SP-404と安マイクが生んだ剥き出しの衝撃——Denzel Curry と Kenneth Blume が Yebba や JPEGMAFIA らを迎え、激突の末に導き出した傑作『ii』

ラッパーの Denzel Curry とプロデューサーの Kenneth Blume(Kenny Beats)が Yebba をフィーチャーした「DIFFERENCE」は、ごちゃ混ぜの熱量に満ちたエネルギッシュなブームバップ・トラックです。Denzel Curry が情熱的でありながら極めて精密なラップを披露し、そこに実力派シンガー Yebba による印象的なフックが加わることで楽曲の魅力を高めています。NOTACHANCE が手掛けたミュージック・ビデオは、粗い質感の VHS 風分割画面で二人がそれぞれの1日をスタートさせる様子を描き出し、作品のDIYなストリート感を際立たせています。

この楽曲が収録されるアルバム『ii』は、絶大な評価を得た2020年のコラボ作『UNLOCKED』以来となる二人の連名プロジェクトです。洗練された豪華なスタジオ設備を捨て、SP-404 ビートマシンと安いマイクのみという原点回避(バック・トゥ・ベーシックス)の環境で制作されました。制作過程では激しい衝突もあったとされていますが、互いに妥協なくぶつかり合うことで、純粋な芸術的直感と成長が刻み込まれた力強い作風へと昇華されています。

アルバムには「DIFFERENCE」での Yebba のほか、Westside Gunn や JPEGMAFIA といった豪華ゲスト陣が参加しています。ハードコアやオルタナティヴ・ロックへのアプローチなど多角的な活動を展開する二人ですが、今作では生の化学反応と激しいスタジオの摩擦を通して、互いを新たな高みへと押し上げた、まさに即座にクラシックと呼ぶにふさわしい傑作に仕上がっています。


Shabazz Palacesが魅せる『It’s a Style Sport』——「アフロ・フラクタル」な時間軸の中で過去と未来を交錯させ、誇り高きショーマンシップと内在的な美学を打ち鳴らす壮大な帰還

Shabazz Palacesによるリードシングル「Ahh World (I Won The Alpha Bet)」は、重厚なビートが重密に打たれるメディテーションのようなトラックです。中心人物であるIshmael Butlerが全知の語り手となり、ファンタジーを交えた三人称視点から自身の人生と卓越した存在への昇華を語り、成功した人生のための規範となるルールを提示していきます。彼が提示する成功の基準は一人の人間の品格や誇り、高貴さといった内在的な価値に結びついており、卓越したスタイルと同時にブレない品格と誠実さを感じさせる象徴的なオープニング・トラックとなっています。

本楽曲が収録されるニューアルバム『It’s a Style Sport』は、Sub Pop Recordsからリリースされる作品であり、アヴァン・ヒップホップとフリーフォームなポエトリーを展開してきた彼らの実験精神を踏襲しながらも、これまで以上に内省的で開かれたアプローチを見せています。現代のSNSを中心とした音楽ビジネスにおける表面的なブランディングに対し、かつてのラップ・ゲームが持っていたタフでフレンドリーな競技性や真のショーマンシップへのオマージュを捧げており、過去のキャリアから得た知恵と現在、そして未来への視線が重なり合う「アフロ・フラクタル」な世界観を構築しています。

アルバムの制作にあたっては、シアトルのHall of Justice Studiosに長年の協力者や友人であるミュージシャンたちを集め、8日間にわたる共同セッションの中で楽曲が形作られました。Erik Bloodをはじめ、Evan Flory-Barnes、Thaddeus Turner、Kassa Overall、Gerald Turner、Marquetta Miller、Carlos OverallといったShabazz PalacesやDigable Planetsのツアーバンドを支えてきたメンバーが参加しており、彼らの親密で濃密な関係性から生まれた生き生きとした演奏と実験性が、作品全体の圧倒的な表現力と重厚なサウンドスケープを支えています。

JIMMY EDGAR – CLUMSY (feat. Ripparachie)

JIMMY EDGARによるシングル『CLUMSY (feat. Ripparachie)』は、デトロイト出身のプロデューサーである彼特有のエレクトロニック・サウンドとヒップホップ/トラップの要素を融合させた最先端のダンス・トラックです。フィーチャリングにインディペンデントで際立った存在感を放つラッパーのRipparachieを迎えており、重厚で洗練されたベースラインとエッジの効いたビートの上に、切れ味鋭いボーカルが巧みに乗せられています。

本作は、アヴァンギャルドなエレクトロや近未来的なサウンドデザインを展開するJIMMY EDGARの美学が強く反映された一曲となっています。クラブミュージックの枠組みを超えた実験的なプロダクションでありながらも、直感的なノリとキャッチーなグルーヴを兼ね備えており、彼の先鋭的なディスコグラフィにおいても強烈な存在感を示すリリースとなっています。


