Thee Oh Sees – “Minotaur”

間もなく来日するサンフランシスコのガレージ・サイケ Thee Oh Sees は、2003年以降、11枚のアルバムをリリースしてきており、毎年1枚はリリースしてきていて、今年ももちろん新作がリリースされます。新作アルバム Floating Coffin からの先行曲 “Minotaur” は、グイグイくるいつもの感じとは違って、パブロック風なスロウ・ナンバー。Floating Coffin は、John Dwyer 自身が運営する Castle Face Records からのリリースになるようです。

PVT – ‘Homosapien’ (Felte)

アルバムのリリースに向けてのプロモーションにも様々な方法がある時代で、最近ではタダ、もしくは一定料金を払えばいろんなアルバムを全曲聴けるサービスなど色々とありますが、音楽サイトで先行でアルバム全曲をストリーム試聴をさせて、リリースと同時に試聴を中止するのが流行ってますね。先に全部聞けてしまうと買わないんじゃないかとか、考え方は色々あるでしょうが、それなりに売上に繋がっているらしいので有効な手段のひとつなんだとおもう。そして、こちらの PVT のプロモートの仕方はちょっと変っていた。アルバム全曲を1曲づつ様々な音楽ブログに振分けて、全てのサイトにアクセスすれば全曲聴くことが出来るという仕組み。アーティストとブログの両サイドにとっての狙いはよく分かるし、おもしろいと思うが、実際にどれくらいの効果があったのだろうね。自分も全てのブログにアクセスするのは面倒だったから、今まで知らなかったサイトだけ覗いた程度でした。なので、アルバムを通して聴くのは普通にリリースされてからでした。さて、こちらのシドニーのトリオは、Pivot として2枚、そして PVT になってこれで2作目のアルバムとなり、同時に Warp Records を離れての新作となるのですが、Warp からリリースをしていた実績ほど効果的なプロモーションはないと思う。まぁ、大きいレーベルを離れるという事実にあまり良い印象はないかもしれないが、なかなかいい新設レーベルに収まったと思う。PVT としての音楽性に大きな変化はないし、今度はこのレーベルを引張っていく立場になったので頑張って欲しいし、次回作で本気のアルバムを待ってます。

5.5/10

CocoRosie – “Gravediggress”

昨年、Touch And Go の復活第1弾としてシングルがリリースされていた CocoRosie が遂に新作アルバムをリリースするようです。”Gravediggress” は新作からの先行曲で、CocoRosie らしい不思議ポップ。新作アルバム Tales of a Grass Widow は、ヨーロッパでは City Slang から 5/27 にリリースされ、北アメリカは 5/28 とあるのですが、これは Touch And Go からなのだろうか?

Radar Brothers – ‘Eight’ (Merge)

タイトル通り8枚目になるのでしょう、きっと。今回は Merge だけで、Chemikal Underground からのリリースはなし? ロス・アンジェルスの Radar Brothers の3年ぶりの新作。活動歴は15年以上経ってるので、ちょいちょいメンバー・チェンジをしながら、今日までやってきたわけです。そういうことはメンバーもそこそこいいお父さん世代ですね。アー写にお父さんというか、じいさんがひとり写っているけど、メンバーじゃないですよね。常々、活動歴の長いバンドやアーティストの写真を見ると自分の年齢を痛感されられる。バンドによっては、見るも無惨な姿になっているひともいたりと、あまりいい気分はしない。こちらの Radar Brothers の場合、残念ながらハゲあがっちゃてしまってるメンバーも2名ほどいるようですが、見窄らしさはなくて、爽やかでいい年の取り方をしてる印象です。そんな雰囲気は音楽にも反映されているようで、鳴っている音自体にはそんなにおっさん臭さは感じられず、構成のアイディアのおもしろい曲やフレッシュなメロディがあり、まだまだ錆び付いていないようです。ただ、年来なりの落ち着きは当然あるのですが、それはこのバンド本来のものであり、いまこの作品だからとというわけではないと思う。でもね、なんやかんやでこれが響いちゃうのは、オルタナ畑の音楽を聴いてきた人にとって、いわゆる琴線みたいなものなのかもしれないけどね。

7.0/10

Cheatahs – ‘Extended Plays’ (Wichita)

Male Bonding, Weird Dreams のライブ・メンバーが参加する Cheatahs が、Marshall Teller Records からEPをリリースしたともうひとつのシングルの音源を改めて収録したEPがリリース。Swerve Driver、 The Boo Radleys (初期の)、Dinosaur Jr などに比較されるインディ・ギター、シューゲイズ、ノイズポップ。

Boduf Songs – ‘Burnt Up on Re-Entry’ (Southern)

