James Welsh – “Stove Goblin”

レーベルPhantasyが、記念すべき150番目のシングルとして、レーベルの主要アーティストであるJames Welshによる「Stove Goblin」をリリースしました。かつてKameraという名義でPhantasyからデビューしたWelshは、その後本名でリリースを重ね、秘教的なハウス、刺激的なテクノ、そして幅広い実験的な影響を組み合わせたサウンドを展開しています。彼の音楽は、ハードコアとレイヴシーンの両方で培われたバックグラウンドを融合させています。

「Stove Goblin」は、近々リリースされる極めて個人的なソロアルバムからの最初の楽曲であり、Welsh独自のサウンドパレットが宿る、煌めくIDM(インテリジェント・ダンス・ミュージック)です。デジタルのリズムが砕かれたチャンネルが、シネマティックな意図をもって空間的に展開されます。このシングルは、リーズやシェフィールドといった地域から長きにわたって生まれてきた先進的なエレクトロニックミュージックの系統に連なる、音響的なカタルシスとして書かれました。「Stove Goblin」には、BAFTA受賞監督であるKieran Evansが撮影した素晴らしいミュージックビデオが付属しています。

Verses GT – “Found”

Verses GTが、彼らのアルバムから新しいビデオシリーズの第一弾となる「Found」を公開しました。このビデオシリーズは、Verses GTのレコードに込められた多様なテーマ、すなわち現実の繋がり、人間関係、そして形式をその本質まで剥ぎ取ることにインスパイアされています。

特に「Found」では、登場人物がコミュニティとして描かれ、打ち明けられるプラトニックな関係における緊張と解放、そして音楽という暗黙の共通の対話を探求しています。このビデオはXavier Teraが監督し、Xavier TeraとTerence Tehが脚本を書き、Twin Brains Filmsが制作しました。

Nikki Nair, Foodman – Nagoya

プロデューサーの Nikki Nair と Foodman は、Nikkiがツアー中に名古屋へ立ち寄った2025年3月から共同制作を開始し、お互いの音楽スタイルを明確にブレンドした『Nagoya EP』をリリースしました。リードトラック「Sorry I Lost My Glasses In The Public Bathhouse」は、彼らがレンタルスタジオで共に演奏したライブドラムを基盤とし、オフキルターでジャングルライクなリズムとエイリアン的なメロディが融合した異質なエネルギーを持つトラックです。「Deep Miso」は、Foodmanがニックネームをつけた名古屋名物「味噌煮込みうどん」にちなんで名付けられ、目まぐるしいドラムと抽象的なサウンドスケープが特徴です。

このEPは、単なるスタジオセッションの記録に留まらず、Foodman流の温かいホスピタリティ、すなわち公共浴場でのリラックスした時間や地元のバーでの交流といった「名古屋での瞬間と記憶」が直接埋め込まれています。彼らはその後もインターネットを通じて制作を続け、Foodmanが描いた楽しかった思い出のモンタージュがアートワークを飾っています。この作品は、物理的な共同作業とオンラインでの継続を通じて生まれた、友情と個人的な体験が深く反映されたコラボレーションの結晶です。

カルト指導者の父との決別を音楽に昇華:Essvus(Gen Morigami)が数十年の心理的苦痛を「ノイズ駆動のIDM」で表現したカタルシス的アルバム『What Ails You』

音楽プロデューサー Essvus(Gen Morigami)は、ニューアルバム『What Ails You』を通じて、長年にわたるメンタルヘルスとの闘い、家族との疎遠、そしてアート、創造性、コミュニティとの再接続を表現しています。この作品は、ノイズ駆動型かつIDMの影響を受けた、魅惑的でカタルシスのある音楽となっています。Essvus自身、「この音楽に取り組み始めたのは、数年続いた重度の自己破壊的な鬱病の最中だった」と説明しており、人生の暗い側面に絡みつく温かさ、慰め、美しさを織り交ぜています。

このアルバムの制作動機には、Essvusの個人的なトラウマが深く関わっています。彼は、2020年に父親からの関係を断ち切るメールを受け取った際に、初めて父親がカルトの指導者であり、自分が「数十年にわたる自己愛的な虐待と心理的苦痛」に耐えてきたことを認識したと告白しています。この決別は、彼を操り、這い戻らせるための戦術でしたが、結果として彼が過去と向き合い、芸術を通じて自己を解放する大きなきっかけとなりました。

リードシングル「Never Here」のオフィシャルビデオも公開されました。この曲は、催眠的でトランスのようなドラムンベースのフレーミングの中に、「I wish I was never here(私は決してここにいなければよかった)」というフレーズを響かせることで、抑圧的なダンスフロアを想起させます。この言葉は、Essvusが経験した「暗い時代と心理的な状態」を語っており、絶望的な感情を、踊れるリズムに乗せて表現するという、作品の複雑な側面を象徴しています。

