Vacations – “I See Myself In You”

オーストラリア・ニューカッスル出身のインディー・ポップバンド、Vacations(バケーションズ)が、ニューシングル「I See Myself In You」をリリースしました。この楽曲は、2026年10月2日にNettwerkから発売予定の待望のニューアルバム『Pursuit of Anything』からのセカンドシングルです。フロントマンのキャンベル・バーンズがシドニーの実家で両親と交わした会話からインスピレーションを得て書き下ろされたもので、家族の絆や年齢を重ねること、そして世代間で似ていく自分たちの姿を静かに見つめ直す、感情豊かでパーソナルな楽曲に仕上がっています。

楽曲のリリースとあわせて、バンドの持つドリーミーなインディー・ポップの感性を映像に落とし込んだ公式ミュージックビデオも公開されました。バンドは現在、2年ぶりとなる凱旋オーストラリア・ツアーを控えており、ペースからスタートして地元ニューカッスルでの公演で締めくくる国内ツアーの直前という、まさに世界的な躍進のなかでの最高のタイミングでの発表となります。映像と音楽の両面から、野心やアイデンティティ、そして大人へと変化していく過程で生まれる葛藤といったアルバムの核となるテーマを美しく描き出しています。


mui zyu – “時の流れに身をまかせ (Give Yourself to the Flow of Time)”

香港系イギリス人アーティスト Eva Liu のソロプロジェクト mui zyu(ムイ・ジュー) がリリースしたシングル「時の流れに身をまかせ (Give Yourself to the Flow of Time)」は、1986年にテレサ・テンが大ヒットさせた不朽の名曲を大胆に再構築したカバー作品です。荒木とよひさ作詞、三木たかし作曲による原曲の持つエッセンスを大切にしながら、mui zyu は友人に借りたヴィンテージ・シンセサイザー「DX7」を導入し、当時のサウンドパレットを再現。さらに、レギュラー・コラボレーターの Coco Inman によるバイオリンのアレンジを施し、自身のキーに合わせて原曲より全音(2半音)下げることで、ノスタルジックでありながらも彼女のドリーミーで内省的なインディー・ポップの世界観に見事へと昇華させています。

このカバーは、mui zyu 自身のパーソナルな記憶やルーツと深く結びついています。幼少期から家族の集まりのカラオケやドライブ中に母親と大声で歌い、数々の言語で歌い上げたテレサ・テンのディスコグラフィーから多大な影響を受けて育った彼女は、自身の日本語レッスンの成果を試す意味も込めて本作に挑戦しました。「もしもあなたと逢えずにいたら 私は何をしてたでしょうか」というあまりにも有名な歌詞が紡ぐ、運命に身をゆだねる切なくも強い愛のメッセージを、彼女の儚く浮遊感のあるウィスパーボイスが優しく包み込みます。世代や国境を越えて愛され続ける名曲に、新たな息吹を吹き込んだ感動的な1曲です。


Nell Mescal – “Settles”

アイルランド出身のシンガーソングライター Nell Mescal(ネル・メスカル)のシングル「Settles」は、彼女がアーティストとしての「足場を確立した」と確信を持って送り出すエモーショナルなインディー・ポップ・ナンバーです。2024年のデビューEP『Can I Miss It For a Minute?』で体型や人間関係といったパーソナルな痛みを実直に描き、i-DやNME、Rolling Stone UK Awardsなどから高評価を得た彼女。現在は拠点をロンドンへと移し、自身の心地よい歌声と洗練された楽器編成を高次元で融合させることで、22歳という若さながらも圧倒的な説得力を持つ新章のサウンドスケープを構築しています。

これまでのエレクトロニックに傾倒したリズミカルなポップ・サウンドの系譜を受け継ぎつつ、本作は2025年のEP『The Closest We’ll Get』での経験を経て、より研ぎ澄まされた完成度へと到達しています。彼女自身が常に完璧を追い求め、試行錯誤を繰り返す中で生まれたこの楽曲は、親密でありながらもバンドのダイナミズムを感じさせる仕上がりです。2025年末の精力的なツアーを経て、世界的ブレイクの最前線に立つ彼女のこれからの躍進を決定づける、力強くも繊細なシングルとなっています。


Hazel English – “Conversations”

オーストラリア出身でカルフォルニアを拠点に活動するシンガーソングライター Hazel English のシングル「Conversations」は、彼女の持ち味であるノスタルジックで煌びやかなドリーム・ポップの世界観が広がる楽曲です。長年のコラボレーターである Day Wave の Jackson Phillips とともに制作された本作は、耳に心地よいローファイなギターの音色とドリーミーなシンセサイザーのレイヤーが印象的な仕上がり。歌詞では「あの頃の古い家へ連れていって」「毎週のように重ねていた会話(Conversations)はいつ止まってしまったんだろう」と、幼い頃のような純粋な繋がりや、かつての親密な関係を回想する切ない物語が描かれています。

