World Gym – “Number 21”

ストックホルム出身のユニットWorld Gymが、ミュンヘンのレーベルPublic Possessionから最新シングル「Number 21」をリリースしました。本作は、ベタつくカーペットにこぼれたビールや、唇に塩気を残す冷たい海風といった、北欧の日常に潜む生々しくも詩的な情景を背景に持つドリーム・ポップです。洗練されたメロディの中に、ストックホルムの街が持つ特有の空気感と、どこか懐かしいノスタルジーを鮮やかに封じ込めています。

この楽曲の核にあるのは、「決して完全には大人にならない」という純粋な精神と、胸の奥に秘めた「甘美なティーンエイジ・レイジ(若き日の怒り)」です。エモーショナルな旋律とドリーミーなサウンドスケープを通じて、青春時代の葛藤や情熱を肯定し続けるWorld Gymのスタイルは、聴く者の記憶にある青い衝動を呼び覚まします。Public Possessionらしいエッジの効いた感性と、彼らの瑞々しい叙情性が融合した、新たな北欧ポップの佳作と言えるでしょう。

Jennifur – “From The Sideline”

ブリュッセルを拠点に活動するプロデューサー、Jennifurが新曲「From The Sideline」をリリースしました。本作は、友人との会話から着想を得たもので、「自分の人生の主役として動くのではなく、ただ傍観者(サイドライン)として眺めているだけだ」と気づいてしまった瞬間の心情を描いています。内省的なテーマを持ちながらも、単なる感傷に浸るのではなく、聴き手を再び「人生というフィールド」へと連れ戻すための転換点となるような一曲です。

サウンド面では、静かな気づきを力強い前進へと変える、Jennifurらしいエモーショナルで躍動感のあるエレクトロニック・ミュージックが展開されています。自分自身の経験とリスナーの背中を同時に押すような瑞々しいエネルギーに満ちており、停滞感を感じている人々に寄り添いながらも、新たな一歩を促すアンセムへと昇華されています。ブリュッセルのシーンで独自の存在感を放つ彼が、現代的な孤独とその克服を鮮やかに表現した作品です。

Grant Winters – “Jackpot”

Grant Wintersの新曲「Jackpot」は、人生の予期せぬ幸運やチャンスを掴み取る瞬間の高揚感をテーマにした、エネルギッシュなポップ・ナンバーです。きらびやかなシンセサイザーの音色と、思わず体が動き出すような弾けるリズムが特徴で、現代のインディー・ポップとクラシックなディスコ・グルーヴを掛け合わせたような晴れやかなサウンドを展開しています。彼の持ち味であるクリアでキャッチーなボーカルが、一攫千金を夢見るような遊び心あふれる歌詞と見事に融合し、聴く者の気分を即座に引き上げるパワーに満ちた一曲に仕上がっています。

本作は、単なるパーティー・チューンにとどまらず、幸運の裏にある危うさや、チャンスを追い求めることの熱狂を鮮やかに描き出しています。制作面では、緻密に練られたプロダクションが際立ち、重層的なコーラスワークと躍動感のあるベースラインが、楽曲全体に心地よい推進力を与えています。ポジティブなエネルギーが充満した「Jackpot」は、新たな挑戦への一歩を後押ししてくれるような、開放感あふれるモダン・ポップの秀作として、幅広いリスナーを魅了することでしょう。

The Proper OrnamentsやUltimate PaintingのJames Hoareが贈るPenny Arcade最新作。ギターを脇役に据えた、ミニマリズムの極致『Double Exposure』

The Proper OrnamentsやUltimate Paintingでの活動で知られるJames Hoareが、ソロ・プロジェクトPenny Arcade名義での第2弾アルバム『Double Exposure』を4月17日にTapete Recordsからリリースすることを発表しました。これに合わせ、フランスのマルセイユで撮影された先行シングル「Rear View Mirror」のミュージックビデオが公開されています。

「Rear View Mirror」は、これまでの彼の特徴であった豪華なアレンジとは対照的な「レス・イズ・モア(少ないほど豊か)」の哲学を反映した楽曲です。Krautrockの先駆者たちが愛用したヴィンテージのリズムボックス「Elka Drummer One」の機械的なパルスを中心に構築されており、催眠的で骨格のみを抽出したようなリズムが、過去を振り返ることを戒めるシンプルな歌詞を支えています。