Indian Wells & Maria Chiara Argirò – “Scordato”

イタリア人プロデューサーの Indian Wells とジャズアーティストの Maria Chiara Argirò がコラボレーションした楽曲「Scordato」は、ダウンテンポ・エレクトロニカとオーガニックな即興演奏が見事に融合した作品です。ピアノ、ヴォーカル、テクスチャのあるシンセサイザーが絡み合い、不完全さの中にある美を探求しています。このトラックは、人間の温かみとデジタルの正確さが融合する場所を表現しています。

このコラボレーションの焦点の一つとして、わずかにテンポが速く、雰囲気に満ちた楽曲「Nightfall Song」が挙げられています。このトラックは、EP全体の中で活気ある中心点として際立っており、リスナーをIndian Wellsの緻密なプロダクションとMaria Chiara Argiròの即興的な有機的な感触が調和した、独特のサウンドスケープへと誘います。

MatmosのDrew Daniel(The Soft Pink Truth)が問う:「こんな楽しい時間は永遠に続くのだろうか?」:室内楽と電子音楽が融合した反ファシスト的美のハイブリッド

The Soft Pink Truth(Drew Daniel、Matmosのメンバー)は、2026年1月30日にThrill Jockeyからリリースされる待望のニューアルバム『Can Such Delightful Times Go On Forever?』から、先行シングル「Time Inside the Violet」の公式ミュージックビデオを公開しました。このビデオはMatthew Murray SullivanとVicki Bennettのコラボレーションによるものです。ジョンズ・ホプキンズ大学の教授でもあるDanielは、高度な概念と豊かな感情を音楽で融合させることで知られ、今回のアルバムでは、室内楽と電子音楽を融合させた魅惑的な新しいハイブリッドを提示。国際的なコラボレーターを迎え、20世紀半ばの映画音楽やミニマリズム、ポップの形式言語を想起させる、精緻なアレンジと豪華な構成のサウンドを生み出しています。

本作は、「こんな楽しい時間は永遠に続くのだろうか?」という問いを軸に、ファシズムや権威主義といった現代のディストピア的状況下での快楽の限界を探ります。Danielは、音楽の慰めには限界があるとしつつも、増していく残忍な世界への対抗として、親密さ、コミュニティ、そして臆することのない美しさといった価値観を強く打ち出します。エレクトロニックなダンスフロアとクラシックの音楽院を結ぶ要素を探りながら、この作品は周囲の崩壊に直面した際の間に合わせの「クィアな避難所」を提供することを期待されています。その華やかな音色とは裏腹に、アルバムは感情的で脆弱な側面を持ち、絶え間ない音楽の異端者から驚くほど繊細な変身を遂げたことを示しています。

アルバムの鮮やかなサウンドは、Ulas Kurugulluによるストリングス・アレンジメント、Neleta OrtizとCecilia Cuccoliniによるハープ、M.C. Schmidtらのピアノ、そしてEbu String Quartetらの演奏を含む、多数のアコースティック楽器と電子楽器によって構築されています。特に、ノイズデュオTongue DepressorのZach Rowdenや、ギタリストのBill Orcuttといった著名なコラボレーターが参加しています。感情表現と、過去の録音史への巧妙な言及が結びつけられたこの音楽は、Danielの養父が経営していた映画館での経験から、Bernard Herrmannの映画スコアを思わせる部分も含んでいます。作曲家・プロデューサーとしてのDanielの熟練度を示すこのアルバムは、ポップ構造とクラシックの音色を巧みに織り交ぜ、「キャンプとは優しさである」というSusan Sontagの言葉のように、現代の集団的な痛みに対する癒やしとして機能する、贅沢なファンタジーの音世界を創り上げています。

Tycho & Paul Banks – “Boundary Rider”

サンフランシスコを拠点とするミュージシャン、Scott HansenによるプロジェクトTychoが、最新シングル「Boundary Rider」で、大きな影響を受けてきたInterpolのフロントマン、Paul Banksとのコラボレーションを実現しました。今年初めにアルバム『Infinite Health』をリリースしたTychoにとって、この曲は彼のクリーンで親しみやすいポストロックに、シネマティックなサイケデリック・ロックの要素を加えた楽曲となっています。

Tychoは、長年のインフルエンサーであるPaul Banksとのコラボレーションの機会に飛びついたと述べています。楽曲「Boundary Rider」は、もともと「Forge」というタイトルのインストゥルメンタル曲として数年前から制作されていたものです。Banksにデモを送る際、Tychoは1930年代の西オーストラリアの奥地で広大な敷地のフェンスを巡回・管理していたバウンダリー・ライダー(Boundary Riders)の孤立した生活に着想を得て、このタイトルを提案しました。Banksの深い孤立感を帯びた歌詞が、Tychoが感じたこの「孤独な存在」との共鳴を明確に捉え、楽曲のテーマを完成させました。

