Mia June – “Careful”

オーストラリア・メルボルンを拠点に活動するシンガーソングライター Mia June の新曲「Careful」のミュージック・ビデオは、急進的なギター・サウンドが光った前作「Pet」から一転し、静かな予感と親密さに満ちたフォーク寄りのアプローチをとった楽曲の世界観を繊細に映像化しています。2023年初頭の創造性豊かな時期に書かれたこの曲は、かつての知人に向けて「移行期にある人生の不確実性と混乱の中で自分と向き合う覚悟があるか」を直接問いかける、ラヴレターであり警告でもある複雑な心情を描き出しています。

映像作品としては、メルボルンにてバンドメンバーの Patrick Whitford や Ethan Dixon とともに完全DIYで制作・録音された音源が持つ、ホームレコーディングならではの温かみと生々しい臨場感をそのまま視覚的に投影しています。過度な装飾を削ぎ落とした素朴でプライベートな空気感が楽曲の持つ親密さを引き立てており、オーストラリアの若手インディー・シーンにおいて最も注目すべきソングライターのひとりとして進化を続ける Mia June の、等身大で情熱的な魅力をまっすぐに伝える映像に仕上がっています。


Hello Shark – “In Hell”

Lincoln HalloranによるプロジェクトHello Sharkのシングル「In Hell」は、レーベルFather/Daughter Recordsからリリースされた静けさと切なさが漂う楽曲です。バー「Dolphin」の外で過ごした夜の情景や、引っ越しを控えて泣く友人を抱きしめて笑う「あなた」の記憶など、失われゆく瞬間と面影が、短くも詩的な言葉で淡々と描かれています。

サウンド面では、素朴なエレキギターの響きと透明感のあるヴォーカルを中心に、Garrett Linckによるベースやドラム、アコースティックギターが寄り添うシンプルで温かみのある構成となっています。「are you still in hell? or are you still?(あなたはまだ地獄にいるの?それとも、まだそこに留まっているの?)」という問いかけで結ばれる詞世界は、聴き手に静かな余韻を残します。


mui zyu – “時の流れに身をまかせ (Give Yourself to the Flow of Time)”

香港系イギリス人アーティスト Eva Liu のソロプロジェクト mui zyu(ムイ・ジュー) がリリースしたシングル「時の流れに身をまかせ (Give Yourself to the Flow of Time)」は、1986年にテレサ・テンが大ヒットさせた不朽の名曲を大胆に再構築したカバー作品です。荒木とよひさ作詞、三木たかし作曲による原曲の持つエッセンスを大切にしながら、mui zyu は友人に借りたヴィンテージ・シンセサイザー「DX7」を導入し、当時のサウンドパレットを再現。さらに、レギュラー・コラボレーターの Coco Inman によるバイオリンのアレンジを施し、自身のキーに合わせて原曲より全音(2半音)下げることで、ノスタルジックでありながらも彼女のドリーミーで内省的なインディー・ポップの世界観に見事へと昇華させています。

このカバーは、mui zyu 自身のパーソナルな記憶やルーツと深く結びついています。幼少期から家族の集まりのカラオケやドライブ中に母親と大声で歌い、数々の言語で歌い上げたテレサ・テンのディスコグラフィーから多大な影響を受けて育った彼女は、自身の日本語レッスンの成果を試す意味も込めて本作に挑戦しました。「もしもあなたと逢えずにいたら 私は何をしてたでしょうか」というあまりにも有名な歌詞が紡ぐ、運命に身をゆだねる切なくも強い愛のメッセージを、彼女の儚く浮遊感のあるウィスパーボイスが優しく包み込みます。世代や国境を越えて愛され続ける名曲に、新たな息吹を吹き込んだ感動的な1曲です。


故郷への郷愁を美しいハーモニーに乗せて──Biita HoudeiがBuck Meek(Big Thief)を迎えた新曲とともに待望のデビューアルバムを発表

フォーク・シンガーソングライターのBiita Houdeiが、デビューアルバム『This Bed Was Made For Me』のリリースを発表し、先行シングルとして「The Ground Here」を公開しました。本作は、叔母から贈られたペルシャ語で「ユニーク」を意味する新しい名前「Biita」を名乗って初の作品であり、彼女自身のペルシャ系アメリカ人としてのルーツへの想いも込められています。シンガーソングライターのHaley Heynderickxが初のリードプロデューサーを務め、プロデューサー兼エンジニアのSahil Ansariとともに制作を支えました。

