April Limousine」)や監視社会の常態化(「N of 1」)といった重厚な社会的テーマに踏み込みつつも、ブレイクビーツやポップな彩りを融合させた、彼らにとって最も政治的に鋭利かつ魅力的な「アンチ・ツァイトガイスト(時代の精神に反する)」作品となっています。

その到来を告げるリードシングル「Full Spectrum Dominance」は、Disco InfernoやSeefeel、Björk、さらにはマドンナの『Ray Of Light』といった多岐にわたる影響を散りばめたアグレッシブな楽曲です。ギタリストのJoe Trainorが「より重いサウンドを目指したニューメタル的な試みだったが、タンバリンを加えることでダンサブルになった」と語る通り、Deee-Liteのポップな躍動感とDeftonesのような重厚さが融合した刺激的なグルーヴに仕上がっています。

本シングルで描かれるテーマは、現代のAI技術と芸術の価値低下に対する痛烈な問題提起です。キーボーディスト/シンガーのEmma Maatmanは、テック業界の大富豪たちがAIを「全能の錬金術」のように扱う風潮(テクノ封建主義)を指摘し、全人類の知的財産や共同の成果が基本物質(Prima Materia)として奪い取られている構造を批判しています。過激な批判精神を秘めながらも、徹底したライブ活動で磨かれた抜群のバンド・アンサンブルと中毒性のあるビートで聴く者を惹きつける、彼らの創造的飛躍を象徴する強力な一曲です。


ブラックメタルの解体と再構築——Genital Shameが『Wellness Plan』で描く、高密度な重層美と「白血球」のメタファーに託した自己消滅と生存衝動の葛藤

Erin DawsonによるソロプロジェクトGenital Shameが、レーベルThe Flenserより10月30日に2ndアルバム『Wellness Plan』をリリースすることを発表しました。先行シングル「I Want to Die Before You」の配信とミュージックビデオの公開もスタートしています。クラシック・ギターや音楽教育のバックグラウンドを持つDawsonは、ブラックメタルというジャンルを固定された様式ではなく解体・歪曲・再構築する対象として捉え、異彩を放つ実験的なサウンドを展開しています。

アルバム『Wellness Plan』は、複雑で高密度な和声空間のなかで、リフやメロディが予期せぬ方向へと折り重なる重厚な音像が特徴です。作品全体を通じて「消滅のイメージを通じた受容のプロセス」が描かれており、自己の消滅願望と体を生存させようとする無意識の生物学的衝動との矛盾、そして人間が自身の生存をどこまでコントロールできるのかという根源的な問いを提示しています。

先行シングル「I Want to Die Before You」は、Dawsonがアルバム制作中に目にした「ウイルスを探す白血球の古い顕微鏡映像」から強い影響を受けています。深い自己嫌悪を抱えていても、体内ではミクロの白血球が意志とは無関係に生存へ投票し続けているという美しくも不条理な構図に着想を得て制作されました。曲名にある「You」には実在の人物とメタファーとしての「白血球」の双方が重ね合わされており、極限の感情と実験的なブラックメタルが交錯する強烈なトラックです。


ノスタルジーの枠ぐみを超えて——Current Joys(Nick Rattigan)が実験的ヒップホップやデジタル・グリッチを飲み込み拓く、狂暴かつ繊細な『ROSEBUD』の新たな新境地

Nick RattiganによるソロプロジェクトCurrent Joysが、自身のレーベルThey Are Evilより11月6日にニューアルバム『ROSEBUD』をリリースすることを発表しました。憂いに満ちたリリシズムとメランコリックなサウンドで知られる彼ですが、今作では従来のスタイルから一転。失恋という極めて繊細なテーマを、カオティックでマキシマリストなプロダクションのなかで探求する、強烈な音のパラドックスを描き出した作品となっています。

アルバムの到来を告げるリードシングル「HOLE」は、デジタル処理されたザラついた音像が印象的なトラックです。「自分の体の中には穴があり、誰かを抱きしめて事態を悪化させるためだけに土で埋める」という絶望的なフレーズが何度も繰り返され、ニヒリズムと深い切実さが交錯します。大音量のノイズや狂乱するギターラインの背景にある不協和音とシンプルな歌詞のギャップが、混沌に抗う人間の回復力や生々しい情感を際立たせています。

