伝統の境界を融解させるフリージャズとポストロックの衝動――アイルランドのTrá Pháidínが放つ、西部特有の実存主義を宿した新作『Cloch ‘s Claí』

アイルランドの実験的フォーク・コレクティブ Trá Pháidín のニューアルバム『Cloch ‘s Claí』(訳:石と壁)は、レーベル World of Echo から25th Septemberにデジタル配信および限定盤LPとしてリリースされる作品です。2024年のデビューアルバム『An 424』に続く本作は、アイルランドの伝統音楽の枠を超え、ジャズ、フォーク、クラウトロックなどの影響を貪欲に取り入れています。オリジナルのゲール語音楽に焦点を当てながら、フリージャズ、ポストロック、ミニマリズム、ドローンをも融合させた、アイルランド西部特有の静かな実存主義を漂わせる流動的なサウンドを展開しています。

アルバムは10のトラックで構成されており、それぞれが比喩的な石積み壁の「ひとつの石」を表現しています。伝統音楽における即興演奏のスタイルから着想を得ているため、演奏ごとに編曲が変化して毎回新たな石壁が構築されるのが特徴で、本作に収録されているのはその一形態に過ぎません。作品全体として、石壁に刻まれた歴史的重要性をベースに、アイルランドと母国語、そしてゲール語が第一言語として残る地域「ゲールタハト」との関係性を風刺的に描いており、風景や精神に散りばめられたトークニズム(形式主義)や住宅問題、貴族政治などのテーマを具現化しています。

このアルバムからのファーストプレビューとして公開されたリードシングルが「An Béal Bocht」です。本楽曲は、Brian O’Nolan や Flann O’Brien としても知られる作家 Myles na gCopaleen が1941年に発表した小説『An Béal Bocht』から直接的なインスピレーションを得て制作されました。伝統的な不条理さと実験的なアプローチが交錯するこのシングルは、アイルランドのアイデンティティを深く掘り下げるアルバムのコンセプトを鮮烈に提示する、野心的な一曲に仕上がっています。


Simon Goff – “Dream Sequence I”

イギリスのベルリンを拠点とするコンポーザー兼プロデューサー Simon Goff のサードアルバム『Interior Realms – Vol.1 (Music for Listening Alone, Together)』は、レーベル Sonic Pieces からリリースされた、建築と音楽が美しく融合したモダンな室内楽作品です。映画やテレビの劇伴制作の経歴を持つ Simon Goff は、ヨーロッパ各地の歴史的建造物が持つ自然な残響(リバーブ)を活用し、冷徹な建築物をまるで生き生きとした楽器へと変貌させました。モジュラーシンセサイザーとクラシカルな弦楽器の音色が、洞窟のように広大な空間構造のなかで響き合い、豊かでオーガニックな音響空間を創り出しています。

本作のレコーディングは、Simon Goff のルーツであるイギリスの遺産と、現在の拠点であるベルリンの双方を結びつける形で行われました。ベルリン最古の給水塔であるグローサー・ヴァッサーシュパイヒャーの巨大な空水槽や、Nils Frahm や Dustin O’Halloran らも使用したグリューネヴァルト教会が舞台となり、ノイマン社のバイノーラルマイクを用いて電子音との即興セッションが記録されました。電子パートをアンプから流して独特の周囲の響きと融合させたり、Erased Tapes 所属のチェリスト Anne Müller の演奏中にマイクを動かして自然なディレイを操るなど、聴き手がまるで「音楽の内部」にいるかのような臨場感あふれる体験が追求されています。

この独創的なアルバムの幕開けを飾るリードシングルが「Dream Sequence I」です。本楽曲は、グリューネヴァルト教会の広大な音響特性を最大限に活かして制作されました。重厚で調和の取れたモジュラーシンセのレイヤーと、空間いっぱいに広がる美しい弦楽器の旋律がディープに収束していく構成になっており、アルバム全体の詩的で壮大な世界観を象徴する、息をのむような美しい一曲に仕上がっています。


pdqb – “V.O._subtitulada” (Alva Noto Remix)

