Radioheadの重圧を脱ぎ捨て、一人の『新人ソングライター』として向き合う真実——2027年のバンド再始動を前に、Ed O’Brienが『Blue Morpho』に封じ込めた不変の精神性

Radioheadのギタリスト、Ed O’Brienが、EOB名義の前作から約6年ぶりとなるソロ第2作『Blue Morpho』を本名名義でリリースすることを発表しました。パンデミック初期の深い鬱状態や「中年の危機」を経て制作された本作は、ウェールズの豊かな自然とロンドンの神聖なスタジオで録音され、自身の過去のトラウマや内面的な葛藤と向き合う癒やしのプロセスそのものとなっています。先行シングルであるタイトル曲には、Paul EpworthやShabaka Hutchingsに加え、RadioheadのPhilip Selwayら豪華な顔ぶれが参加しており、精緻かつ壮大なアンサンブルを聴かせてくれます。

本作の背景には、かつてRadioheadとしての活動に違和感を抱き、バンドとの距離感に悩んだ時期を経て、現在の自分を肯定できるようになった彼の精神的な成熟があります。特にウェールズの静かな環境で自然と触れ合い、Wim Hofのメソッドなどを通じて心身を整えた経験が、音楽に深い静謐さと再生のエネルギーを与えています。かつて「新品同様(ミント・コンディション)」であることに固執し、変化を恐れていた彼は、今や「暗闇を通り抜けることでしか光は見つからない」という信念のもと、未完成な自分や偶然の出会いを受け入れる強さを手に入れました。

また、インタビューではRadioheadの今後の活動についても言及しており、2026年の公演予定はないものの、2027年以降に北米やアジアを含む世界各地で年間20公演ずつを巡る計画があることを明かしました。現在の彼は、世界的なバンドの一員としての責任感と、一人の新人ソングライターとしての探求心を両立させています。新作『Blue Morpho』は、単なるソロプロジェクトの枠を超え、人生の暗闇から抜け出し、再び歩み始めた一人の音楽家の誠実なドキュメントと言えるでしょう。


White Flowers – “Heaven”

Katie DrewとJoey Cobbによるダークウェーブ・デュオ、White Flowersが、2021年のデビュー作『Day By Day』に続くニューアルバム『Dreams For Somebody Else』を5月にリリースすることを発表しました。先行シングル「Thinking Of You」や「Tear」に続き公開された新曲「Heaven」は、影のあるベースラインとKatieの透き通るようなボーカルが交錯する、ドリーミーかつ不穏な空気を纏った一曲です。「人生をゆったりとしたブラウスのように着こなして」という切実な歌詞が、彼ら特有の幽玄な世界観を際立たせています。

この楽曲のテーマについて、バンドはジーン・リスの1939年の小説『グッドモーニング・ミッドナイト』の一節を引用しています。それは、長年の不幸の末にたどり着いた「生への執着を捨てた無関心という名の天国」でさえ、世界は残酷に引き戻し、再び地獄へと突き落とすという無慈悲なサイクルを描いたものです。自分たちで監督を務めたミュージックビデオと共に放たれるこの曲は、静謐な美しさの中に、逃れられない運命への諦念と微かな抵抗を封じ込めたダークウェーブの真髄を提示しています。


デトロイトの熱狂から生まれた友情の結晶——多様なシーンを渡り歩いた末に辿り着いた、Deadbeat Beatが鳴らす最も純粋で内省的なインディー・ポップ

デトロイトの音楽シーンで活動するDeadbeat Beatが、We Are Time Recordsより6月12日にリリース予定のアルバム『FROM HERE TO OHIO』から、先行シングル「Peach Sprite」を発表しました。バンドは、高校時代からの友人であるドラム/ボーカルのMaria Nuccilliと、ギター/ボーカルのAlex Glendeningを中心に結成され、長年のデモ制作やライブ活動を経て現在の4人編成へと固まりました。各メンバーはTyvekやOutrageous Cherryといった地元の重要バンドでも活動しており、クリエイティブなコミュニティに深く根ざした存在です。

