Green Gardens – “Greeting” / “I Am Kind”

トレング・ギターの音色と深い霧のようなサウンドに包まれた楽曲「Greeting」は、現状を変えたい、過去に戻りたいといった「欲求」がもたらす無力感や葛藤を掘り下げています。ソングライターのChris Aitchisonは、こうした感情がいかに現実を歪め、「ただそこに存在すること」の美しさを覆い隠してしまうかを説明しています。テープが同じ場所でスキップするように繰り返される思考のループから抜け出し、新しいカセットへと入れ替えるような、再生への試みがこの曲には込められています。

対照的に、カップリング曲である「I Am Kind」は、7分間にわたるストリングスの調べと独特なバズ音の中で、タイトルをマントラ(真言)のように唱える希望に満ちた楽曲です。バイオリンの音色が互いを支え合いながら高まっていく構成は、優しくありたいと願う切実な意志を象徴しています。曲の核心には、苦難の中でも「太陽が輝いている」と語る母親の声が収められており、その声こそが何よりも聴くべき音楽であるという、深い慈しみと肯定感が表現されています。

Tracey Nelson – “Dolly’s Coat”

ニューヨーク出身のTracey Nelsonが、インディーレーベルPerennial(Perennial Death)よりニューシングル「Dolly’s Coat」をリリースしました。もともとCD-Rで自主制作されていた本作は、同レーベルによって広く世に送り出されることとなりました。特筆すべきは、そのアーティスト名が彼の母親の名前であるという点です。彼は「トラブル・ソングの吟遊詩人」として、その名を背負い、飾らない言葉で現代のブルースとも呼べる物語を紡ぎ続けています。

楽曲「Dolly’s Coat」は、ストリップでの光景や失われた輝き、そして祈りの虚しさを、薄氷を踏むような危うい世界観とともに描いています。歌詞に登場する「ドリーのコートを着た自分を見ていて」という印象的なフレーズは、ある種の変身や救済、あるいは虚勢を象徴しているかのようです。氷のように冷たく、それでいて剥き出しの感情を湛えた彼の音楽は、装飾を削ぎ落としたからこそ到達できる、切実な真実を聴き手に突きつけます。

Indigo De Souza – “Come To God”

Indigo De Souzaが発表したニューシングル「Come To God」は、彼女の人生における劇的な転換点から生まれました。洪水ですべての持ち物を失い、最も親密だった人間関係が突然終わりを迎えるという過酷な状況の中で、彼女は住み慣れた土地を離れ、ロサンゼルスへと移住することを決意しました。

現実が根底から覆されるような混乱の中で、彼女は「悲しみ(grief)」を非常に重要な教師であると再認識したと語ります。悲しみは循環しながら自分を新しい姿へと生まれ変わらせ、いかなる状況でも「自分の身体は安全な場所である」と教えてくれる存在であるという、再生への力強いメッセージがこの曲には込められています。

Bonnie “Prince” Billy – “Life Is Scary Horses”

Bonnie “Prince” Billyがアルバム『We Are Together Again』からの先行シングルとして発表した「Life Is Scary Horses」は、MekonsのメンバーであるSally TimmsとJon Langfordによる楽曲「Horses」(2000年作)の「スピリチュアル・カバー」です。これまでも「Horses」をカバーしてきたWill Oldhamは、原曲が問いかけていた未解決の疑問を自らの解釈で新たな楽曲として昇華させたいと考え、この曲を制作しました。本作にはオリジナルの制作者の一人であるSally Timmsがバックボーカルとして参加しており、楽曲の深みを一層高めています。

Braden Kingが監督を務めたミュージックビデオは、記憶や過ぎ去りゆく世界をテーマにした、「未来に向けた哀歌」のような映像作品として完成しました。Ryder McNairによる美しいストリングス・アレンジとThomas Deakinの口笛が彩るこの楽曲は、「人類の時代は終わりを迎えた」という示唆的な歌詞を含み、聴き手に人間という種の存在意義を問いかけます。長年のコラボレーターであるBraden Kingとの絆から生まれたこの作品は、かつて存在した者たちを知ろうとする未来に向けたメッセージのような響きを持っています。

Felix Antonio – “tired”

InFinéレーベルの最新アーティストであり、2026年の「Chantiers des Francos」にも選出されたFelix Antonioが、ニューシングル「tired」をリリースしました。本作は、内面的な情動の疲弊と平穏への探求をテーマにした、親密で剥き出しのポップ・フォーク・バラードです。誠実な歌詞と繊細なプロダクションを通じて、孤独や家族、依存といった深いテーマを、電車の旅路を思わせる瞑想的で安らかな空気感の中に描き出しています。

