Sliftの『ILION』は、ロックの最高傑作。このトリオに任せておけば大丈夫。メタルの猛烈な激しさとサイケ・ロックのくねくねしたギターの勇壮さを、ポスト・ロックの壮大なスケール感と融合させた、重厚で大洋のような3枚目のフルアルバム。ILIONは、聴いていて “これはたった3人で作ったのか？”と思うような音楽。確かにそうで、SLIFTの獰猛さは、茶碗の中の大騒動以上のもの。SLIFTは、兄弟で構成されたバンド。
SLIFTは、ジャンとレミのフォサット兄弟とCanek Floresで構成されています。2016年にバンドが正式に結成された後、彼らはすぐにストーナー・ロックのヘヴィネスとガレージ・ロックのシュガー・ラッシュの特質を融合させた2017年のデビューEP『Space Is the Key』を制作。そこからはますます奇妙に： 翌年のフルアルバム『La Planeté Inexploreé』では、より速いテンポとボンゴ（！）を使った実験を行い、2019年にはレンヌのTrans Musicalesフェスティバルで録音された彼らのKEXPセッションがバイラル・センセーションを巻き起こし、YouTubeの再生回数は140万回を突破。
2020年の『UMMON』は、レミの転がるようなベースラインとフローレスの容赦ない叩きつけによって、SLIFTがサイケメタルに傾倒したことを象徴する作品。それは、Godspeed You Black Emperorの永遠に高揚し続ける波動、ポスト・ハードコアの伝説である…And You Will Know Us By the Trail of Deadの情熱的な炎、Led Zepのサイケデリックなブルース・ロックの神秘主義、スウェーデンの実験的な偉大なバンドGoatのサイケデリックな渦巻きを想起させるもの。
しかし、『ILION』を参考文献の羅列で片付けてしまうのは的外れ。昨年Singles Clubからリリースされた “Unseen “と “The Real Unseen “に続く、バンドにとって2枚目のSub Popからのリリース。『ILION』のタイトル・トラック “Weavers’ Weft “の純粋な忘却から、”The Story That Has Never Been Told “の12分半の壮大なクライマックスまで。
しかし、この旅とは？SLIFTに言わせれば、Joseph Campbellもこの『ILION』でリスナーの前に示されたテーマの道筋を誇りに思っていることでしょう： 「このアルバムは、ホメロスの物語のように構成されています。この2枚のアルバムの違いは、『ILION』が人間の感情や感覚を描いているのに対し、『UMMON』は壮大な物語を遠景から描いている点です。ILIONは人類の滅亡と、時空を超えた万物の再生を表現しています」。
SLIFTが『ILION』で表現していることを理解するのに、12面体のダイスや『The Odyssey』のコピーは必要ありません。必要なのは、2つの耳とオープン・マインド、そして本当に吹き飛ばされたいという意志だけ。
