Charlie Forrest – “On The Wings Of A Dove”

イギリス・ハンプシャーを拠点に活動するシンガーソングライターCharlie Forrestが、ニューシングル「On the Waves Crash In」をリリースしました。伝統的なフォークと90年代のアメリカン・ローファイを融合させた彼独自のサウンドは、The ClashのPaul Simononをも魅了しています。今作はローレル・キャニオン時代のカントリーロックへのオマージュでありつつ、R.E.M.やThe Shinsといった90〜00年代のバンドの影響も反映されており、時代を超えたノスタルジーを鮮やかに描き出しています。

彼の芸術性の核には、窓から見える松の木や谷底を流れる川など、英国の田園風景が深く根付いています。新作EP『Golden Wisdom』においてもその影響は顕著で、Nick DrakeやEverly Brothersなどの古い音楽への愛着と、地元の丘や木々の情景が分かちがたく結びついています。特定の風景を思い浮かべながら綴られる彼の楽曲は、聴き手に松林の香りや広大な野原を想起させる、瑞々しくもどこか懐かしい音楽体験をもたらします。

Tracey Nelson – “Dolly’s Coat”

ニューヨーク出身のTracey Nelsonが、インディーレーベルPerennial(Perennial Death)よりニューシングル「Dolly’s Coat」をリリースしました。もともとCD-Rで自主制作されていた本作は、同レーベルによって広く世に送り出されることとなりました。特筆すべきは、そのアーティスト名が彼の母親の名前であるという点です。彼は「トラブル・ソングの吟遊詩人」として、その名を背負い、飾らない言葉で現代のブルースとも呼べる物語を紡ぎ続けています。

楽曲「Dolly’s Coat」は、ストリップでの光景や失われた輝き、そして祈りの虚しさを、薄氷を踏むような危うい世界観とともに描いています。歌詞に登場する「ドリーのコートを着た自分を見ていて」という印象的なフレーズは、ある種の変身や救済、あるいは虚勢を象徴しているかのようです。氷のように冷たく、それでいて剥き出しの感情を湛えた彼の音楽は、装飾を削ぎ落としたからこそ到達できる、切実な真実を聴き手に突きつけます。

光の差さない自室で、テープに刻まれた真実の断片。Greg Mendezが15年の無名時代を経て到達した、静謐で切実な最新作『Beauty Land』

フィラデルフィアのシンガーソングライターGreg Mendezが、名門Dead Oceans移籍後初となるフルアルバム『Beauty Land』を5月29日にリリースすることを発表しました。2024年のEP『First Time / Alone』に続く本作は、その大半が自宅スタジオでテープに直接録音されており、10年以上のキャリアを経て独自の地位を築いた彼の新たな出発点となります。

アルバムの幕開けを飾るリードシングル「I Wanna Feel Pretty」もあわせて公開されました。この楽曲は、前作までの剥き出しでミニマルな質感を引き継ぎつつ、後半にかけてオーケストレーションが加わっていく構成が特徴です。Rhys Scarabosioが監督したビデオと共に、Mendezのソングライティングの真髄を味わえる仕上がりとなっています。

Mendezは本作の背景にある「アメリカン・ドリーム」の空虚さについても語っています。郊外のショッピングモールや住宅開発地に囲まれて育った彼は、それらを「消費主義の大聖堂」と呼び、誰もが属することのできないホログラムのような約束の虚しさを音楽と映像に投影しました。この孤独で壮大な視点が、アルバム全体を貫く重要なテーマとなっています。

Felix Antonio – “tired”

InFinéレーベルの最新アーティストであり、2026年の「Chantiers des Francos」にも選出されたFelix Antonioが、ニューシングル「tired」をリリースしました。本作は、内面的な情動の疲弊と平穏への探求をテーマにした、親密で剥き出しのポップ・フォーク・バラードです。誠実な歌詞と繊細なプロダクションを通じて、孤独や家族、依存といった深いテーマを、電車の旅路を思わせる瞑想的で安らかな空気感の中に描き出しています。

