Night Beds – ‘Country Sleep’ (Dead Oceans)

ファミレスでちょいと作業をしていると後ろの席には若いカップルが座った。どうも彼女は機嫌が悪いようだ。彼氏が盛り上げようと必死になっている。「ほらあ、この頃の笑顔を思い出してよ〜」と、たぶん携帯の思いで写真を見せているよう。その甲斐あって彼女の機嫌も徐々に回復してきたようだ。その後、互いの似顔絵を書いて楽しんでいるが、彼女が書いた似顔絵が気に食わなかったのか、今度は彼氏が無言になりだした。どんな絵だったか分からないが、「似てるじゃ〜ん」と笑ってるこの彼女はなかなかの難物だ。ナンブツ、ナイベツ、ナイトベッツ。。無理がありますな、でも Night Beds です。ナッシュヴィルの Winston Yellen によるソロアーティストでこれがデビュー作。唄が中心にある場合、そこに付随する楽曲もひとつの個性になるが、彼の場合色々とやってるようであるが、方向は見えている。つまり、ロック、フォーク、カントリー、ジャズ、クラシックとかが、綺麗な感じでまとまっている。オルタナ系ソングライターの作品ではこのパターンが結構多いと思う。特にこのレーベル周辺に強く感じるもの。歌がうまいのは分かります。本人は立派な自分の音楽を作ったと思ってるかもしれないけど、さっきの彼女に言わせたら「にてるじゃ〜ん」ってね。

5.0/10

Guards – ‘In Guards We Trust’ (Black Bell)

アー写からして女の子がメインと思わせといて、実際は長髪の兄さんがギター・ヴォーカルというブルックリンのインディ・バンドで、じゃあ、この女の子は何をしているのかなと、まさかドラムか?と、淡い期待を抱きながらライブの写真などを漁ってみると、なんかまあるい機材を触って、バック・ヴォーカル的な立ち位置でした。そしてドラムはたぶんサポートのオッサン。アルバムを聴くまで Guards は、ちょっとクールなガレージ・ロック系バンドで、トリオ編成で見た目もちょいとオシャレなラインアップだなあと、期待していたけど、アルバムでは長髪の兄さんが全力で頑張って、ドラムのオッサンもかなりアグレッシヴだし、おねえちゃんは大して目立たないという、こっちの思惑とは全然違った。間違えて買っているんじゃとすら思えるほどだったので、ブログにもアップした曲を再確認してみると、他の曲聴いた後ではなんか、そうか、そんな感じだったか、もうちょっと良く聞こえた気がしたんだけどなぁ、と。この音でももいいから、もう少し暗かったり引きずった感じがあればかっこいいと思うけど、がっつりロックでメジャー・コード進行だと、Ex Cops パターンで、自分にはやっぱちょっと行き過ぎでした。ブルックリンと言っても、そりゃいろいろいますよね。

3.0/10

Beach House – “Forever Still”

[youtube http://www.youtube.com/watch?v=lgD8vWIB8hs&w=640&h=360]

以前お伝えしましたが、Beach House のショート・フィルム Forever Still が完成したようです。最新アルバム Bloom からの幾つかのセッションを交え、テキサスのエル・パソとトーニローで撮影されたものです。全部で27分弱あるのでゆっくり観て下さい。

Darkstar – ‘News From Nowhere’ (Warp)

