The Rural Alberta Advantage – “The Hunt in Edson”

カナダのインディー・フォーク・ロック・バンド、The Rural Alberta Advantageが新曲「The Hunt In Edson」をリリースしました。Jay Dufour(Dierks Bentleyなどの仕事で知られる)がミックスを手がけた本作は、フロントマンのNils Edenloffが体験した、ある夏の朝の奇妙な出来事から着想を得ています。飼い猫のEdsonがベッドに生きたネズミを連れ込んだことで起きた数分間の滑稽な大混乱と、そこからネズミが奇跡的に自由を勝ち取った瞬間が、楽曲の出発点となっています。

Edenloffはこの個人的なエピソードを、同時期に友人から聞いた「首にかけられた投げ縄ほど、心を集中させるものはない」という言葉と結びつけました。死を目前にしたネズミが味わったであろう極限の集中状態と、思いがけない生存への逃走劇、そして自身の日常が交錯する中で、一見無関係な出来事がどのように人の意識を研ぎ澄ませるのかを、バンド特有の躍動感あふれるサウンドに乗せて描き出しています。

Michael Cormier-O’Leary、家族の光と影を描く新作EP『Proof Enough』を発表。3部合唱で綴る「現実逃避の物語」

フィラデルフィアのアンサンブルHourの作曲や、Friendship、2nd Grade、そして金延幸子といった名だたるアーティストのドラマーとしても活躍するMichael Cormier-O’Leary。多才な彼がシンガーソングライターとしてのソロ活動を再開し、2023年のアルバムに続く新作EP『Proof Enough』を発表しました。本作は自身の伝記とフィクションを織り交ぜた全6章の「家族ドラマ」として構成されており、家庭という親密な空間に潜む複雑な力学を浮き彫りにしています。

先行シングルとして公開された「Marilyn」は、伝説的なフォーク・グループThe Rochesからインスピレーションを得た楽曲です。Cormier-O’Leary自身の声を重ねた2つのトラックに、22º Haloなどで活動するHeeyoon Wonの声を加えた3部合唱が特徴的なこの曲は、フォーク・ミュージックの伝統的な美しさと現代的な実験性を同居させています。楽曲の中心にあるのは、家庭内の不協和音から逃れるために、クレヨンの絵の世界へと没入する5歳の少女マリリンの物語です。

曲の後半(アウトロ)では、2つのメロディが半音階で行き来しながら振動するような構成が取られており、それは「調和を欠いた家族」や「ひどく不運な一日」を音楽的に象徴しています。両親もまた現実逃避を望みながらそれが叶わないという、世代間の葛藤や沈黙が重層的なハーモニーを通じて描かれています。多作な彼が、ドラムスティックをペンとギターに持ち替え、家族という普遍的なテーマに鋭く、かつ温かい眼差しを向けた一作です。

Sean Solomon – “Black Hole”

アニメーターとしても活躍するミュージシャンSean Solomonが、新曲「Black Hole」をリリースしました。本作は、彼が15歳の時に経験した薬物による精神病エピソードと入院、そしてその後の断酒に至るまでの壮絶な過去を赤裸々に描いた楽曲です。The Microphonesを彷彿とさせる剥き出しのインディー・フォークに乗せて、自身の内面や家族関係への影響を深く掘り下げています。Solomon自身が手描きしたミュージックビデオは、99枚の紙に繰り返し描き込むことで「消すことのできない過ちと成長」というテーマを表現しており、彼がこれまで発表してきた楽曲と同様に、アニメーションと音楽が融合した多層的な世界観を提示しています。

サンフェルナンド・バレーで育ったSolomonは、Elliott SmithやNirvanaといったアーティストの誠実さに影響を受け、かつてはMoses CampbellやSub Pop所属のMoaningのメンバーとしても活動していました。彼は自身の芸術を通じて、暗い過去と向き合いながらも、最終的にはコミュニティや他者との繋がりを見出すことを目指しています。『ザ・シンプソンズ』やアメコミのように、誰もが理解できる親しみやすい形式を借りながら、洗練された複雑なテーマを誠実に語りかける彼のスタイルは、孤独を感じる人々に寄り添い、共に歩むための力強いステートメントとなっています。

Pete Josef – “So You Should”

Pete Josefの最新曲「So You Should」は、2025年1月に他界した父ジョーの一周忌にあわせて発表された、喪失と記憶、そして静かな強さを描いた極めて私的なレクイエムです。教会音楽家として控えめに生きた父との、言葉にならなかった想いを繋ぐ本作は、合唱を思わせる背景の声や神聖な響きを纏いながらも、現代の吟遊詩人のような親密でエモーショナルな楽曲へと昇華されています。