サウンド面では、90年代のインディー・ポップやシューゲイザーへの敬意を感じさせつつも、現代的な洗練を失わない絶妙なバランスを保っています。「新しい何かを探そうとするたびに、結局はあなたのところへ戻ってきてしまう」という歌詞の通り、どれだけ周りの世界を変えようとしても募っていく大切な人への愛おしさや、一瞬で過ぎ去ってしまう(fleeting)時間の儚さを、Hazel English の浮遊感のある歌声がエモーショナルに表現。リスナーのパーソナルな記憶やセンチメンタルな感情を優しく呼び起こす、温かみと寂しげな余韻が同居するインディー・ロックに仕上がっています。


Pit Pony – “Thunder”

イギリス・ニューカッスルを拠点に活動するオルタナティヴ・ロックバンド Pit Pony(ピット・ポニー)の新シングル「Thunder」は、2025年に高い評価を得たセカンドアルバム『Dead Stars』以来となる待望の新曲です。本作は、フロントウーマンである Jackie が妊娠7ヶ月のときに、ニューアルバムに続く新たなエネルギーと興奮をそのまま真空パックするようにレコーディングされました。神話や記憶、そして生の感情が轟くようなガレージ・ロック調のサウンドスケープに昇華されており、人生の嵐のような局面を乗り越えていく強さを描いた、パワフルでエレクトリファイイングな1曲に仕上がっています。

楽曲およびミュージックビデオの核となっているのは、「嵐」が持つ魔法のような魅力と、カオスな状況を生き抜くための「信じる力」です。Jackie が幼少期に親友から聞いた「嵐の雲の中に北欧神話の雷神トールを見た」というエピソードから着想を得ており、歌詞には星座(乙女座)や古い伝説、いつの日かトールのハンマーを操りたいというファンタジーが散りばめられています。ビデオでは、自分の力ではコントロールできない人生の理不尽さや、理想通りにいかない現実への葛藤(脆弱さ)を抱えつつも、目に見えない大いなる力を信じることで前を向こうとする、人間の内なる「強さ」がエモーショナルな映像美とともに描き出されています。


Slyrydes – “One Is Too Many”

アイルランドを拠点に活動するポストパンク・バンド Slyrydes が、新シングル「One Is Too Many」で強烈な帰還を果たしました。今作からは、ダブリンの Darklands studio のプロデューサーでもある Dan Doherty がバンドの公式ドラマーとして正式に加入。新体制となった彼らは、アイルランド国内で深刻な問題となっているメンタルヘルスの危機(メンタルヘルス・クライシス)というリアルな社会課題に対し、これまで以上に強い信念と情熱を持って真っ向から向き合っています。

このシングルは、依存症やメンタルヘルスにおける「シラフ(素面)でいること」の重要性と、そのリアルな葛藤を極めて率直に描いています。素面を保つことが命に関わるほど極めて重要であると自覚しつつも、それが同時に「退屈で楽しめない(no craic)」と感じてしまう人間の複雑な心理を内省的に描写。楽曲の終盤には、聴き手の心に深く突き刺さるような、不穏で鮮烈なスポークン・ワード(朗読)のセクションが用意されており、彼らの持ち味であるダークな緊迫感と社会的メッセージが最高潮に達する構成となっています。


Frances Chang – “Auratones of Desire”

ブルックリンを拠点に活動するシンガーソングライター Frances Changのニューシングル「Auratones of Desire」は、2026年8月21日にリリースされる待望のアルバム『been thinking bout confession』からの先行カットです。本作は「投影に関する古典的な心理学的物語」であり、自己の矛盾を深く掘り下げたサイコロジカル・スリラーのような楽曲に仕上がっています。ストラヴィンスキーの現代音楽的なエッセンスと、フィルム・ノワールを彷彿とさせるサスペンスフルなストリングスが、彼女の親密で内省的なボーカルをじわじわと追い詰め、聴き手を緊張感の最高潮へと誘います。歌詞や楽曲のテーマにおいて、彼女が追い求める「他者」の存在は、実は自分自身のもう一つの側面(自己の分身)に過ぎないという、深遠な自己探求が描かれています。

楽曲と同時に公開されたミュージックビデオは、Frances Chang 自身と映画監督の Annie Hornerが共同で手がけたシュールレアリスム溢れる作品です。映像の中で Frances Chang は、いくつかの夢のようなシチュエーションや実存的な危機をめぐるシーンを探索していきます。楽曲が持つ不穏でスリリングな空気感と、映像の悪夢的でありながらもどこか美しいヴィジュアル・ワークが見事にシンクロ。リスナーの無意識に揺さぶりをかけるような、 Frances Chang 独自のアートセンスが爆発したコンセプチュアルな映像作品となっています。


Hannah Cole – “MMA”

