デヴィッド・リンチが呼び覚ました深層心理。LAの異才 ZzzaharaがWinterを迎え、過去の傷跡を事実として描き出す第4作

ロサンゼルスを拠点に活動するアーティスト Zzzahara が、2026年6月5日に Lex Records からリリースされる4枚目のアルバム『Distant Lands』より、Winter をフィーチャーした第1弾シングル「I Can Be Yours」を解禁しました。本作は、2025年初頭の David Lynch の他界をきっかけに、彼らが再び「夢」を見ることを試みたことから始まったプロジェクトです。亡き兄と宇宙で対話する奇妙で重苦しい夢が、アルバム制作の大きな原動力となりました。

これまでの恋愛中心の歌詞から一転し、本作では家族の死や20代前半のオピオイド依存経験といった、より深く個人的な傷跡に向き合っています。アルバムタイトルの『Distant Lands』は、亡き兄と「異なる世界(遠い土地)」にいながらも繋がっている感覚や、薬物による意識の乖離状態を象徴しています。Zzzahara は、快楽主義的な過去を卒業し、自身の内面にある複雑な事実をありのままに語る「非伝統的な成長記録」として今作を位置づけています。

制作の背景には、Wong Kar Wai(王家衛)の映画や Milan Kundera の文学作品からの強い影響もあり、不確実性や矛盾を受け入れる健全な客観性が養われました。「悲しみに依存する」ことをやめ、人生のポジティブな面もネガティブな面もストイックに受け入れようとする姿勢が反映されています。真実を生きることに旗を立て、後悔なくエネルギーを爆発させる Zzzahara の新たな芸術的フェーズを象徴する一作です。

アフリカの熱狂からモンゴルの草原、日本の田舎まで。Upupayāmaが2枚組の新作『Honesty Flowers』で描く、70分間のサイケデリック・トリップ

イタリアのマルチ奏者 Alessio Ferrari によるプロジェクト Upupayāma が、2026年5月29日に Fuzz Club より待望の4作目『Honesty Flowers』をリリースします。70分に及ぶこの壮大な2枚組アルバムは、オーガニックなサイケデリック・ロックと世界各地のグルーヴを融合させた、これまでで最もパーカッシブかつエネルギッシュな作品です。先行シングル「Mystic Chords Of Memory」は、ペルーの熱狂的な音楽とファンクを掛け合わせたような独特の熱量を放っています。

レコーディングにおいて Ferrari は、ギター、フルート、シタール、そして多彩な打楽器のすべてを自身で演奏するマルチな才能を発揮しています。パルマの山村にある納屋スタジオで制作された本作は、ミックスに Kikagaku Moyo(幾何学模様)を手掛けた Chris Smith、マスタリングに King Gizzard 等で知られる Joseph Carra を迎え、最高峰のサイケ・サウンドへと昇華されました。ライブでの即興的なバンド編成とは異なり、スタジオでは Ferrari の内なる対話が凝縮された濃密な世界が展開されています。

アルバムの核心にあるのは、アフリカ音楽や世界中のファンクを聴き込み、何時間もパーカッションを叩き続けることで到達したトランス状態です。楽曲は、Can がファンクを書いたような「Fliiim」や、日本の田舎の朝を想起させる「Mokushō」など、モンゴルの草原から深淵なアフリカまで、聴き手を未知の物語へと誘います。過去作との継続性を持ちつつも、享楽的なファンク・グルーヴから静謐なドローンまでが交錯する、まさに Upupayāma の集大成と呼べる一作です。

軍事化された海岸線、沈黙を強いられた地中海に『声』を。SHHEがカスタムシンセで挑む、言語を超えた音響彫刻『THALASSA』

スコットランドとポルトガルにルーツを持つアーティスト SHHE(Su Shaw)が、5月15日にOne Little Independent Recordsよりニューアルバム『THALASSA』をリリースします。全6部構成の本作は、2022年にエジプトのアレクサンドリアで滞在制作を行った経験から生まれたアンビエント作品です。当初は水中マイクで地中海の音を録音する予定でしたが、現地の海岸線が高度に軍事化され録音が禁止されていたため、彼女は海そのものに「声」を与えるという即興的なアプローチへと転換しました。

サウンドの核となるのは、SHHE自身が設計し、電子音楽プロデューサーのBen Chatwinと共に2年をかけて開発したカスタムメイドのモジュラー・シンセサイザーです。「言葉にすることができなかった」というエジプトでの体験を反映し、本作では「声」が言語の代わりとして、判別不能なほど加工され、歪められた電子音の延長線上に配置されています。先行公開された「Katávasi」は、アレクサンドリアの海岸線を再解釈したような、うねる波のようなシンセ音が特徴的な作品です。

アルバムのコンセプトは、水没の危機にあるアレクサンドリアと、自身の故郷であるダンディーという「鏡合わせの未来」に基づいています。2050年までに居住不能になると予測される土地の共通点を探求し、生態学的・政治的な危機に直面する海を、ギリシャ神話の女神の名を借りて擬人化しました。下降から浮上へと至る6つのステージを通じて、私たちの存在がいかに海に依存し、その慈悲に委ねられているかを、深く内省的なサウンドで問いかけています。