本作『Double Exposure』はギターを主役から外した初の試みであり、ミニマリズムが追求されています。フランス人ドラマーのJem-emmanuel Fatnaによるパーカッションや、Max Clapsのコーラス・ギターが繊細な彩りを添えていますが、あくまで全体の焦点は生々しく即興的なエネルギーに置かれています。移住先のフランス南部での生活が、そのデモのようなローファイな質感と、無駄を削ぎ落とした新境地へと彼を導いています。

a.gris – “bar”

a.grisの新曲「bar」は、3月27日にレーベルGéographieからリリースされるEP『Gris’』からの先行シングルです。a.gris自身が作詞・作曲・プロデュースを手がけ、Tessa Gustinによる追加ボーカルが楽曲に奥行きを与えています。「トラウマのない人生に関わって以来、私は一晩中起きている自分の痛みに花を贈る」といった内省的な歌詞は、Stainless(汚れなき状態)でありながらも、どこか諦念や痛みを抱え、静かに爆発(implode)の瞬間を待つような危うい均衡を表現しています。

サウンド面では、Studio NoirのFlorentin Convertによる録音とMaxime Maurelのミックス&マスタリングにより、研ぎ澄まされた質感が際立っています。「カメラなしで撮影できる守護者」や「見知らぬ人の耳に叫ばれた秘密」といった抽象的で毒のあるフレーズが、洗練されたエレクトロニックなトラックの上で、まるで映画の断片のように響きます。アートワークも自ら手がけるa.grisのトータルな美学が反映されており、都会的な孤独の中に潜む皮肉とドラマを、独自の「ハイパー・コンプロマイズド(過度に妥協した)」なレシピで描き出した一曲です。

Rum Jungle – “Coal Dust”

オーストラリア・ニューカッスル出身のインディー・ロック/オルタナ・バンドRum Jungleが、新曲「Coal Dust」をDowntown Musicよりリリースしました。全英チャートを賑わせ、多くの年間ベストアルバムにも選出された2025年のデビュー作『Recency Bias』に続く本作は、これまでの彼らよりもさらに忍耐強く、空間的で、感情に真っ直ぐな進化を遂げた一曲。自分を形成した場所への、逃げ出したいほどの衝動と抗えない郷愁の狭間で揺れる、ほろ苦い感情が描かれています。

フロントマンのBennyは本作について、若さゆえに故郷を制約と感じて飛び出そうとするものの、大人になるにつれてその場所が自分を支える「拠り所」であったと気づく、成長に伴う視点の変化を表現したと語っています。また、カップリングのB面曲「Dumb Waste Of Nothing」は、彼らのルーツであるサイケ/スラッカー・ロックの要素を色濃く反映。進歩と自己省察をテーマにしたこの曲は、深夜のセッションから生まれたリラックスした空気感を纏っており、メイン曲の「記憶と場所」というテーマに対し、「内省と前進」という対照的な側面を提示しています。

現在、ロンドンのElectric Ballroomを含むバンド史上最大規模のUK/EUツアーを敢行中の彼らは、このシングルによって世界的なファンベースをさらに拡大させています。子供の頃に憧れた「大人」という存在の重圧と、自由だった日々への憧憬。その葛藤を温かくも切ないグルーヴで包み込んだ「Coal Dust」は、急速に進化を続けるRum Jungleの底知れない深みを証明する、極めてパーソナルなアンセムと言えるでしょう。

PREP – “Do What You Gotta” (feat. Sunset Rollercoaster)

ロンドンのシティ・ポップ/ソウル・カルチャーを牽引する4人組バンドPREP が、台湾の人気バンドSunset Rollercoaster(落日飛車)をゲストに迎えたシングル「Do What You Gotta」をリリースしました。PREPらしい洗練されたスムースなプロダクションに、Sunset Rollercoasterのレトロでサイケデリックなエッセンスが融合し、現代のアジアと欧州のポップシーンを繋ぐ極上のコラボレーションが実現しています。

楽曲全体に漂う都会的でメロウなムードと、心地よく刻まれるグルーヴは、両バンドのファンのみならず、AORやインディー・ポップ愛好家をも虜にする仕上がりです。日常の喧騒を忘れさせるような浮遊感のあるサウンドは、夜のドライブやリラックスしたい時間にぴったりで、それぞれの個性が絶妙に調和した、時代を超えて愛される一曲となっています。

スウェーデンの新星Duschpalatset、新曲「Jag tror jag är sjuk」を公開。心震えるシャッフル・ポップの最新形

スウェーデン・ウメオ出身の4人組インディーポップ・バンド、Duschpalatset(ドゥッシュパラセット)が、ニューアルバム『Du du du du du』を4月17日にRama Lama Recordsからリリースします。先行シングル「Jag tror jag är sjuk」は、アルバムの冒頭を飾るにふさわしい、わずか2分間の疾走感あふれる「陽だまりのようなシャッフル・ポップ」です。この曲は、誰かに盲目的に恋い焦がれるあまり、自分の自由な時間も給料も、何もかもを捧げてしまいたいと願う、あまりに無力で情熱的な愛の姿を鮮やかに描き出しています。

