Heavy Metal Chess Club – “Discrete Math”

フィラデルフィアを拠点とするバンド Heavy Metal Chess Club が、We’re Trying Records よりニューシングル「Discrete Math」をリリースしました。本作は emo や midwest emo のエッセンスを色濃く反映した楽曲で、ジャンルの特徴であるエモーショナルな昂揚感と、レギュラーチューニングで書かれたという独特なアンサンブルが特徴です。SoundCloudやYouTube Musicといった主要プラットフォームで公開されており、シーンにおいて独自の存在感を放っています。

歌詞では、内面的な葛藤や人間関係における脆さが切実に描かれています。自らの恐怖心や、困難な状況で向き合えなかった過去への後悔を吐露しつつ、「視界から外さないでほしい」という切実な願いが綴られています。小枝のように折れてしまいそうな危うさを抱えながらも、相手との繋がりを求める独白のようなメッセージは、瑞々しいギターサウンドと共にリスナーの感情を強く揺さぶる一曲に仕上がっています。


Christina’s Trip – “F.B.A.T.”

Christina’s Trip、Mox、Natasha Sandwormsの3バンドによるスプリットEP『Lucky Three』に収録された「F.B.A.T.(Frightened by a Tree)」は、ヴォーカルのChristinaがかつて在籍していたバンド、My Friendの楽曲をセルフカバーしたものです。ミュージックビデオでは、早朝から街中で撮影に挑むChristinaの姿が収められていますが、撮影当日にメンバーのAlecが体調不良で欠席したため、Teresaが急遽ドラムの代役を務めるというエピソードも残されています。

この楽曲を収めた全6曲入りのEPは、Cherub Dream Recordsよりデジタル配信および10インチ・ヴァイナルでリリースされています。インディー・シーンの瑞々しさが凝縮された本作は、Christina’s Trip特有のパーソナルな背景と、スプリット盤ならではのDIYな連帯感が同居した一作となっています。

Slowdiveの残響と90年代MTVの系譜を継ぐ「音のシュルレアリスム」――she’s greenが崩れゆくような繊細なギターで描く、愛の喪失とメランコリーの極致

ミネソタ州ミネアポリスを拠点に活動する5人組バンド、she’s greenが、2026年7月10日にPhoto Finish Recordsから新作『swallowtail EP』をリリースすることを発表しました。初期のシングルやデビューEP『Wisteria』で中西部のオルタナティブ・シーンの旗手として台頭した彼らは、SlowdiveやThe Sundaysを彷彿とさせるドリーミーな音像と、強烈な感情の奔流を融合させた「音のシュルレアリスム」を追求。これまでにHotline TNTやFrikoといった気鋭のアーティストとも共演を重ね、着実にその評価を高めています。

新作EPからの最新シングル「paper thin」は、崩れゆくような繊細なシューゲイザー・ギターと、ゾフィア・スミスの切なくメランコリックなボーカルが交錯するスローナンバーです。愛が目の前で失われていく無力感や、後悔に満ちた心の痛みを描いた本作は、シュルレアリスム的な映像美が光るミュージックビデオと共に、バンドの深化を感じさせる仕上がりとなっています。120 Minutes時代のMTVを思わせるノスタルジーと、現代的なエモーショナルさが同居した一曲です。


Philine Sonny – “Dog Bite”

Philine Sonnyのデビューアルバム『Virgin Lake』から公開された「Dog Bite」は、苦難を乗り越え、ようやく状況が好転し心が軽くなる瞬間を捉えた楽曲です。自身の幸福を綴ることに苦心した彼女は、数ヶ月間にわたり生活を深く観察し、前向きな変化を一つずつ拾い集めることでこの曲を完成させました。ミュージックビデオとともに、過去の障害を乗り越えて到達した「再生」の喜びが表現されています。

アルバムの締めくくりにふさわしいこの曲は、葛藤に満ちた過去からどれほど遠くまで歩いてこれたかを再確認させる重要な役割を担っています。Benedict Wellsの小説やノルウェーへの旅から得たインスピレーションが結実し、若さゆえの反抗や幻滅を経て、最終的に人生の不完全さを受け入れるというアルバム全体のテーマを、明るい希望の光で包み込みながら完結させています。


Billy Fuller – “Tailgates & Ratchet Straps”

Beak>の創設メンバーであり、Massive AttackやRobert Plantのプロジェクト等でベーシストとして活躍してきたBilly Fullerが、初のソロアルバム『Fragments』をInvada Recordsからリリースします。先行シングル「Tailgates & Ratchet Straps」は、自身の加齢や音楽業界への悲観、そして英国から欧州への後悔の念を自虐的に綴ったダーティーなインディー・ロックです。

ミュージックビデオは、PortisheadやBeak>との共作で知られ、Invada Filmsの長編映画『GAME』を監督したばかりのJohn Mintonが手掛けています。長年のキャリアを経てようやく辿り着いた本作は、彼がこれまでに培ってきた音楽的素養と、冷笑的かつパーソナルな視点が融合した、待望のデビュー作となっています。