電子音響シーンに突如現れた謎の存在 pdqbの楽曲を、電子音楽界の巨匠 Alva Notoが再構築したリミックスシングル「V.O._subtitulada (Alva Noto Remix)」は、極限まで削ぎ落とされたミニマリズムと強烈な音響彫刻が融合した一曲です。「音の器の中に暮らし、独自の規則性を持ったサウンドを通じてのみコミュニケーションを図る」と主張する不気味で不可解な生命体 pdqb。その原曲が持つ予測不能な音の断片やノイズのテクスチャーを、Alva Noto らしい冷徹で精密なグリッド、そして重層的な低音のパルスへと見事に昇華させています。

本作は、単なるフロア向けのトラックではなく、聴き手の空間認知を揺さぶるようなコンセプチュアルな音響作品に仕上がっています。タイトルにある「V.O._subtitulada(字幕付きオリジナル版)」という言葉が示唆するように、記号化された未知の言語やノイズの背後にある「メッセージ」を、Alva Noto の代名詞であるクリック&グリッチの手法を用いてクリアに視覚化・翻訳していくかのような緊迫感が漂います。実験的なアプローチでありながらも、緻密に計算されたリズムの構築美が、リスナーを底知れぬディープな電子の深淵へと引きずり込みます。


サックスとギターが織りなす、地球とどこかの間に漂う親密な対話:実力の絶頂にあるJarrett GilgoreとAnthony Pirogが「音楽的なハグ」を届ける極上のニューアルバム

サックス奏者のJarrett Gilgore(Phét Phét Phét)とギタリストのAnthony Pirog(The Messthetics)による初のコラボレーション・プロジェクトから、先行シングル「Golden Hour」がレーベルUnheard of Hopeよりリリースされました。ボルティモアの練習スペースで初めて顔を合わせた瞬間から「すぐに同じ言語で話していた」と二人が振り返るほど、彼らの間には一瞬にして強固なコネクションが誕生。その努力を要さない驚異的なケミストリーから、待望のニューアルバム『Between The Earth and Where』が完成しました。

アルバム『Between The Earth and Where』は、豊かなハーモニーと記憶に残る美しいメロディへの共通の愛から紡ぎ出された、まるで白昼夢のような作品です。Anthony Pirogが「音楽的なハグ」と温かみを込めて表現する、短くも心を打つエモーショナルな楽曲が並びます。心を落ち着かせる優美でエーテル調の雰囲気と、微かな不安を誘う深い情感が絶妙なバランスで同居しており、サックスとギターの対話が「地球とどこか別の場所との間の空間」に漂うような独自の没入感を生み出しています。

このプロジェクトは、ボルティモアからワシントンDCにまたがる緊密で活発なアヴァンギャルド/実験音楽シーンに深く根差しています。今作の制作にあたっては、大掛かりなフリーの即興演奏に頼るのではなく、温かく洗練されたソングライティングを軸に据えました。Brendan Canty(Fugazi)が共同プロデュースを務めたスタジオセッション、ワシントンDCのDIY会場「Rhizome」でのライブ録音、そしてパンデミック禍のリモート録音など多岐にわたる音源を、Nate Mendelsohnの見事なミックスによって一貫性のある極上のアートピースへと昇華。実力の絶頂にある二人の巨匠による、直感的な共感と深い友情が雑音なくストレートに表現されたアルバムとなっています。


Anushka ChkheidzeとRobert Lippokが移ろう自然の不均衡を緻密なテクスチャーで描く:ベルリンのライブから生まれた、常に変化し続ける8つの楽章からなる現代のアンビエント音響詩