制作面では60年代のヴィンテージ楽器を用いた繊細なトリオ編成が採用され、空間を活かしたプロダクションが物語の深みを際立たせています。父が息子へ語りかけるような想像上の対話を通じて、「何よりも善きものを見ようとした」という父の遺志を、優しく慈愛に満ちた祈り(ベネディクション)として昇華させた一曲です。

Arielle Soucy – “Pattern”

モントリオール出身のシンガーソングライターArielle Soucyは、デビューアルバム『Il n’y a rien que je ne suis pas』(2023年)が複数の有力メディアで年間ベストアルバムに選出され、ポラリス賞のロングリストにも名を連ねるなど、ケベック音楽シーンの新星として注目を集めています。ADISQ 2024では新人賞やフォークアルバム賞を含む6部門にノミネートされ、GAMIQでも複数の賞を獲得。オーガニックでミニマルなフォーク・アプローチで、着実にその評価を確立しています。

これまでにケベック州全域で70以上の公演を行い、Philippe BやVanilleといった著名なアーティストとも共演を重ねてきた彼女は、現在、自身のキャリアの新たな章へと進んでいます。内省的な歌詞、光り輝くメロディ、そして洗練されたアレンジを通じて、伝統と現代性を大胆かつエモーショナルに融合。最新シングルでは、彼女の特徴であるフォークの実験性をさらに推し進め、聴き手を独自の世界観へと誘っています。

Myrkur – “Touch My Love And Die”

Amalie BruunによるプロジェクトMyrkurが、ユーロビジョン・ソング・コンテストのデンマーク予選である「Dansk Melodi Grand Prix 2026」に、新曲「Touch My Love And Die」を携えて出場します。ブラックメタル、北欧フォーク、映画音楽を融合させた独自のキャリアを歩んできた彼女が贈る本作は、Christopher Juul (Heilung) プロデュースのもと、少女合唱団や古楽器、リアルな楽器演奏にこだわり、Dolby Atmosで録音されました。AIや使い捨て文化が蔓延する現代への「解毒剤」として、人間の根源的な精神や強靭さを提示する壮大なダーク・シネマティック・バラードに仕上がっています。

歌詞の世界観は超自然的かつゴシックであり、「死の接吻」や「呪文」といった多層的なロマンスを描きながら、愛がもたらす解放と危険の両面を浮き彫りにしています。北欧神話と人間の脆弱性を結びつけたこの楽曲は、単なる歌を超えた一つの儀式のような重みを持ち、聴き手に自由な解釈を委ねています。2025年冬に録音されたこの渾身の一曲で、Myrkurは型にはまることなく、暗闇そのものに光を照らさせるような圧倒的な表現でデンマーク代表の座を目指します。

Wendy Eisenberg、自らの名を冠した新境地のソロアルバムを発表。David Lynchに捧げた新曲「Meaning Business」を公開。Trevor Dunnら名手と紡ぐ、誠実で繊細な最新型フォーク。

ギタリスト・シンガーソングライターとして多才な活動を続ける Wendy Eisenberg が、セルフタイトルのニューアルバム『Wendy Eisenberg』をリリースすることを発表しました。2022年の『Viewfinder』以来となるソロ名義の本作は、これまで培ってきた膨大な楽曲ストックの中から、現在の自分を最も忠実に表す「スピリチュアルな真実味」を持った曲を選び抜いた、フォーク寄りの意欲作となっています。

制作には、ベーシストの Trevor Dunn やドラマーの Ryan Sawyer、さらにペダルスチールやシンセ、弦楽編曲も担当した共同プロデューサーの Mari Rubio(more eaze)といった豪華な面々が参加しました。アルバム制作の過程で、Wendy Eisenberg はブルックリンへ移住し、作詞作曲の助教として教鞭を執り始めるなど、生活の大きな転換期を迎えました。こうした変化の中で、偽りのない繊細なアプローチを追求した一作に仕上がっています。

本日公開された先行シングル「Meaning Business」は、映画監督 David Lynch の死をきっかけに書かれた楽曲です。彼の作品が放つ「異質なアメリカらしさ」にインスパイアされており、Wendy Eisenberg 特有のひねりの効いたメロディと、独特の空気感が共鳴しています。アルバム全体を通して、彼女が新しい世界をどのように歩んでいるのかを映し出す、親密で深い記録となっています。

Spencer Cullumが三部作の完結編を発表。英国フォークロアが息づく最新作と、神秘的な新曲「Rowan Tree」MV解禁

ナッシュビルを拠点に活動する英国出身のペダル・スティール奏者、Spencer Cullum が、絶賛を浴びてきた三部作の完結編となるアルバム『Spencer Cullum’s Coin Collection 3』を3月27日に Full Time Hobby からリリースします。現代社会の憎悪や軋轢から逃れるため、彼は母国イギリスの古代フォークロアやオカルト、巨石文化といった伝承の世界へと没入し、本作を創り上げました。