ナッシュビルを拠点に活動するシンガーソングライター Hannah Cole(ハナー・コール)が、9月4日にインディーレーベル Tight Knit からリリースする待望のデビューアルバム『Switchbacks』より、先行シングル「MMA」を発表しました。2024年から2025年にかけてパートナーである Josef Kuhn(ジョセフ・クーン)と共にホームスタジオでレコーディングされ、ほぼ全ての楽器を自ら演奏して作り上げられた本作は、アメリカン・フットボールや Wisp などを手がけた Sonny Diperri(ソニー・ディペリ)がミックスを担当。90年代のシューゲイザーやグランジを彷彿とさせるザラついたギターと重厚なドラムが鳴り響く一方、Soccer Mommy(サッカー・マミー)を思わせる Hannah Cole の優しく煌びやかなボーカルが見事なコントラストを描く、中毒性の高いオルタナティヴ・ロックに仕上がっています。

楽曲およびミュージックビデオのインスピレーションの源泉となっているのは、総合格闘技(MMA)の血生臭さや容赦ない激しさ、そして作家 Joan Didion(ジョーン・ディディオン)の小説『プレイ・イット・アズ・イット・レイズ』、ラスベガスの街が放つ独特の生々しさ、そして音楽業界というシビアな世界の厳しさです。「スロットマシンにコインを入れても、まともなチャンスなんて一度もなかった。いつ去るべきかも分からない」という歌詞が象徴するように、ビデオでも音楽業界での成功への執着や、泥臭くあがきながらも純粋なアーティストとしての核を守ろうとする彼女のリアルな葛藤と野心が、重低音の効いた重厚な世界観とともにエモーショナルに描き出されています。


12k Gotti – “Climax”

アンダーグラウンド・シーンで頭角を現す12k Gottiがドロップしたシングル「Climax」は、ディープで中毒性の高いインディー・ラップの質感と、彼の研ぎ澄まされたリリシズムが炸裂する一曲です。本作は、7月23日にリリースを控える待望のプロジェクト『MADLIFE』からの先行トラック。新進気鋭のインディー・ヒップホップ・レーベル「10k.」からのリリースということもあり、耳の肥えたリスナーの間で大きな注目を集めています。張り詰めた緊張感のなかにエモーショナルな余韻を残すビートの上で、彼のリアルな生き様をストレートにスピットする姿は、まさにタイトル通り『MADLIFE(狂った人生)』の絶頂(クライマックス)へと向かうエネルギーを感じさせます。

また、楽曲と同時に公開されたミュージックビデオは、12k Gotti自身が自ら監督(Directed by 12k Gotti)を務め、気鋭のクリエイターである@fastlifeboloが撮影(Shot by @fastlifebolo)を担当しています。アーティスト自身のビジョンが100%反映された映像は、派手な演出に頼るのではなく、ストリートの生々しい空気感や日常の瞬間をドキュメンタリータッチで巧みに切り取っているのが特徴です。楽曲が持つどこか哀愁を帯びた、それでいて力強い世界観をヴィジュアル面から完璧に補完しており、映像と音楽がシームレスに融合した完成度の高いアートワークに仕上がっています。

Freak Slug – “Girl, Intentions”

シングルとしての「Girl, Intentions」は、マンチェスター出身のアーティスト兼プロデューサーであるXenya Genoveseによるプロジェクト、Freak Slugが放つ、自己肯定感に満ちたグランジ・アンセムです。映画『Girl, Interrupted(17歳のカルテ)』からインスピレーションを得た本楽曲は、彼女のニュー・アルバム『Amulet』からのファースト・シングルとしてリリースされました。ロンドンとロサンゼルスで制作された本作は、女性の内なる葛藤や、月と闇に象徴される女性性を表現しています。「自分自身の魂の存在や力を感じ、誰も気づいていない自分の可能性を証明する、自分への賛歌」と彼女が語る通り、完璧さを求めるのではなく、声の癖を活かしたキャラクターの強いヴォーカルで、生の感情をありのままに表現した力強い1曲に仕上がっています。

公式のミュージックビデオ(および楽曲の背景)は、アルバム『Amulet』の核心である「世代を超えたトラウマからの癒やし」というディープな世界観を視覚的にも表現しています。アルバム自体は、知恵ゆえに迫害された中世のヒーラー(治療師)の物語をなぞりながら、女性に対する暴力の影響やアイデンティティ、自己理解への探求をテーマにしていますが、本ビデオもそのリアルな感情の揺らぎを反映しています。Xenya Genoveseにとって「これまでの人生で最も重要な、ありのままの自分を表現できた作品」であるこの映像世界は、前作『I Blow Out Big Candles (But With a Cherry on Top)』からさらなる大胆な進化を遂げた、Freak Slugの予測不能な魅力と新しい世代のインディー・ロックの姿を鮮烈に焼き付けています。