Anushka ChkheidzeとRobert Lippokのコラボレーションによる楽曲「VIII」は、2026年9月18日にMorr Musicからリリースされるニューアルバム『The Sky Was Out of Tune』のラスト(第8楽章)を飾る重要なトラックです。このアルバムは、ベルリンのニュー・ナショナルギャラリーで開催された「フェスティバル・オブ・フューチャー・ナウズ」でのライブ・パフォーマンスから誕生しました。決して完全な平衡状態にはない自然の生態系をインスピレーションの源としており、アーティストたちの鋭い観察眼が音楽へと昇華されています。

アルバム全体は、常に変化し続ける8つの楽章からなる長編アンビエント作品として構築されています。電子合成や何層にも重ねられたテクスチャーから生み出されるサウンドスケープをベースに、繊細なメロディやリズムパターン、金属音、ディストーションなどが、まるで空を横切る雲のように有機的に漂うのが特徴です。「調律の外れた空であっても、それは空である」というコンセプトのもと、固定されたバランスを持たない、絶え間なく揺れ動く自然界の「交渉」そのものをサウンドとして表現しています。

この不安定な構造をあえて即興的に構築するアプローチは、二人の通常の役割分担や制作手法を根本から変える挑戦となりました。互いのサウンドの重みを移し替え、解決(調和)に近づいては再び遠ざかり、解放のない緊張感を維持するという独自のメソッドが全編に貫かれています。Anushka Chkheidzeが「この一つの長い作品の中で、私たちがどれほど互いの音に耳を傾け合っているかを感じてもらえるはず」と語る通り、二人の緊密な対話と高度なリスニングのプロセスが、見事なアートピースとして結実しています。


キャリア初の“本名名義”で解き放つ壮大なマスターピース!豪華ゲストと描く、ジャズから80sダンス・ポップまでを網羅したニューアルバム『WATERBODIES』が誕生

2026年10月2日にリリースされるCharlotte Greveのニューアルバム『WATERBODIES』と、そこからのシングル「Membranes」は、彼女がこれまでのバンド名義での9つのプロジェクトを経て、初めて自身の本名名義で送り出す記念すべき作品です。Shahzad Ismailyプロデュースのもと、ニューヨークを拠点とするボーカル・アンサンブルのKHORIKOSや、ブラチスラヴァ交響楽団(Bratislava Symphony Orchestra)といった豪華なゲストを迎え、ジャズやアンビエント、クラシックから、パワー・バラード、80年代風のダンス・ポップにいたるまで、極めて幅広いジャンルを網羅した壮大なスケールのサウンドを構築しています。

シングル「Membranes」を含む本作は、特定のスタイルに縛られることをあえて拒絶し、Charlotte Greveが心から愛する多様な音楽世界を自由に冒険する、彼女にとってこれまでで最もパーソナルなアルバムです。ジャンルの統一感をあえて排除し、一見バラバラに思える多様な影響源を隣り合わせに配置しながらも、彼女という唯一無二のフィルターを通して表現されることで、すべての楽曲が確かな説得力と美しさを持って響き渡ります。

これまでのキャリアで通算10作目のリリースでありながら、彼女自身が「多くの意味でデビュー作のように感じる」と語る通り、本作は彼女の音楽的な可能性を狭めるのではなく、むしろ最大限に解き放った意欲作です。自分の中に流れるすべての音楽的ルーツを恐れることなく注ぎ込み、自らのフィルターを通してダイナミックに表現された『WATERBODIES』は、まさにCharlotte Greveの新たな出発点を示す輝かしい一枚となっています。

線形な時間から解放された「不完全な記憶」の美学 —— 映画『メモリア』の精神を糧に、生楽器とダブ・プロセシングを融合させCarmen Villainが到達したディープ・リスニングの極致

ノルウェーを拠点に活動する音楽家Carmen Villainの楽曲「Entre Nosotros」は、彼女の世界観を色濃く反映した深遠なシングルです。タイトルのスペイン語が持つ「私たちの間で」という意味の通り、本作はリスナーとの間に親密でスピリチュアルな対話を生み出します。彼女が得意とする、空間の広がりを感じさせるアンビエントなエッセンスと繊細な音響工作が施されており、聴く者を深い内省の旅へと連れ出すような、美しくもどこか儚いエモーショナルな名作に仕上がっています。

