mohs. & Léon Phal – “Sonic Poetry”

スイスのジャズ・コレクティブ mohs. と、現代フランス・ジャズ界を牽引するサックス奏者 Léon Phal によるシングル「Sonic Poetry」は、エレクトロニックな質感と生楽器の即興性が溶け合う、まさに「音の詩」と呼ぶにふさわしい一曲です。mohs. が得意とするミニマルで浮遊感のあるアンサンブルを土台に、Léon Phal の情緒的かつエネルギッシュなサックスが重なることで、都会的な静寂と躍動的なグルーヴが同居する洗練されたサウンドスケープを描き出しています。

スイスの革新的レーベル Bridge The Gap から放たれた本作は、ロバート・グラスパー以降の現代ジャズの感性を保ちつつ、アンビエントやクラブミュージックの要素を巧みに取り入れています。静謐な空間に音を配置していくような繊細な導入部から、後半にかけてサックスが物語を語るように高揚していく展開は、新世代のヨーロッパ・ジャズシーンにおける両者の際立った才能を証明しています。

Marsmobil & Pau Lin – “Who You Are”

8年間の沈黙を破り、Roberto Di Gioia率いるMarsmobilが帰還しました。インディー・エレクトロ・ポップやスペーシーなネオ・シンセ・ポップで知られる彼らですが、新章の幕開けに際して驚くべき変化を遂げています。その中心となるのは、公共バスで偶然発見された新人シンガー Pau Lin の存在です。歌唱経験の全くなかった彼女の荒削りで飾らない歌声に触発され、バンドはこれまでの創作スタイルを根底から見直し、新たなクリエイティブの方向性を打ち出しました。

本作の制作には、ジャンルを超えたビジョンを持つドイツ屈指のプロデューサー Shuko が参加。これまでのキャリアで最も大胆かつ感情的な領域へと踏み込んでいます。長年のファンをも驚かせるこの再始動は、単なる活動再開ではなく、飢えと好奇心に満ちた「真の新しい始まり」を感じさせるものとなっています。これまでにないほどオープンで、力強いエネルギーを放つ新生Marsmobilのサウンドに注目が集まっています。

The Album Leaf – Fight or Flight (feat. Aisha Badru)

ロサンゼルスを拠点に活動するエレクトロニック・アーティスト The Album Leaf が、シンガーの Aisha Badru を迎えたニューシングル「Fight or Flight」をリリースしました。本作は2021年のパンデミック禍に制作が開始されたもので、隔離生活の不安や焦燥、そして静止と衝動の狭間にある感情を、彼女の無防備でエモーショナルな歌声と James McAlister の繊細なパーカッションで表現しています。遠隔地でのコラボレーションによって生まれたこの曲は、皮肉にもかつてないほど親密で、緊張感と脆弱さが同居するサウンドに仕上がっています。

近年の The Album Leaf は、2023年のアルバム『Future Falling』や実験的なアンビエント集、さらには映画音楽の制作など極めて多作な数年を過ごしています。今月下旬にはサンディエゴとロサンゼルスでのヘッドライン公演を控えており、その後には JeJune や Ethel Meserve を伴った、日本の3都市を巡るジャパン・ツアーの開催も決定しています。地元カリフォルニアから日本へ、2026年もその勢いを止めることなく、独自の電子音響の世界を広げ続けています。

Austra – “Chin Up Buttercup”

カナダ・オンタリオ出身のアーティスト Katie Stelmanis によるプロジェクト Austra が、5年の沈黙を破りリリースした最新アルバム『Chin Up Buttercup』を携え、北米ツアーを開始しました。失恋の痛みを乗り越え、2000年代のダンスミュージックを彷彿とさせる多幸感あふれるサウンドへと回帰した本作の魅力を伝えるべく、ツアー初日に合わせて約7分の短編映画『Chin Up Buttercup: The Movie』が公開されました。