Kwes Darko – “War in these sTreets”

プロデューサー/アーティストのKwes Darkoが、鋭い社会風刺と先鋭的なサウンドが交差するニュー・シングル「War in these sTreets」をリリースしました。本作は、エレクトロニック・ビーツや実験的なヒップホップ/オルタナティヴ・ラップを融合させたトラックで、社会不安や民衆の混乱の渦中にあるカオスを強烈に表現しています。フィールドレコーディングやドキュメンタリー音声から抽出された騒乱の生々しい現場音を組み込み、重厚なエフェクトを施したボーカルとビットクラッシュされたドラムを重ねることで、聴く者を圧迫感のある不協和音の大混乱へと引き込みます。

楽曲の背景には「A CancelXd Generation(キャンセルされた世代)は抗議などしない——爆破するのだ。誰もが発言の場(プラットフォーム)を持ち、誰の許可も必要としない。解決策なき破壊に酔いしれている」というKwes Darko自身の言葉が象徴するように、解決策のないまま破壊へと向かう現代社会の歪みや怒りが反映されています。ニューヨークの実験的で鋭利なアンダーグラウンド・シーンとも共鳴するアグレッシブな音響アプローチによって、時代の混沌を強烈なリアリティとともに突きつける必聴の一曲です。


corto.alto – “IJUSTIDONTKNOW”

グラスゴーを拠点に活動するプロデューサー/マルチ奏者Liam Shortallのプロジェクトcorto.altoによる楽曲「IJUSTIDONTKNOW」は、Ninja Tuneから9月4日にリリースされるニューアルバム『SOME SMALL FORTUNE』からの最新シングルです。本作には彼の長年のコラボレーターであり、グラスゴーの人気ライブ夜イベント「GLITCH41」の共同設立者でもあるサックス奏者Mateusz Sobieskiが参加しています。力強く広がりのあるリズム、重厚なベースとシンスのグルーヴ、そして洗練されたホーンアレンジと擦れたサックスのサウンドが見事に融合した、彼の真骨頂とも言える極上のトラックに仕上がっています。

本楽曲についてShortallは、「アルバム『SOME SMALL FORTUNE』のために最初に書いた楽曲のひとつであり、作品全体のサウンドの初期の青写真(ブループリント)となった」と語っています。普段以上にヘヴィなギターリフと、骨太なヒップホップ・グルーヴ、そしてエレクトロニカの狭間にあるスペースを巧みに探求しており、磨き抜かれたプロダクションと実験的なサウンドアプローチを通じて、新作アルバムの方向性を強く提示する一曲となっています。


Bricknasty – “bobinov”

アイルランドのソウル/ヒップホップ・コレクティブBricknastyのシングル「bobinov」は、彼らのジャンルレスで自由奔放な創作性が爆発した、これまでで最もカラフルでエネルギッシュな一曲です。Loyle Carnerの大型公演サポートやツアーを経て制作された本作は、プロデューサーのCillian McCauleyが手掛け、ライブ会場で観客に強烈なエネルギーと快感を与えるような鋭いソングライティングと衝動的な感情が注ぎ込まれています。

Talia Bealeが監督・編集・プロデュースを担当したミュージックビデオは、PS2(PlayStation 2)時代の初期3Dアニメーションやストップモーションの質感からインスピレーションを受けたノスタルジックな映像美が特徴です。レトロでどこか歪んだCGワールドのビジュアルが、楽曲の持つサイケデリックでエッジの効いたグルーヴと見事にシンクロし、彼らのユーモアと個性を際立たせています。


Agoro feat. Oko Ahwe – “Ocean”

国際的なヒップホップ・スーパーグループであるAgoroのシングル「Ocean」は、10月9日リリースのアルバム『Blacklisted in a White Country』からの先行トラックです。グループはガーナのMCであるLil FyveやKhofi Koojan、Oko Ahweをはじめ、ベルギー・ゲントのシンガーKwame Mulzz、フランス・ナンシーのラップデュオLobo EL & Cotchei、そしてNCY Milky Bandやvecteur0のメンバーからなる豪華な布陣で構成されています。「貧困には背を向け、墓場に入るまで眠らない」といった力強いリリックが印象的で、Jah(神)への感謝や人生の逆境に立ち向かうゲットーの若者のエネルギーを、Louis TreffelやAchille Landoisらによる生楽器の洗練されたグルーヴに乗せて表現しています。

