Chairs – Sideline

Primordial VoidからリリースされたChairsの2026年第1弾シングル「Sideline」は、フロントマンのMarcel Slettenが書き上げた、ロマンティックで謎めいた魅力を持つポップナンバーです。本作はChairsのメンバー6人全員が初めて揃ってレコーディングに参加した記念すべき楽曲でもあり、彼らの今後の活動における重要なマイルストーンとなっています。

Prefab SproutとPulpの間に位置するような、緻密で夢見心地なサウンドが特徴のこの楽曲は、ジョージア州アテネを拠点とする彼らの待望のデビュー・アルバムを予感させる魅力的な一枚です。グループとしての新たな結束と、彼らが持つ洗練された音楽的個性が存分に発揮された本作は、多くの音楽ファンを惹きつける作品となっています。


ベルリン発の衝撃、Mugがデビュー・アルバム『The Well』をリリース――ジャンルを超越し、失恋の痛みと再生を刻んだ深遠なる音像の旅路

ベルリンを拠点とするデュオ、Mugがデビュー・アルバム『The Well』を2026年5月22日にリリースします。ノーウェイヴ、シューゲイザー、ロック、アンビエントといった多彩な影響を背景に持つ本作は、失恋の痛みを癒やし、その亀裂から差し込む光を見いだしていく過程を綴った、親密で誠実な作品です。アルバムからの先行シングルとして、表題曲である「The Well」も発表されています。

本作の音楽的核となっているのは、全く異なる背景を持つLudwig WandingerとYves B Goldenの化学反応です。教会音楽のルーツを持つ詩人・エッセイストのYves B Goldenと、国際的なドラマー・ビジュアルアーティストであるLudwig Wandingerは、以前は遠距離でのコラボレーションを行っていましたが、現在は同じ街で共作。即興性を重視し、「最初の直感こそが最良」という信念のもと、未加工の感情をフィルタリングせずに音へと落とし込んでいます。

アルバムは、二人の対話の境界線とも言える「Skin Colored Room」から始まり、二つの異なるエネルギーへと展開していきます。衝動的なグランジの影響を受けた楽曲がある一方で、アルバム後半に収録された「Silver and Gold」などは、日記のように親密でミニマルな構成となっています。ジャンルの枠に捉われないMugのデビュー作は、二人の今後の進化を予感させる重要な出発点です。


BADVRIL – “Golden”

サンフランシスコを拠点に活動するインディーロック/シューゲイザー/ドリームポップ・バンド、BADVRILが、2025年3月のデビューアルバム『In Heaven』以来となる待望の新曲「Golden」をミュージックビデオと共にリリースしました。本作は、彼らの音楽的ルーツである田舎町での孤立感と、サンフランシスコという大都市の熱狂的なエネルギーの間に生まれる緊張感を見事に体現した楽曲となっています。

Becket SchroederとTessa Piccilloのデュオを中心とするBADVRILは、自身のバックグラウンドを融合させ、混沌とした「麻薬的」とも言えるグランジサウンドと独創的なアートワークを確立しています。二つの異なる世界の対比を物語の核に据え、個人の実体験を叙情的に昇華させる彼らのスタイルは、本作においても独自のアイデンティティを鮮烈に刻み込んでいます。


Just Mustard – “ENDLESS DEATHLESS” (Daniel Avery remix)

アイルランドの5人組バンド Just Mustard が、最新アルバム『WE WERE JUST HERE』の収録曲を再構築した「ENDLESS DEATHLESS [Daniel Avery Remix]」を公開しました。本作は、4月から5月にかけて予定されている欧州・北米ツアーや、今夏に控える The Cure の野外公演へのサポート出演を前に、アルバムからのリミックス第1弾としてリリースされました。ボーカルの Katie Ball は、制作中に Daniel Avery の作品に多大な影響を受けていたことを明かし、両者の音楽世界の交錯が実現した喜びを語っています。

