Green Gardens – “Greeting” / “I Am Kind”

トレング・ギターの音色と深い霧のようなサウンドに包まれた楽曲「Greeting」は、現状を変えたい、過去に戻りたいといった「欲求」がもたらす無力感や葛藤を掘り下げています。ソングライターのChris Aitchisonは、こうした感情がいかに現実を歪め、「ただそこに存在すること」の美しさを覆い隠してしまうかを説明しています。テープが同じ場所でスキップするように繰り返される思考のループから抜け出し、新しいカセットへと入れ替えるような、再生への試みがこの曲には込められています。

対照的に、カップリング曲である「I Am Kind」は、7分間にわたるストリングスの調べと独特なバズ音の中で、タイトルをマントラ(真言)のように唱える希望に満ちた楽曲です。バイオリンの音色が互いを支え合いながら高まっていく構成は、優しくありたいと願う切実な意志を象徴しています。曲の核心には、苦難の中でも「太陽が輝いている」と語る母親の声が収められており、その声こそが何よりも聴くべき音楽であるという、深い慈しみと肯定感が表現されています。

Indigo De Souza – “Come To God”

Indigo De Souzaが発表したニューシングル「Come To God」は、彼女の人生における劇的な転換点から生まれました。洪水ですべての持ち物を失い、最も親密だった人間関係が突然終わりを迎えるという過酷な状況の中で、彼女は住み慣れた土地を離れ、ロサンゼルスへと移住することを決意しました。

現実が根底から覆されるような混乱の中で、彼女は「悲しみ(grief)」を非常に重要な教師であると再認識したと語ります。悲しみは循環しながら自分を新しい姿へと生まれ変わらせ、いかなる状況でも「自分の身体は安全な場所である」と教えてくれる存在であるという、再生への力強いメッセージがこの曲には込められています。

Felix Antonio – “tired”

InFinéレーベルの最新アーティストであり、2026年の「Chantiers des Francos」にも選出されたFelix Antonioが、ニューシングル「tired」をリリースしました。本作は、内面的な情動の疲弊と平穏への探求をテーマにした、親密で剥き出しのポップ・フォーク・バラードです。誠実な歌詞と繊細なプロダクションを通じて、孤独や家族、依存といった深いテーマを、電車の旅路を思わせる瞑想的で安らかな空気感の中に描き出しています。

2001年にノルマンディーで生まれた彼は、幼少期から音楽に親しみ、クラリネット、ピアノ、ギターを習得しました。10代の頃に触れたニューウェイヴやブリットポップ、フォークといった音楽的背景をベースに、現在はシンガーソングライター兼パフォーマーとしてソロの道へ踏み出しています。その確かな音楽的背景と深い感性を武器に、ソロアーティストとして自身の全才能を鮮やかに開花させています。

ノイズはもう飽きた。実験音楽界の異端児Callahan & Witscherが、ミレニアム・ポップの皮を被りアンダーグラウンドの終焉を歌うメタ・ロックの極致

Jack CallahanとJeff Witscherによるユニットが、5月29日発売のニューアルバム『Sorry To Hear That』より、F.G.S.をフィーチャーした先行シングル「Rather Be Alone」をリリースしました。長年アメリカの実験音楽シーンの最前線で活動してきた二人が、ノイズへの倦怠感から「ミレニアム期のポップ・ロック」へと舵を切った前作の路線を継承しつつ、Drew MullinsとSteve Marcarioが監督を務めたビデオと共に、新たな展開を見せています。

本作は、前作『Think Differently』が受けた反響と、それに伴う狂信的な熱狂や失望、そして人間関係の断絶といった生々しい記録を内包した「メタ・メタ・コンセプチュアル」な作品です。制作に費やされた9ヶ月間の個人的・職業的な混乱を物語として落とし込み、演奏する側とされる側の双方に向けた痛烈な批評性を備えています。

サウンド面では、前作以上にギターやブレイクビートが強調され、内省的な倦怠感と自虐的なユーモアがさらに純化されています。ゲスト陣にはMarlon DuBois(Shed Theory)やCloud Nothingsのメンバー、そして先行曲に参加したF.G.S.ことFlannery Silvaなど、インディーシーンの新旧の戦友たちが集結しており、アンダーグラウンドの精神を持ちながらポップの構造を解体する野心的な一作となっています。

すべてをコントロールする恐怖を捨てて――villagerrrが最新作『Carousel』で見出した、他者と繋がり『チーム』になることの甘美な救い

Mark Scottによるプロジェクト、villagerrr(ヴィレジャー)が、5月29日にWinspearからリリースされる5枚目のアルバム『Carousel』より、リードシングル「Locket」を公開しました。本作は、他者との真のつながりや誠実な表現を追求した一作です。自身の露出が増えることへの葛藤を抱えながらも、2年の歳月をかけて友人たちとの共同作業を深めることで、これまでのDIYスタイルを超えた豊かでダイナミックな音像へと到達しました。

先行曲「Locket」は、重層的なボーカルが溶け合うアルバムの感情的な核となる楽曲です。今作ではTeetheやRug、Hemlockといった多彩なコラボレーターを迎え、スロウコアからシューゲイザー、フォーク、さらには疾走感のあるロックまでがシームレスに展開されます。ウルトラマラソンを完走するほどのランナーでもあるScottは、自らミックスを手がける過程で雑念を削ぎ落とし、草原の微細なディテールから嵐の雄大な風景までを描き出す独自の耳を研ぎ澄ませました。

