北欧の異才Atlanter、10年の時を経て復活。新作『Klokker』で描く、砂漠のブルースと北欧フォークが交錯する唯一無二の境地

ノルウェー出身の4人組バンドAtlanterが、独自のジャンル「ヴィッデブルース(viddeblues)」をさらに深化させた3枚目のアルバム『Klokker』を2026年にリリースします。2013年のデビュー以来、スペルマン賞や北欧音楽賞へのノミネートなど高い評価を得てきた彼らは、プログレ、クラウトロック、ワールドミュージックを融合させた唯一無二の音楽宇宙を再構築しています。

前作『Jewels of Crime』から10年ぶりとなる本作は、メンバーがソロ活動を経て再集結し、純粋な演奏の喜びに立ち返ることで生まれました。クリックトラックやインイヤーモニターを排し、4人が楽器を持ち寄ってジャムや探究を重ねるという極めてシンプルな手法を採用。アフリカのデザート・ブルースからノルウェーの伝承音楽までを飲み込んだ緻密なギターワークと催眠的なリズムが、聴き手を壮大な旅へと誘います。

40代を迎えたメンバーの内省的な視点を反映した本作は、実存的なテーマを扱いながらも、過度な装飾や研磨を削ぎ落とした「ありのまま」の響きを大切にしています。年齢を重ねて自分たちが本当に求める音を理解したからこそ到達できた、円熟味と遊び心が共存する表現力豊かな作品となっており、彼らにしか鳴らせない「音のパノラマ」が10年の時を経て鮮烈に描き出されています。

La Peste – “Acid Test”

「Acid Test」は、La Peste の未発表音源集『I Don’t Know Right From Wrong: Lost La Peste Vol. 1』に収録された一曲です。メンバーの Mark Karl が「2コードの魔法」と評するこの楽曲は、執拗なベースライン、怒りに満ちたギター、そして打ち鳴らされるドラムが三位一体となった、スリーピース・バンドとしての完璧なアレンジを誇ります。ライブでは常に観客を「制御された狂乱」へと導く、バンドの真骨頂とも言えるナンバーです。

歌詞では、信頼していた相手の裏切りを知り、関係が冷え切っていく際の生々しい感情が描かれています。「戦士でありたいのに、ただの男に過ぎない」という葛藤や、友人から真実を聞かされた惨めさ、そして嘘にまみれた相手への怒りが、曲の進行とともに激しさを増す演奏に乗せて叩きつけられます。シンプルでありながら、誰もが共感しうる失意と決別の瞬間を、圧倒的な熱量で封じ込めたパンク・アンセムです。

Starcharm – “Wake Up”

シカゴを拠点とするElena Buenrostroのソロ・プロジェクトStarcharmが、Fire Talk Records傘下の新進レーベルAngel Tapesより新曲「Wake Up」をリリースしました。カルト的人気を博した前身バンドSoft and Dumbの解散を経て始動したStarcharmは、デビュー曲「The Color Clear」で新しいプロジェクトの瑞々しい高揚感を描きましたが、今作では一転して、創作活動を継続していく中での葛藤や「歩みを止めるな」という内なる焦燥感に焦点を当てています。洞窟のような深みのあるインディー・ロックの層に、骨太なギターラインと緻密なリズムが重なり、アーティストが抱えるリアルな内的対話を鮮烈に映し出しています。

今週1月30日(金)には、シカゴのSchubas Tavernで開催される「Tomorrow Never Knows Festival」にて、Angel Tapesのショウケースに出演します。地元シカゴの仲間であるImmaterializeやira glassに加え、レーベルメイトのJawdropped、Retail Drugsらと共にステージに立つ予定です。前身バンド時代からのファンのみならず、新たなインディー・シーンの目撃者としても見逃せない、プロジェクト始動後の重要なライブパフォーマンスとなります。