一方の Daniel Avery も、同アルバムを昨年のベスト盤の一つに挙げ、アイルランドから生まれる「美しい歪み」の潮流をリードする彼らを高く評価しています。バンドがインタビューでブレイクビーツからの影響を公言していたことに触発された Avery は、その精神を汲み取った独創的なリミックスを完成させました。今回のコラボレーションは、互いへの深い敬意から生まれたものであり、ツアーに向けてバンドの勢いをさらに加速させる一曲となっています。


Hyd – “Watch You Cry”

Hydは、ニューアルバム『Hold Onto Me Infinity』から、Alanis Morissetteのフレーズを引用した新曲「Watch You Cry」を公開しました。Hydは「涙」を特別な関心の対象として捉えており、体内の物質が海と同じ成分であることに深い繋がりを感じています。制作にあたり、宇宙飛行士から「無重力空間では表面張力によって涙が目の周りに溜まって熱く燃えるように感じ、手で拭い去らない限り空気中で分子が結合したまま浮遊する」という話を聞いたことで、重力に縛られた地球の海と、宇宙で浮遊する涙の対比に強いインスピレーションを受けました。

この楽曲には、地球上で流した涙が熱い肌の上で蒸発し、再び雨となって戻ってくるという「循環」への愛着が込められています。宇宙での静止した涙とは対照的に、絶えず形を変えながら自然界を巡る液体のプロセスに自身を重ね合わせることで、生と死、あるいは物理的な境界を超えて続いていく大きな生命のサイクルを表現しています。


This House is Creaking – “There’s a Stench in the Air”

シカゴを拠点に活動する This House is Creaking が、ニューシングル「There’s a Stench in the Air」をリリースしました。本作は、アパートに漂う奇妙な臭いや日常の些細な苛立ちをテーマに、自分たちが存在する場所を愛し、折り合いをつけていく過程をポジティブに描いた一曲です。「壁を塗り替えるかもしれないし、そのままにするかもしれない、それは自分たち次第だ」という歌詞の一節は、生活空間を自らの手でコントロールし、そこを自分たちの居場所にしていく決意を象徴しています。

歌詞の中では、部屋の隅にいる虫や空気の濁り、冷蔵庫に貼られた写真といった生活の断片が、どこか幻想的でパーソナルな視点から綴られています。自分に似た顔を霧の中に見出すようなサイケデリックな感覚と、地に根を張る植物のイメージが交錯し、単なる不満の吐露を超えて、現在の住処を「最後の家」として受け入れようとする切実な愛着が表現されています。日常の閉塞感さえも音楽へと昇華させた、彼ららしい独創的な視点が光る作品です。



Garlands – “Delete the Mars (Can Love Be Synth Remix)”

Garlandsは、ミュンヘンを拠点に活動するポストパンク/シューゲイズ・バンドであり、80年代の4ADレーベルを彷彿とさせる耽美な世界観と、現代的なダイナミズムを融合させたサウンドが特徴です。彼らの楽曲は、霧のように広がるギターのレイヤーと重厚なリズムセクションが交錯し、静寂から轟音へと突き抜けるようなカタルシスを生み出します。本作でも、独自の「ジャングリー」かつ「ファジー」なギターテクスチャが感情を揺さぶり、インディーシーンにおいて確かな存在感を放っています。

一方、その楽曲をリワークした Can Love Be Synth は、アナログシンセサイザーの探求者として知られるプロデューサー、Katja Rugeによるプロジェクトです。このリミックスでは、バンドが持つノイズの壁を大胆に解体し、ミニマルで空間的な電子音のテクスチャへと再構築しています。ヴィンテージ機材を駆使した温かみのあるシンセサイザーの音色と、ダブの要素を取り入れた緻密な音響設計により、原曲のメランコリックな旋律に新たな知的な奥行きを与え、ダンスフロアとリスニングルームを繋ぐ洗練された一曲へと昇華させています。