2001年にノルマンディーで生まれた彼は、幼少期から音楽に親しみ、クラリネット、ピアノ、ギターを習得しました。10代の頃に触れたニューウェイヴやブリットポップ、フォークといった音楽的背景をベースに、現在はシンガーソングライター兼パフォーマーとしてソロの道へ踏み出しています。その確かな音楽的背景と深い感性を武器に、ソロアーティストとして自身の全才能を鮮やかに開花させています。

すべてをコントロールする恐怖を捨てて――villagerrrが最新作『Carousel』で見出した、他者と繋がり『チーム』になることの甘美な救い

Mark Scottによるプロジェクト、villagerrr(ヴィレジャー)が、5月29日にWinspearからリリースされる5枚目のアルバム『Carousel』より、リードシングル「Locket」を公開しました。本作は、他者との真のつながりや誠実な表現を追求した一作です。自身の露出が増えることへの葛藤を抱えながらも、2年の歳月をかけて友人たちとの共同作業を深めることで、これまでのDIYスタイルを超えた豊かでダイナミックな音像へと到達しました。

先行曲「Locket」は、重層的なボーカルが溶け合うアルバムの感情的な核となる楽曲です。今作ではTeetheやRug、Hemlockといった多彩なコラボレーターを迎え、スロウコアからシューゲイザー、フォーク、さらには疾走感のあるロックまでがシームレスに展開されます。ウルトラマラソンを完走するほどのランナーでもあるScottは、自らミックスを手がける過程で雑念を削ぎ落とし、草原の微細なディテールから嵐の雄大な風景までを描き出す独自の耳を研ぎ澄ませました。

アルバムの背景には、混迷を極めるアメリカの社会情勢に対する健全な懐疑心と、それでもなお「誰かとチームになること」への希望が込められています。すべてを一人でコントロールしようとする恐怖を捨て、周囲に心を開くことで生まれた本作は、消費されるだけの芸術ではなく、一対一の絆を築くための手段としての音楽を提示しています。誠実な表現が困難な時代において、他者と手を携えることの尊さを証明する、彼にとって最も大胆かつ繊細な物語です。

白髪の旧友との再会、そして16年ぶりの帰還。Adam Rossが原点のスタジオで刻んだ、過ぎ去りしグラスゴーの記憶と時の流れの残酷さ

5月15日にFika RecordingsからリリースされるAdam Rossの3rdアルバム『Bring On The Apathy』より、リードシングル「Berkeley Street」が公開されました。本作はグラスゴーのGreen Door Studioにてテープ録音され、C DuncanやGillian Fleetwoodら豪華な面々によるバック・ボーカルが、Ross特有の叙情性と温かみのある世界観にこれまでにない豊かさを添えています。

この楽曲は、2025年1月の「Celtic Connections」出演のためにグラスゴーを訪れた際、かつての居住地付近を散策した経験から生まれました。10年以上前に住んでいた街の風景は馴染み深いものでしたが、再会した知人の髪が白髪になっていたことに時の流れの残酷さを痛感したといいます。その個人的な記憶と感情が、楽曲の核となる親密さと切なさを形作っています。

レコーディングが行われたGreen Door Studioは、Rossが2009年にRandolph’s Leapとして初めてEPを録音した、彼にとって原点とも言える場所です。16年の歳月を経て「今こそが戻るべき時」と感じて制作されたこの曲には、Beth Chalmersがグラスゴーのウエストエンドで撮影したビデオも添えられており、過ぎ去った時間への追憶を完璧に視覚化しています。

