アコースティックの静謐からグリッチのカオスまで。Maria BCが13曲の物語を通じて問いかける、破滅へと走り続ける世界の中で「繋がり」を維持するための抵抗と希望

アコースティックの静謐からグリッチのカオスまで。Maria BCが13曲の物語を通じて問いかける、破滅へと走り続ける世界の中で「繋がり」を維持するための抵抗と希望

オークランドを拠点とするアーティスト Maria BC が、Sacred Bonesからの第2弾となる3rdアルバム『Marathon』を発表しました。前作『Spike Field』が一息の長い呼吸のような作品だったのに対し、今作はよりダイナミックで変化に富んだ構成となっており、レコーディングよりもソングライティングに重点を置くことで、歌詞のテーマ性をより簡潔かつ強固に突き詰めています。

アルバムのタイトル曲「Marathon」は、幼少期に自宅の近くにあったガソリンスタンドの看板への記憶から着想を得ています。そのロゴに抱く郷愁と、石油企業が象徴する環境破壊や「アメリカの精神」という欺瞞との対比を、彼らは「サタニック・ポエトリー(悪魔的な詩)」と表現。個人の野心というミクロな視点と、破滅へ向かって走り続ける世界のエネルギーシステムというマクロな視点が交錯する、鋭い批評性を備えた一曲です。

アメリカ西海岸各地で制作された全13曲は、風通しの良いアコースティックから、カオスを体現するグリッチな歪みまで多岐にわたります。喪失や破壊といった困難な現実に直面しながらも、繋がりや親密さへの希望を捨てない本作は、脆弱な地球の上で「ただ生き延びること」や「抵抗し続けること」という、長期的な忍耐(マラソン)の意味を深く問いかけています。