シューゲイザーと電子音響が交差する、Rick Altieriの野心的プロジェクト。above meが放つ待望の1stアルバム『Soften The Blows』

サンフランシスコを拠点に活動するRick Altieri(Aluminumのドラマー、元Blue Ocean)によるソロ・プロジェクト「above me」が、2026年5月1日にデビュー・フルアルバム『Soften The Blows』をリリースすることを発表しました。これに先駆け、先行シングル「Water Drops」が公開されています。

このプロジェクトは、ギター主体のポップ・ソングを核としながら、リズムマシンやサンプリングされたビート、ドリーミーなシンセ、そして奇妙なサウンドデザインを巧みに融合させているのが特徴です。特定のジャンルの再定義を目指すのではなく、シューゲイザーからサンプリング主体量のエレクトロニカまで、作り手が受けた多様な影響を素直に反映させた独自のサウンドを構築しています。

音楽的なルーツは、My Bloody ValentineやChapterhouseといったシューゲイザーの系譜から、AutechreやOneohtrix Point Never(OPN)といった先鋭的な電子音楽まで多岐にわたります。Dandy Boy RecordsからのセルフタイトルEPを経てリリースされる今作は、彼のソングライティングにおける深化と、重層的な音響工作へのこだわりが結実した初のフルレングス・アルバムとなります。


Slowdiveの残響と90年代MTVの系譜を継ぐ「音のシュルレアリスム」――she’s greenが崩れゆくような繊細なギターで描く、愛の喪失とメランコリーの極致

ミネソタ州ミネアポリスを拠点に活動する5人組バンド、she’s greenが、2026年7月10日にPhoto Finish Recordsから新作『swallowtail EP』をリリースすることを発表しました。初期のシングルやデビューEP『Wisteria』で中西部のオルタナティブ・シーンの旗手として台頭した彼らは、SlowdiveやThe Sundaysを彷彿とさせるドリーミーな音像と、強烈な感情の奔流を融合させた「音のシュルレアリスム」を追求。これまでにHotline TNTやFrikoといった気鋭のアーティストとも共演を重ね、着実にその評価を高めています。

新作EPからの最新シングル「paper thin」は、崩れゆくような繊細なシューゲイザー・ギターと、ゾフィア・スミスの切なくメランコリックなボーカルが交錯するスローナンバーです。愛が目の前で失われていく無力感や、後悔に満ちた心の痛みを描いた本作は、シュルレアリスム的な映像美が光るミュージックビデオと共に、バンドの深化を感じさせる仕上がりとなっています。120 Minutes時代のMTVを思わせるノスタルジーと、現代的なエモーショナルさが同居した一曲です。


轟音のシューゲイザーから親密なネオフォークまで――Sans Meritが描く、脆弱な世界に寄り添う万華鏡のようなサウンドスケープ

オーストラリア出身で現在はロサンゼルスを拠点に活動するミュージシャン、Griffin Jamesによるプロジェクト、Sans Meritの新曲「Doledrines」が公開されました。5月8日にKnekelhuisからリリース予定のセカンドアルバム『Trolley Polly』からの先行シングルとなる本作は、遊び心に満ちた誠実さと、無防備なほどの喜びに溢れた輝きを放つ楽曲に仕上がっています。

サウンド面では、ギターペダルを力強く踏み込むようなエネルギッシュなロックサウンドから、ネオフォークに通じる親密なアコースティックパートまで、多彩な表情を見せます。押し寄せるシューゲイザーの轟音、霞がかったヒプナゴジック・ポップの間奏、そして鋭いポストパンクの要素が交錯し、アルバム全体を通して絶え間なく変化するダイナミックな鼓動を感じさせます。

その根底には、脆弱な世界における大きな問いを反映した叙情的な繊細さが流れています。自身の脆さと自覚的なユーモアのバランスを保ちながら、日常生活の感情の底流を掬い上げるSans Merit独自の視点が、作品に深い人間味と安らぎを与えています。矛盾を抱えながらも躍動する、極めて人間らしい感性が息づく一作です。


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