Katie Alice Greer – “Unglued”

Priestsの元フロントウーマン、Katie Alice Greerが、来月GAK Recordsからソロアルバム『Perfect Woman Sound Machine, Vol. 1』をリリースします。高い評価を得た2022年のソロデビュー作『Barbarism』に続く本作から、新曲「Unglued」が公開されました。西洋の覇権主義が強いる「常に上を求め続ける」という強迫観念と、それゆえに満たされない絶望感を、唸るギターと共に描き出した一曲です。

この楽曲は「Clevelandのプロトパンク・バンドでKim Gordonが歌っている姿」をイメージして制作されました。彼女はPriests時代の自分を一つのキャラクターとして捉えており、今作ではあえてその激しい側面を解放したと語っています。また、自ら監督を務めたミュージックビデオは、映画『オープニング・ナイト』のGena Rowlandsの演技から着想を得ており、レトロな映像と現代のゴス、そして自由に踊る自身の姿をコラージュした印象的な映像に仕上がっています。

R. Missing – “Thisworldly”

ニューヨークを拠点に活動するダーク・ポップ/エレクトロニック・デュオ R. Missing が、最新シングル「Thisworldly」をリリースしました。本作は、彼らの真骨頂とも言える、冷徹でいてどこか官能的なシンセサイザーの音響と、ボーカルの Sharon Shy による憂いを帯びた歌声が完璧な調和を見せています。タイトルが示唆する「この世のもの」という言葉とは裏腹に、現世の喧騒から切り離されたような、孤独で静謐な夜の情景を鮮やかに描き出しています。

サウンドプロダクションにおいては、ミニマルなビートと幾層にも重なる硬質なテクスチャーが、聴き手を深い没入感へと誘います。これまでの作品にも通ずるノワール(暗黒)な美学を継承しつつ、より洗練されたメロディラインが際立っており、ポストパンクやインダストリアルの影響を独自のポップ・センスで昇華させています。日常の背後に潜む空虚さや切なさを、美しく、そして鋭く切り取った、現代のエレクトロ・ポップにおける珠玉の一曲です。

Jehnny Beth – “Look At Me” (feat. Mike Patton)

Jehnny BethがMike Pattonとコラボレーションした新曲は、「現代における真実の切り売り」を痛烈に批判する一作です。ネット上で「自己改善」の方法を説き、人々にコントロールの幻想を与えようとするインフルエンサーたちの姿を描いており、彼らの真の目的は救済ではなく「自分が注目の中心にいたい」という虚栄心にあると厳しく指摘しています。

サウンド面では、Jehnny BethとMike Pattonの両者にとって、これまでのキャリアとは一線を画す非常にユニークで実験的なアプローチが取られています。互いの個性がぶつかり合い、既存のイメージを覆すような新境地を見せており、二人のアーティストとしての柔軟性と鋭い批評性が融合した意欲作に仕上がっています。

Girl Scout – “Crumbs”

ストックホルムのジャズ学生たちが、80〜90年代のガレージロックやブリットポップへの愛を共有して結成したバンド、Girl Scout。彼らが3月20日にAWALからリリースする待望のデビューアルバム『Brink』より、最終先行シングル「Crumbs」が公開されました。本作のミックスには、WednesdayやSnail Mailを手がけたAlex Farrarを起用。Alvvaysとのツアーや3枚のEPリリースを経て着実に支持を広げてきた彼らが、満を持して放つ一作となっています。

新曲「Crumbs」について、ボーカルのEmma Janssonは、音楽業界周辺に身を置きながらも音楽や人間そのものには関心がなく、ゲストリストや無料のビールにしか興味がない人々への皮肉を込めたと語っています。過去の先行曲「Same Kids」や「Operator」に続くこのトラックは、鋭い観察眼と卓越したソングライティングが融合した、彼らの新たなチャプターを象徴するアンセムに仕上がっています。

Cass McCombs & Chris Cohen – “Ignis fatuus, Hinkypunk, Sharkfins and Ambergris”

Cass McCombsが、長年の友人であり共演者でもあるChris Cohenと共同制作したニューシングルを発表しました。今作ではChrisが作曲、Cassが作詞を担当。アートワークは二人の共通の友人であるTrevor Shimizuが手掛けています。Chrisは、Cassのデビューアルバム『A』への参加や『Interior Live Oak』の共同プロデュースなど、長年にわたり彼の音楽活動を支えてきた重要なパートナーであり、今回のコラボレーションでその深い信頼関係が改めて形となりました。

収録された2曲について、Cassは「尊厳についての、どこか壊れた瞑想」と説明しています。「Steel Reserve」では公共の場には存在しない、茂みの奥に隠された尊厳を探求し、W.B. Yeatsから着想を得た「Ignis Fatuus」では、血と狂気に染まった地球から集められた海賊の財宝のような世界を描いています。独自の文学的視点と卓越した音楽性が融合した、深みのあるシングルに仕上がっています。

Slow Crush – “Que Du Noir” & “Hallowed”