90年代サンプリングCD消失が誘発した「狂気と倦怠」への回帰:Oneohtrix Point Neverが2年ぶり新作『Tranquilizer』と3曲のディストーテッドな先行トラックを公開

ニューヨークを拠点とするヴェイパーウェイヴの魔術師、Daniel Lopatin(Oneohtrix Point Never)は、長きにわたり多様なジャンルで活躍してきました。2017年のSafdie Brothersによる映画『Good Time』のスコア制作以降、彼は映画音楽の世界で目覚ましい活躍を見せています。また、The Weekndの2020年のアルバム『After Hours』への参加をはじめ、近年はMGMTやYung Leanといった大物アーティストの作品にも貢献しています。昨年はJohn Medeskiと共同でHBOドラマ『The Curse』のスコアを手掛けたほか、Josh Safdie監督の待望の新作『Marty Supreme』のスコアも担当するなど、多忙な日々を送る傍ら、自身のニューアルバム『Tranquilizer』を来月リリースします。

OPNの前作は2023年の『Again』ですが、Lopatinはインターネットアーカイブから90年代のサンプリングCDのアーカイブが消滅しているのを発見したことがきっかけで、追跡アルバムとなる『Tranquilizer』を制作しました。本日、彼はこのアルバムから最初の3曲「For Residue」「Bumpy」「Lifeworld」を公開しました。いずれも不安を誘う、息苦しいようなインストゥルメンタルで、「For Residue」は霧がかったドローンと荒い呼吸音で構成され、「Bumpy」は神経質なメロディーと神経質なパーカッションが初期OPNの深夜のチャンネル・フリップ感を彷彿とさせます。「Lifeworld」はビートベースですが、やはり方向感覚を失わせるような曲であり、Lopatin自身がディレクションしたビデオも公開されています。

公開された新曲はSpotifyで『tra』EPとしてまとめられています。Oneohtrix Point NeverのElectric Music Companyは、今後数週間にわたり、「日曜が月曜に変わる頃」に新曲を定期的にリリースしていくとInstagramで告知しています。Lopatinは今回の新作について、「これは、過ぎ去った時代の商業用オーディオ・コンストラクション・キットによって形作られたレコードだ。すなわち、定型句を裏返しにしたインデックスである」と説明しています。さらに、「今日の文化の核心にあるある種の狂気と倦怠感を最もよく呼び起こすプロセス指向の音楽制作への回帰だ」と述べ、現代社会の感覚を音楽で表現していることを強調しました。

Lone – “Ascension.png”

イギリス人プロデューサーの Matt Cutler によるプロジェクト Lone が、約2年ぶりとなる新シングル「Ascension.png」をリリースしました。遊び心と感情豊かなダンスミュージックで知られる Lone の本作は、サム・ピアノの軽やかな音色と柔らかなシンセの雲でゆらめくように美しく始まりますが、その後、あらゆる方向からジャングル・ブレイクビーツが爆発的に飛び込み、楽曲の雰囲気が劇的に変化する非常にクールなプロダクションとなっています。

Lone はプレスリリースで、この曲の着想源となった夢について説明しています。その夢とは、「小さな砂漠の島から離れて海を漂流する小さな筏に乗っている」というもので、「潜在意識が時間の本質について何かを伝えようとしているように感じた」と言います。彼はこのトラックから感じる色彩が夢の中のものとほぼ同じであると述べており、また、楽曲にはジャングル音楽を象徴する有名なファンクブレイクビートである「Amen」ブレイクが多用されていることも明かしています。

Cid Rim – “Limbo”

Cid Rimのニューアルバム『SPRINT』から、収録曲「Limbo」のミュージックビデオが公開されました。このビデオはDave Canningが監督を務めています。楽曲「Limbo」は、「My head bangin’ against the crash cymbal.(頭がクラッシュシンバルにぶつかっていた)」というフレーズが示すように、停滞と精神的な混乱をテーマとしています。ビデオは、この出口のない状態や不安定さを、Cid Rim特有のアグレッシブなリズムと音響に乗せて視覚的に表現しています。

ビデオは、楽曲に内在する「リンボ(辺獄)」の閉塞感と、ドラムサウンドが持つ爆発的なエネルギーとのコントラストを巧みに描いていると推測されます。ジャズ・フュージョンとエレクトロニック・ミュージックが融合した推進力のあるサウンドに合わせて、映像は単調な状況から急激なカッティングや抽象的な動きへと変化し、聴き手の五感を刺激します。このビデオは、Cid Rimの音楽が持つ巧妙なリズムのプログラミングと、内面的な葛藤というテーマを視覚的に結びつけていると断言できます。