本作は、バンドと長年タッグを組んできたプロデューサー、Henrik Oja(Säkert!などで知られる)と共に制作されました。レコーディングでは「背景にアコースティックギターを忍ばせることで全体の響きを豊かにする」といった技術的な工夫や、隠し味としてのシンセサイザー、アンビエントなフィードバック音などが重層的に重ねられています。これにより、彼らの持ち味である「きしむようなインディーポップ」に、まるで3Dのような立体的な奥行きと洗練された響きが加わっています。

アルバムタイトルの「Du du du du du」には、ダダイズム的な反復と循環の意味が込められており、口ずさむメロディであると同時に、誰かに向けられた終わりのない言葉でもあります。バンドは「自分たちを変えようとしたのではなく、同じことを続けて、より良くなった結果だ」と語ります。甘い共依存を描く曲から、成長と別れを歌う「Uman river」のような切ないナンバーまで、全8曲。かつてThe Wannadiesと共に英国ツアーを成功させた彼らが、自分たちの居場所を確信し、音楽を楽しむ姿勢を貫いた、瑞々しい傑作が誕生しました。

spill tab – “Suckerrr”

LAを拠点に活動するマルチ・インストゥルメンタリスト、spill tabが待望のニューアルバム『AngieAngieAngie』より、新曲「Suckerrr」をミュージックビデオと共にリリースしました。本作は、相手の都合のいい言葉に振り回されながらも、抗えずに自ら戻ってしまう中毒的な恋愛のループを「I’m such a sucker(私はなんてチョロいんだ)」と自虐的に描いた一曲です。Dan Lesserが監督・編集を務めたビデオでは、歌詞に込められた執着や狂気、そして抜け出せない感情の葛藤が、spill tabらしいエッジの効いたビジュアルで表現されています。

サウンド面では、彼女の真骨頂であるオルタナティブ・ポップの感性が光り、「自分のベストな計画ではないと分かっていても、愛を注いでしまう」という脆さと、相手の本心を問い詰めるような切実さが同居しています。ミニマルながらも耳に残る「I, I, I can’t let you go」というリフレインは、リスナーを彼女の私的な世界観へと一気に引き込みます。遊び心とメランコリーが複雑に絡み合う本作は、リリースを控えるアルバム『AngieAngieAngie』への期待をさらに高める、中毒性の高い先行シングルとなっています。

シカゴの奇才Rami Gabrielが放つ衝撃作『Tunderizer』。アラブの調べとインダストリアル・ノイズが家庭の深淵で交錯する

ベイルート生まれシカゴ拠点のマルチ奏者Rami Gabrielが、ソロ2ndアルバム『Tunderizer』を3月27日にSooper Recordsからリリースします。先行シングル「Majesty and Misery」の公開と共に発表された本作は、ポストパンクやインダストリアルの過激な実験性を、家庭という親密な空間へと注ぎ込んだ野心作です。ローファイなノイズ・アートやフィールド・レコーディングを駆使し、鏡を横切る影のように、精緻なソングライティングをあえて音の網目で覆い隠す独特の手法をとっています。

本作の最大の特徴は、カントリーやデルタ・ブルースから、アラブ古典音楽の「タラブ(tarab)」、さらには解体的なノイズに至るまで、あらゆる音域を自在に横断する音楽的語彙の広さです。ウードやブズクを操り、シカゴの伝説的奏者からジャズやブルースを学んだ彼だからこそ成し得た、伝統と前衛の稀有な融合がここにあります。それは抗いがたいメロディと破壊的な静電気のようなノイズが同居する、スリリングな聴覚体験をもたらします。

Rami Gabrielは、自身のプロジェクト「The Arab Blues」を率いる傍ら、Buddy Guyのようなルーツの巨匠からFire-Toolzといった実験派アーティストまで、極めて幅広い層と共演・交流してきました。Jake Karlsonが編集を手がけた新曲のビデオでも、その多層的な芸術性が視覚化されています。伝説的バンドNRBQのメンバーとの共演歴も持つ彼が、ポストパンクの感性で自身のルーツを再構築した本作は、ジャンルの境界線を軽やかに飛び越える現代のアート・ポップと言えるでしょう。

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