Feeding People – ‘Island Universe’ (Innovative Leisure)

おいおい、まだ1曲目なんだけどなぁ、3曲分あるような曲ではないですか。出し惜しみしないねえ。もうこうなったらバンバンいってもらいましょ。でも、そう思ってると直ぐさまちょっと抑え気味にして強弱を付けてきた。出来るなぁこのひとたち。Feeding People は女性ヴォーカルを立てた5人組で、2011年のデビュー作は Burger Records からでしたが、その時点でもそれなりの完成度だった。抑え気味の次は、短い曲でまたも変化球。続けては、下の方から攻めてくるなまめかしい曲。どこかの時代の年代感はそれなりに含まれているし、基本にはなっているけど、なんなんだろうな、この初めて体験する前後に揺さぶってくる感覚は。それとこの女性の唄い方が、凄い武器。官能的で情熱的、でも、直接的なエロスじゃない。おっと、また音がエグくなってきたぞ。ハードロックというより、メタル、いやゴスかな。なんだけど、ヤリすぎには感じないのはなぜですか。そして、しっとり聴かせる歌中心のものもあるし。変幻自在って感じだけど、Feeding People としての音が出来上がっている。メンバーは5人組でも曲によってやってることが違うイメージ。全体の音楽のために、みんなが本当に考えてやってるんじゃないかな。アルバムとしての完成度は言うまでもなく、それ以上にひとつひとつの曲の存在感も凄いね。あとは、さっきちょっといった懐古的な部分をどう捕らえるかとうい点で、古臭いと感じる人もいるでしょう。でも、このバンドのような音楽はあまり聴いたことがないと思う。そして完成されているけど、優等生的な音でまとめず、ワルい感じを演じてるのがまたいいんです。そして多分最後まで生楽器のみで完成させているこだわり。結構サイケデリックだし、決してメロディックでないから多くの人に受けるとは思わないけど、音楽としての質と発想はここ数年聴いた中でも抜けていると思う。久々だなぁ、この感覚は。今年はおろか、この先何年もこれを越えるアルバムなんて出ないかもしれないよ。少なくともロックに関しては。

9.5/10