アルバム『ROSEBUD』の制作過程には、彼の多様なリファレンスが色濃く反映されています。当初の落胆やメランコリーに満ちたフェーズから、Lil Yachty、Polo Perks、Ayooliといった実験的なヒップホップ・アーティストとのコラボレーションを経てサウンドが変化。プロデューサーのDanny Dwyer(never goodbye)とともにディストーション、スクリーム、グリッチノイズを重ね上げることで、あらゆる影響をコラージュした狂暴でダイナミックな音像を構築しています。


有害な恋人に見立てた国への切ない愛と、Clairo ら親しい仲間と見出した確かな居場所——Claud が過去の重圧から解放され、プロデューサーとしての自信を刻み込んだ最新シングル「She Doesn’t Love Me」とアルバム『Me and the Music』

ブルックリンを拠点とするシンガー・ソングライター/プロデューサー Claud(クロード)のシングル「She Doesn’t Love Me」は、2026年10月23日に Dead Oceans よりリリースされるサード・アルバム『Me and the Music』からのリード・シングルです。Hank Heaven や Annie DiRusso との共作で生まれ、John Congleton を共同プロデューサーに迎えて完成した本作は、ヤット・ロックのテイストとローファイ・インディーの質感が見事に融合した、爽快でビタースウィートなアンセムに仕上がっています。

歌詞では、2020年代のアメリカでクィアやトランスとして生きるリアルな日常を「有害な恋人(アメリカ)」への報われないラブソングに見立てて描いています。国そのものではなく身近なコミュニティへの愛と団結を歌い上げたMVでは、すれ違いや無視され続けるデートを経て、最終的にバーで仲間たちと温かな居場所を見出すストーリーを展開。Shelly のメンバーである Clairo や Josh Mehling をはじめ、Samia、Annie DiRusso、Hank Heaven ら豪華な友人たちがゲスト出演し、作品の持つコミュニティへの賛歌を体現しています。

本作が収録されるアルバム『Me and the Music』は、絶賛された2023年の前作『Supermodels』以来3年ぶりとなる全10曲入りのフルアルバムです。過去の恋愛(シチュエーションシップ)への固執や過度なシリアスさから解放された Claud が、ジャック・アントノフからの助言を受けてプロデューサーとしての強い自信と楽しさを取り戻した一作となっています。重苦しい現実に直面しながらも遊び心や愛を忘れず、仲間と共にビールを掲げて歌い明かすような、ポジティブで爽快なインディー・ポップの真髄が凝縮された傑作です。


Friendship や 2nd Grade の重要人物 Michael Cormier-O’Leary 率いる Hour――10分に及ぶ大作シングル「Ghost Bridge」で魅せる、静謐で美しくもノスタルジックなアンビエント・フォーク

フィラデルフィアのインディー・シーンを支え、Friendship や 2nd Grade のドラマーとしても活躍する Michael Cormier-O’Leary 率いるインストゥルメンタル・アンサンブル Hour が、ニュー・シングル「Ghost Bridge」をリリースしました。10分近くに及ぶ本タイトル・トラックは、悲しくも美しい静けさが漂うピアノを中心としたアンサンブルに、彼らのバックグラウンドであるアンダーグラウンド・ロックの質感を感じさせるノイズが微かに織り交ぜられた、バンドの魅力を凝縮したノスタルジックで奥深い楽曲に仕上がっています。

本作が収録されるニュー・アルバム『Ghost Bridge』は、2024年の『Ease The Work』に続く作品で、地下のスタジオにてレコーディングされました。ピアノを中心としたアコースティックなオーケストラ・サウンドをベースに、エレキギターやシンセサイザーなどのプラグイン楽器を巧みに融合。ネオクラシカルやポストロック、アンビエント、サントラ的な要素が交錯する、静謐で情感豊かな世界観を展開しています。

アルバム制作には、Cormier-O’Leary のバンドメイトである Peter Gill(Friendship / 2nd Grade)をはじめ、Abi Reimold、Jason Calhoun、Lucas Knapp といった地元のインディー・シーンを象徴する才能あふれるミュージシャンたちが多数参加。緻密なソングライティングと親密なコラボレーションによって、瞑想的で美しく、聴く者の心に静かに染み渡る極上のインストゥルメンタル・作品を作り上げています。


SP-404と安マイクが生んだ剥き出しの衝撃——Denzel Curry と Kenneth Blume が Yebba や JPEGMAFIA らを迎え、激突の末に導き出した傑作『ii』

