Lip Critic – “Jackpot”

Lip Criticのニューアルバム『Theft World』は、前代未聞の奇妙なバックストーリーから誕生しました。2024年のデビュー作『Hex Dealer』のツアー中、フロントマンのBret Kaserは、彼らの音楽に「宝探し」のヒントが隠されていると信じ込む『Five Nights At Freddy’s』のパーカーを着た若いファンにID(身元情報)を盗まれてしまいます。バンドはこの少年を突き止めてその歪んだ理論を録音し、当時制作中だったアルバムを破棄。詐欺師が妄想した架空の伝承をベースに、全く新しいアルバムを作り上げました。

本日公開された第2弾シングル「Jackpot」は、不快なほど刺激的なパーカッションや不協和音のシンセ、そしてラップにも近いBretの攻撃的なボーカルが炸裂する、狂気的なエレクトロニック・ロックです。現代社会に蔓延するギャンブル依存をテーマにしており、ビデオではカジノの中で徐々に正気を失っていくBretの姿が描かれています。前作「Legs In A Snare」同様、唯一無二の「ボンカーズ(イカれた)」なサウンドは、この奇妙な制作背景を経てさらなる過激さを増しています。

Rise Carmine – “The Otherside”

Rise Carmine(William Brazel Colbert)が放つ「The Otherside」は、「人は必ず死に、今日という日の営みも明日には忘れ去られる」という冷徹な真理を根底に置いています。心拍と共に始まり、音楽が止まり照明が灯る瞬間に幕を閉じる人生という名のステージ。Colbertは本作を通じて、そんな儚い生の中で、現実と非現実の「中間(in-between)」に共に迷い込もうと呼びかけます。Calvin HartwickやEric Vanierといった精鋭スタッフと作り上げた音像は、雑音を遮断し、聴き手を濃密な静寂の奥へと引き込みます。

歌詞に込められたメッセージは、単なる虚無感ではなく、「消えゆく運命にあるからこそ、今この瞬間に寄り添う」という切実な願いです。湖畔の散策や石を投げる日常の風景から、次第に「時間の刻み」や「リミナルな空間(境界)」へと意識が移り変わる中、サビの「What’s on the otherside(向こう側に何があるのか)」という叫びが響き渡ります。Lebni Avitiaが監督し、Tavia Christinaらが肉体で表現した映像美は、形のない虚無を崩し、嵐の前の静けさの中で二人が一つに溶け合うような、一瞬の永遠を鮮やかに描き出しています。

Koyo – “What I’m Worth”

ロングアイランド出身のハードコア・バンド、Koyoが、今春にニューアルバム『Barely Here』をリリースすることを発表しました。エネルギッシュでキャッチーなエモ・サウンドを武器とする彼らの新作には、DrainのSammy CiaramitaroやFleshwaterのMarisa Shirarといった豪華ゲストが参加。すでに公開されている陽気なリードシングル「Irreversible」に続き、期待が高まる中で新たな展開を見せています。

今回新たに公開された楽曲「What I’m Worth」は、高揚感のあるメロディックなパンチが効いている一方で、歌詞の内容は憤りと幻滅に満ちたものとなっています。フロントマンのJoey Chiaramonteは、フルタイムのミュージシャンとして活動する中で直面する業界の不条理や、「誰も勝者がいないゲーム」に身を投じる苦悩を綴っています。Eric Richterが監督を務めた、夕暮れ時の情緒的な美しさが際立つミュージックビデオも必見です。

Romy – “Love Who You Love” (HAAi Remix)

Romyのソロプロジェクトを象徴するアンセム「Love Who You Love」を、ロンドンを拠点に活動するプロデューサーのHAAiがリミックスした本トラックは、原曲の持つクィアな多幸感と解放感はそのままに、よりフロア仕様のダンスミュージックへと昇華されています。HAAi特有のサイケデリックでテクニカルなエレクトロニック・サウンドが、Romyの親密なボーカルと見事に融合し、深夜のダンスフロアにふさわしいエッジの効いた質感を作り上げています。

このリミックスでは、トランスやテクノの要素を取り入れた疾走感のあるビートが楽曲を牽引し、高揚感を煽るシンセサイザーのレイヤーがリスナーを没入させます。長年の友人であり、共にクィア・カルチャーを牽引するRomyとHAAiの厚い信頼関係が反映された本作は、個々のアイデンティティを祝福する自由な精神に満ちており、ジャンルの垣根を超えて幅広いリスナーを惹きつける力強い1曲に仕上がっています。

CFCF – “Let’s Kill Ourselves” (feat. Touching Ice & TECHG1RLS)

カナダ・モントリオールを拠点とするプロデューサーCFCF(Michael Silver)が、Touching IceとTECHG1RLSをフィーチャーした新曲「Let’s Kill Ourselves」をリリースしました。この楽曲は、近年のCFCFが追求している、ポスト・パンクやニュー・ウェーブ、そして初期のエレクトロ・ポップを現代的なハイパー・ポップの感性で再構築したような、エッジの効いたサウンドが特徴です。退廃的で挑発的なタイトルとは裏腹に、フロアを揺らすようなダンサブルなビートと、どこか冷徹でサイバーパンクな空気感が同居しています。

