Motoristsが描く、理想のドライブと日常の退屈。最新作『Never Sing Alone』から「Frogman」が配信開始。90年代の空気感と遊び心溢れるサウンドで、現代のインディー・シーンを独走。

トロントのバンド Motorists が、2025年3月6日に We Are Time Records からリリースされるニューアルバム『Never Sing Alone』より、先行シングル「Frogman」を公開した。本作のプロデュースとミックスは、Deerhoof での活動や Captured Tracks からのソロ作で知られる名匠 Chris Cohen が担当。バンドの真骨頂であるジャングリーなメロディと内省的な物語、そしてシニカルな魅力がこれまで以上に深まった一曲に仕上がっている。

「Frogman」の着想源は、フロントマンの Craig Fahner がバンクーバー島で経験した奇妙な実話にある。釣りのルアーが岩に引っかかり困っていたところ、突如水の中からスクーバダイバーが現れ、ルアーを外して手渡してくれたという。父が叫んだ「あの潜水工作員(フロッグマン)が助けてくれたぞ!」という言葉が耳を離れず、「恋人が陸を捨て、フロッグマンとして水中生活を選んでしまう」というユニークな楽曲へと発展した。

この曲はユーモラスな設定の裏で、喪失の唐突さや、手にしていたものが消えた後の空虚さを描いている。音楽的には、Chris Cohen の手腕によってキラキラとした輝きを放つ、瑞々しくも物憂げなジャンパップ(Jangle-pop)へと昇華された。ロックの神話にある「自由なドライブ」という理想とは裏腹に、渋滞や回り道といった「運転手(モータリスト)」の日常的な退屈さと、それらが衝突する瞬間を鮮やかに表現している。