2001年にノルマンディーで生まれた彼は、幼少期から音楽に親しみ、クラリネット、ピアノ、ギターを習得しました。10代の頃に触れたニューウェイヴやブリットポップ、フォークといった音楽的背景をベースに、現在はシンガーソングライター兼パフォーマーとしてソロの道へ踏み出しています。その確かな音楽的背景と深い感性を武器に、ソロアーティストとして自身の全才能を鮮やかに開花させています。

Goon – “Atrium”

Goonの楽曲「Atrium」は、Claireと二人きりのスタジオセッション中に、事前のリハーサルなしで即興的に誕生しました。楽曲の核となったのは、Rob Crow(Heavy VegetableやThingy)のスタイルにインスパイアされたドロップDのギターリフであり、そこから一気に形作られていきました。

歌詞も推敲をほとんど必要とせず、短時間で書き上げられました。そこには、憤りや失恋といった感情、そして他人を真に愛するためには、まず自分自身への揺るぎない愛が必要であるというメッセージが込められています。

SPRINTS – “Trickle Down”

SPRINTSのニューシングル「Trickle Down」が、City SlangおよびSub Popよりリリースされました。この楽曲は、住宅危機、物価高騰、文化戦争、気候変動といった、現代社会のシステムがゆっくりと崩壊していく様を目の当たりにする苦痛をテーマにしています。

バンドは、身の回りのすべてが燃え盛るような惨状にあるにもかかわらず、ただ「忍耐強く待て」と強いられる世代のフラストレーションを表現したと語ります。本作は、出口の見えない「待機モード」に閉じ込められた人々の怒りと絶望を鮮烈に描き出した一曲となっています。

LavaLove – “Never Better”

南カリフォルニアのバーシーンから現れたLavaloveが、4月3日にPure Noise Recordsよりリリースされるニューアルバム『TAN LINES』から、新曲「Never Better」を公開しました。ボーカル兼ギタリストのTealarose Coyが「パートナーにとって最高の元恋人になると無意識に確信させるような催眠的な曲」と語る本作は、エモーショナルな絶叫とアルバム中で最も気に入っているというエンディングの歌詞が際立つ、中毒性の高いナンバーに仕上がっています。

プロデューサーにAnton DeLost(State Champs, The Warningを手掛ける)を迎えた本作は、60年代のポップスやサーフミュージックの簡潔さを、現代的なインディロックやサイケポップの質感でフィルターにかけた、自信に満ちた太陽のエネルギー溢れる作品です。誰の許可も得ず、ただより明るく自由な生活を追い求めるエスケープ(逃避)の精神を核心に据え、果てしない夏の興奮をタイムレスかつダイレクトなサウンドへと昇華させています。

Fcukers – “if you wanna party, come over to my house”

Shanny Wise(ボーカル)とJackson Walker Lewis(ベース、キーボード、プロダクション)からなるデュオ、cukersが、Ninja Tuneよりニューシングル「if you wanna party come over to my house」をリリースしました。先週末にAustinで開催されたハウスパーティーでDylan Bradyと共に披露されたこの楽曲は、3月27日に発売されるデビューアルバム『Ö』からの先行リリースであり、明日放送の『The Tonight Show Starring Jimmy Fallon』にて彼らのテレビ初出演も決定しています。

デビューアルバム『Ö』は、Kenneth Blume [FKA Kenny Beats]のプロデュースにより、3人の出会いの直後に行われた2週間のスタジオセッションで制作されました。本作のミックスはマルチグラミー賞受賞エンジニアのTom Norrisが担当しており、さらに3曲でDylan Bradyが追加プロダクションとして参加しているなど、注目の制作陣が集結した意欲作となっています。

Mute The TV – “Depression Session”

Mute The TVの「Depression Session」は、まるで昔から知っている曲のように聴き手の心に寄り添う、親しみやすいオルタナ・ロック・トラックです。温かいポップ・ロック調のサウンドが心地よく響く一方で、その歌詞では時間の経過とともに変化していく友人関係や、人生の葛藤といった深いテーマが丁寧に描き出されています。録音からプロデュースまでをバンド自ら手がけたことで、Ivan Jackmanによるマスタリングを経て磨き上げられたサウンドの中に、彼らのありのままの誠実さがしっかりと息づいています。

アイルランドのGreystones出身のMute The TVは、これまでも「Highfalutin」や「You’re So Cruel」といった、エネルギーとカリスマ性に溢れた楽曲でインディーシーンを切り開いてきました。これまでの作品ではギターの鋭いリフや熱いシンガロング(合唱)が持ち味でしたが、本作では彼らの持つ「柔らかさ」や繊細な側面が見事に提示されています。これまでの勢いを失うことなく、新たな一面を切り拓いた彼らの快進撃は、ここからさらに加速していく予感がします。

1 12 13 14 15 16 233