小学校からの幼馴染が紡ぐ、北欧インディー・ポップの至宝。Vepsが移籍第1弾アルバムから放つ最新シングル『If I Was A Mother』

オスロを拠点に活動する4人組インディー・ポップバンド、Vepsが、ニューアルバム『ChurchyardStreet 8B』からの最新シングル「If I Was A Mother」をリリースしました。本作は、スウェーデンの先鋭的レーベルPNKSLM Recordingsへと移籍して初となる、通算3作目のフルアルバムです。彼女たちはすでに北欧で最も注目すべきバンドの一つとして、CLASHやBBC 6 Musicといった主要メディアから高い評価を得ています。

メンバーのHelena、Laura、June、Majaの4人は、小学校時代からの幼馴染であり、弱冠14歳でバンドを結成しました。2021年のデビュー以来、着実にキャリアを積み重ねてきた彼女たちは、The Great EscapeやØyaといった国際的な大型フェスティバルへの出演も果たしており、インディー・シーンにおいて揺るぎない存在感を放っています。

現在22歳という若さでありながら、本作『ChurchyardStreet 8B』は彼女たちの最高傑作と評されています。これまでの経験を糧に、さらに磨き上げられた瑞々しい感性と卓越したソングライティングが凝縮されており、北欧インディー・ポップの新たな金字塔となることが期待されています。

『この場所は、いつ僕たちの居場所(シーン)になるのか?』名門Sargent Houseが送り出すHammok、爆発的ポスト・ハードコアを凝縮した最新作

ノルウェー・オスロ出身の3人組バンドHammokが、名門Sargent Houseと契約し、ニューアルバム『When Does This Place Become Our Scene』を6月にリリースすることを発表しました。彼らが鳴らすのは、RefusedやBirds In Rowといった欧州のポスト・ハードコア、あるいは初期のQueens Of The Stone Ageを彷彿とさせる、爽快でエネルギッシュなサウンドです。

アルバムの幕開けを飾るリードシングル「The Scene」は、バンドの音楽性と精神性を象徴するミニ・マニフェストのような一曲です。ボーカルのTobias Oslandによると、この曲はヨーロッパ・ツアー中に書き上げられました。ツアーの成功や、各地で出会った自分たちのコミュニティや音楽を深く愛する人々への熱いリスペクトが、爆発的なロック・サウンドとしてパッケージされています。

あわせて公開されたミュージックビデオは、Christoffer Byaが監督を務め、楽曲の持つ圧倒的なエネルギーを視覚的に強調しています。自分たちが属すべき「ムーブメント」を探し求め、衝動のままに突き進むHammokの勢いを象徴する本作は、アルバムへの期待を大いに高める仕上がりとなっています。

ペダル・スティールの揺らぎとネオンの残光。スローモーション・アメリカーナの旗手SUSSが、時の侵食と記憶の断片を音に刻んだ至高のインストゥルメンタル

ニューヨークを拠点に活動する多作なアンビエント・カントリー・トリオSUSSが、2024年のアルバム『Birds & Beasts』に続く新作『Counting Sunsets』のリリースを発表しました。昨年はWireのColin NewmanらとのコラボレーションやWoody Guthrieのカバーでも話題を呼んだ彼らですが、今作では再び独自の「スローモーション・アメリカーナ」の探求へと立ち返っています。

アルバムの構成は極めて独創的で、全楽曲が「Sunset I」「Sunset II」といった具合に、数字と「Sunset(夕暮れ)」を組み合わせたタイトルで統一されています。先行シングル「Sunset II」は、キーボード、アコースティックギター、そしてペダルスティールが渦巻く瞑想的なインストゥルメンタル曲です。聴き手を宇宙に一人取り残されたような、あるいは神話的で圧倒的な西部の荒野に立つような感覚へと誘います。

本作は、日没時の光の変化をネオンの輝きのように捉えた、断片的かつ内省的な物語として展開されます。音の余白や減衰、そして旋律の微かな変化を熟知したバンドならではの確信に満ちたサウンドは、記憶や時の緩やかな侵食をテーマに、アメリカーナの地形に新たな線を刻んでいます。静寂の中に深い広がりを感じさせる、彼らの真骨頂とも言える一作です。

脆弱さから不屈の闘志へ。Joudyが放つ新曲『Nail』が、ファズの轟音と剃刀のようなギターで描く、剥き出しのカタルシス

ニューヨークを拠点に活動するオルタナティブ・ロックバンドJoudyが、ニューアルバム『Permanent Maintenance』からの第1弾シングル「Nail」をリリースしました。本作は2026年7月24日にインディーレーベルTrash Casualからリリース予定のアルバムに先駆けた一曲です。パンチの効いたドラム、ファズの効いた重厚なベース、そして剃刀のように鋭いギターが、脆弱な心情から不屈の反抗心へと変化していく様子を、生々しくカタルシスに満ちたアンセムとして描き出しています。

