Ryan Cassata x The Taxpayers – “We Don’t Fuck With Cops”

Ryan Cassataの新曲「We Don’t Fuck With Cops」(feat. The Taxpayers)は、法執行機関による公的な監視だけでなく、クィア・コミュニティ内部での相互監視にさらされることへの憤りと疲弊から書き上げられました。本作では、警察という存在を単なるバッジを付けた権力ではなく、一つの「考え方」として捉え、なぜ抑圧者の振る舞いを模倣しようとするのかという痛烈な問いを投げかけています。

楽曲を通じて訴えられているのは、身体的自律と表現の自由への強い要求です。LAPD(ロサンゼルス市警察)やICE(移民・関税執行局)による凄惨な暴力への告発を背景に、あらゆる形の取り締まりに対する拒絶と、真の自由を求める決然とした意志が込められたプロテスト・ソングに仕上がっています。

ゴスからメタルまでを飲み込む「呪われた叙事詩」、中世的パンクPoison Ruïn が示すエクストリーム・ミュージックの真髄

フィラデルフィアのデスロック・リバイバリスト Poison Ruïn が、2024年の『Confrere』に続く待望のニューアルバム『Hymns From the Hills』を4月3日に Relapse Records からリリースすることを発表しました。本作は Fucked Up の Jonah Falco がミックスを、Arthur Rizk がマスタリングを担当しており、バンド特有の中世的でメタリックなパンクサウンドがさらなる高みへと引き上げられています。

アルバムの大きな特徴は、これまでの原始的なソニック・バイオレンスに加え、Scott Walker や The Durutti Column にインスパイアされたアンビエントな間奏曲が組み込まれている点です。Killing Joke 風のプリミティブな質感や強力なブラストビート、さらには鮮明なアナログシンセの旋律までもがモザイクのように散りばめられ、パンク、ゴス、メタルの垣根を越えて響く重層的なテクスチャーを構築しています。

先行シングル「Eidolon」は、壊れた現実に閉じ込められ、運命という機械の歯車として同じ呪われたループを繰り返す絶望を描いた楽曲です。中心人物の Mac Kennedy は、この曲について「変化をもたらす力を持っていた者たちが去り、残された惨状を静かに見下ろす亡霊たちの物語」であると語っています。Motörhead が「For Whom The Bell Tolls」を再解釈したかのような、瓦礫を撒き散らしながら地獄へと突き進む強烈なドライヴ感に満ちた一曲です。

Teen Suicide が贈る初の本格スタジオ盤:ローファイの殻を破り、外的な苦悩と対峙する意欲作

Teen Suicide が、4月17日に Run for Cover からニューアルバム『Nude descending staircase headless』をリリースすることを発表しました。今作はバンドにとって初の「本格的なスタジオ・レコーディング」作品であり、プロデューサーに Mike Sapone を迎えています。中心人物の Sam Ray は、これまでの作品が限られたリソースによる宅録だったことに触れ、「ローファイ・バンド」という固定観念から脱却した新たな表現への意欲を語っています。

創作の背景について、Kitty Ray は「この種の音楽を書くには、ある種の苦悩から引き出す必要がある」と述べています。彼らにとっての苦悩はより外的なものへと変化しており、音楽を作ることしか知らない自分たちが、絶えず変化する社会のシステムの中で生きていくことへの存亡の危機や不安が、楽曲制作を突き動かす原動力になっているといいます。

先行シングルとして公開された「Idiot」は、バンド史上最もヘヴィな楽曲の一つに仕上がっています。あわせて公開された Wyatt Carson が監督・アニメーションを手掛けたミュージックビデオでは、その重厚なサウンドの世界観を視覚的にも堪能することができます。

Sweet Pill – “Slow Burn”

フィラデルフィアのバンド Sweet Pill が、3月リリースの待望のニューアルバム『There’s a Glow』から、最新シングル「Slow Burn」を公開しました。ヴォーカルの Zayna Youssef は、依存と快楽のアイロニーを「吸い込むたびに死に近づくが、吐き出す瞬間は最高に心地よいタバコ」に例えて表現しています。短期間の満足感の裏で、長期的には心身を蝕んでいく悪い習慣や人間関係を、じわじわと燃え広がる「スロウ・バーン」として描き出しています。

