mui zyu – “時の流れに身をまかせ (Give Yourself to the Flow of Time)”

香港系イギリス人アーティスト Eva Liu のソロプロジェクト mui zyu(ムイ・ジュー) がリリースしたシングル「時の流れに身をまかせ (Give Yourself to the Flow of Time)」は、1986年にテレサ・テンが大ヒットさせた不朽の名曲を大胆に再構築したカバー作品です。荒木とよひさ作詞、三木たかし作曲による原曲の持つエッセンスを大切にしながら、mui zyu は友人に借りたヴィンテージ・シンセサイザー「DX7」を導入し、当時のサウンドパレットを再現。さらに、レギュラー・コラボレーターの Coco Inman によるバイオリンのアレンジを施し、自身のキーに合わせて原曲より全音(2半音)下げることで、ノスタルジックでありながらも彼女のドリーミーで内省的なインディー・ポップの世界観に見事へと昇華させています。

このカバーは、mui zyu 自身のパーソナルな記憶やルーツと深く結びついています。幼少期から家族の集まりのカラオケやドライブ中に母親と大声で歌い、数々の言語で歌い上げたテレサ・テンのディスコグラフィーから多大な影響を受けて育った彼女は、自身の日本語レッスンの成果を試す意味も込めて本作に挑戦しました。「もしもあなたと逢えずにいたら 私は何をしてたでしょうか」というあまりにも有名な歌詞が紡ぐ、運命に身をゆだねる切なくも強い愛のメッセージを、彼女の儚く浮遊感のあるウィスパーボイスが優しく包み込みます。世代や国境を越えて愛され続ける名曲に、新たな息吹を吹き込んだ感動的な1曲です。


Sofia Wolfson – “Kid”

ロサンゼルス出身・在住のシンガソングライターSofia Wolfsonが、ニューシングル「Kid」をリリースしました。本作のレコーディングはレコーディング・スタジオのInfinite FamilyにてFranky Foxによるエンジニアリングのもとで行われ、インディ・シーンで活躍する実力派ミュージシャンたちが集結。Harrison Whitford(ギター、ベース、キーボード)、Remy Morritt(ドラム、キーボード、バックボーカル)、Benny Bock(ピアノ、キーボード)らが参加し、Gregg Whiteがミックス、Pat Sullivanがマスタリングを手がけています。

楽曲を彩るアートワークには、写真家Michael Northrupによる1981年の作品「Skeleton and baby」が起用され、Michael Tyrone Delaneyがカバーデザインを担当しています。ロサンゼルスの豊かな音楽的土壌で育った彼女の卓越したソングライティングと、腕利きミュージシャンたちによる繊細かつ温かみのあるアンサンブルが融合した、リスナーの心に優しく寄り添う珠玉のインディ・フォーク/ポップ・シングルに仕上がっています。

Vitesse X – “Take A Picture”

プロデューサーでありヴォーカリストでもあるVitesse Xが2026年5月にリリースしたシングル『Take A Picture』は、1990年代後半にアメリカのロックバンド・Filterが放ったオルタナティヴ・ロックの名曲を、彼女ならではの解釈で再構築した作品です。冬のドライブ中に偶然この原曲を聴き、そのシンプルで純粋な世界観に心を打たれて制作を決意したという本作は、原曲が持つエスケープ(現実逃避)の感覚や、その底に流れる憂いを見事に引き出しています。

サウンド面では、ドリーム・ポップ、トリップ・ホップ、そしてブレイクビーツの要素を巧みに融合。オリジナルが持っていたラフなギターやルーズなドラムの質感を、霞みがかった浮遊感のあるアトモスフェリックな空間へと昇華させています。彼女の持ち味である映画のワンシーンのような情緒的アプローチとシネマティックな音像によって、原曲のメロディの美しさを際立たせつつも、現代的で非常にパーソナルな未来志向のエレクトロニック・ミュージックへと鮮やかに生まれ変わらせています。


Ducks Ltd. – “Easy Come, Easy Go” (feat. Martin Courtney)

このテキストは、The Go-Betweensへの深い敬意と、Real EstateのMartin Courtneyとの共同制作の舞台裏を明かしたものです。第一段落では、バンド解散直後にGrant McLennanが発表したソロ1作目から、彼らのお気に入りの一曲を紹介しています。比喩を用いながらも簡潔で直接的な言葉選びや、現代的なイメージを時代を超越した響きへと昇華させる彼の手腕を絶賛しており、「もしThe Go-Betweensのアルバムに収録されていたら、間違いなく代表的なクラシックになっていただろう」と評しています。

第二段落では、ニューヨーク州ビーコンにあるMartin Courtneyの「幽霊が出る」というスタジオで行われたレコーディングについて触れています。ツアーのオフラインを利用し、わずか一日で完成させたこのセッションは、長年近いジャンルで活動してきた者同士、プロセスや本能的な感覚において多くの共通点があったといいます。自分たちのスタイルを理解し合う相手だからこそ得られた、独創的な視点やアイデアが盛り込まれた刺激的なコラボレーションとなりました。


Shaking Hand – “The Shining”

マンチェスターを拠点とするShaking Handが、高い評価を得たデビュー作に続き、Badly Drawn Boyの名曲「The Shining」のカバーをリリースしました。メンバーのGeorgeとFredにとって幼少期のドライブの記憶と深く結びついているというこの曲を、彼らはオリジナルのブラスやストリングスを主体とした構成から、多幸感溢れるポストロック・ギターへと大胆にアレンジ。バケットハットやマラカスのイメージに代表されるマッドチェスター時代とは異なる、マンチェスター音楽シーンの繊細な側面に光を当てています。