シカゴのStuckが放つ衝撃の3rdアルバム。自己改善という名の地獄を撃ち抜く、冷徹で鋭利なポストパンクの最前線

シカゴのポストパンク・トリオStuckが、通算3作目となるニューアルバム『Optimizer』を3月27日にExploding in Soundからリリースします。地元シカゴの伝説的なスタジオElectrical Audioにて、プロデューサーのAndrew Oswaldを迎え録音された本作は、制御不能な車に閉じ込められたような、逃れようのない焦燥感と現代社会の閉塞感を鋭く描き出しています。

アルバムの核心にあるのは、終わりのない「自己改善(セルフ・オプティマイゼーション)」への執着と、それがもたらす虚無感です。先行シングル「Instakill」では、SNS上の怪しげなセルフヘルプの教祖や広告を標的に、人々の不安に付け入るビジネスの暗部をユーモアを交えて批判しています。カバーアートに描かれた「バッファリング地獄に囚われた彫像」が象徴するように、向上を目指すすべての試みが、皮肉にもより効率的な衰退のスパイラルへと自分を縛り付けていく様子を、緻密かつ攻撃的なサウンドで表現しています。

フロントマンのGreg Obisは、これまで得意とした政治的な視点をより直接的な社会問題へと転じ、世界を「絶望的な人々がひしめく巨大な商業ジム」になぞらえて、現代の欺瞞を鋭く告発しています。2023年のツアー直後に制作された本作は、崩壊する音楽業界の中で創作を続けることへの個人的な葛藤や代償をも生々しく反映しており、社会全体と個人の内面の両方から「逃げ場のない現代の悪夢」を実況報告するような野心作となっています。

SPRINTS – “Deceptacon”

ダブリン出身のバンド SPRINTS が、Le Tigre のクラシックな名曲「Deceptacon」をエレクトリックに再解釈したカバーを公開しました。フロントマンの Karla Chubb は、「ギターを弾く女性で、Kathleen Hanna に影響を受けていない人はいないでしょう。この曲はダンス・パンクの金字塔であり、私たちのツアーバンでも常に流れている定番です」と、原曲への深い敬意を語っています。

かつてはフェスティバルのセットリストに遊び心で組み込んでいたというこのカバーは、今回彼らのアメリカ再上陸を記念して正式にリリースされました。アメリカのパンク・シーンへの愛とリスペクトを込めた、SPRINTS 流の「Deceptacon」は、彼らのエネルギッシュなライブ・パフォーマンスの勢いをそのまま封じ込めたような仕上がりとなっています。

Coach Party – “Nurse Depression”

イギリス・ワイト島出身の4人組インディーロックバンド、Coach Partyがリリースしたシングル「Nurse Depression」は、彼ららしいエネルギッシュで攻撃的なギターサウンドと、内省的でどこか憂いを帯びたメロディが交錯する楽曲です。タイトルの通り、精神的な閉塞感や抗いようのない憂鬱さをテーマに据えながらも、それを爆発的なパンク・エネルギーへと昇華させることで、現代を生きる人々が抱える焦燥感を鮮烈に描き出しています。

本作では、ボーカルのJess Eastwoodによる力強くも繊細な歌声が、混沌とした感情をダイレクトにリスナーの心へと突き刺します。キャッチーなフックを維持しつつも、ノイズ混じりのギターリフや疾走感のあるドラムが「出口のない感情」を劇的に表現しており、バンドが持つライブ感溢れるダイナミズムと、音楽的な深化を同時に感じさせる一曲に仕上がっています。

ノースカロライナのSluice、移籍第一弾アルバムより新曲「Beadie」を発表。静寂と躍動が共鳴する珠玉のインディー・フォーク

ノースカロライナ州ダラムを拠点とする4人組バンドSluiceが、Mtn Laurel Recording Co.からの移籍第一弾となる3rdアルバム『Companion』のリリースに先駆け、哀愁漂う先行シングル「Beadie」を発表しました。フロントマンのJustin Morrisは、ロンドンとブリストルを巡るFustのツアー中に、移動中のサービスエリアからこの曲の背景を語っています。

「Beadie」は、人生の激しい動きの中にある静止や、立ち止まって過去や現在を見つめ直す感覚を想起させる楽曲です。Morrisが生まれ育った環境に似たヒルズボロの農場にある、電気技師の作業小屋を改装した練習スペースで産声をあげたこの曲は、大人としての生活に馴染んでいく過程や、新たなコミュニティへの帰属意識、そして愛と友情への賛歌として綴られています。

