冬の精神的苦境から春の再生へ――Jesse Carstenが「風」と「果実」に託した、喪失と自己愛をめぐる極めてパーソナルな叙事詩

ポートランドを拠点に活動する Jesse Carsten のソロプロジェクト Half Shadow が、2026年3月6日に Antiquated Future Records より新作EP『Wind Inside』をリリースします。過去13年にわたり、土着的なフォークと超自然的なロック、原始的なポップ実験を融合させてきた彼は、本作でも生命の神秘やシンクロニシティを祝う謎めいた音像を展開。自身初の7インチ盤となるこのEPは、3分に満たない簡潔ながらも夢幻的な4曲で構成され、個人の成長と再生を赤裸々に宣言する詩的な作品となっています。

先行シングル「Fruit」は、精神的な困難に直面した冬の日々と、そこから春の光や自己愛へと向かう回復のプロセスを、温かい暖炉の傍らで綴ったような歌。アルバムの冒頭を飾る静かな詠唱から、エコーの効いたギターや銀色に輝くピアノ、合唱のような歌声が重なり、聴き手を悲しみと欲望、そして苦難の末に勝ち取った超越の空間へと誘います。歌詞には愛する者の去り際や深い疎外感といった喪失の詩学が織り込まれる一方で、暗闇から抜け出し、再び生へと向かう力強い再生の息吹が鮮やかに描かれています。

本作において「風」は、慰めを与える柔らかなそよ風であると同時に、自然界の「不滅のもの」を目撃させる目覚めの力として表現されています。人間もまた風景と同じように、美しく、壊れやすく、そして無限の豊かさを秘めた存在であることを、これらの楽曲は伝えています。13年間に及ぶキャリアの象徴とも言える深淵な感情と驚異に満ちた『Wind Inside』は、レコードの回転とともに季節を越えて、聴く者の心に深い余韻を残し続けるでしょう。