このアルバムを聴いて似てるなあと思い、本人達に Butterfly Child は好き? って尋ねたら、「いや、そのバンドは聴いたことないから、またチェックして次の機会に感想を言うよ」とのことでした。こちらは、ウェブ・マガジン Qetic さんでやらせて頂いた Darkstar へのインタビューからのものです。本編に載せても話しが膨らまないから割愛していた部分ですが、Butterfly Child は、1993年に Rough Trade からデビュー・アルバム Onomatopoeia をリリースした Joe Cassidy によるソロ・プロジェクトで、つい最近新曲も出しててまだ現役のよう。当時そのデビュー・アルバムが凄く好きだったんだけど、エレクトリックを主体としつつも、様々な要素を取り込んだサイケポップな世界と、独特な唄い方で超個性的だったのですが、いまだにうまく説明が出来ない音楽です。Darkstar がそれに近い印象を受けたのは、やはりエレクトリックを主体としながらも、ソングライトの部分で特徴的なものを感じたからだと思う。ダブステップから変形していったこのトリオは、正しくダブステップ以降を継承することを望まなかった。つまり、ポスト-ダブステップのそれではない。インディやロック系のバンドのひとが、ソロ活動をしたときにこういったアプローチをする人もいるけど、Darkstar ほどのクオリティは出せないだろう。それはやはり、エレクトリック・ミュージックを起源に持っている強みで、音を作る技術に長けている。だからバンドやロックというと、誤解をされてしまうというか、もったいない気がする。でも、ダンスミュージックやエレクトリック・ミュージックの収まりでもない。ほんとに曖昧なポジションにあるポップ・ミュージックで、それこそが、Butterfly Child と共通するところで、やっぱりどう説明していいか難しいんです。様々な角度からジャンル的な囲みをしようとしても当てはまらない。つまり、真のオルタネイト、独立性ポップ・ロック・エレクトリック・ミュージックです。

7.5/10

My Bloody Valentine – ‘m b v’ (self release)

My Bloody Valentine のレコードを初めて買ったのは “You Made Me Realise” の12インチだった。地元から電車で約1時間の街、高崎のレコード店には輸入盤コーナーがあって、毎回そこに行ったときにレコードを掘るのが大好きだった。1988 年ってことは高2の頃だから、レコードを買う量もそんなになかったし、買ったことは凄く憶えている。あの女性が花束とナイフを持ったジャケットに惹き付けられて、なんか知ってる名前だったから買ってみようと思った。あれから結果的にマイブラを全部聴いてきたことになり、今日、その新たな続きが始まったわけです。だけど、どこかでマイブラはもう復活や新作も出なくてもいいんじゃないかっていう気持ちがあった。それは、Loveless で完成されたものが、新しいものが出ることでなんか壊れてしまうような気がして嫌だったから。つまり、伝説になっていてくれればよかったのにと、この新作を聴くまでは思ってました。だけど、恐る恐る新しいマイブラを聴き出したらその気持ちは少しずつ薄れてっいった。22年の間、新作を期待したことはなかったけど、純粋にひとつの作品としてまずは何も考えず楽しめている。でも、出すからにはなんかしらの変化や進歩とかを求める気持ちも正直あるのよね。まあ、その辺のことについて書き出すときりがないし、たぶん色んな方が今後詳しく述べてくれるでしょう。もう一度言いますが、My Bloody Valentine の新作を聴けたことが嬉しいんじゃなくて、このアルバムをイチ作品として純粋に聴こうと思う。

7.0/10

[youtube http://www.youtube.com/watch?v=rBKjhgHGVZs&w=640&h=200]

Local Natives – ‘Hummingbird’ (French Kiss)

こないだ誰かと、インディとメジャーの音楽の境目はどんどん無くなっていっていると話したけど、そういうのを感じるようになったのは最近で、お店をやっていた頃はそんな風には思わなかった。それはワルシャワの品揃えを知っている人なら理解してもらえると思うし、まぁもうこの話をしてもしょうがないんですが、逆にいまは関係無しに聴いているから、普通に”洋楽”を聴くようになっているかも。そんなこんなで、この Local Native も丁度今日もやっているイベントの前回でついでに観させてもらえていた。それ以来少し気になるようにはなっていたが、だからといって能動的に彼等を聴こうとも思っていなかった。だけど、このアルバムを通して聴いたとき既に、結構知っている曲があるってことに気付いて、オレはこのバンドを好きなんじゃねえのかと思うのでした。で、改めてアルバムを聴いて思うのは、彼等の持つ良さは、善くも悪くも分り易く大胆な音楽性にあるとってこと。そして、それらがとても前向きな点が大きい。彼等がよく比較される Broken Social Scene, Grizzly Bear そして Fleet Foxes と、それらのバンドもやはり共通する点があるとおもう。そして、その前向きさは自分の音楽の好みからは除外されている事が多くて、特にロックバンドになるとそれが顕著だった。だけどこのアルバムを聴いて、そういうは改めてもうやめようと思いました。オレも明るく生きたい。