楽曲とミュージックビデオでは、カメラによる監視のメタファーを通じて、過剰な不安や考えすぎ(オーバーシンキング)の心理状態を深く掘り下げています。存在しないはずの視線を感じ、自分自身の思考のループに囚われる様子を「円形の煉獄」と表現。自信の喪失や悪習との戦いの中で、逃げ出そうとしては戻ってしまう出口のない焦燥感を、彼女たち特有のエネルギッシュかつ複雑なサウンドに乗せて剥き出しにしています。

ベルギー発Feverchild、待望のデビューアルバムを発表!「取り残される恐怖」と向き合い、愛や孤独を瑞々しく描く。先行曲「Endless」を筆頭に、現代を生きる大人たちへ贈るエモの新旗手。

ベルギー・ゲントを拠点とするバンド Feverchild が、2026年3月20日にデビュー・フルアルバム『Center of the Earth』をリリースします。アルバムの表題曲で繰り返される「周りに取り残されるのが怖い」というリフレインは、大人になる過程で誰もが直面する葛藤を象徴しており、愛への渇望、孤独、そして逃れられない記憶といった本作の核心的なテーマを浮き彫りにしています。

先行シングル「Endless」はバンドの核となるサウンドを象徴していますが、アルバムの深部ではより重厚な感情の揺れが描かれています。「Forms of Falling Gently」では静かな旋律から力強いクレッシェンドへと向かう構成で緊張感を表現し、「Out of My Hands」や「Zero Gravity Hearts」では疾走感あふれるリズムと合唱を誘うコーラスを展開。最後を飾る「Turpentine」では一転してアコースティック・ギターと歌声のみの親密な空間を作り出し、作品を締めくくります。

ベルギーから届いたこの野心作は、現代のエモ/オルタナティブ・シーンにおいて極めて重要な一枚となるでしょう。取り残されることへの恐怖は時に人を怯えさせますが、『Center of the Earth』という作品は、その恐怖こそが次の一歩を踏み出すために必要な通過点であることを示唆しています。

Coach Party – “Nurse Depression”

イギリス・ワイト島出身の4人組インディーロックバンド、Coach Partyがリリースしたシングル「Nurse Depression」は、彼ららしいエネルギッシュで攻撃的なギターサウンドと、内省的でどこか憂いを帯びたメロディが交錯する楽曲です。タイトルの通り、精神的な閉塞感や抗いようのない憂鬱さをテーマに据えながらも、それを爆発的なパンク・エネルギーへと昇華させることで、現代を生きる人々が抱える焦燥感を鮮烈に描き出しています。

本作では、ボーカルのJess Eastwoodによる力強くも繊細な歌声が、混沌とした感情をダイレクトにリスナーの心へと突き刺します。キャッチーなフックを維持しつつも、ノイズ混じりのギターリフや疾走感のあるドラムが「出口のない感情」を劇的に表現しており、バンドが持つライブ感溢れるダイナミズムと、音楽的な深化を同時に感じさせる一曲に仕上がっています。

L.A. Sagne – “Rampage”

オランダ・アムステルダムを拠点とするバンド、L.A. SAGNEがニューシングル「Rampage」をリリースしました。本作は「愛するがゆえに街を破壊し、物をなぎ倒したくなる衝動」をテーマに、過激で荒々しく、かつスピーディーなサウンドで構成されています。彼らはこの曲を「致命的なセレナーデ」や「破壊的なラブレター」と表現しており、愛が持つ爽快さと危うさの両面を、いたずら心たっぷりに描き出しています。

サウンド面では、炭酸が弾けるようなエネルギーと叫びが混ざり合い、聴く者の心を揺さぶる躍動感に満ちています。メンバー同士は非常に親密な友人関係にありますが、自らを「母親の誕生日パーティーに予告なしで現れてほしくないタイプ」とユーモアを交えて自称するなど、型破りでエッジの効いたキャラクターも魅力の一つです。一筋縄ではいかない彼らのパンキッシュな姿勢が、この新曲にも色濃く反映されています。

Dry Socketが放つ、怒りのセカンドアルバム『Self Defense Techniques』。先行曲「Rigged Survival」で暴く、現代社会の搾取と絶望。3月27日、Get Better Recordsより解禁。