アルバムの背景には、混迷を極めるアメリカの社会情勢に対する健全な懐疑心と、それでもなお「誰かとチームになること」への希望が込められています。すべてを一人でコントロールしようとする恐怖を捨て、周囲に心を開くことで生まれた本作は、消費されるだけの芸術ではなく、一対一の絆を築くための手段としての音楽を提示しています。誠実な表現が困難な時代において、他者と手を携えることの尊さを証明する、彼にとって最も大胆かつ繊細な物語です。

白髪の旧友との再会、そして16年ぶりの帰還。Adam Rossが原点のスタジオで刻んだ、過ぎ去りしグラスゴーの記憶と時の流れの残酷さ

5月15日にFika RecordingsからリリースされるAdam Rossの3rdアルバム『Bring On The Apathy』より、リードシングル「Berkeley Street」が公開されました。本作はグラスゴーのGreen Door Studioにてテープ録音され、C DuncanやGillian Fleetwoodら豪華な面々によるバック・ボーカルが、Ross特有の叙情性と温かみのある世界観にこれまでにない豊かさを添えています。

この楽曲は、2025年1月の「Celtic Connections」出演のためにグラスゴーを訪れた際、かつての居住地付近を散策した経験から生まれました。10年以上前に住んでいた街の風景は馴染み深いものでしたが、再会した知人の髪が白髪になっていたことに時の流れの残酷さを痛感したといいます。その個人的な記憶と感情が、楽曲の核となる親密さと切なさを形作っています。

レコーディングが行われたGreen Door Studioは、Rossが2009年にRandolph’s Leapとして初めてEPを録音した、彼にとって原点とも言える場所です。16年の歳月を経て「今こそが戻るべき時」と感じて制作されたこの曲には、Beth Chalmersがグラスゴーのウエストエンドで撮影したビデオも添えられており、過ぎ去った時間への追憶を完璧に視覚化しています。

Goon – “Atrium”

Goonの楽曲「Atrium」は、Claireと二人きりのスタジオセッション中に、事前のリハーサルなしで即興的に誕生しました。楽曲の核となったのは、Rob Crow(Heavy VegetableやThingy)のスタイルにインスパイアされたドロップDのギターリフであり、そこから一気に形作られていきました。

歌詞も推敲をほとんど必要とせず、短時間で書き上げられました。そこには、憤りや失恋といった感情、そして他人を真に愛するためには、まず自分自身への揺るぎない愛が必要であるというメッセージが込められています。

LavaLove – “Never Better”

南カリフォルニアのバーシーンから現れたLavaloveが、4月3日にPure Noise Recordsよりリリースされるニューアルバム『TAN LINES』から、新曲「Never Better」を公開しました。ボーカル兼ギタリストのTealarose Coyが「パートナーにとって最高の元恋人になると無意識に確信させるような催眠的な曲」と語る本作は、エモーショナルな絶叫とアルバム中で最も気に入っているというエンディングの歌詞が際立つ、中毒性の高いナンバーに仕上がっています。

プロデューサーにAnton DeLost(State Champs, The Warningを手掛ける)を迎えた本作は、60年代のポップスやサーフミュージックの簡潔さを、現代的なインディロックやサイケポップの質感でフィルターにかけた、自信に満ちた太陽のエネルギー溢れる作品です。誰の許可も得ず、ただより明るく自由な生活を追い求めるエスケープ(逃避)の精神を核心に据え、果てしない夏の興奮をタイムレスかつダイレクトなサウンドへと昇華させています。

Mute The TV – “Depression Session”

Mute The TVの「Depression Session」は、まるで昔から知っている曲のように聴き手の心に寄り添う、親しみやすいオルタナ・ロック・トラックです。温かいポップ・ロック調のサウンドが心地よく響く一方で、その歌詞では時間の経過とともに変化していく友人関係や、人生の葛藤といった深いテーマが丁寧に描き出されています。録音からプロデュースまでをバンド自ら手がけたことで、Ivan Jackmanによるマスタリングを経て磨き上げられたサウンドの中に、彼らのありのままの誠実さがしっかりと息づいています。

アイルランドのGreystones出身のMute The TVは、これまでも「Highfalutin」や「You’re So Cruel」といった、エネルギーとカリスマ性に溢れた楽曲でインディーシーンを切り開いてきました。これまでの作品ではギターの鋭いリフや熱いシンガロング(合唱)が持ち味でしたが、本作では彼らの持つ「柔らかさ」や繊細な側面が見事に提示されています。これまでの勢いを失うことなく、新たな一面を切り拓いた彼らの快進撃は、ここからさらに加速していく予感がします。

talker – “Gold Rush”

ロサンゼルスを拠点とするアーティスト、Celeste Taucharによるソロプロジェクト talker が、ニューシングル「Gold Rush」をリリースしました。この楽曲は、きらびやかで中毒性のあるインディー・ポップの皮を被りながらも、その内側には現代社会における「成功への執着」や「絶え間ない渇望」というシニカルなテーマを秘めています。彼女特有の透明感のあるボーカルと、重層的なシンセサイザーのレイヤーが、まるで黄金郷を追い求めるような高揚感と、その裏側に潜む虚無感を鮮やかに描き出しています。

サウンド面では、90年代のオルタナティブな質感と現代的なポップ・センスが絶妙に融合しており、彼女のソングライティング能力の高さが際立っています。「Gold Rush」というタイトルが象徴するように、一時の輝きを求めて奔走する人々の心理を、時に優しく、時に鋭い洞察力で表現しています。聴き終えた後に残るほろ苦い余韻は、単なるダンスミュージックの枠を超え、聴き手に自らの価値観を問い直させるような深い響きを持っています。

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