彼らのサウンドは、近隣のバンドが鳴らすノイズやガレージロックの影響を受けつつも、Kevin AyersやThe Clean、さらにはJoni Mitchellといった幅広いアーティストを独自の視点で解剖し、再構築したものです。新作『FROM HERE TO OHIO』では、粗末なダイブバーで過ごした荒れた夜の記憶を、高揚感のあるポップソングへと昇華させています。複雑なソングライティングと、何層にも重なる美しいハーモニーが同居するその音像は、独自のミステリアスな雰囲気を放っています。

歌詞の面では、マジョリティの中でクィアとしてのアイデンティティを確立し、維持していくことへの内省的な葛藤が核となっています。多幸感に満ちた「You Lift Me Up」から、不安を抱えたまま疾走するジャム・セッションのような「Tree, Grass & Stone」まで、楽曲の幅は非常に多彩です。個人的な告白をインディー・ポップの枠組みで表現する彼らの音楽は、リスナーの感情にダイレクトに訴えかけ、デトロイトのシーンにおいても一線を画す独自の存在感を確立しています。


POND – “Terrestrials”

オーストラリアのサイケ・ロックバンドPondが、2024年のアルバム『Stung!』以来となる強烈な新曲「Terrestrials」をリリースしました。メンバーのJay WatsonによるソロプロジェクトGumの新作『Blue Gum Way』が発表された直後という驚きのタイミングですが、バンドはフルスロットルの状態で帰還を果たしました。今作はグラム・ロックやニューウェーブの不遜で華やかなエネルギーを放ちつつも、単なる過去の模倣に留まらないPondらしい一癖あるオブリーク(難解)な音像が特徴で、聴く者を一気に引き込むスケール感を持っています。

フロントマンのNicholas Allbrookによれば、本楽曲は「地球上で最も奇妙な生き物=人間」をテーマにしています。自らの故郷である地球を破壊し、逃げ出そうとしながらも、一方で愛し合い、育み合うという人間の矛盾した神秘性を、異星人(エクストラテレストリアル)以上の超自然的な存在として描き出しています。Jay Watsonが作曲を手掛け、マランビンビのNowave studioで録音されたこの曲は、昨日や明日を忘れ「今」を生きる子供たちや恋人たちの姿を、カオスな世界に対する微かな希望として提示しているかのようです。


Veps – “If I Was A Mother”

オスロを拠点に活動するインディー・ロック・グループ Vepsが、名門レーベル PNKSLM からニューアルバムをリリースすることを発表しました。現時点ではアルバムの詳細こそ伏せられているものの、その先駆けとして非常にキャッチーな新曲が公開されています。

2021年のデビュー以来、北欧らしい瑞々しい感性と 90年代オルタナの影響を感じさせるサウンドで注目を集めてきた彼女たち。今回シェアされたシングルは、来るべき新作への期待を大いに高める仕上がりとなっており、バンドの更なる進化を予感させるものとなっています。

Natalie Wildgoose – “River Days”

GooseやGeeseといった「鳥」にちなんだ名を持つミュージシャンたちの系譜に、新たに魅力的な才能、Natalie Wildgooseが加わりました。彼女の新曲「River Days」は、Julia JacklinやAdrianne Lenkerを彷彿とさせる、シンプルながらも息を呑むほど美しいローファイ・フォークです。来月State 51からリリースされる予定のEP『Rural Days』からの最新プレビューとなる本作は、穏やかな自然の中での生活を淡々と、しかし鮮烈に描き出しています。

この楽曲は、彼女がパートナーのMattと川辺で過ごした初夏の一日の記録であり、その日の夜に書き上げられました。岩場の水溜まりで焚き火をしてコーヒーを淹れ、夜には新鮮なトラウトを焼き、前夜に鹿が眠っていた草むらで横たわる——そんな親密な時間が歌に封じ込められています。シャワーを浴びた際、肩に感じたわずかな日焼けの痛みを「自分が少しだけ生きた証」として肯定する彼女の言葉は、消えゆく日常の断片に宿るかけがえのない輝きを伝えています。


