深淵を覗き込む、2026年ポストロックの重要盤。CRIPPLED BLACK PHOENIXが贈る『Sceaduhelm』。Justin Greavesらによる、怒りの後の虚脱と脆弱さを捉えた、厳格で生々しい心理的空間。

CRIPPLED BLACK PHOENIX が、4月17日に Season of Mist からリリースされるニューアルバム『Sceaduhelm』より、その中核をなす楽曲「Ravenettes」を発表しました。この曲はアルバム制作の最初に書かれたもので、作品全体のトーンと感情的な枠組みを決定づける重要な役割を担っています。抑制されたリズムと反復される構成によって、抑圧された記憶が予期せず浮上する「心理的な警戒状態」を見事に描き出しています。

「Ravenettes」において、トラウマは解決されるものではなく、「タイムラインのグリッチ(バグ)」のように何度も繰り返される循環的なものとして定義されています。音楽的には、解放よりも緊張を優先した削ぎ落とされたサウンドと、執拗なリズムのパルスがその逃れられない宿命を表現。Belinda Kordic のヴォーカルは、過剰な誇張を避けつつも切実な響きを湛え、曲に潜む不安を静かに運びます。

ミュージックビデオは、視覚的な緊張感とムードを重視する映像制作集団 9LITER FILMY とのコラボレーションで制作されました。リニアな物語よりも雰囲気や反復を重んじる彼らの手法は、記憶を「完結」ではなく「断絶」として捉える楽曲のテーマと共鳴しています。アルバム『Sceaduhelm』が提示する、忍耐と感情の侵食、そして反復がもたらす静かな暴力性という内省的な世界観を象徴する映像作品となっています。

VIA DOLORIS、デビュー作『Guerre et Paix』より核心の一曲「For The Glory」を公開。ドラムにFrost(Satyricon)を迎え、忍耐と生存の美学を刻む漆黒のカタルシス。

VIA DOLORISが、3月20日にSeason of Mistよりリリースされるデビューアルバム『Guerre et Paix』の中心的な楽曲「For The Glory」を公開しました。本作はアルバムの核心に位置付けられており、内なる崩壊から微かな自己認識へと向かう緩やかな上昇を描いています。「忍耐」と「降伏」の間で揺れ動くプロジェクトの本質を見事に捉えた一曲です。

サウンド面では、Gildas Le Papeによる抑制と歪みを使い分けた精緻なギターラインが、上昇していくモチーフや緻密にコントロールされたクレッシェンドを形作っています。ドラムには1349やSatyriconで知られるFrostを迎え、揺るぎない力強さで「征服」ではなく「生存」への執着を表現。暗闇から測定されるように現れる光を、フィジカルな持続感と共に支えています。

あえて解決を避けた不協和音は、勝利そのものではなく「耐え忍ぶ行為」の中にこそ意味があることを示唆しています。Via Dolorisのアプローチは、厳格で規律正しいブラックメタルの形式を保ちながらも、根本的にはカタルシスに満ちています。過剰な演出を排し、雰囲気や感情の解放、そして内なる明晰さに重きを置いた、深遠なる暗黒の調べに仕上がっています。

テクノロジーの暴走に抗え。デンマークの Only Human がデビュー作『Planned Obsolescence』で描く、実存的プログレ・メタル。AI時代の崩壊を警告する「Automata」MV公開

デンマークから現れた期待の新鋭プログレッシブ・メタルバンド Only Human が、デビューアルバム『Planned Obsolescence』からのリードシングル「Automata」のミュージックビデオを公開しました。本作は社会の崩壊やディストピア的な未来を警告しつつ、このジャンルを真に前進的な方向へと押し進める、野心に満ちたデビュー作となっています。

アルバムはテクノロジーによる支配という現代的なテーマに深く踏み込んでいます。「Techno Fascist」の重厚なダウンチューニング・サウンドや、電子音が侵食する「Breach」などの楽曲を通じて、人間が時代遅れ(オブソリート)にされていく恐怖を表現。一方で、プログレ、ジェント、ハードロック、そしてエレクトロニックを融合させた彼らの音像は極めて鮮烈で、AI黎明期の現代において「新鮮な空気」のような衝撃を与えます。

リードシングル「Automata」では「抗い、再び歩き方を学べ」と力強く呼びかけ、絶望の中にも希望を提示しています。実存的な問いを投げかける歌詞と緻密なサウンド構成が融合した本作は、ディストピア化する未来を見据えた「実存的プログレッシブ・メタル」という新たな境地を切り拓いています。

古ノルド語の詩とスラヴのメロディが交差:ポーランドのHÉRがSeason of Mistと契約、デビュー作『Monochrome』で儀式的な音響世界を解き放つ

ポーランドの北部海岸から出現したアンサンブル HÉR が、Season of Mistと契約したことを発表しました。HÉR(アイスランド語で「ここに」の意)は、スラヴのメロディとスカンジナビアの雰囲気を融合させた音楽を制作する、探求者であり語り手です。彼らのアートは、生のヴォーカルの呪文、弓弾きされた弦楽器、トランスのようなパーカッションを織り交ぜ、古ノルド語の詩や古代の交わりにインスパイアされた儀式的なサウンドスケープを構築しています。バンドは、このコラボレーションが「サウンド、神話、そしてビジョンをより広い世界と共有するためのゲートウェイを開く」と述べています。

この契約を記念し、バンドはデビューアルバム『Monochrome』からのリードシングル「Needles and Bark」を公開しました。この楽曲は、『詩的エッダ(Poetic Edda)』の詩からインスピレーションを得ており、アイスランドのフィヨルドと北欧神話の精神を表現しています。歌詞には、「岩の上の松は乾き、死ぬ/針も樹皮も守らない/なぜ彼は長く生きるべきなのか?」という、腐敗と忍耐についての古代の瞑想が反映されています。

アルバム『Monochrome』の録音は、Monochrom Studioでプロデューサー兼サウンドエンジニアのIgnacy Gruszeckiのディレクションのもと行われました。この制作プロセスでは、アナログの深みと現代的な精度が融合され、HÉRの有機的な相互作用(organic interplay)が見事に捉えられています。また、アルバムのミックスとマスタリングはMarcin BorsがFonoplastykonで行っており、彼らが目指す「沈黙」と「力」の境界を探るサウンドに磨きをかけています。