Slow Crushが、2025年のアルバム『Thirst』のレコーディング・セッションから生まれた2曲のB面トラックを公開しました。そのうちの一曲「Que Du Noir」について、ボーカルのIsaは「これまでに書いた中で最もダークで強烈な楽曲」だと語っています。制作当初、彼女はこの曲を歌うたびに感情が溢れ出し、一度も泣かずにレコーディングを終えることができなかったほど、深い感情が込められた一作となっています。

興味深いことに、この極めて暗い楽曲は、ギリシャのミコノス島で過ごした「人生で最も暖かく光に満ちた一週間」の中に誕生しました。その眩い光に満ちた環境とは対照的に、楽曲の内側に抱え込まれた闇の深さが際立つ、Slow Crushにとって極めてパーソナルで情熱的な作品に仕上がっています。

ENOLA – “I Know You’re Leaving”

メルボルン(ナーム)を拠点に活動するドリーム・ポップ/シューゲイザー・アーティスト ENOLA(Ruby Marshall)が、ニューシングル「I Know You’re Leaving」をリリースしました。近日発売予定のEP『Nothing Lasts Forever』からの先行カットとなる本作は、自身の誕生日の帰路、恋人の肩に頭を預けながら高速道路を眺めた静かな瞬間に着想を得ています。「デヴィッド・リンチの映画のワンシーン」のような親密さと、いつか終わることを予感しながらも愛に身を委ねる切実な感情が、柔らかな音像の中に封じ込められています。

サウンド面では、HTRKやRowland S. Howardを手掛けた Lindsay Gravina がミックスとマスタリングを担当し、爆発的なカタルシスよりも、静寂と抑制を効かせた重厚なアトモスフィアを重視しています。これまでに BBC Radio や Rolling Stone など国内外の主要メディアから高く評価されてきた ENOLA ですが、本作ではシューゲイザーのテクスチャーと剥き出しの感情の明晰さをさらに深化させ、変化の直前に訪れる「静止した時間」を鮮やかに描き出しています。

RIP Magic – “5words”

RIP Magicが発表した最新シングル「5words」は、エモーショナルな質感と実験的なエレクトロニクスが交錯する、彼ららしい独自のサウンドスケープを持った一曲です。緻密なビートと霧がかったドリーミーなシンセが重なり、言葉にできない複雑な感情の揺らぎを、断片的なメロディの浮沈によって見事に表現しています。音の余白を活かした内省的なプロダクションは、静謐でありながらも確かな熱量を湛えており、聴く者を深い没入感へと誘います。

本作には、伝説的なプロデューサー Maurice Fulton によるリミックスが収録されている点も見逃せません。予測不能なシンセの展開と中毒性の高いベースラインを注ぎ込む彼の手腕により、原曲のポテンシャルは独創的でサイケデリックなグルーヴへと昇華されています。原曲の繊細なエッセンスを尊重しつつ、変則的なリズムアプローチでダンスフロア仕様へと再構築したこのリミックスは、作品全体にエクスペリメンタルなエッジと強力な推進力を与えています。

Erin Rae – “Whip-Poor-Will” (Jason Molina Cover)

ナッシュビルを代表するシンガーソングライター Erin Rae は、2018年のデビュー作『Putting On Airs』で高い評価を得て以来、シーンの重要人物として着実にキャリアを築いてきました。2022年の最新作『Lighten Up』では、Jonathan Wilson や Kevin Morby といった新たな協力者を迎え、自身の音楽性を大きく進化させています。サイケデリアやコスミック・カントリー、さらにはトパンガ・キャニオンを彷彿とさせるインディー・フォークが融合したそのサウンドは、Pitchfork や Rolling Stone をはじめとする多くのメディアから絶賛を浴びました。

彼女の卓越した才能は、業界内でも厚い信頼を得ています。2019年にはアメリカーナ・ミュージック・アワードで「新人賞」にノミネートされ、2023年のニューポート・フォーク・フェスティバルでは、Brittany Howard や Mavis Staples など数多くのステージに客演し、最も多くのゲスト出演を果たしたアーティストに贈られる「ジム・ジェームス賞」を受賞しました。Angel Olsen や Father John Misty といった名だたるアーティストのツアーサポートも務めており、現代のフォーク/アメリカーナ・シーンにおいて欠かせない存在となっています。

Hause Plants – “Do It Like This”

ニューヨークを拠点に活動する Guilherme Correia によるプロジェクト Hause Plants が、最新シングル「Do It Like This」をリリースしました。本作は、80年代のポストパンクや90年代のインディー・ロックの系譜を感じさせる、疾走感あふれるギター・アンサンブルと躍動的なリズムが特徴です。これまでにリリースされた作品同様、都会的な孤独感と夜の熱気が混じり合うような、彼ら特有のノスタルジックかつフレッシュなサウンドスケープが際立つ仕上がりとなっています。

サウンド面では、煌めくようなギターのリフと、どこか物憂げながらも芯のあるボーカルが絶妙なバランスで共鳴し、リスナーを瞬時に高揚させます。制作の拠点であるブルックリンのDIYシーンの空気感を反映しつつ、より洗練されたプロダクションへと進化を遂げた本作は、変化を恐れずに突き進むバンドの現在地を鮮やかに提示しています。日常の何気ない瞬間を、まるで映画のワンシーンのようにドラマチックに彩る、珠玉のインディー・ポップに仕上がっています。

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