ラッパーの Denzel Curry とプロデューサーの Kenneth Blume(Kenny Beats)が Yebba をフィーチャーした「DIFFERENCE」は、ごちゃ混ぜの熱量に満ちたエネルギッシュなブームバップ・トラックです。Denzel Curry が情熱的でありながら極めて精密なラップを披露し、そこに実力派シンガー Yebba による印象的なフックが加わることで楽曲の魅力を高めています。NOTACHANCE が手掛けたミュージック・ビデオは、粗い質感の VHS 風分割画面で二人がそれぞれの1日をスタートさせる様子を描き出し、作品のDIYなストリート感を際立たせています。

この楽曲が収録されるアルバム『ii』は、絶大な評価を得た2020年のコラボ作『UNLOCKED』以来となる二人の連名プロジェクトです。洗練された豪華なスタジオ設備を捨て、SP-404 ビートマシンと安いマイクのみという原点回避(バック・トゥ・ベーシックス)の環境で制作されました。制作過程では激しい衝突もあったとされていますが、互いに妥協なくぶつかり合うことで、純粋な芸術的直感と成長が刻み込まれた力強い作風へと昇華されています。

アルバムには「DIFFERENCE」での Yebba のほか、Westside Gunn や JPEGMAFIA といった豪華ゲスト陣が参加しています。ハードコアやオルタナティヴ・ロックへのアプローチなど多角的な活動を展開する二人ですが、今作では生の化学反応と激しいスタジオの摩擦を通して、互いを新たな高みへと押し上げた、まさに即座にクラシックと呼ぶにふさわしい傑作に仕上がっています。


15年に及ぶ多角的な協働を経て辿り着いた孤高の境地——Ryan Hemsworth が描く、ヘヴィな歪みと幾重もの情感が交錯する最新アルバム『Numbskull』の全貌

カナダ出身のプロデューサー Ryan Hemsworth によるシングル「One Step」は、2026年10月21日に Topshelf Records よりリリースされるアルバム『Numbskull』からのリード・トラックです。15年以上にわたり Alex G や Mitski など多彩なアーティストとの協働を通じて培われたプロデュースワークを軸に、歪んだ重厚なサウンドとポップなフックを融合させたエネルギッシュな一曲に仕上がっています。トラックの核となる爆発的なディストーション・サウンドの上で、Illuminati Hotties の Sarah Tudzin による威勢のよいボーカル・パフォーマンスが力強く響き渡ります。

本作が収録されるアルバム『Numbskull』は、Hemsworth にとって2018年の『Elsewhere』以来となる待望のソロ作であり、Topshelf Records からは初のリリースとなります。今作ではシューゲイザー、ローファイ、メタル、ハードコアといったヘヴィで歪んだ音楽的影響を、彼が長年培ってきたポップスの視点を通じて凝縮・再構築しています。Militarie Gun の Ian Shelton を介して参加した MSPAINT の Dylan Kern や、Tegan and Sara、Illuminati Hotties の Sarah Tudzin といった豪華なゲスト陣が花を添え、多様なジャンルを横断する作品となっています。

アルバム全体としては、爆発的なギターやブラストビートを取り入れたエモ・アンセム「Never Learned」のようなダイナミックな楽曲から、繊細なサウンドデザインとギターに焦点を当てたダウンテンポ「A Display of Emotion」、そして自身の原点であるアンビエントなプロダクションへ解体するラストの「Shifting and Turning」まで幅広く展開されます。ヘヴィな衝動と繊細な情感が同居し、これまでの彼の枠組みを打ち破りながらも本質的な感情の美しさを際立たせた完成度の高い作品です。


ファズを限界までクランクアップさせたDIY精神の最高峰——70年代グラムとバブルガム・ポップが炸裂する、痛快なグラム・パンク・エンターテインメント

カーディフ出身のThe Family Battenbergによる新曲「Bed Bug」は、45回転シングルに最適な2分51秒の尺で一気に駆け抜ける極上のダンス・トラックです。SXSWやThe Great Escapeといった大型フェスでのパフォーマンスやGetdown Servicesのサポートアクトを通じて磨き上げたバンドの爆発的なエネルギーが凝縮されており、身体を自然と揺らす原始的なフットスタンプと極彩色のキャッチーさが弾ける楽曲に仕上がっています。