楽曲の終盤では、生活の細部を切り取った歌詞とは対照的に、渦巻くようなギターと脈打つドラムによる壮大なサウンドが展開されます。「冬の間、どうやって火を絶やさずにいられるだろう」という一節が、揺れ動く音像の中で切なく響き渡ります。日常の些細な断片と、世界を享受しようとするロマンチックな情熱が同居する、バンドの深化した姿を象徴する一曲です。

マルセイユ・シーンの至宝Avee Mana、待望の初フルアルバム『LAYERS』をリリース。独自の世界をより深く追求したシングル「Tune In」をミュージックビデオと共に解禁

フランスのマルセイユを拠点に活動するサイケデリック・インディーロックバンド、Avee Manaが最新シングル「Tune In」をビデオと共に公開しました。2019年の初EP『Who The Fuck Is Francky Jones』や2023年の『Inner Life』で高い評価を得てきた彼らは、マルセイユ・シーンの驚異的な生命力を象徴するクアドラプレット(四人組)として、着実にその地位を築き上げてきました。

彼らの音楽性は、狂おしいほどの気品を纏ったサイケデリアとガレージ・ロックの融合にあります。ライブシーンでは長年かけて「本物の戦闘マシン」へと成長を遂げ、ストーナー・ロックの重厚さ、パンクの鋭い疾走感、そしてポップスの軽やかさを自在に操る圧倒的なパフォーマンスを武器に、幅広い層を魅了する実力を備えています。

満を持して発表される初のフルアルバム『LAYERS』は、名門レーベルHowlin’ BananaとHazard Recordsより2026年2月20日にリリースされます。Rémi Bernard、Julien Amiel、Francky Jones、Sylvain Brémontの4人は、その強大な「マナ(力)」をより広い世界へと浸透させるべく、加速し続けるバンドの歴史に新たな一頁を刻もうとしています。

Mildfire – “Trampoline”

Mildfireの楽曲「Trampoline」は、冬のリガ(ラトビア)にて現地の新星FiņķisやAndis Ansons(Bel Tempo)との偶然の出会いから誕生しました。ノルウェーとラトビアという北欧諸国に共通する親和性を背景に、日本ツアーを終えたばかりの彼らと、ユーロビジョン予選の熱狂の中にいた現地の才能が共鳴。淡い陽光が差し込むスタジオで、お互いの創造性への信頼と好奇心を詰め込みながら、この多国籍なコラボレーションが形作られました。

サウンド面では、VHSのようなノスタルジックなシンセとローファイなラジオ信号のような質感から始まり、Mac DeMarcoを彷彿とさせるポップな軽やかさと、チェロや重層的な歌声によるドラマチックな展開を併せ持っています。Ofelia OssumとEinar Strayのユニゾンは、実験的な音像を纏いながらもかつてないほどキャッチーです。歌詞では「強さ」という鎧を脱ぎ捨て、人間らしい柔らかさや脆さ、そして他者への細やかな関心にこそ価値があるという変化を描き、振り子のように揺れ動く心の機微を表現しています。

Glitterfox – “i want you bad”

ポートランドを拠点に活動するインディーロック・カルテットの新曲「i want you bad」は、憂いを帯びたダンスのリズムに乗せて、希望と不安が重なり合う複雑な感情を表現しています。Solange Igoaのボーカルは、後半に向けてKaren Oを彷彿とさせる荒々しくも伸びやかな叫びへと変貌し、制御と崩壊、絶望と解放の狭間で揺れ動く生々しい切実さを放っています。

歌詞では、エゴや支配欲を排した純粋な「心の渇望」が描かれており、「I want you bad」というリフレインが、執着的でありながらも柔らかく誠実な響きを持って繰り返されます。バンドが奏でる軽快で中毒性のあるサウンドは、一歩間違えれば堕ちてしまいそうな危うい渇望を、高揚感あふれるダンスミュージックへと見事に昇華させています。

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