ベルリンを拠点に活動するドリームロック・トリオ Roomer の新曲「For Yves」は、名門レーベル Squama からリリースされる待望のセカンドアルバム『Staircase Made of Rope』の全貌を占う重要な先行シングルです。Leon Liehr が手掛けたアート性の高いミュージックビデオとともに公開された本作は、激しいディストーションのノイズの隙間に美しいメロディーを滑り込ませ、次の瞬間には静かな囁きへと急降下するような、予測不能でスリリングなダイナミズムを放っています。
このシングルを包含するアルバム『Staircase Made of Rope』は、入念なライブでの試行錯誤を経て作られた前作とは対照的に、スタジオでのインプロヴィゼーション(即興演奏)や一発撮りのテイクをそのまま採用する自由なアプローチで制作されました。それぞれがソロや現代美術、アンビエントの分野で異彩を放つ3人の親友(Ronja Schößler、Ludwig Wandinger、Luka Aron)が再び集結し、実家のソファやコンクリートの階段井戸、メガホンや古い録音機で再アンプしたギターなど、実験精神に満ちた生々しい環境音ごとテープに刻み込まれています。
前作の日記のような直接的な表現から一歩進み、今作では感情の核心をあえて曖昧に周回するような、より削ぎ落とされたリリックの世界観へと進化を遂げました。「手すりがなく、登るために両手を必要とするロープの階段」というタイトルが示す通り、慰めを差し出しては拒絶するような、失恋の先にある平坦で明晰な精神状態が描かれています。危うさと親密さが奇妙に同居するサウンドスケープの中で、彼らの10年間に及ぶ音楽的実験が美しく結実した一枚です。
