Mildfire – “Trampoline”

Mildfireの楽曲「Trampoline」は、冬のリガ(ラトビア)にて現地の新星FiņķisやAndis Ansons(Bel Tempo)との偶然の出会いから誕生しました。ノルウェーとラトビアという北欧諸国に共通する親和性を背景に、日本ツアーを終えたばかりの彼らと、ユーロビジョン予選の熱狂の中にいた現地の才能が共鳴。淡い陽光が差し込むスタジオで、お互いの創造性への信頼と好奇心を詰め込みながら、この多国籍なコラボレーションが形作られました。

サウンド面では、VHSのようなノスタルジックなシンセとローファイなラジオ信号のような質感から始まり、Mac DeMarcoを彷彿とさせるポップな軽やかさと、チェロや重層的な歌声によるドラマチックな展開を併せ持っています。Ofelia OssumとEinar Strayのユニゾンは、実験的な音像を纏いながらもかつてないほどキャッチーです。歌詞では「強さ」という鎧を脱ぎ捨て、人間らしい柔らかさや脆さ、そして他者への細やかな関心にこそ価値があるという変化を描き、振り子のように揺れ動く心の機微を表現しています。

Glitterfox – “i want you bad”

ポートランドを拠点に活動するインディーロック・カルテットの新曲「i want you bad」は、憂いを帯びたダンスのリズムに乗せて、希望と不安が重なり合う複雑な感情を表現しています。Solange Igoaのボーカルは、後半に向けてKaren Oを彷彿とさせる荒々しくも伸びやかな叫びへと変貌し、制御と崩壊、絶望と解放の狭間で揺れ動く生々しい切実さを放っています。

歌詞では、エゴや支配欲を排した純粋な「心の渇望」が描かれており、「I want you bad」というリフレインが、執着的でありながらも柔らかく誠実な響きを持って繰り返されます。バンドが奏でる軽快で中毒性のあるサウンドは、一歩間違えれば堕ちてしまいそうな危うい渇望を、高揚感あふれるダンスミュージックへと見事に昇華させています。

Noah Floersch – “The Lady on the Moon”

Noah Floerschのシングル「The Lady on the Moon」は、フォークを基調としながらもモダンなポップセンスが光る、物語性の強い楽曲です。月の中に住む女性という幻想的なキャラクターをモチーフに、届きそうで届かない憧れや孤独、そして夜の静寂の中に広がる豊かな想像力を、彼の温かくも力強い歌声で情緒たっぷりに描き出しています。

サウンド面では、アコースティックな質感とドリーミーなプロダクションが融合しており、聴き手を星空の下へと連れ出すような没入感のある音響体験を提供しています。キャッチーなメロディの中に、誰しもが抱く「どこか遠くにある理想」への渇望を滲ませた本作は、Noah Floerschの卓越したソングライティング能力と、独自の視点で日常を詩的に切り取るアーティストとしての個性を改めて証明する一曲となっています。

Tiga & Boys Noize – “HOT WIFE”

Tigaが、待望のニューアルバム『HOTLIFE』からの最新シングル「HOT WIFE」をリリースしました。ベルリンでBoys Noizeと共に制作された本作は、あえて「クールなダンスレコード」という安全圏を脱し、自身の口で作った強烈なベースラインに乗せて、私生活や妻について歌い上げる大胆なポップ・センスが炸裂しています。彼は、DJを「究極の独身貴族」として神格化する幻想に終止符を打ち、自身の真実をコントロールするために、あえてプライベートを公にする道を選んだと語っています。

歌詞については、わずか6単語というミニマルな構成ながら、彼が提唱する「ラディカルな感謝」という概念に基づいています。「魅力的な妻を持つ幸運な男たちの声を聞いてほしい」と語る一方で、曲名の「HOT WIFE」がスワッピングを指すスラングであることをリリース直前まで知らなかったという、彼らしいユーモラスなエピソードも明かされています。自らの結婚生活を次のレベルへと引き上げるべく、タブーや世間の目を恐れずに制作された、遊び心満載の一曲です。

Lal Tuna – “Don’t Forget Me”

Lal Tunaが発表したシングル「Don’t Forget Me」は、繊細な感性とモダンなサウンドデザインが融合した楽曲です。忘れ去られることへの恐れや、愛する人の記憶の中に留まりたいという切実な願いをテーマにしており、彼女の透明感のある歌声が、聴き手の心の深層に訴えかけるような叙情的な世界観を作り上げています。

サウンド面では、エレクトロニックな要素とオーガニックな楽器編成が巧みに組み合わされており、浮遊感のあるトラックが歌詞の持つ孤独感や切なさをより一層際立たせています。単なる失恋ソングに留まらず、人間関係の儚さとその中で見出す希望を丁寧に描き出した、Lal Tunaのアーティストとしての進化を感じさせる一曲です。