ポートランドを拠点に活動するハードコア・パンクバンド Dry Socket が、2024年のデビュー作『Sorry For Your Loss』に続くセカンドアルバム『Self Defense Techniques』を3月27日に Get Better Records からリリースすることを発表しました。バンドは、初期の Ceremony や G.L.O.S.S.、Negative Approach といった伝説的バンドを影響源に挙げており、ジャンルの核心を突く鋭いサウンドを追求しています。

先行シングルとして公開された「Rigged Survival」は、生活コストが高騰し、自らの人生から締め出されていくような息苦しい現実を告発する楽曲です。ボーカルの Dani Allen は、「私たちは従順さと生産性だけで価値を測られるシステムの中で目覚め、芸術や喜びといった人間らしい活動さえも贅沢品になってしまった。自分を壊すような労働と、医療費一回でホームレスになりかねない恐怖に怯える日々への、押しつぶされそうな感情を込めた」と語っています。

音楽面では、この「搾取される側のパニック」と、富豪たちの強欲に囲まれた「閉所恐怖症的な感覚」を、高速で荒々しいパワーバイオレンス的なスウィングに乗せて表現しています。システムによって仕組まれた生存競争の理不尽さを叩きつけるような、激しくも切実な一曲に仕上がっています。アルバムリリースに合わせて、大規模なツアー日程も公開されました。

スペインのLe Murが新曲「Lapislázuli」を解禁。喪失と色彩をテーマに、メタルとポストロックが交錯する最新EPがリリース

スペイン・ムルシアを拠点とするバンド Le Mur が、2026年3月25日にリリースされるニューEP『Bruto』から、先行シングル「Lapislázuli」を発表しました。本作はアンダルシアのレーベル Spinda Records への移籍後初となる記念すべき作品で、現在レーベル公式サイトにて予約受付が開始されています。

新曲「Lapislázuli」は、わずか2分強という短い演奏時間の中で、「喪失」をポジティブに再定義しています。去っていった人々が残したものを認め、感謝することで、その存在が自分自身の「色彩」の一部になるという、内省的で感情豊かなメッセージを提示。楽曲の象徴的な世界観を視覚的に補完する、Willy Palazón が撮影・編集を手がけた公式ミュージックビデオも同時公開されました。

サウンド面では、メタル、パンク、マスロック、ポストロックを縦横無尽に駆け抜ける Le Mur 独自のアイデンティティが凝縮されています。抑制された緊張感から激しいダイナミズムへと変化する構成は、彼らの真骨頂とも言える「本能的かつ内省的」な叙事詩を描き出しており、新境地を見せるEP『Bruto』への期待を抱かせる一曲となっています。

エモの旗手が贈る、深淵なる内省の記録。Free Throwが放つ第6作『Moments Before The Wind』解禁

ナッシュビルを拠点とする5人組エモ・パンクバンド Free Throw が、ニューシングル「A Hero’s Grave」を Wax Bodega からリリースしました。あわせて、通算6枚目となる最新アルバム『Moments Before The Wind』が3月27日に発売されることも決定。ボーカル兼ギタリストの Cody Castro は本作について、終わりのない廊下やドアの枠に囚われたような精神的な「境界性(リミナリティ)」をテーマにしていると語っています。

2012年の結成以来、Hot Mulligan や New Found Glory との共演を経てジャンルを象徴する存在へと昇華した彼らですが、今作ではその勢いを一度緩め、人生の転換点における内省を深く掘り下げています。名作『Those Days Are Gone』の10周年ツアーの前後で、長年のパートナーである Brett Romnes と共に録音された本作には、喪失と再生、そして新たな命の誕生を控えた喜びといった、激しい個人的動乱の記憶が刻まれています。

全11曲からなるこの作品は、ミッドウェスト・エモの繊細さとパンクの熱狂、そして重厚なオルタナティブ・ロックを即興的に融合させたサウンドが特徴です。ファンや批評家から高く評価されてきた「剥き出しの脆弱さ」を感じさせる歌詞は健在で、人生の岐路に立つ一瞬の静寂をリアルに描き出した、バンドにとって極めて重要な一作となっています。

1 2 3 106