Autre Ne Veut – ‘Anxiety’ (Software)

焼き鳥屋からじいさんが千鳥足で出てきた。気分が大きくなっていたのだろう、それまでたまっていた屁を人目をはばからず路上でこきやがった。しかもものすげえでかくてキレのある、ビッって音のやつを。ふらふらとした足取りのくせして、屁だけは立派である。じじいになっても失わない生きる証っていうか、それこそソウルを感じさせてもらった瞬間だったよ。ただなあ、2度もしなくて良かったんだけどな。Autre Ne Veut を初めて聴いたのは、Olde English Spelling Bee から2010年に出たセルフ・タイトルのアルバム。この頃、OESBレーベルがそれまでのドローンやフリフォークな路線から急速にエレクトロ、80s志向にどんどん向っていた時で、地下感を保ちながらのスタンスだったから、このひとの情報もそんなに多くなく、なんか冗談半分な感じでやってるのかなと思っていたけど、3年の間で(Hippos In Tanks からEPはあったけど)ここまで煮詰めてくるとは思わなかった。前作の頃と比べると単純に表面的な音のクオリティが上がっているし、少々派手な感じはあるけど構成が分厚い。それと魂を入れた唄いっぷりを全面に出し切っていて、ヴォーカルが完全に目立つようになりましたね。前作のペラペラ感が好きだった人には、もう全く違うとも言えるし少々仰々しく思うかもしれないからどうでしょうね。でも、今回のこの豪腕感満点のなかからから沸き上ってくるソウルにはがっつり持っていかれるし、最近の流行りなベース・ミュージックやビート系のリズム・パターンを若干取り入れてはいるけど、前作からのエレポップっていうか、80s系のリズムセンスやフュージョン風な部分を継続していて、独自性も感じる。それでも結構エディット感がある曲もあって、Jamie Lidell の新作とダブるような雰囲気もあるけど、こちらはどこかダサかっこよさみたいなのを意識してくれてるので、隙があっていい。とはいえ、わりとギリっちゃそうなんで、ここらへんまででね。

8.0/10

Sean Nicholas Savage – “Lonely Woman”

今年になって Blue Hawaii, Doldrums とリリースを続けて絶好調なモントリオールの Arbutus Records から、先日フリーで出ていたカバー曲集に続いて、 Sean Nicholas Savage 本人のフル・アルバムがリリースされるようです。見た感じの雰囲気がそのまま音楽にも反映されたような、ムーディーで脱力感のあるソウル・ポップ。アルバム Other Life は、4/30 にリリース予定。

Krista – “Space Tom Test” (Stones Throw)

Stones Throw 在籍の James Pants と Vex Ruffin によるあらたなコラボレーション・プロジェクト Krista のファースト・シングルがリリース。James Pants がプロダクションを、Vex Ruffin がギターとヴォーカルを担当したインディ・アプローチなトラック “Space Tom Test” と ” I Told You Man, I Carry a Gun” を収録。

Raleigh Moncrief – “On Feedback”

2011年にデビュー・アルバム Watered Lawn をリリースしていた Raleigh Moncrief が、新作EP を再び Anticon からリリース致します。先にストリームできる “On Feedback” は、冒頭は反復するフレーズに始まり、徐々にストレンジなコラージュ・ポップへと変化していきます。新作EP Dusted は、Anticon から 3/19 にリリース。

Mozart’s Sister – ‘Hello EP’ (Merok)

Grimes が影響を受けたアーティストとして挙げているモントリオールの Caila Thompson-Hannant によるソロ・プロジェクト Mozart’s Sister のニューEP Hello が、 Merok Records からリリースされます。80年代の Cindy Lauper や Kylie Minogue 等からの影響と、デジタル世代のテイストが混ざったエレクトロ・ポップ。

STRFKR – ‘Miracle Mile’ (Polyvinyl)