本日公開された第1弾シングル「Rowan Tree」は、Gaia Alari が手掛けた手描きストップモーション・アニメーションのミュージックビデオと共に発表されました。楽曲と映像は、古い民話の神秘的な空気感を再現しており、ユング心理学における「男性性」と「女性性」の衝突、あるいは人間と自然の対峙という深いテーマを、魔術的で繊細な表現で描き出しています。

アルバム制作は、ナッシュビルの庭の小屋という隔離された空間から始まりましたが、結果として世界中の才能が結集した共同制作となりました。アイルランドの Oisin Leech によるボーカルや、Allison De Groot が舞台裏でiPhone録音したバンジョー、さらに Erin Rae や Annie Williams の参加など、各地から届いた断片がカセットテープにミックスされ、温かみのある手触りの傑作へと昇華。三部作はこれで幕を閉じますが、彼はすでに2026年後半に向けた新たなプロジェクトの準備も進めています。

Gregory Uhlmann、新作『Extra Stars』をリリース。Alabaster DePlumeやSMLの精鋭らと紡ぐ、14の無限の小品。電子音と pastoral な美しさが交錯する、現代音楽の新たな到達点。

ロサンゼルスを拠点に活動し、Perfume GeniusやHand Habitsのサポート、そして実験的ジャズ・バンド SML の共同リーダーとしても知られるギタリスト、Gregory Uhlmann が、3月6日にニューアルバム『Extra Stars』をリリースします。本作は、近年の旺盛なインストゥルメンタル作品の発表を経て辿り着いた、彼の音楽的進化の重要な転換点となる一枚です。カリフォルニアの古代ブリストルコーン・パインの森から着想を得たという本作は、14の「無限の小品」で構成され、エレクトロニックな処理と牧歌的な美しさが共存するパノラマのような音響世界を提示しています。

先行シングル「Lucia」では、International Anthem のレーベルメイトである Alabaster DePlume をフィーチャー。ビッグサーの断崖に佇むロッジにちなんで名付けられたこの曲は、打ち寄せる波のフィールドレコーディングとUhlmannのギター反復、そしてDePlumeの息遣い豊かなサックスが溶け合う、親密かつ壮大な一曲です。また、2020年の混乱の中でセルフケアとして生まれた7分超の静謐な「Days」や、ギターの概念を覆す音響工作が光る「Burnt Toast」など、アルバムはアンビエントの枠を超えた緻密な和声の深みに満ちています。

制作には、Josh Johnson、Jeremiah Chiu、Booker Stardrum、Anna Butterssといった SML の盟友たちが集結。Uhlmann は、David Bowie や Miles Davis のように他者の才能を指揮しながら、自身のアイデンティティをより鮮明に進化させる卓越したディレクション能力を発揮しています。Cluster & Eno や Yo La Tengo の実験精神にも通じる本作は、単なる「雰囲気」としての音楽ではなく、喜びや渇望を音に宿した、現代で最も進歩的な録音の一つとして結実しています。

Courtney Barnett、待望の4thアルバムリリース決定。Waxahatcheeとの共演曲「Site Unseen」を公開。2年の歳月を経て完成した、迷いを断ち切り未来へ進むための新境地。

オーストラリアのインディー・ロックの旗手、Courtney Barnettが待望の4枚目のスタジオアルバム『Creature of Habit』を3月27日にMom+Pop Musicからリリースすることを発表しました。2022年の『Things Take Time, Take Time』以来となる本作は、自身の人生や未来への葛藤を投影した全10曲で構成され、彼女のサウンドを大胆に進化させた一作となっています。

アルバムの先行シングル第2弾として公開された「Site Unseen」は、Waxahatchee(ケイティ・クラッチフィールド)をゲストに迎えた、温かく力強いアップテンポなロックナンバーです。躍動感のあるドラムと表情豊かなギター、そして煌めくストリングスに乗せて、優柔不断さを脱ぎ捨てて前進しようとする決意が歌われています。全編にわたって重なるケイティとの親密なハーモニーが、楽曲にさらなる深みを与えています。

この楽曲は2年の歳月をかけ、3度の録り直しを経てようやく完成に至ったと彼女は振り返っています。理想のサウンドを追求する中で頭に響いていた「高い音のハーモニー」を実現するため、敬愛するWaxahatcheeに共演を依頼したことで、ついに最終的な形へと辿り着きました。アルバムのリリースに合わせ、春から夏にかけての全米ツアーの開催も決定しており、彼女の新たな旅が本格的に始動します。