最近なんか Kranky がらみの人達が色んな方面で活躍していますよね。ハウスに向うものも入れば、ロック・バンドへ向う人、そして今まで通りサイケでアンビエントな路線のままのひとと、色々ですが、この Boduf Songs こと Mathew Sweet は、自分の音をずっと積み重ねてきた感じでした。そして、3年ぶりの Burnt Up on Re-Entry も今までからの延長にはあるものであるが、少し飛躍した印象。どう違うかと言うと、結構なヘヴィネス。全体を支配するのは今までのようなダークなサイケフォーク路線ですが、エレクトロニクスを混ぜつつも、轟音的ギターを混ぜたりと、なかなかの変わり身。暗さの中にもじわじわと心臓に入り込んでくるメロディが彼の特徴だったと思うのですが、それらがグオ〜んって鳴り出すギターと混ざると侵入度は尋常でない。ポストロックなどにありがちなエピックに盛り上がる感じでなく、もっと、どんより下の方に落とし込んでくる感じかな。でも全ての曲が轟音系ではなく、エレクトロニクスとダークロックが基本になっていて、断片の雰囲気はそんなに目新しいものではないけど、なんか絶妙感があって、うまいことつけ込まれた感じです。

8.0/10

Beliefs – “Gallows Bird”

トロントのデュオ Beliefs の新曲 “Gallows Bird” は、彼等のデビュー・アルバムからの先行曲になりまして、リリースは Hand Drawn Dracula, Manimal Vinyl, No Pain In Pop と3つのレーベルからそれぞれのテリトリーでリリースされるようです。シューゲイズ系のサウンドを少しタイトにそしてプログレッシヴにしたようなサウンドです。リリースは 3/3 です。

Thao And The Get Down Stay Down – ‘We The Common’ (Ribbon)

天候があっちゃこっちゃしておりますが、温かくなってきたところで、そろそろまたTシャツでも作ろうかなと思っております。だけど、暫くやっていなかったから版の作り方とか憶えてるかなあ。それに、作ったとしてどうやって売ろうとか、ブログにカート設置するの面倒だし、色々悩む。まぁぼちぼちでやるか、やらないままか、わかりません。これが4年ぶりのアルバムになるのですが、やっぱり、そろそろ新しいの作らないとなあとか、そんな感じなんだろうか。インディ・ロックがいつ頃からかな、凄く複合的で複雑で完成度の高いものになったのは。ポストロックなどがその導線になってるかもしれないが、Sufjan Stevens や Dirty Projectors などのように音楽性の高いものがもう当たり前のようにあるけど、それなりに立派なものだと思うのです。この Thao ちゃん率いる Thao And The Get Down Stay Down も複雑なメロディと複合的な音楽を備えている。そしてこの新作ではブラック・ミュージックな雰囲気を強めているが、これは本気ではなくて、彼女たちの遊び心なんだろうと感じる。何か自分たちの音楽で凄く楽しんでいる雰囲気があります。肩を組んで一緒に歌えたら楽しいだろう。でもそんなことオレに出来る分けないし、仲間にも入れてもらえなそうだし。

6.5/10

Feeding People – ‘Island Universe’ (Innovative Leisure)

おいおい、まだ1曲目なんだけどなぁ、3曲分あるような曲ではないですか。出し惜しみしないねえ。もうこうなったらバンバンいってもらいましょ。でも、そう思ってると直ぐさまちょっと抑え気味にして強弱を付けてきた。出来るなぁこのひとたち。Feeding People は女性ヴォーカルを立てた5人組で、2011年のデビュー作は Burger Records からでしたが、その時点でもそれなりの完成度だった。抑え気味の次は、短い曲でまたも変化球。続けては、下の方から攻めてくるなまめかしい曲。どこかの時代の年代感はそれなりに含まれているし、基本にはなっているけど、なんなんだろうな、この初めて体験する前後に揺さぶってくる感覚は。それとこの女性の唄い方が、凄い武器。官能的で情熱的、でも、直接的なエロスじゃない。おっと、また音がエグくなってきたぞ。ハードロックというより、メタル、いやゴスかな。なんだけど、ヤリすぎには感じないのはなぜですか。そして、しっとり聴かせる歌中心のものもあるし。変幻自在って感じだけど、Feeding People としての音が出来上がっている。メンバーは5人組でも曲によってやってることが違うイメージ。全体の音楽のために、みんなが本当に考えてやってるんじゃないかな。アルバムとしての完成度は言うまでもなく、それ以上にひとつひとつの曲の存在感も凄いね。あとは、さっきちょっといった懐古的な部分をどう捕らえるかとうい点で、古臭いと感じる人もいるでしょう。でも、このバンドのような音楽はあまり聴いたことがないと思う。そして完成されているけど、優等生的な音でまとめず、ワルい感じを演じてるのがまたいいんです。そして多分最後まで生楽器のみで完成させているこだわり。結構サイケデリックだし、決してメロディックでないから多くの人に受けるとは思わないけど、音楽としての質と発想はここ数年聴いた中でも抜けていると思う。久々だなぁ、この感覚は。今年はおろか、この先何年もこれを越えるアルバムなんて出ないかもしれないよ。少なくともロックに関しては。

9.5/10

Mazes – “Skulking”

[vimeo http://www.vimeo.com/57948836 w=640&h=360]

間もなくリリースされるマンチェスターの4ピース・バンド Mazes 新作アルバム Ores & Minerals から収録曲 “Skulking” のビデオです。リリースは、FatCat Records から 2/18 です。