このカバーはBadly Drawn Boy本人からもお墨付きを得ており、メンバーの父親たちを涙させるほどの情緒的な仕上がりとなっています。リリースと併せて、2026年11月にはバンド初となる全17公演のヨーロッパ・ツアーも発表されました。マンチェスターのThe White HotelやブリクストンのClub Cheekでの公演を含む、バンド史上最大規模のヘッドライン・ツアーとなる予定で、彼らの新たな飛躍を象徴する活動に注目が集まっています。


The Tubs – “Fade to Black”

The TubsによるMetallicaのカバー「Fade to Black」は、伝説的なパワーバラードを、まるで元からそうあるべきだったかのような田園的でジャングリーな叙事詩へと変貌させています。Owen Williamsは、10代の頃から憧れていたレーベルMergeへの移籍を発表するにあたり、この楽曲をフォークロック風に再構築したアウトロを加え、自分たちらしい挨拶として完成させたと語っています。

Owen Williamsは、Metallicaのバラードには歌詞の拙さを補って余りある、奇妙で美しく唯一無二のクオリティがあると高く評価しています。お気に入りのリフへの敬意はもちろん、彼ら自身の持ち味であるジャングル・ポップの要素を注ぎ込むことで、遊び心に溢れたカバーに仕上げました。なお、Mergeへの移籍を心から喜んでおり、自分たちの音楽的ルーツへの深い愛も滲ませています。

Blood Vulture – “You Fail Me”

ハードコア・レジェンドであるConvergeが2026年に立て続けのアルバムリリースでファンを沸かせる中、彼らの代表曲「You Fail Me」を自称“ヴァンパイア・スラッジ”勢力のBlood Vultureがカバーしました。ボーカル兼ギターのJordan Olds率いる同バンドは、原曲の持つ鋭さを歪んだ重厚なサウンドへと再構築。Jacob Bannonによる原曲の野性的な叫びとは対照的に、あえてクリーントーンのボーカルを採用することで、より不気味で陰鬱な唸りを感じさせる独自のグランジ・スタイルへと昇華させています。

制作面では、オリジナルの『You Fail Me』でもプロデュースやマスタリングを手掛けたJon MarksonとAlan Douchesが再び名を連ねており、歴史的な背景を汲んだ重厚な仕上がりとなっています。Jordan Oldsは、Jacob Bannonの詞が持つ怒りと共感の葛藤に深い敬意を表しており、現在進行形で進化し続けるConvergeへの称賛としてこのカバーを捧げました。楽曲の終盤には、Blood Vultureらしい遊び心のある「イースターエッグ」も仕込まれており、リスペクトに満ちた一曲となっています。


mui zyu – “パラレリズム (Parallelisme)”

ロンドンを拠点に活動するアーティスト、mui zyuが、越美晴(Miharu Koshi)が1984年に発表したカルト・ポップの傑作「パラレリズム(Parallelisme)」を大胆かつ遊び心たっぷりに再構築したカバーをリリースしました。細野晴臣(Haruomi Hosono)のプロデュース作品を探究する中で本作に出会ったという彼女は、その風変わりな魅力と実験的なポップ・サウンドに即座に魅了されたといいます。オリジナルの持つ独特な精神に敬意を払いつつ、mui zyu自身の現代的なアート・ポップの美学を通して、時代と影響を繋ぐ新鮮で幻想的な再解釈を提示しています。

mui zyuは「甘いメロディと異世界のようなテクスチャーが、洗練されたポップとして融合していることに衝撃を受けた」と語っています。日本語を学習していた時期にこの曲を録音することに特別な意義を感じ、アレンジのためにプロダクションを深く掘り下げる過程で、曲への愛着がさらに深まったといいます。1年前の日本ツアー中にようやくアナログ盤を「宝物」として見つけ出したというエピソードもあり、本作は彼女にとって個人的な思い入れが詰まった一曲となっています。v


Wizaard – “Main dans la main”

モントリオールを拠点に活動するサイケデリック・インディー・ロック・バンド、Wizaardが、フランスの伝説的なシンセポップ・デュオであるElli et Jacnoの1980年の名曲「Main dans la main」をカバーし、2026年4月16日にLisbon Lux Recordsよりリリースしました。

Wizaardらしいドリーミーでサイケデリックな解釈が加わった本作は、春の訪れを告げるような温かく心地よいサウンドに仕上がっています。

Pullman – “Here Come The Warm Jets”

Pullmanが2002年4月10日にフィラデルフィアのNorth Starで行ったライブ音源「Here Come The Warm Jets」がリリースされました。本作は、Brian Enoの楽曲をカバーしたライブでの定番曲を収録しており、Tim Barnes(ベース)、Ken BrownとCurtis Harvey(エレクトリック・ギター)、Doug McCombs(ペダル・スティール)、Chris Hansen(ドラム)という編成による貴重なパフォーマンスが記録されています。

バンドのギタリストであるKen Brownの回想によれば、Pullmanは2001年9月に初のツアーを開始したものの、翌朝の出来事により中断を余儀なくされました。その後、翌春に再結集を果たし、東海岸やルイビル、シカゴを巡るツアーを完遂。本作はそのツアーの記憶を留める音源であり、当時の彼らが奏でていた二枚のアルバムからの楽曲と、夜の締めくくりとして演奏されていたBrian Enoカバーの情熱を今に伝える重要なドキュメントとなっています。

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