客演に迎えられたTouching IceとTECHG1RLSによるボーカルは、楽曲に多層的な質感を加えています。TECHG1RLSのデジタルで加工されたような無機質な声質と、 Touching Iceの持つエモーショナルな表現力が交錯し、現代のデジタル社会における孤独や虚無感、そしてそこからの過激な脱却を暗示するような世界観を作り上げています。CFCFの緻密なプロダクションによって、懐かしさと未来的な響きが高度に融合した、ジャンルレスで実験的な一曲に仕上がっています。

Jack Gaby – “Lion & Lobster”

Lion & Lobsterは、ブライトンを拠点に活動するシンガーソングライターJack Gabyによるソロプロジェクトです。新曲「Lion & Lobster」は、彼らしい温かみのあるアコースティックな質感と、ストーリーテリングの魅力が詰まった一曲です。Jack Gabyの歌声は、フォークやインディー・ポップの素朴さを持ちながらも、聴き手の心に深く入り込むような親密さと力強さを兼ね備えています。

サウンド面では、シンプルながらも計算された楽器構成が、楽曲に豊かな色彩を与えています。優しくつま弾かれるギターの音色に、柔らかな鍵盤やパーカッションが重なり、まるで夕暮れ時の海岸線を歩いているような心地よいノスタルジーを演出しています。日々の生活の中にある小さな発見や感情の機微を拾い上げるようなリリックは、ブライトンの活気と穏やかさが混ざり合った独特の空気感を反映しており、一人のアーティストとしての純粋な視点が貫かれています。

Shewita – “Too Soon”

エリトリア系オーストラリア人のシンガーソングライターShewita(シュウィタ)が、Music in Exileからデビューシングル「Too Soon」をリリースしました。この楽曲は、2000年代初頭のR&Bポップへのノスタルジーを、現代的な脆さや自己省察と融合させた一作です。電子音楽アーティストTina Saysの楽曲「Chronos」への客演を経て、今回は自身のルーツであるR&Bに焦点を当て、サマンサ・ムンバやクリスティーナ・アギレラを彷彿とさせるメロディックな自信とラテンの要素を取り入れたサウンドを展開しています。

歌詞の内容は、曖昧な関係(シチュエーションシップ)において、その真意を深く考えぬまま「愛している」と告げてしまった後に訪れる現実を、正直かつ冷徹に描き出しています。Shewitaは本作について、関係がうまくいかなかったとしても「自分は最善を尽くした」と認めること、そして他者のために妥協し、思いやる能力が自分にあることを再発見するプロセスだったと語っています。2002年のヒットチャートを彷彿とさせるキャッチーな仕上がりながら、内省的な告白と気づきが詰まった記念すべきデビュー作です。

Arlo Parks – “Get Go”

Arlo Parksが、ニューアルバム『Ambiguous Desire』からの最新シングル「Get Go」を公開しました。彼女はこの曲について、アルバムの核心にある「メランコリックな多幸感」を完璧に凝縮した作品だと表現しています。ダンスフロアを単なる娯楽の場ではなく、自己を理解し、愛との関係性を再発見するための「癒やしの手段」として描いた一曲です。

サウンド面でも、内省的なリリックと高揚感のあるリズムが混ざり合い、彼女特有の繊細なエモーションが際立っています。失意の中でも踊り続けることで前を向こうとする、切なくも美しい力強さに満ちており、新作アルバムへの期待をさらに高める仕上がりとなっています。

Lowertown – “Big Thumb”

ニューヨークを拠点に活動するインディー・デュオ、Lowertownが、ニューアルバム『Ugly Duckling Union』からの第2弾シングル「Big Thumb」をリリースしました。この楽曲は、メンバーのOliveによる「90年代インダストリアル・シーンの手法に倣い、新聞の切り抜きから着想を得て歌詞を書く」という試みから誕生したものです。Oliveの吹くハーモニカとAvsha Weinbergの12弦ギターのセッション、そして切り抜かれた言葉の中からマントラのように繰り返される「Holding out the Big Thumb」というフレーズが、楽曲の核となっています。

歌詞の背景には、自分たちの世代が直面している「方向喪失感」という重いテーマが流れています。かつての世代のために用意されていた人生の歩み方がもはや意味をなさなくなった現代において、目的もなく漂うしかないのか、あるいは自ら新しい道を切り拓くべきなのかという葛藤が投影されています。Jack Havenが監督を務めたミュージックビデオと共に、中毒性のある先行曲「I Like You A Lot」とはまた異なる、彼らの内省的で実験的な側面が際立つ一曲です。

Kim Gordon – “PLAY ME”

Kim Gordonが、待望のニューソロアルバム『PLAY ME』のリリースに合わせて北米ツアーの開催を発表しました。今回の発表ではロサンゼルス、シカゴ、シアトル、サンフランシスコを含む主要都市での公演が明らかになっていますが、現時点では東海岸のスケジュールは含まれていません。チケットは現地時間3月13日(金)の午前10時から販売が開始される予定です。

アルバム『PLAY ME』はいよいよ今週金曜日(3月13日)に発売となります。リリース直前の最終プレビューとして、タイトル曲「PLAY ME」が公開されました。この楽曲はトリップ・ホップのような質感を備えた新境地を感じさせるナンバーで、Barnaby Clayが監督を務めたスタイリッシュなミュージックビデオと共に、アルバムの世界観を鮮烈に印象づけています。

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