アルバムの幕開けを飾るシングル「The Ground Here」には、Big ThiefのギタリストであるBuck Meekがフィーチャリングとして参加しています。移住先であるカリフォルニア州トパンガの美しくも乾燥した夏の中で、故郷であるミズーリ州オザークの豊かな川や恵みの雨、そして冬の気配を恋しく想う個人的な郷愁が描かれています。遊び心あふれる独特な楽器演奏に乗せて、Biita HoudeiとBuck Meekの歌声が美しいハーモニーとなり、自然の移り変わりや恵みを情感豊かに表現しています。

アルバム全体としては、発酵茶で始まり全員での食事で締めくくられる10日間の濃密な連続レコーディングによって制作されました。2018年以来の友人であるHaley Heynderickxとは、オレゴン州の田舎での共同合宿を経てスタジオ入りしており、そのアットホームで緊密な仲間意識が作品全体に息づいています。愛や自らのルーツ、時間の尊さといったテーマに触れながら、光と笑い声、そして静かな孤独が同居する、生き生きとしたフォーク・サウンドが詰まったコレクションに仕上がっています。


Biita Houdei – “The Ground Here”

フォーク・シンガーソングライターのBiita Houdeiが、デビューアルバム『This Bed Was Made For Me』のリリースを発表し、先行シングルとして「The Ground Here」を公開しました。叔母から贈られたペルシャ語で「ユニーク」を意味する新しい名前「Biita」を冠して初の作品となる本作は、シンガーソングライターのHaley Heynderickxが初のリードプロデューサーを務め、Big ThiefのギタリストであるBuck Meekがフィーチャリングで参加しています。楽曲では、移住先のカリフォルニアの乾燥した夏から始まり、故郷であるミズーリ州オザークの豊かな川や恵みの雨、冬の訪れを恋しく想う彼女の個人的なノスタルジーが、二人の美しいボーカル・ハーモニーとともに情緒豊かに描き出されています。

本作のミュージックビデオは、オザーク山脈の瑞々しい自然やカリフォルニアの焦げ付くような景色のコントラストなど、楽曲に込められた季節の移り変わりや郷愁を視覚的に補完する仕上がりとなっています。音楽と映像が一体となることで、彼女が大切にする自らのルーツや自然への深い畏敬の念がより鮮明に表現されており、各配信プラットフォームやYouTubeなどで公開・配信されています。


10年の沈黙を破りAttic Abasementが帰還:孤独な内省の夜から紡ぎ出された、待望のニューアルバム『Moonlight Passes On』が描く新たな軌跡

ニューヨーク州ロチェスターを拠点とする Mike Rheinheimer のレコーディング・プロジェクト Attic Abasement が、前作から10年ぶりとなる4枚目のスタジオ・アルバム『Moonlight Passes On』を2026年8月14日に Father/Daughter Records からリリースします。本作はライブ録音だった前作とは対照的に、何年にもわたる内省と孤独から生まれた作品です。2023年初頭に彼が自宅の地下室で得たインスピレーションをきっかけに、プロデューサーの Ben Morey とともにほぼすべての楽器を自ら演奏し、楽曲を一つずつパズルのように重ねて完成させました。

このアルバムに収録されている楽曲「Bruised Water Moon」は、初期のパシフィック・ノースウェストのインディー・ロックやミッドウェスト・エモの系譜を色濃く受け継いだナンバーです。哀愁を帯びた歌声のメロディが、オープンコードのギターとペダル・スティールのアクセントの上を滑るように進み、楽曲にほのかなウェスタンの輝きを与えています。窮屈な地下室の空気感と広く開かれた大気の間を漂うような、アルバム全体に共通する独特の空間哲学がこの曲にも息づいています。

アルバム全体を通じて、Mike Rheinheimer の歌詞は小さな告白のように、少し声を潜めた呟きでありながらも聴き手の心に真っ直ぐに突き刺さります。彼がギターを弾きながら瞑想的な精神状態で紡ぎ出した言葉とメロディは、まるでその瞬間に見つけ出されたかのように自然と溢れ出たものです。初期の傑作『Dancing is Depressing』や『Swim Through the Dirt』の頃のDIYなアプローチへと立ち返り、彼自身の迷いや実存的な不安を解消する永遠の表現の出口として、変わらない音楽的基盤を提示しています。


Biita Houdei – “Life Inside the Hourglass”