アルバム『Permanent Maintenance』は、これまでのJoudyのキャリアの中でも最もバイタルで強烈な時代の幕開けを象徴する作品です。フロントマンのDiego Ramirezは、本作のテーマについて「痛みとは愛によって研ぎ澄まされた上質なナイフである」と述べており、高揚感のあるロックをより短く、より激しく、そしてより強固に昇華させたサウンドを展開しています。制作には、プロデューサーのMarco Buccelliをはじめ、Benny Grotto(ミックス)、Alan Douches(マスタリング)といった実力派が名を連ね、バンドの持つ熱量を余すことなくパッケージしています。

楽曲のリリースとあわせて、Gabriel Duqueが監督、Anyelo Troyaが撮影監督を務めたミュージックビデオも公開されました。映像制作においても、Diego Ramirez自身がラインプロデューサーとして携わるなど、バンドのクリエイティブなコントロールが細部まで行き届いています。「Nail」は、彼らが追求する「絶え間ないメンテナンス(Permanent Maintenance)」というテーマの通り、磨き上げられた鋭利な表現が光る一曲となっています。

沈黙を破り提示される、10編の新たな寓話。H. Hawklineら気鋭の奏者たちと共に、Aldous Hardingがその独創的なソングライティングをさらなる深化へと導く

ニュージーランド出身のシンガーソングライターAldous Hardingが、5月8日に4ADから通算5作目となるスタジオアルバム『Train on the Island』をリリースすることを発表しました。本作は、PJ Harveyらを手掛ける長年のパートナー、John Parishと共に、ウェールズのロックフィールド・スタジオにて制作されました。このスタジオは、彼女の過去3作が録音された場所でもあり、馴染み深い環境での創作となっています。

本作には、ペダル・スティールのJoe Harvey-Whyte、ハープのMali Llywelyn、H. Hawklineとしても活動するHuw Evansなど、多彩なプレイヤーが集結しました。アルバムからの先行シングルとして公開された「Last Stop」は、静かなピアノバラードから始まり、次第に心地よいグルーヴへと展開していく楽曲です。あわせて、Michelle Henningが監督を務めたミュージックビデオも公開されています。

全10曲を収録したこのアルバムは、これまでの作品で培われた独創的な音楽世界をさらに深める内容となっています。シンセサイザーのThomas PoliやドラムのSebastian Rochfordといった熟練のアーティストたちが加わったことで、オルガンやハープが織りなす豊かで繊細なアンサンブルが期待されます。

光の差さない自室で、テープに刻まれた真実の断片。Greg Mendezが15年の無名時代を経て到達した、静謐で切実な最新作『Beauty Land』

フィラデルフィアのシンガーソングライターGreg Mendezが、名門Dead Oceans移籍後初となるフルアルバム『Beauty Land』を5月29日にリリースすることを発表しました。2024年のEP『First Time / Alone』に続く本作は、その大半が自宅スタジオでテープに直接録音されており、10年以上のキャリアを経て独自の地位を築いた彼の新たな出発点となります。

アルバムの幕開けを飾るリードシングル「I Wanna Feel Pretty」もあわせて公開されました。この楽曲は、前作までの剥き出しでミニマルな質感を引き継ぎつつ、後半にかけてオーケストレーションが加わっていく構成が特徴です。Rhys Scarabosioが監督したビデオと共に、Mendezのソングライティングの真髄を味わえる仕上がりとなっています。

Mendezは本作の背景にある「アメリカン・ドリーム」の空虚さについても語っています。郊外のショッピングモールや住宅開発地に囲まれて育った彼は、それらを「消費主義の大聖堂」と呼び、誰もが属することのできないホログラムのような約束の虚しさを音楽と映像に投影しました。この孤独で壮大な視点が、アルバム全体を貫く重要なテーマとなっています。

『メジャーでの支配には苦い後味しかなかった』――Basementが8年の沈黙を破り、原点のレーベルで鳴らす純粋な情熱と再起のサウンド

イギリスのエモ・バンドBasementが、2018年以来となる待望のニューアルバム『Wired』を5月にRun For Cover Recordsからリリースすることを発表しました。先行シングルとして、タイトル曲「Wired」と「Broken By Design」の2曲が公開されています。メジャーレーベルでの活動を経て、原点であるインディーレーベルへと帰還した彼らは、かつての制約から解放された自由な創作意欲を取り戻しています。

プロデューサーにJohn Congletonを迎えた本作は、バンド内のコミュニケーションを改善し、活動の原点である「純粋に楽しむこと」へと立ち返るプロセスから生まれました。ボーカルのAndrew Fisherは、先行曲について「制御不能な感情の表出(Wired)」や、「失敗から学び、友人として再びクリエイティブに向き合う決意(Broken By Design)」を歌っていると説明しており、過去の苦い経験を糧にした精神的な成長が色濃く反映されています。

先行曲はそれぞれ、Ashley Rommelrath(Wired)とTas Wilson(Broken By Design)が監督を務めたミュージックビデオと共に公開されました。2024年の復活ライブで過去の楽曲がバイラルヒットし、新たな世代のファンを熱狂させている彼らにとって、本作は過去の栄光の焼き直しではない、最も力強く自信に満ちた再出発の声明となっています。

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