このシングルも内包される最新アルバム『Memoria』(Smalltown Supersoundよりリリース)は、彼女が2022年の『Only Love from Now On』で提示した地平をさらに押し進めた極めて重要な作品です。アルバム全体の焦点は「記憶としての音」に当てられており、変化し続ける不完全な記憶の性質を、スローダウンされた幽玄なダブやミニマルなアンビエントを通じて表現しています。Pauline Oliverosの「ディープ・リスニング(深い傾聴)」の概念や、アピチャッポン・ウィーラセタクンの映画『メモリア』からインスピレーションを得て構築された本作は、単なる独我論的な内省を超え、聴き手と周囲の環境を同時に結びつける共感の音楽として機能しています。

アルバムのサウンドは、Johanna OrellanaのフルートやEivind Lønningのトランペット、そしてCarmen Villain自身のクラリネットといった生楽器の響きと、古いアーカイブ素材を緻密に融合させて作られています。息づかいや風の感触といった生々しい人間の気配が、ダブ的なプロセシングのレイヤーを通して変容し、まるで遠い記憶の彼方から響くように現れるのが特徴です。近年の現代ダンスやIRCAMでの立体音響インスタレーションへの関わりが活かされた本作は、すべての音ノイズ(アーティファクト)さえも高い精度で配置されており、実験的でありながらも五感を包み込むような圧倒的な没入型環境を作り上げています。


生楽器の響きや環境音を冷徹に解体し、奇妙な美しさを持つ「曲」へと再構築するサウンドアーティスト、Klara Lewisが辿り着いた表現の新たな頂点

スウェーデン出身のサウンドアーティスト、Klara Lewisのアルバム『Opening』、そしてそこに収録されているシングル「Ta Min Hand」は、音を解体して奇妙な美しさを持つ「曲」の形へと再構築する彼女の卓越した才能が頂点に達した作品です。本作は、一見すると親しみやすいメロディの影に不穏なエレクトロニック・サウンドが潜む、欺瞞に満ちた、しかし非常に魅力的な録音物となっています。現実のイメージをあえて歪めて映し出す鏡のように、彼女の音楽は予測不能で、時に聴き手をハッとさせるような独自の動きを見せます。

シングル「Ta Min Hand」を含む本作の大きな特徴は、ウクレレやピアノといった生楽器の響きや、傷ついたフィールドレコーディング(環境音)の素材を徹底的に解体し、再構成していくプロセスにあります。不穏なリズムパターンへと突如として切り刻まれる音像や、一見シンプルながらも胸騒ぎを覚えるようなアレンジなど、聴き手を惑わせる手法が随所に散りばめられています。最初は見知らぬ異世界に迷い込んだかのような違和感を覚えるものの、曲が展開するにつれて、驚くほどの優しさや親密な感情へと着地していく、あるいはその逆へと突き落とされるような、エモーショナルな体験をもたらします。

このアルバム『Opening』は、ただ音楽が流れるだけでなく、音の物質的な変化を通じて聴き手の意識そのものをコントロールしていくような感覚を与えます。音がシフトし、溶け、形を変えて再浮上する空間の中で、クラーラ・ルイスは抽象概念と感情の直感的な結びつきを見事に調和させています。瞬間的な衝動と永遠に続くかのような音響空間が融合した本作は、私たちが慣れ親しんだ音楽の言語を再定義し、リスナーに全く新しい視点と、音とのこれまでにない「近さ」を提示する至高の一作です。