実力派レーベルのBasin RockおよびFather/Daughter Recordsとの契約を果たした実験的フォーク・シンガーソングライター、Biita Houdeiが、移籍後初となるデビュー・シングル「Life Inside the Hourglass」をリリースしました。彼女はこれまでLéPonds名義で4枚のアルバムを自主リリースし、Jeff TweedyやHaley Heynderickxとのツアーを経験してきましたが、叔母から贈られたペルシャ語で「唯一無二」を意味する現在の名へと改名。「ペルシャのルーツをより身近に感じる」と語る新たなアーティスト名のもと、Haley Heynderickxのプロデュースにより、わずか20分で幽霊のように舞い降りてきたという新曲を完成させました。

楽曲と同時に公開されたミュージックビデオについて、彼女は「空間や時間から切り離された、まるで虚無の中にいるような感覚を表現したかった」と明かしています。その覆われた空間の中で、彼女は喜びと悲しみの双方が交錯するパフォーマンスを披露しており、自らの内にある脆さや繊細さを素直にさらけ出すことへの心地よい衝動(あるいは導き)を感じながら撮影に臨んだと語っています。


Mia June – “Pet”

オーストラリア・メルボルンを拠点に活動するMia Juneが、2025年のEP『Brain Like Computer』や、Father/Daughter Recordsの15周年記念コンピレーションで見せたmui zyuのカバーを経て、待望のニューシングル「Pet」をリリースしました。本作のプロデュースは、Folk Bitch TrioやRolling Blackouts Coastal Feverを手掛けたAnna Lavertyが担当。これまでの彼女の作品に見られた柔らかさは影を潜め、ザラついた質感のギターと焦燥感のあるリズムセクションが、より鋭利で緊張感のあるインディー・フォーク・サウンドを作り上げています。

歌詞の面では、一方がもう一方の後をペットのように追いかけるという、いびつな関係性がテーマとなっています。「Pet」は、そんな相手を「甘やかし、守らなければならない」と感じている側の視点から描かれた一方的な対話です。彼女の持ち味である親密な空気感を残しつつも、どこか理性が解けていくような危ういアンサンブルを通じて、不均衡な人間関係の中に潜む複雑な感情を浮き彫りにしています。


mui zyu – “パラレリズム (Parallelisme)”

ロンドンを拠点に活動するアーティスト、mui zyuが、越美晴(Miharu Koshi)が1984年に発表したカルト・ポップの傑作「パラレリズム(Parallelisme)」を大胆かつ遊び心たっぷりに再構築したカバーをリリースしました。細野晴臣(Haruomi Hosono)のプロデュース作品を探究する中で本作に出会ったという彼女は、その風変わりな魅力と実験的なポップ・サウンドに即座に魅了されたといいます。オリジナルの持つ独特な精神に敬意を払いつつ、mui zyu自身の現代的なアート・ポップの美学を通して、時代と影響を繋ぐ新鮮で幻想的な再解釈を提示しています。

mui zyuは「甘いメロディと異世界のようなテクスチャーが、洗練されたポップとして融合していることに衝撃を受けた」と語っています。日本語を学習していた時期にこの曲を録音することに特別な意義を感じ、アレンジのためにプロダクションを深く掘り下げる過程で、曲への愛着がさらに深まったといいます。1年前の日本ツアー中にようやくアナログ盤を「宝物」として見つけ出したというエピソードもあり、本作は彼女にとって個人的な思い入れが詰まった一曲となっています。v


attic abasement – “Summer Coat”

約10年の沈黙を破り、Attic Abasementがシングル「Summer Coat」で帰還しました。ニューヨーク州ロチェスターを拠点に20年以上活動するソングライター、Mike Rheinheimerは、不安とドライなユーモアを、巧妙に構成されたインディー・ロックへと昇華させ、カルト的な支持を集めてきたプロジェクトです。今作ではMike自身がすべての楽器を演奏しており、明るく弾むようなギターと、彼特有の淡々とした節回しが、プライベートで一貫した論理を感じさせる独特な空気感を作り出しています。

現在のAttic Abasementは、Mike Rheinheimer(ギター、ボーカル)を中心に、Keith Parkins(ベース)、Emily Monaco(キーボード)、Joe Parker(ドラム)というバンド編成で活動しています。彼らはロチェスター周辺でライブを行いながら、新たな楽曲制作やレコーディングを継続しており、長年のキャリアを経てより確かな手つきで自身の内面世界を描き出しています。かつての「ベッドルーム発の言葉」を再定義し、心地よくも一癖あるサウンドで再びシーンにその存在感を示しています。