この映像作品は、アルバムのテーマを凝縮したダイジェストのような構成になっており、「Amnesia」などの断片から始まり、アコースティックな「The Hopefulness of Dawn」を経て、カタルシスに満ちた後半へと一気に加速します。監督・編集の Hedia Maron と共に制作されたこの映画は、当初の予定を越えて「低予算ながらも野心的な冒険作」となり、絶望から再生へと向かうアルバムの物語を、ボウリング場のスクリーン映像など独創的なインスピレーションを用いて描き出しています。

Kilig – “It’s Trying To Be Light, But It’s So Dark”

ロンドンを拠点とするプロデューサーのKiligが、かつてブレイクスルー作『Blue Coat, Red Dress EP』で名を連ねたSilver Bear Recordingsからニューシングル「It’s Trying To Be Light, But It’s So Dark」を12月10日にリリースします。彼は、インダストリアルなテクスチャ、ミニマルなフレームワーク、アンビエントな音響を織り交ぜた、ロンドンのエレクトロニック・ランドスケープの現代的な解釈で知られています。今回のシングルは、彼をレーベルに紹介した当初のパレットを反映しつつ、彼が近年傾倒しているトリップホップとアンビエントの影響をさらに深めた、内省的で洗練されたサウンドの進化を示しています。

Kiligは、この新曲について、特にこの時期の短い日照時間からインスピレーションを得たことを語っています。「この時期、私の朝がすべてです。私がまともに楽しめる唯一の日光です。日が短く感じられ、午後3時には再び暗闇になる」と彼は述べています。冬がクラブのための時期である一方、彼自身は「落ち着くための何か」を探しており、この楽曲がその感覚を凝縮しているとのことです。繊細なボーカルやオーガニックなサウンドが多く含まれるトリップホップやアンビエントに惹かれるこの時期の感情を表現しており、このシングルは、彼の初期のサウンドを定義づけたレーベルへの「ホームカミング」であると同時に、長年の探求によって形作られた成熟したサウンドへの「拡張」を示す作品となっています。

Helicon & Al Lover – “Backbreaker”

グラスゴーを拠点とするサイケデリック・ロック・バンド Heliconと、サンフランシスコを拠点とするプロデューサー/DJのAl Loverが、コラボレーション・シングル「Backbreaker」をリリースしました。Heliconの持つ濃密なファズ・ギターとシタールを多用したドローン感のあるサイケデリック・サウンドと、Al Loverのロウでダビーなグルーヴ、そしてヒップホップ的なビートメイキングが交差することで、予想外の化学反応を生み出しています。

「Backbreaker」は、両者の特異な音楽的才能を融合させた結果、強烈なリズミカルな推進力と酩酊的な音響空間が特徴的なトラックとなっているでしょう。このコラボレーションは、現代のサイケデリアの境界をさらに押し広げ、両者のファン層に対し、クラブミュージックとノイズロック、そして東洋的なインフルエンスが混ざり合った、ダークで催眠的なサウンドスケープを提供します。

Monster Rally – “Incredibly Blind” (feat. TV Girl & X-Cetra)

サンプリングを駆使するプロデューサーの Monster Rally が、彼にとって初となるノンインストゥルメンタル・アルバム『Echoes of the Emerald Sands』を2026年春にリリースすると発表しました。この意欲作には、Jordana、Mei Semones、Allah-LasのMiles Michaudなど、多彩なヴォーカリストたちがゲストとして参加しています。

アルバムからの最初のシングルは、TV Girlとのコラボレーションであり、さらにX-Cetraをフィーチャーした楽曲となっています。Monster Rallyは、この曲が「新作の中で特にお気に入りのトラックの一つ」であると語っています。彼は約1年前に、ドラム、ベース、メロトロンのフルートループのみのデモをTV GirlのBrad Peteringに送ったところ、BradがX-Cetraをヴォーカルに迎えるアイデアを持って戻ってきた、という制作経緯を明かしています。

Arms and Sleepers & aLex vs aLex – “get it, never (alt)”

