The NotwistのMicha Acherが自身の名曲群を再構築。室内楽とエレクトロニクスが織りなす、親密で幻想的な「音楽的降霊術」

The NotwistのMicha Acherが自身の名曲群を再構築。室内楽とエレクトロニクスが織りなす、親密で幻想的な「音楽的降霊術」

The Notwistのメンバーとして知られるMicha Acherが、ソロプロジェクトHenry and the Ghost名義でニューアルバム『Henry And The Ghosts Songbook』を6月12日にリリースします。本作は、彼が過去にTied & Tickled TrioやMs. John Soda、The Notwistなどのプロジェクトに提供した楽曲を、室内楽の編成で再解釈したセルフカヴァー集です。自身の居間で2日間にわたり行われた録音セッションは、まさに過去の楽曲を呼び戻す「音楽的な降霊術(セアンス)」のような趣で行われました。

アルバムには、バスクラリネット、ファゴット、バンジョー、スーザフォン、そしてMarkus Romによる幽霊のようなエレクトロニクスが導入され、既存の楽曲に新たな命を吹き込んでいます。先行シングル「LOOP D」を含む全15曲は、ポップ、フォーク、ジャズ、クラシックの要素が軽やかに交錯。映画的な情景を想起させる「Johanna」や、The Velvet Undergroundへのオマージュを感じさせる「All Tomorrow’s Past」など、メランコリックでありながらも親密で温かみのあるサウンドスケープが広がっています。

文化理論家Mark Fisherが提唱した「不気味なもの(eerie)」の概念を引用しつつも、本作の楽曲たちは決して恐ろしいものではなく、どこか懐かしい「ドッペルゲンガー」のように聴き手に寄り添います。1998年の名盤『Shrink』収録曲を再構築した「Nordlead」で締めくくられるこの「Songbook」は、90年代から現在に至るまでMicha Acherが切り拓いてきた音楽世界の進化を証明すると同時に、どの音符にも彼の確かな署名が刻まれた集大成的な一作となっています。