ARTIST : Weirs
TITLE : Diamond Grove
LABEL : Dear Life Records
RELEASE : 10/3/2025
GENRE : folk, ballads, experimental
LOCATION : Hillsborough, North Carolina
TRACKLISTING :
1. I Want to Die Easy
2. Lord Randall
3. Everlasting
4. Edward
5. Doxology (I)
6. (A Still, Small Voice)
7. Lord Bateman
8. Doxology (II)
ノースカロライナを拠点とする実験音楽コレクティブ、Weirsが、セカンドアルバムでありDear Life Recordsからのデビュー作となる『Diamond Grove』をリリースします。このアルバムは、バンドメンバーの家族が何世紀にもわたって所有してきた、ヴァージニア州の古い酪農場で録音されました。
『Diamond Grove』は、2023年9月にバンドメンバー9人が古い邸宅のリビングやダイニングルームに集まり、コミュニティから借りた機材を寄せ集めて録音されました。2020年のデビュー作『Prepare to Meet God』がコロナ禍で個別に録音されたのに対し、今作は、人、場所、時間が偶然に、そして二度と繰り返すことのない形で収束した結果生まれたものです。
彼らは、伝統的な音楽をいかにして未来へと繋いでいくかを探求し続けています。そのレパートリーは、忘れ去られそうな古い楽曲を集めたもので、Guided by VoicesやAmps for Christといったインディーバンドから、フォークシンガーのJean Ritchieまで、幅広い音楽シーンに精通した彼らの独自性が光る作品です。
このアルバムは、伝統的な音楽の歴史をフォークリバイバルではなく、むしろ「ミュジック・コンクレート」やThe Shadow Ringのようなノイズミュージックから捉え直しています。
例えば、賛美歌「Doxology I」では、MIDIに変換されたメロディがiPhoneのスピーカーから再生され、それが再び録音されています。この、人工的なオートチューンボイスと伝統的な歌の対比は、過去と現代の緊張関係を鮮やかに描き出しています。また、「I Want to Die Easy」では、録音場所である酪農場のサイロが持つ2秒間の自然なリバーブが、初期の録音にあった「純粋な声」の明瞭さを失わせ、録音場所そのものがパフォーマンスと等しい存在となっています。
アルバムの中心をなす「Lord Bateman」は、18世紀の古いバラードです。この曲は、June TaborやPeltのような現代の実験音楽の系譜に連なる、巨大なドローンが加わることで、伝統的な物語に新たな次元を与えています。
『Diamond Grove』は、単なる歴史の記録ではなく、地域的な言葉を大量生産された言葉遣いから守り、フォークミュージックは「純粋」でなければならないという信念から守る、現代社会に対する「防衛線」のようなものです。この作品は、失われた歴史に潜む未来の夢が完全に失われてはいないことを示し、伝統的な音楽が未来の時代においても役割を果たすことを証明しています。