やっぱりノリ弁に勝る弁当は存在しないと思うのです。昨日も近所のスーパーで残り一個になっていたノリ弁を買って家で食べようとしたら、白身フライじゃなくてコロッケ・ヴァージョンであることに気付いてげんなり。そんなのはノリ弁じゃねえと思ってラベルを確認すると白身フライって印刷されている。おい!と思ってよく見たら三元豚コロッケっていうシールも貼ってあった。悔しい、気付かなかった自分に。こうなったらオリジンのノリヴェンでリヴェンジするしかない。オリジンのノリ弁ってめちゃ旨いよね。この人達の名前はこの表記がデフォで宜しいんでしょうね。これで4作目になるポートランドのバンドですが、前作 Reptilians まではディスコ、強いてはハウスなテイストをかなり用いたものであったので、新作 Miracle Mile の先行曲を聴いていた段階でなんか違うぞという感覚はありました。そして、全部を通して聴いたところ、これまでのようなエレクトリックなビートやシンセポップ感が随分少なくなって、ドラムも生で、かなりバンド系の音に変りました。前作でのちょいチルウェーヴな雰囲気と、酔いどれディスコなグルーヴに惚れ込んでいたので、この変化に若干の戸惑いは隠せません。その代わりに好きだった部分の無気力感が増えているのはとてもいいこと。これが STRFKR じゃなくて新しいバンドのデビュー作だったら素直に好きになっているだろうけど、前作のディスコ感も捨て難かったので、まだ頭の中で吹っ切れていない自分がいます。

6.5/10

Brazos – “How The Ranks Was Won”

[youtube http://www.youtube.com/watch?v=iU2wxKBNyXI&w=640&h=360]

オースチン出身、ニューヨーク在住のトリオ BrazosDead Oceans とサインをしてセカンドLP Saltwater を 5/28 にリリースします。アルバムからのファースト・シングル “How The Ranks Was Won” のビデオです。軽やかなオルタナ・ロック/ポップ。

Saigon – “Night Fever”

[youtube http://www.youtube.com/watch?v=F3DdPungQS8&w=640&h=360]

ストックホルムの5人組 Saigon の最新ビデオ “Night Fever” です。Kevin Luna による制作の映像。なかなかおもしろいバンドです。彼等はテープ・レーベル Quaset や Zeon Light からリリースをしていますが、こちらの曲は新作フル・アルバムからのファースト・シングルです。リリース先は未確認です。

Inc. – ‘No World’ (4AD)

普段行くことのないレンタルCDショップへちょっと行くことになった。J-Popのコーナーなんて見たこともなかったから、新鮮というよりは場違いな感じがして見ているのがなんか恥ずかしい。少しずつ場所をズレながら洋楽コーナーに到達してホッとする。洋楽のレンタル・ルールは昔のままのようで、新作といえるものは並んでいない。今ではネットの情報を追う生活になっていたので、ここでも結局入り込めずにぼーっとしてしまうだけ。いまだに1年後レンタル・スタート・ルールでいいのかね? 洋楽の人達が当時怒ってそうなったと思うけど、Spotify みたいのがもう普通になってるんだから、そろそろ解放してもいいんじゃね? そうしたら、逆に売上も上がるかもよ。CDに価値を見出すならば、レンタルっていうのはあながち間違っていないかもなあと思う。データで買うより安いしね。あれ?レンタルCDのリッピングは合法ですよね? よくわかんなくなってきた。Inc. みたいな音楽は時代感というものが当然大きな要素になるから、1年後に店頭に並んでもありがたくもないかも。サンフランシスコの兄弟らしいが、そうなると調和の部分が評価されると思うけど、唄が巧い部分はちょっと置いておいて、サウンド面に注目してみると、そんなに工夫は感じられないというか、シンプルで普通です。そうなると、やはりヴォーカル部分を聴くための音楽であることになると思う。最近のソウルやR&Bを基本とした新しめのエレクトリック・ミュージックはトラックの部分を含めて総合的におもしろさを感じているが、Inc. はそうではない。たぶん、ソングライティングの部分を一番強調したいと思うし、その部分で高い評価を得ているのかもしれないが、ここまで来ると個人的にはもう別ものかなぁ。間違っても洋楽ロック・コーナには並べてはいけない。ソウル、ブラック・コーナー、またはポップ・コーナーですね。だとしたら、1年後でもまだ受けるかもしれないね。

5.5/10

[youtube http://www.youtube.com/watch?v=voeZiioqR5s&w=640&h=200]

Cymbals – “The Natural World”

[youtube http://www.youtube.com/watch?v=PFakfGHF1ms&w=640&h=360]

ちょっと前にリリースになったロンドンのインディ・バンド Cymbals のシングル “The Natural World” のビデオです。ダンサー Jamie Flor がスーツで踊ってます。

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