7.5/10

My Bloody Valentine to release new album soon!!

ななんと、My Bloody Valentine が今夜(現地時間)、だからもうまもなく?、いやこっちだと深夜か?? ニュー・アルバムと、新しいウェブサイトをリリースするらしいですよ。以下、彼等のフェイスブックから。

“We are preparing to go live with the new album/website this evening. We will make an announcement as soon as its up.”

Indians – ‘Somewhere Else’ (4AD)

ここ最近の好調ぶりが恐ろしくもある 4AD が新たに契約した Indians はコペンハーゲンの Søren Løkke Juul による歌い手です。ここ最近と限定しましたが、実際は常に安定した供給を保っていたのかも知れませんが、ずっと 4AD に注視していたわけでもないので、そう感じているのは自分だけかなのかもしれません。なので、最初にこの方の名前を聞いたときは、もう何枚かアルバムをリリースしている人かと勘違いをしておりました。でも、その勘違いはあながち間違っていないというか、音楽的にはかなり落ちついております。ザックリ言うとフォークとエレクトリックの組合せに、今風なソウルポップを加え、そこに北欧のシンガーが唄っている感のあるヴォーカル・スタイル。なぜスウェーデン系の唄っていつも健康的なメロディなんでしょうね。彼はデンマークですが、それに通じるとこがあります。そしてデンマークで 4ADと言えば、Efterklang ですが、彼等のものとは違うけど、同様に歌がうまい。Bon Iver にも比較されるところがあるようですが、レーベルはこういうアーティストが本当に好きなんですね。あまりリリースもない早い段階で契約したのも、レーベルとしてなにか刺さるものがあったのでしょう。でも、もし 4AD から出ていなかったら、一生 Indians を聴くことなかったかもしれないです。

5.5/10

[youtube http://www.youtube.com/watch?v=XbB_sE3knvI&w=640&h=200]

Alasdair Roberts & Friends – ‘A Wonder Working Stone’ (Drag City)

日本における伝統的な音楽となると、雅楽や能楽などになるかもしれないけど、それはさすがに行き過ぎかもしれないので、のど自慢でも唄われるようなものとしたら、演歌はまだ新しすぎるから民謡になるのかな。スコットランドにおける民謡がケルト音楽に当てはまるか分かりませんが、もし同じように考えるとしたら、日本の民謡は今のロックやフォークにしろ、あまり引用されることはないから、特殊なものなのかもね。一方、ケルト音楽は現代の様々なアーティストが取り入れている。そして、この Alasdair Roberts はずっとそのスタイルを保ち、かれこれ10年以上の活動歴になりました。前作から名義を “& Friends” と、律儀なものにしておりますが、それ以前もゲスト・ミュージシャンはいたし、前作からもメンバーが少し異なるのでなんなんでしょうね、寂しいのかな。彼の書く曲は、伝統的な要素を重んじながらも、オルタナ系フォークの雰囲気がある。それは初期からそうで、その感じがうまく混ざり合っていてるからただのトラッド・ミュージックになっていないから、先天的に郷愁をそそられる。ずっとこのような音楽をやっていれば、聴いている側も、あれ、これって昔のアルバムにあった曲じゃない? っていうこともあるかもしれませんが、たぶんケルト民謡を継承する事が第一前提だとしたら、それは当たり前なんですけどね。

7.0/10