『ストレンジャー・シングス』最終章を経て次なるステージへ。実験的ヴォコーダーとベッドルーム・フォークが交錯する、Maya Hawke渾身の4thアルバムが始動

『Stranger Things』最終シーズンのリリース直後、そして『Hunger Games』シリーズへの参戦を控えるなか、Maya Hawkeが新曲「Devil You Know」と共に帰ってきました。この曲は、近日発売予定の4枚目のアルバム『Maitreya Corso』の幕開けを飾る一曲です。Laurie Andersonの「O Superman」を彷彿とさせるヴォコーダーと、弾むようなラップ調のヴァースが交互に現れ、ピアノと手拍子によるベッドルーム・フォークのサウンドがそれらを支えています。

新曲についてMaya Hawkeは、「創造のプロセスから野心や強欲を排除しようとすることについて歌ったもの」だと明かしています。アルバム全体としても、毒されるものから大切なものを守る方法を学ぶことがテーマとなっており、プライドから創造を、支配から愛を、そして嫉妬から共同作業を守るという彼女の強い意志が込められています。

今作『Maitreya Corso』は、パートナーであるChristian Lee Hutsonと共に書き上げ、録音した2枚目のアルバムであり、マルチ奏者兼プロデューサーのBenjamin Lazar Davisとも再びタッグを組んでいます。仏教にインスパイアされたアルバムタイトルや実験的なサウンドを持つこのシングルは、明晩開催される「Tibet House Benefit」への出演を控える彼女にとって、最高のプロモーションとなるでしょう。

M Train – “Losing My Sleep”

Foehn RecordsからリリースされるM TrainのEP『Listen, Take It In』に収録されている「Losing My Sleep」は、静止と運動の対比を鮮やかに描き出した一曲です。歌詞には、暗闇の中に長く留まりすぎたことによる焦燥感や、自らの声や眠りさえも失っていくような孤独な内面が綴られています。「野生の自然」と「孤独な街の工業地帯」という、車窓から眺める風景のような対照的なイメージが、かつて自ら築き上げた城の廃墟から逃れ、新たな刺激を求める切実な旅路を象徴しています。

本作の物語は、理屈の通る事実ではなく、未知の見知らぬ人や新たな遊戯を求める、より本能的で触知的な渇望へと向かっています。過去の残骸から埃を払い落とし、影を背負いながらも感情に従って進もうとするその姿は、まるで開閉を繰り返す電車のドアのように、終わりと始まりの境界線上に位置しています。自己喪失の恐怖と、それを振り切って前へ進もうとする意志が、吹き付ける風の感触とともにエモーショナルに表現されています。

Fieldress – “Please, Me”

Fieldressがリリースしたニューシングル「Please, Me」は、自分自身のニーズを大切にし、遊び心を忘れないことをテーマにした一曲です。アラメダのビーチで幼い頃の自分が「小さなエビ」のように跳ね回っている写真をジャケットに採用しており、そこには「何がしたい?」と自分に問いかけ、純粋に遊びを選んでいた幼少期の記憶が投影されています。

このリリースに合わせてミュージックビデオも公開されており、楽曲全体を通して「大人になっても自分の心の声を聞き、遊ぶ時間を持つこと」の大切さを優しく伝えています。忙しい日常の中でも、幼い日の自分のように自由な感性を持ち続けるための、ささやかなリマインダーのような作品に仕上がっています。

Ivy Knight – “Swimming In Blood”

Ivy KnightがScenic Routeからリリースしたニューシングル「Swimming In Blood」は、フォーク特有の比喩表現とストーリーテリングが見事に融合した傑作です。ニューヨーク州北部にある彼女のアパートで、蒸し暑い夏の日に書き上げられたこの楽曲は、季節の移ろい、記憶、そして変化の狭間で宙吊りになったかのような、独特な一瞬の空気感を鮮明に描き出しています。

豊かな情景描写が光る本作は、単なる楽曲を超えて、聴き手をその場の温度や湿り気まで感じさせる物語の世界へと誘います。Ivy Knightが upstate New York で過ごしたパーソナルな時間が、普遍的なフォークの調べへと昇華されており、彼女のアーティストとしての類まれな感性が凝縮された一曲となっています。

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