アンビエント・シーンの重要人物 Ana Roxanne が、待望のニューアルバム『Poem 1』より先行シングル「Keepsake」をリリースしました。前作『Because of a Flower』から約6年、彼女は失意と内省の時間を経て、明らかな人生の新フェーズに立っています。かつてのようなテープノイズや重層的なエフェクトの影に隠れることなく、今作では彼女の歌声がむき出し(naked)のまま提示され、古典的な意味でのシンガーソングライターとしての真価を発揮しています。
新曲「Keepsake」は、まるで誰もいない廃墟のバーで、埃を払いながらピアノの鍵盤を叩き、自らの感情の傷跡を棚卸ししているかのような静寂に満ちています。かつてジャズシンガーを夢見た彼女のルーツが、デヴィッド・リンチ的な映画的風景と交差し、スローで静かな「ムード」を創り出しています。自己憐憫に浸るのではなく、記憶の断片をシュールな表現へと昇華させることで、表現の論理性の中に確かなカタルシスを見出しています。
アルバム全体では、Robert Schumann の歌曲の再解釈から、地平線に光が差すような「Atonement」まで、深い悲しみの淵から前を向くまでの旅路が描かれています。最小限のピアノやベースの伴奏が、一語一語の重みを際立たせ、聴き手に彼女の息遣いをダイレクトに伝えます。「一人で、前を向いて走る」という決意に至るこの物語は、Ana Roxanne がかつてないほど大胆に、そして誠実に自らを開示した記念碑的な作品となっています。
