スコティッシュ・デュオ Arab Strap のシングル「Glamour Magick」は、重厚なクラウトロックのグルーヴに乗せて、現代の美容業界と「若さへの執着」を皮肉たっぷりに解剖した楽曲です。フロントマンの Aidan Moffat が、自身が中年に差し掛かって日常的に使うようになったカフェインシャンプーやアイクリームといった身近な製品から着想を得て制作されました。歌詞では、シワ取りの脂肪注入や怪しげな裏通りの医師から購入した豊唇手術、さらには「千人の処女の血を浴びる」といったエスカレートしていく若返りへの欲望が描かれ、時間という人類共通の敵に抗うために私たちが支払う代償を、痛烈かつクレバーに問いかけています。
David Arthur が監督を務めたミュージックビデオは、映画『The Substance』や David Cronenberg 作品を彷彿とさせる、生々しくグロテスクな「ボディ・ホラー」の世界観を見事に構築しています。映像では、Aidan Moffat 自身がオカルト的な怪しい美容外科医の施術を受ける様子が描かれており、美を追求する代償が金銭だけに留まらない不穏な結末へと向かっていきます。前作「Strawberry Moon」での人狼をモチーフにしたアプローチに続き、ホラーの要素を巧みに取り入れながら、人間の深すぎる虚栄心と狂気を不気味かつユーモラスに描き出した傑作ビデオに仕上がっています。
