Rodney Cromwell – Memory Box

Rodney Cromwell(ロドニー・クロムウェル)の新作 ‘Memory Box’ は、ヨーロッパのシンセポップ的な感性と魔術的リアリズムの世界を融合させた作品です。このアルバムは、不思議の国のアリス、フランツ・カフカ、アンナ・カヴァンの文学と同様に、Kraftwerk, Neu!, The Cure, Silver Apples, Oppenheimer Analysis, Polyrockといったアーティストから影響を受けた音楽からインスピレーションを受けています。’Memory Box’ のサウンドパレットは、豊かで、カラフルで、しばしば驚くべき、まったくユニークなものです。

シンセポップから始まり、ディストピア的なコールドウェーブの “Intercom” は、ねじれたロボットの声で、”秩序はまもなく再開される” と約束してくれます。この秩序は、Vince Clarkeのベストを彷彿とさせる、「大惨事」に直面しても踊ろうとするドキドキするダンスフロアフィラー、”Opus Three” の形ですぐにやってきます。

タイトル曲の ‘Memory Box” では、半ば記憶された記憶と半ば形成された真実という、心理的なウサギの穴に飛び込んでいくようなサウンドで、シンセは日常を崇高なものに変えていく。”Fluctautions” はテレビショッピングの危険性を歌ったクラウトロックで、”Waiting Room” は疲れ切った魂へのラブソング、”Wristwatch Television” は1950年代の雑誌で約束されながら実現しなかった理想郷への高揚感あふれるグラムストンプです。

Brian Eno と Mogwaiを融合させたメロディカ主体のドリームポップ・インストゥルメンタル “Calculations” は、私たちを現実へと引き戻します。このアルバムは、最も純粋なシンセポップ・ナンバーである “The Winter Palace” で幕を閉じます。冷静なARPシンセ・ストリングス、薄いビンテージ・ドラム、豊かなハーモニーが重なり、クロムウェルが「drudgeries hold」に縛られた愛について歌い上げます。

‘Memory Box’ は2020年と2021年に南ロンドンのキャットフォードにあるクロムウェルのホームスタジオで録音され、ニューヨークのブルックリンにあるACME Hall Studiesでリッチ・ベネットによってミキシングされた。

2015年にデビュー・アルバム ‘Age of Anxiety’ をリリースして以来、ロドニー・クロムウェルはNME、Electronic Sound Magazine、Huffington Post、Paste、BBC6 Music、スペインのナショナルRNE3などで取り上げられ、ライブ・セッションを録音している。’Age of Anxiety’ は、Electronic Sound誌を始め、多くのベスト・オブ・リストに選ばれている。彼は、Cavvern of Anti-Matter, John Foxx, Devo, OMD, Katy Perryなどと共にコンピレーションに参加している。

ロドニー・クロムウェルは、アダム・クレスウェルのプロジェクトである。彼が最初に結成したバンドはSALOONで、John Peelの寵児として3つのPeel Sessionsと2002年のFestive 50 number 1を記録している。彼らはTrack & Field (UK) とDarla Records (US) から評価の高い3枚のアルバムをリリースし、Stereolab, Electrelane, Quickspace, Laika, Of Montreal, Movietoneなどのオルタナティブなアーティストと共演した。サルーンに続き、ARTHUR & MARTHAというツイートロニカ・デュオを結成し、唯一のアルバム「Navigation」をリリースした後、消滅した。Rodney Cromwellとして活動する傍ら、Happy Robotsレコードレーベルを運営している。