Arms and Sleepers と aLex vs aLex による新しいコラボレーショントラック「get it, never (alt)」が、Future Archive Recordings から2025年11月5日にリリースされました。Arms and Sleepersは、ボストンのMax Lewisによるエレクトロニック/ダウンテンポ・プロジェクトであり、その感情的でシネマティックなサウンドスケープで知られています。一方、aLex vs aLexについては具体的な情報が少ないですが、このコラボレーションは、両者のポストロックやエレクトロニカの境界線を探る、内省的でテクスチャ豊かな音楽的対話を提供していると推測されます。

この楽曲は、レーベルFuture Archive Recordingsからのリリースとなります。このレーベルは、アンビエント、エレクトロニカ、ポストロックといったジャンルを中心に、革新的で感情的なサウンドを持つアーティストを数多く擁しています。タイトルに「(alt)」とあることから、「get it, never」という曲のオルタナティブ・バージョンまたはリミックスである可能性が高く、オリジナル曲とは異なる新しいアプローチや雰囲気を探求していると見られます。両者のファンにとって、このトラックは彼らの音楽的世界観を広げる重要な作品となります。

宮崎駿の「曇りのない目」と日本の金継ぎに捧ぐ:Melody’s Echo Chamberが豪華制作陣と探求する、サイケデリック・ポップにおけるリアリズムと寓話の境界線

フランスのサイケデリック・ポップ・アーティスト、Melody Prochet が、自身のプロジェクト Melody’s Echo Chamber として、5作目のアルバム 『Unclouded』 を12月にリリースすることを発表しました。今月初めに El Michels Affair との共作 「Daisy」 で復帰を果たした彼女は、本日、魅惑的なニューシングル 「In The Stars」 を公開しました。この新作の発表は、彼女の音楽的キャリアにおける新たな、そして内省的なチャプターの始まりを示しています。

アルバムタイトルの 『Unclouded』 は、アニメーター宮崎駿の「憎しみによって曇りのない目で物事を見よ」という言葉からインスピレーションを得ています。Prochetは、自身の新しい時代について、「私の音楽は常に現実と寓話の境界に存在していましたが、生きる経験を重ねるほど、人生を深く愛するようになり、逃避する必要が減った」と語っています。そして、日本の金継ぎ(Kintsugi)のように、散らばっていた自分自身を金でつなぎ合わせたような感覚があると表現し、「ブルーアワー」への愛を持ちつつも、地に足の着いた状態を強調しています。

『Unclouded』 は、スウェーデンのマエストロ Sven Wunder との共同プロデュースおよび共同作曲によって制作されました。このアルバムには、ストリングスに Josefin Runsteen、Dina Ogon の Daniel Ogen(ギター)と Love Orsan(ベース)、The Heliocentrics の Malcolm Catto(ドラム)、そして Dungen の Reine Fiske(ギター)といった才能あるコラボレーターたちが集結しています。本日公開されたニューシングル 「In The Stars」 のミュージックビデオは、Diane Sagnierが監督を務めています。

Noé Solange – Home

ロンドンを拠点に活動するオランダ、インドネシア、スリナムにルーツを持つエレクトロニック・プロデューサー、マルチインストゥルメンタリスト、そしてヴォーカリストのNoé Solangeが、ニューシングル「Home」をリリースしました。この曲は、今後リリース予定のEP『Moments』からの先行シングルで、彼女の音楽はBBC Radio 1など様々なメディアから高い評価を得ており、2025年には「注目すべきエレクトロニック・アーティスト」にも選ばれています。

新曲「Home」は、彼女が様々な国で育った経験や、両親や祖父母がインドネシアやスリナムから移住した物語にインスピレーションを得ています。この曲は、去り難い場所や人々、そして帰属意識を失うことの辛さを探求しており、インドネシアのガムランや揚琴のサンプルと、ハーモニー豊かなボーカル、そしてシンセやドラムが組み合わさり、没入感のあるサウンドスケープを作り出しています。Noé Solangeは、「誰もが経験する別れの難しさ、そして手放す準備ができていない感情」に共感してほしいと語っています。

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