BenLenzzが監督を務め、Payfaが助監督、Bill Klintonが編集とカラーグレーディングを手掛けたミュージックビデオは、楽曲が持つリアルな熱量とスリリングなストリートの空気を視覚的に捉えています。Benjamin Dwomfourがロケーションマネージャーを担当し、ガーナとヨーロッパのカルチャーがクロスオーバーするグループの無国籍なアイデンティティを映像へと昇華。音楽・映像の両面から、妥協のないDIY精神と圧倒的なオリジナリティを感じさせる作品に仕上がっています。


jackzebra – “Blessed”

中国・成都出身で、アメリカの先進的ヒップホップコレクティブ/レーベルであるSurf Gangに所属する気鋭ラッパーjackzebraが、ニューシングル「Blessed」を同レーベルよりリリースしました。本作は、彼の持ち味である浮遊感漂うプラグ(Plugg)やクラウドラップ、実験的なエレクトロニックミュージックの要素がシームレスに融合した、極めて現代的な質感を持つ一曲です。中国のローカルストリートカルチャーの熱量と、インターネット経由のグローバルな最先端ヒップホップシーンを媒介する彼ならではの、ハイブリッドで中毒性の高い独特なサウンドスケープが展開されています。

楽曲の世界観を補完するミュージックビデオ(映像)も公開されており、近年のSurf Gang周辺クリエイティブとも通ずる、ローファイかつエッジの効いた視覚演出が特徴となっています。サイバーでDIYテイスト溢れる独自の映像美は、アジアのリアルなユースカルチャーの退廃的な空気感やストリートの熱量をそのまま映し出しており、ドリーミーかつサイケデリックな楽曲の持つ魅力をより一層引き立てる、強烈なビジュアル作品に仕上がっています。


N8NOFACE – “Paranoid”

カリフォルニア州ロングビーチを拠点に活動し、名門レーベル Stones Throw Records に所属するシンス・パンク・アーティスト N8NOFACE(ネイサン・ホース)が、2026年7月15日にニューシングル「**Paranoid**」をリリースします。今作は、TV on the Radioのメンバーであり、Yeah Yeah YeahsやWeezer、Chelsea Wolfeなどのプロデュースでも知られる名匠 **Dave Sitek** との初のコラボレーション作品です。彼のスタジオ「Federal Prism Studio」で制作された本作は、Limp Bizkitのツアーへの抜擢を経て注目を集める彼が、ストリート時代の鋭い本能とアーティストとしての名声の間で揺れるリアルな葛藤を表現した、ヒリヒリとした緊張感に満ちたトラックに仕上がっています。

Dave Sitekのファンであり、当初はスタジオの雰囲気に圧倒されていたというN8NOFACEですが、セッションを重ねるごとに息を合わせ、この「Paranoid」という強力なコラボレーションの第1弾を完成させました。かつてchiptune-punkデュオのCrimekillzとして活動し、ソロ移行後もDIYなシンス・パンクを確立してきた彼にとって、本作はレーベル移籍後、そして前作『As Of Right Now』に続く新たな一歩となります。今後はBobby Astroが監督を務めたミュージックビデオの公開も予定されており、ダークで衝動的な彼らのケミストリーがビジュアルとともにどのように展開されるのか、大きな期待が寄せられています。


12k Gotti – “Climax”

アンダーグラウンド・シーンで頭角を現す12k Gottiがドロップしたシングル「Climax」は、ディープで中毒性の高いインディー・ラップの質感と、彼の研ぎ澄まされたリリシズムが炸裂する一曲です。本作は、7月23日にリリースを控える待望のプロジェクト『MADLIFE』からの先行トラック。新進気鋭のインディー・ヒップホップ・レーベル「10k.」からのリリースということもあり、耳の肥えたリスナーの間で大きな注目を集めています。張り詰めた緊張感のなかにエモーショナルな余韻を残すビートの上で、彼のリアルな生き様をストレートにスピットする姿は、まさにタイトル通り『MADLIFE(狂った人生)』の絶頂(クライマックス)へと向かうエネルギーを感じさせます。

また、楽曲と同時に公開されたミュージックビデオは、12k Gotti自身が自ら監督(Directed by 12k Gotti)を務め、気鋭のクリエイターである@fastlifeboloが撮影(Shot by @fastlifebolo)を担当しています。アーティスト自身のビジョンが100%反映された映像は、派手な演出に頼るのではなく、ストリートの生々しい空気感や日常の瞬間をドキュメンタリータッチで巧みに切り取っているのが特徴です。楽曲が持つどこか哀愁を帯びた、それでいて力強い世界観をヴィジュアル面から完璧に補完しており、映像と音楽がシームレスに融合した完成度の高いアートワークに仕上がっています。

1 2 3 24