hackedepicciottoがMute Recordsから発表する新作『LICHTUNG』は、Alexander HackeとDanielle de Picciottoのデュオが14年にわたる放浪生活に終止符を打ち、ベルリン郊外に構えた新居で制作されました。タイトルの「林間の空き地(明かり)」という言葉が示す通り、世界的な激動の中で見出した個人的な避難所や内省の場を象徴する作品です。また、2025年4月にAlexander HackeがEinstürzende Neubautenを脱退して以来、初めてリリースされるフルアルバムという大きな節目でもあります。
本作の最大の特徴は、周囲の環境と言語への敬意を込め、全編ドイツ語で綴られ演奏されている点です。Alexander Hackeは、ベルリンのリヒテンラーデで過ごした少年時代の電子音楽的ルーツへと立ち返り、これまでの音楽活動で無意識に従ってきた英米的な慣習から解き放たれたアプローチを試みています。アメリカ出身のDanielle de Picciottoにとっても、第二の故郷の言語で歌うことは、ベルリン生まれのレコードとしてのアイデンティティを強固にする慈愛に満ちた表現となっています。
音楽的には、これまでのトレードマークであった反復的なドローンから一歩踏み出し、より複雑なエレクトロニクスと構造的なアレンジを追求しています。Danielle de Picciottoが長年離れていたピアノを再開し、新たな表現を模索した一方で、Alexander Hackeは緻密で実験的な電子音のテクスチャーを構築しました。Phewとの共作や自叙伝の出版といった2025年の精力的な活動を経て、デュオが辿り着いた新たな音楽的到達点と言える一作です。