本楽曲をリードシングルとして収録するデビューアルバム『Super Deluxe』は、Stolen Body Recordsより2026年11月20日にリリースされます。DIY感あふれる70年代グラム・ロックの華やかさ、ガレージ・パンクのダイナミックな重厚感、そしてバブルガム・ポップの弾けるメロディが巧みに融合された全10曲で構成されており、南ウェールズで最も熱狂的と称される彼らのライブの混沌と熱量をそのままパッケージ化した作品です。

Clash誌が「Marc BolanからJack Whiteへと旋回する」と評するように、歪んだファズギターを限界までクランクアップさせた圧巻のサウンドを展開。70年代ロックへの愛敬と現代的なガレージ・パンクの破壊力を兼ね備え、バンドの持ち味である痛快なグラム・パンク・エンターテインメントの真骨頂を提示する記念すべきデビュー作となっています。


スウェーデンの伝統音楽と向き合い覚醒したThe Tallest Man On Earth、生々しく洗練された新曲「Deliver Me From Trying」と原点回帰のニューアルバムを語る

スウェーデン出身のフォークミュージシャンKristian Matssonによるソロプロジェクト、The Tallest Man On Earthが新曲「Deliver Me From Trying」を公開しました。生々しくも洗練されたサウンドが印象的なこの楽曲は、先行シングル「Colors」に続く最新トラックであり、来たるニューアルバム『Just Beyond Endless Mountain』の全貌を示す象徴的な一曲となっています。また、著名な写真家・映像作家であるAnton Corbijnがアルバムのアートワークやプレス写真の撮影を手掛けている点も注目を集めています。

新作アルバム『Just Beyond Endless Mountain』は、Matssonが生まれ育ったスウェーデン中部のダーラナ地方へ戻り制作された作品です。これまでアメリカン・フォークやブルース、さらにはBob DylanやPete Seegerといったアーティストからの影響を強く反映させてきた彼ですが、今作ではフィドルをはじめとする地元スウェーデンの伝統音楽や昔の生活様式を深く探求しました。かつて抱いていた自国の文化的継承に対する苦手意識を克服したことで、「これまで作ったどれよりも自分らしく、真のルーツから生まれたアルバム」だと自身も語っています。

2023年のアルバム『Henry St.』で自身初となるバンド編成でのレコーディングを経て、音楽への揺るぎない確信と新たな遊び心を得たMatsson。ステージ上でギターコードを目一杯伸ばし、駆け回りながら圧倒的なパフォーマンスで観客を魅了する彼の真骨頂は今作でも遺憾なく発揮されています。この秋からは10月15日のノースカロライナ公演を皮切りに、全米を巡る大規模なツアーの開催も決定しており、ニューアルバムの楽曲とともに全国へそのエネルギーを届ける予定です。


自己破壊と自愛の狭間で揺れる情動——Queen of Jeans「Sweet Devotion」が、「抵抗としての優しさ」を胸に鳴らす最新インディー・ロック

フィラデルフィアを拠点とするインディー・ロック・バンドQueen of Jeansによる新曲「Sweet Devotion」は、自己破壊と自愛の狭間に漂う心情を描いた楽曲です。歪んだギターと軽快なベースラインがヴォーカルMiri Devoraの温かい歌声と交差するグランジ調のバラードで、「誰かの理想に合わせるために自分を削る衝動」から始まり、最終的には自らの心を自らで大切に守っていくという決意へと至る感情の機微を鮮烈に描き出しています。

本楽曲が収録される4thアルバム『hard/SWEET』は、グラミー賞ノミネート経験を持つプロデューサーWill YipのレーベルMemory Musicより10月9日にリリースされます。アルバムタイトルはラストトラックの歌詞から採られており、自分を守るために頑なになること(hard)と、他者に対して優しく無防備になること(sweet)の間の緊張感や、「抵抗としての優しさ」を作品全体の核となるテーマとして提示しています。

作品全体を通して、成長に伴う模索(「Still Learning」)や断絶する世界での繋がり(「Nothin’」)、クィア・ラブの祝福(「Bucks County」)など多様な主題が探求されています。ドリーミーなギターと胸を打つ詩情、そしてMiriの表現力豊かな歌声を武器に、世界の不確実性の中でも他者を受け入れることで見出される「希望」を提示する、バンドの真骨頂が詰まった傑作です。

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