戦火のウクライナで録音された、Emperor XことChad Mathenyの魂の記録。パンク精神と「美的な緊急事態」が結実した最高傑作『Unified Field』

戦火のウクライナで録音された、Emperor XことChad Mathenyの魂の記録。パンク精神と「美的な緊急事態」が結実した最高傑作『Unified Field』

1998年からEmperor Xとして活動し、インディー・ロックとエモ・フォーク/パンクの境界線を独創的に歩み続けてきたChad Mathenyが、ニューアルバム『Unified Field』を6月26日にBar/None Recordsからリリースします。フロリダ出身で現在はドイツのベルリン近郊に拠点を置く彼にとって、本作はキャリアの集大成と言える作品です。特筆すべきは、アルバムの大部分がロシアによる侵攻が続くウクライナ現地で執筆・録音されたという点にあります。

かつてウクライナでツアーを行い、ドイツの自宅で避難民を受け入れるなど長年同国を支援してきたMathenyは、2025年末、自身が利用していた鉄道路線が爆撃されたニュースに接し、「ウクライナの友人たちと共にこの地でアルバムを完成させなければならない」という強い衝動(彼はこれを「美的な緊急事態」と呼んでいます)に駆られました。物流の整ったベルリンではなく、戦火の下で生きる友人たちにスタジオ代を支払い、共に芸術を作り上げることで、作品に真の切実さと意味を宿らせようとしたのです。

ハルキウでの録音中にドローン攻撃に遭遇し、目の前で犠牲者が出るという過酷な状況下にあっても、彼はウクライナの人々が絶望に抗い、ライブを行い、カフェに集い、笑い合う日常の逞しさに深く感銘を受けました。先行シングル「Praise Jesus! Hail Reagan!」を含む本作は、凄惨な戦争の現実と、停電した暗闇でライトを頼りに用を足すような不条理な日常(「Pissing With The Flashlight On」)を、独自のユーモアとパンク精神で描き出しています。個人の感情と政治の境界線が消失したこの場所で、Emperor Xは尊厳と怒りに満ちた傑出した記録を創り上げました。