Maria BC – “Night & day”

オークランドを拠点に活動する Maria BC が、ニューアルバム『Marathon』のリリースに先駆け、新曲「Night & Day」を公開しました。同じベイエリアのミュージシャン Cole Pulice がサックスで参加したこの楽曲は、幽玄に響くチャイムのような調べが印象的な空想劇です。作者自身が「孤独なカウボーイの歌」と称するこの曲は、質素でありながらベルベットのような滑らかさを持ち、聴く者を深く没入させる独特の空気感を纏っています。

「夜への賛歌」として描かれた本作は、仕事が終わり太陽が沈んだ後の、愛する人と自由に語らい深く感じ合える貴重な時間を綴っています。しかし、その執着はやがて朝の訪れと共に羞恥や朦朧とした感覚、そして新たな切望へと変わっていきます。F. Saber Sutphin が監督したミュージックビデオでは、凍てつく泥の中を歩き、月明かりの下で手作りのボートを沈めるといった、楽曲の持つ幻想的かつ寂寥感に満ちた世界観が視覚的にも表現されています。

アコースティックの静謐からグリッチのカオスまで。Maria BCが13曲の物語を通じて問いかける、破滅へと走り続ける世界の中で「繋がり」を維持するための抵抗と希望

オークランドを拠点とするアーティスト Maria BC が、Sacred Bonesからの第2弾となる3rdアルバム『Marathon』を発表しました。前作『Spike Field』が一息の長い呼吸のような作品だったのに対し、今作はよりダイナミックで変化に富んだ構成となっており、レコーディングよりもソングライティングに重点を置くことで、歌詞のテーマ性をより簡潔かつ強固に突き詰めています。

アルバムのタイトル曲「Marathon」は、幼少期に自宅の近くにあったガソリンスタンドの看板への記憶から着想を得ています。そのロゴに抱く郷愁と、石油企業が象徴する環境破壊や「アメリカの精神」という欺瞞との対比を、彼らは「サタニック・ポエトリー(悪魔的な詩)」と表現。個人の野心というミクロな視点と、破滅へ向かって走り続ける世界のエネルギーシステムというマクロな視点が交錯する、鋭い批評性を備えた一曲です。

アメリカ西海岸各地で制作された全13曲は、風通しの良いアコースティックから、カオスを体現するグリッチな歪みまで多岐にわたります。喪失や破壊といった困難な現実に直面しながらも、繋がりや親密さへの希望を捨てない本作は、脆弱な地球の上で「ただ生き延びること」や「抵抗し続けること」という、長期的な忍耐(マラソン)の意味を深く問いかけています。