ミュージシャンであり執筆家でもある Claire Cronin が、前作『Bloodless』(2021年)以来となる待望のニューアルバム『The Bruise』から、リードシングル「Black Water」を公開しました。夫であり音楽的パートナーの Ezra Buchla とのデュオ編成で制作された本楽曲は、6分間に及ぶ催眠的なアコースティック・フォークです。幾重にも重ねられた澄んだヴォーカル・ハーモニーと Ezra の低いベース声が合わさり、エセリアルでありながらもどこか不穏で不気味な気配を纏った音像を作り上げています。
先行シングル「Black Water」は、Cronin 自身が「死と生の接近を予言していた」と語る通り、楽曲制作後に経験した第2子の壮絶な出産体験や、世代を超えて受け継がれる痛みをモチーフに書かれました。「marigold, tiger’s eye, baby cry」という呪文のような言葉の反復と、死後の世界への不確かさを描いた詞世界は、母であり娘でもある彼女の切実な精神性を深く反映しています。
この「Black Water」を核に持つアルバム『The Bruise』は、ドゥーム・メタルの空気感やアヴァンギャルド・ドローンの要素を融合させた独自のフォーク・ホラー作品です。Julia Holter(ハーモニウム)や Deerhoof の John Dieterich(シンセサイザー)ら豪華なゲスト陣に加え、古いラジオのノイズや赤ん坊の寝息といったフィールド・レコーディングを組み込むことで、伝統的なフォークの枠組みを怪奇な異形へと変貌させています。現代性と太古の響きが同居する、重厚で超越的な最高傑作です。