轟音のシューゲイザーから親密なネオフォークまで――Sans Meritが描く、脆弱な世界に寄り添う万華鏡のようなサウンドスケープ

オーストラリア出身で現在はロサンゼルスを拠点に活動するミュージシャン、Griffin Jamesによるプロジェクト、Sans Meritの新曲「Doledrines」が公開されました。5月8日にKnekelhuisからリリース予定のセカンドアルバム『Trolley Polly』からの先行シングルとなる本作は、遊び心に満ちた誠実さと、無防備なほどの喜びに溢れた輝きを放つ楽曲に仕上がっています。

サウンド面では、ギターペダルを力強く踏み込むようなエネルギッシュなロックサウンドから、ネオフォークに通じる親密なアコースティックパートまで、多彩な表情を見せます。押し寄せるシューゲイザーの轟音、霞がかったヒプナゴジック・ポップの間奏、そして鋭いポストパンクの要素が交錯し、アルバム全体を通して絶え間なく変化するダイナミックな鼓動を感じさせます。

その根底には、脆弱な世界における大きな問いを反映した叙情的な繊細さが流れています。自身の脆さと自覚的なユーモアのバランスを保ちながら、日常生活の感情の底流を掬い上げるSans Merit独自の視点が、作品に深い人間味と安らぎを与えています。矛盾を抱えながらも躍動する、極めて人間らしい感性が息づく一作です。


Turzi & Gage – “Peace (in every garden)”

2025年11月、フランス南西部のシャトー「Rock Bottles Chateau」に集まった多彩なアーティストたちの共同生活から、Romain Turziの最新作『Drop!』は産声を上げました。「あらゆる庭に平和を」という精神を掲げ、AsiaやDeepFaithといった多ジャンルの才能が交差する中で制作された本作は、友情と奔放な創造性が凝縮された一作です。このたび、その象徴とも言える収録曲「Peace in every garden」のミュージックビデオが公開され、レジデンスの空気感を彷彿とさせる映像美とともに、アルバムの多層的な世界観が提示されています。

10年の沈黙を経て放たれたこのアルバムは、Oliver Gageの憂いあるヴォーカルを軸に、映画音楽の巨匠Goblinやテクノの先駆者808 State、さらにはMy Bloody Valentineのような音響的パワーまでをも内包しています。パンクスとダンサーを同時に揺らすクラブトラックから、繊細なフォークの調べまでが同居する本作は、公開された「Peace in every garden」の映像とともに、聴く者を現代の重力から解き放ち、今最も必要とされる恍惚の境地へと誘います。


First Prize – “Wasted On Me”

英国シェフィールドを拠点に活動するCharlie Kondras 率いるプロジェクト、First Prizeの新曲「Wasted On Me」がBingo Recordsからリリースされました。才能豊かな友人たちとのコラボレーションによって生み出される彼らのサウンドは、きらめく12弦ギターの音色が印象的なジャングル・ポップを基調としています。

楽曲の核となるのは、どこか懐かしさを感じさせるキャッチーなポップ・メロディと、幾重にも重なる甘く美しいハーモニーです。軽快なギターのアルペジオと爽やかなボーカルが混ざり合い、ジャンル特有の疾走感と瑞々しさを存分に味わえる仕上がりとなっています。

Viji – “I’ll Make It Easier”

Vijiのシングル『I’ll Make It Easier』は、90年代のオルタナティヴ・ロックへのオマージュを感じさせる、気だるくも中毒性の高いインディー・ポップです。ザラついたギターのリフと、Viji(本名:ヴィッキー・サウスゲート)の透明感がありつつもどこか投げやりなヴォーカルが絶妙に絡み合い、日常の倦怠感や複雑な感情を軽快なメロディの中に落とし込んでいます。

公式ミュージックビデオでは、彼女の独特な美的センスが反映されたDIY的なヴィジュアルが展開され、楽曲が持つレトロで親しみやすい空気感をより際立たせています。シンプルながらも耳に残るフックと、飾らない等身大の歌詞が特徴で、現代のベッドルーム・ポップ・シーンにおいても彼女の個性が光る一曲となっています。


LIV ALMA – “Sense Of Gravity”

LIV ALMA(リヴ・アルマ)の新曲「Sense Of Gravity」は、繊細なボーカル、ノイジーなエレキギター、そして加工されたサンプリング音が交錯する独創的な一曲です。クラシックピアノやジャズ・サクソフォンをルーツに持つヨハンナ・クラインが、パンデミック下の隔離期間中にギターや歌を取り入れたことで始動したこのソロプロジェクトは、「巧みな未熟さ」を感じさせるループサウンドが特徴。本作でも、ポップさとノイズ、レフトフィールドな感覚が絶妙なバランスで共存しています。

制作面では、ケルンを拠点とするドラマー兼プロデューサーのヤン・フィリップと共に、重層的な音作りを展開しています。幼少期からの音楽教育と即興演奏で培った感性が、緻密に構成されたサウンドテクスチャの中に息づいており、軽やかさと奇妙さが同居する唯一無二の世界観を提示。Papercup Recordsからリリースされた本作は、型にはまらないアプローチで、彼女のアーティストとしての進化を象徴する仕上がりとなっています。