メジャーでの20年を経て原点の地平へ——ANTI-移籍で手に入れた制限なき自由と、喪失の記憶を成長へと変える誠実な詩学が結実した、Death Cab for Cutieが放つ渾身の11作目

Death Cab for Cutieが、20年にわたり6枚のアルバムを発表したAtlantic Recordsを離れ、インディー・レーベルのANTI- Recordsへ移籍することを発表しました。通算11枚目となる移籍第一弾アルバム『I Built You A Tower』は、6月5日にリリースが予定されています。本作はプロデューサーにJohn Congletonを迎え、わずか3週間のセッションで制作されました。メンバーのDave Depperが「アニバーサリー・ツアーが自分たちの中のノスタルジーを追い払ってくれた」と語る通り、過去の名盤の再評価を経て得た巨大なエネルギーを、新たな創造性へと転換させた意欲作となっています。

ベーシストのNick Harmerが「バンド結成当初の感覚に戻った」と振り返るように、本作の制作過程は「自分たちが良いと思えるものを作る」というシンプルな自信に満ちたものでした。先行シングルとして公開された「Riptides」は、個人的な葛藤と、計り知れない規模で悲劇が続く世界情勢が交錯する中で感じる「麻痺するような無力感」をテーマにしています。Ben Gibbardが紡ぐ内省的なリリックと、バンドが再発見した初期衝動のようなダイナミズムが融合し、現代を生きる私たちの複雑な感情を鮮やかに描き出しています。

アルバムの核心にあるのは、喪失や悲しみと向き合いながら、それを乗り越えていく「再生」の物語です。Gibbardが「感情の地平線にそびえ立つ塔」と形容するアルバムタイトルには、過去の痛みを消し去るのではなく、一つの事実として認め、共生していくという覚悟が込められています。2022年の『Asphalt Meadows』での高評価や、伝説的なツアーの成功を経て、再びインディーの精神へと立ち返った彼らは、7月10日からロサンゼルスのギリシャ劇場2デイズを含む全米ツアーを開始し、新たな黄金期をステージでも証明していくことになります。


Truthpaste – “Bus Song”

マンチェスターを拠点に活動する5人組、TruthpasteのDirty Hit & Memorials of Distinction移籍第一弾シングル「Bus Song」は、彼らの持ち味である気まぐれな遊び心と、新たに開花したエモの側面を融合させた一曲です。デビュー曲のキャッチーさや前作のフォーク的な質感を土台にしつつ、本作では代名詞であるドラムマシンのリズムに乗せて、サックスのマイナーな旋律がギターや揺らめくシンセサイザーを切り裂くように響きます。バンドのミステリアスな雰囲気をさらに強固なものにしつつ、重なり合うボーカルがこれまでにない深みを与えています。

初期の作品に比べて哀愁を帯びたトーンでありながら、パートナーとの歩み寄りをバスの停留所に例えて歌う「甘くファンタスティックな歌詞」は、彼ららしい魅力に溢れています。メンバーのEsmeが「ライブ以外では初めて見せるエモ・ロックな側面」と語り、Euanが「デュエットにすることで完成した」と明かす通り、ジャンルに縛られない自由な実験精神が反映されています。曇り空のバスの窓の外を眺めながら物思いにふける時間にぴったりの、内省的でありながらどこか温かい、バンドの新たな代表曲と言えるでしょう。


GLADIE – “I WANT THAT FOR YOU”

Gladieのニューアルバム『No Need To Be Lonely』が今週金曜日にリリースされるのに先立ち、先行プレビュー曲「I Want That For You」が公開されました。フロントマンのAugusta Kochは、この曲がアルバムのために最後に書かれたものであり、作品全体に込めたメッセージを象徴していると語ります。

楽曲制作のきっかけは、困難な状況にいた親友との「人間でいることは時として奇妙で難しい」という会話にありました。他人の美しさや素晴らしさを認めるのは簡単でも、同じような愛を自分自身に向けるのはいかに困難か、という思いが反映されています。どんなに辛い時でも、自分自身を含めたすべての人に「ここに留まってほしい」という切実な願いと励ましを込めた一曲です。

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