ベイルート生まれシカゴ拠点のマルチ奏者Rami Gabrielが、ソロ2ndアルバム『Tunderizer』を3月27日にSooper Recordsからリリースします。先行シングル「Majesty and Misery」の公開と共に発表された本作は、ポストパンクやインダストリアルの過激な実験性を、家庭という親密な空間へと注ぎ込んだ野心作です。ローファイなノイズ・アートやフィールド・レコーディングを駆使し、鏡を横切る影のように、精緻なソングライティングをあえて音の網目で覆い隠す独特の手法をとっています。
本作の最大の特徴は、カントリーやデルタ・ブルースから、アラブ古典音楽の「タラブ(tarab)」、さらには解体的なノイズに至るまで、あらゆる音域を自在に横断する音楽的語彙の広さです。ウードやブズクを操り、シカゴの伝説的奏者からジャズやブルースを学んだ彼だからこそ成し得た、伝統と前衛の稀有な融合がここにあります。それは抗いがたいメロディと破壊的な静電気のようなノイズが同居する、スリリングな聴覚体験をもたらします。
Rami Gabrielは、自身のプロジェクト「The Arab Blues」を率いる傍ら、Buddy Guyのようなルーツの巨匠からFire-Toolzといった実験派アーティストまで、極めて幅広い層と共演・交流してきました。Jake Karlsonが編集を手がけた新曲のビデオでも、その多層的な芸術性が視覚化されています。伝説的バンドNRBQのメンバーとの共演歴も持つ彼が、ポストパンクの感性で自身のルーツを再構築した本作は、ジャンルの境界線を軽やかに飛び越える現代のアート・ポップと言えるでしょう。
