ARTIST : vegas water taxi
TITLE : long time caller EP
LABEL : PNKSLM Recordings
RELEASE : 10/3/2025
GENRE : americana, county, indierock
LOCATION : London, UK
TRACKLISTING :
1. chateau photo
2. birkenstocks
3. jolene
4. jerry
5. nts
別れた相手の“次の恋人”を想像してしまった経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。vegas water taxiの中心人物、Ben Hambroも同じです。PR会社の重役、ポストパンクバンドの男、Mubiを購読している金髪の青年。Hambroは、考えうる限り最悪な相手、そして最高の相手を思い浮かべますが、結局は家に一人でいることに変わりはありません。
vegas water taxiの新作EP『long time caller』の楽曲は、そんな失恋後の内省をユーモアとペーソスを織り交ぜて描いた、オルタナティブ・カントリーのスケッチ集です。
vegas water taxiは、ファンキーなエレクトロ・ポッププロジェクトLazarus Kaneの解散後に生まれました。Lazarus Kane時代、Hambroは謎めいたアメリカのロックスターという架空のキャラクターを演じていました。しかし、そのプロジェクトが終わりを迎える頃には、誰か別の人物になりすまして作品を発表することに疲れていました。
そんな時、元バンドメンバーのLeo Lawtonとの再会がきっかけとなり、彼は自身の心に近い音楽を作ることを決意します。愛するWilcoやSilver Jewsのような、思索的で皮肉の効いたオルタナティブ・カントリーを追求する試みでした。こうして生まれた楽曲は、「必要なだけ正直で、痛みを伴うもの」となっていきました。
2023年のデビューアルバム『things are gonna be alright』では、観察眼に富んだウィットを披露していましたが、新作『long time caller』でvegas water taxiは真に本領を発揮します。Hambroとバンドメンバーは今、飛躍の時を迎えています。
収録曲はメロディックで親しみやすく、賛歌のような響きを持っています。Hambroの歌声は滑らかで、ギターは喜びにあふれています。彼は「最高の曲を書きたかった。これらはポップソング、だけど最高に悲しいポップソングなんだ」と語ります。
Hambroにとって、曲を書く価値があるのはそれが笑いを誘う時だけです。『long time caller』は、自虐的で、皮肉たっぷりなジョークに満ちています。
Instagramの投稿で仲間外れにされたことに気づく「chateau photo」では、「彼女は僕をPR会社の男のために去った。彼は僕がバーで泣いているというプレスリリースを出している」と歌い上げます。
シングル曲「birkenstocks」では、「アートのために苦労するなら、まずスモールプレート(小皿料理)から始めろ」と結論づけます。
アメリカーナに深く根ざしたサウンドでありながら、Hambroは高価なコーヒーショップや、トレンドを追いかける音楽好きの男性など、現代ロンドンの社会的な不条理を真正面から考察しています。EPのハイライトは、元恋人の新しい恋人との完璧なデートを想像する「jerry」です。「優しいジェリーが僕のベイビーの腕にキスをするだろう」と、誰もが共感できるであろう痛ましい心情を吐露しています。