ニューヨークのアンダーグラウンドを何十年も巡り、あえて表舞台を避けてきた音楽の旅人Lynn Wrightが、激動のキャリアの果てに辿り着いた待望のソロデビュー作

ギタリストであり音楽の探求者でもあるLynn Wrightのソロデビューアルバム『Before The Sinking Plains』、そしてそこに収録されているシングル「El Cabanyal」は、彼が長年ニューヨークなどのアンダーグラウンド・シーンの周辺で培ってきたキャリアの集大成です。長らく自身の固定された芸術的アイデンティティを持たず、コラボレーションや裏方としての活動を好んできたライトですが、近年の大病をきっかけに自身のソロ作品と向き合うことになりました。アルバムのミックスは、ベルリン移住後に親交を深めた作曲家のサイモン・ゴフ(Simon Goff)が手掛けており、ライトが持つ深い音楽的背景が惜しみなく注ぎ込まれています。

このアルバム、そしてシングル「El Cabanyal」の原点は、ライトが神経系の長い闘病生活を送っていた時期にあります。彼が毎朝アパートで作り、背景で静かに流していたギターのループがすべての始まりでした。その中から気に入ったものを録音し、加工したギター、シンセサイザー、そして言葉を持たないヴォーカル(ハミングやスキャットのような歌声)を幾重にもレイヤーとして重ね合わせることで、徐々に明確な楽曲としての構造が形作られていきました。かつて彼が関わってきた激しいバンドや即興プロジェクトのような攻撃性は影を潜め、心地よくもどこか影のあるダークな色彩が美しく残されています。

ライト自身が「曲の形をしたアンビエント、あるいはアンビエントに変装した曲」と評するように、シングル「El Cabanyal」を含む本作は、内省的で壮大な音響世界を描き出しています。色あせたドリーム・ポップや重厚なドローン、静けさを纏ったノワール・フォーク、そしてミニマルなヴォーカル・コンポジションといった要素が緻密に溶け合い、まるで「空と広大な荒野が混ざり合っていく景色」を眺めているかのような、圧倒的な美しさと没入感をもたらす至高の作品となっています。


エゴを捨て去り、互いの楽器を入れ替える混沌のゲームへ。実験的ポップ・トリオ Vanishing Twinが、日常のセッションを反転させ物語を紡いだ野心作『Archives』をリリース

変幻自在なサウンドで異彩を放つ実験的ポップ・トリオ Vanishing Twin が、通算5作目となる待望のニューアルバム『Archives』を10月2日に Fire Records からリリースすることを発表しました。本作は、従来のジャンルの枠組みを超えたポストモダンなソングクラフトのコラージュであり、創作という体験のなかに超越性を見出す野心作です。創設メンバーの Cathy Lucas がフランスの農村部へ移住し、Valentina Magaletti と Susumu Mukai がロンドンに残るなか、3人はバーチャルスタジオ空間で楽曲の断片を交換し合いながら、地理的な距離を「集合知(ハイブマインド)」的な創造力で見事に架橋しました。

アルバムの告知と同時に解禁されたのが、対照的な魅力を持つ2つの先行シングル「Bring Me The Axe」とタイトル曲「Archives」です。「Bring Me The Axe」は、1892年にアメリカで起きた有名な殺人事件の容疑者リジー・ボーデンの物語に緩やかに基づいており、フォークロアとインダストリアルが交錯する音響的極致のなかで、パーカッショニスト Valentina Magaletti の圧倒的な手腕が光るナンバーです。一方の「Archives」は、日々のセッションを聴き、繋ぎ合わせ、再構築するという彼らの制作プロセスそのものを体現したような、遊び心あふれるパッチワーク・コラージュに仕上がっています。

アルバムタイトルが示す通り、本作は日々の即興演奏や録音素材を集め、それ自体を反転させながら一つの物語を紡ぎ出す手法が取られており、いわば3人の集合的知性の記録(ドキュメント)と言えます。伝統的な作家性や所有権の概念を払拭し、お互いの楽器を入れ替えながら没頭したカオティックなエネルギーは、バンドを見慣れない形へと押し進めました。結成から10年を迎え、Tara Clerkin Trio や Still House Plants といった志を同じくするアクトと並び、現代のミュージック・アンサンブルの概念を拡張し続ける彼らは、かつてないほどに変幻自在(マーキュリアル)な輝きを放っています。