Deer park – “Black Cat” feat. Ivy Knight

ニューヨークを拠点とするプロデューサーDeer parkとシンガーソングライターのIvy Knightが、長年のコラボレーションの最新作としてニューシングル「Black Cat」をリリースしました。本作は、両アーティストにとってロンドンの独立系レーベルScenic Routeからの初リリースとなります。

二人は、音楽制作を「言葉だけでは語り尽くせない共有された記憶を具体化し、関係を深めるための重要な手段」と位置づけています。ニューヨーク州北部で過ごした日々を反映しつつ物語的に再構築した本作は、二人の経験が重なり合い、時には分岐する中で生まれる独特の緊張感と調和を表現しています。

Mind’s Eye & Songs That Saved My Life – “Don’t Change”

ロサンゼルスを拠点に活動するロックバンドMind’s Eyeが、Hopeless Recordsのチャリティ・シリーズ『Songs That Saved My Life』の一環として、INXSの名曲「Don’t Change」のカバーをリリースしました。このプロジェクトは、メンタルヘルスや自殺防止団体(Crisis Text Line、The Trevor Projectなど)を支援するもので、音楽が単なる娯楽を超え、困難な時期に人生を支え、救う力があることを伝える活動です。

今回のカバーについてMind’s Eyeは、自分たちが何者であるかを模索していた多感な時期に、この曲が「自分自身を見失わないこと」を思い出させてくれた大切な一曲であると語っています。派手な再解釈よりも原曲への深い敬意と誠実さを重視した彼らの演奏は、自己受容と忍耐という曲の核心を見事に捉えており、世代を超えて心に寄り添う温かな対話のような作品に仕上がっています。

L.A. Sagne – “Rampage”

オランダ・アムステルダムを拠点とするバンド、L.A. SAGNEがニューシングル「Rampage」をリリースしました。本作は「愛するがゆえに街を破壊し、物をなぎ倒したくなる衝動」をテーマに、過激で荒々しく、かつスピーディーなサウンドで構成されています。彼らはこの曲を「致命的なセレナーデ」や「破壊的なラブレター」と表現しており、愛が持つ爽快さと危うさの両面を、いたずら心たっぷりに描き出しています。

サウンド面では、炭酸が弾けるようなエネルギーと叫びが混ざり合い、聴く者の心を揺さぶる躍動感に満ちています。メンバー同士は非常に親密な友人関係にありますが、自らを「母親の誕生日パーティーに予告なしで現れてほしくないタイプ」とユーモアを交えて自称するなど、型破りでエッジの効いたキャラクターも魅力の一つです。一筋縄ではいかない彼らのパンキッシュな姿勢が、この新曲にも色濃く反映されています。

Virgins – “Crucible”

シューゲイザー・バンドのVirginsが、ニューシングル「Crucible」と新作EP『Light The Space Left Behind』のリリースを発表すると同時に、バンドの解散とラストライブの開催を明らかにしました。2025年後半に自らの練習拠点でレコーディングされたこれらの楽曲は、バンドが最後に取り組んだ共同作業の結晶です。2026年1月22日に先行曲、2月19日にEPが発売され、2月28日にはベルファストのOh Yeah Centreにて、Wynona BleachとGushをゲストに迎えた最後にして最高の別れを告げるステージが行われます。

最後の作品となった「Crucible」は、ドリーミーなファズの壁や煌めくリバーブといったVirginsの象徴的なサウンドを継承しつつも、かつてないほど実験的でエネルギッシュな一曲です。メンバー全員のコラボレーションから生まれたこの曲では、地鳴りのようなドラムやメロディックなベースが楽曲を力強く牽引し、そこに浮遊感のあるポップなボーカルとカオスなノイズが渦巻くように重なり合います。自分たちのサウンドを新たな極致へと押し上げ、美しき残響(Light The Space Left Behind)を残しながら、彼らはその活動に終止符を打ちます。

Arielle Soucy – “Pattern”

モントリオール出身のシンガーソングライターArielle Soucyは、デビューアルバム『Il n’y a rien que je ne suis pas』(2023年)が複数の有力メディアで年間ベストアルバムに選出され、ポラリス賞のロングリストにも名を連ねるなど、ケベック音楽シーンの新星として注目を集めています。ADISQ 2024では新人賞やフォークアルバム賞を含む6部門にノミネートされ、GAMIQでも複数の賞を獲得。オーガニックでミニマルなフォーク・アプローチで、着実にその評価を確立しています。

これまでにケベック州全域で70以上の公演を行い、Philippe BやVanilleといった著名なアーティストとも共演を重ねてきた彼女は、現在、自身のキャリアの新たな章へと進んでいます。内省的な歌詞、光り輝くメロディ、そして洗練されたアレンジを通じて、伝統と現代性を大胆かつエモーショナルに融合。最新シングルでは、彼女の特徴であるフォークの実験性をさらに推し進め、聴き手を独自の世界観へと誘っています。