ARTIST : Gichard
TITLE : Chins For Lefty
LABEL : Night School
RELEASE : 5/29/2026
GENRE : indierock, lofi, psychedelic
LOCATION : Glasgow, UK
TRACKLISTING :
1. Cholesterol Test
2. Asking The Apes
3. Posthumous Hologram
4. Break Up With Johnny Dogbirth
5. Human Resources
6. Soft Face
7. Hamming It Up
8. Your Private Hell
『Chins For Lefty』は、スコットランドのグラスゴーという拠点から、末期資本主義の不条理や朽ちゆく社会的儀式を記録する新しいデュオ、Gichard によるデビューアルバムであり初のレコーディング作品です。主にバンドのホームスタジオでテープに直接録音された『Chins For Lefty』は、華やかでいて不揃いなメロディ、DIYな kosmische punk、ドラムマシンとシンセサイザー、そして現代世界の不安を泳ぐ人間模様を不条理に描き出すヴォーカリスト兼リリシストの Lisa Jones を融合させています。マルチ奏者の Chas Lalli による渦巻くような伴奏は、さまざまな音楽スタイルを喚起させるミックスで繋ぎ合わせ、歌詞という翼の下で吹く、荒々しくも力強い風となっています。
このデュオが最初に協力したのは前身グループの Dragged Up でしたが、Gichard における彼らの全く異なる音楽的・芸術的背景は、魅力的な混合物を生み出しています。Chas Lalli はグラスゴーのアンダーグラウンド・シーンで20年以上活動しており、なかでもノイズ・ロック・グループの VOM での活動が最も知られています。一方で Lisa Jones は詩やスポークン・ワードを実践してきました。前身バンドでは共同ヴォーカルとしてスタートしましたが、Gichard では彼女の歌詞が中心に据えられており、Chas Lalli と共に作り上げられたヴィジョンは、一つの完成された世界構築にまで至っています。
『Chins For Lefty』は、あたかも一編の小説のように展開され、各トラックは、私たちが共有している世界と少しだけ似ている、歪んだ宇宙を解明していきます。あらゆるフィクション作品と同様に、Gichard の楽曲は著者たちの現実や実体験に根ざしていますが、ここでは登場人物は誇張され、社会的慣習や習慣はバラバラに解体されて、その本質的な異様さが露呈されます。普遍的な感情が剥き出しにされ、不安という名の冷徹な検証の光が、私たちの人間関係にあるあらゆる細かな亀裂を探り出します。歪み、ひび割れたその鏡を Gichard が世界にかざすとき、それは同時に、とてつもなく滑稽なものでもあります。
オープナーの「Cholesterol Test」は、カセットMTR(Tascam)で録音されたとは思えないほど開放的な、宇宙を感じさせるギターとシンセのイントロで幕を開けます。それはまるで、あからさまなセクシュアリティの代わりに「不安」を代入した Chromatics の楽曲のようです。ここで Lisa Jones は、反応のない相手に対し、前夜の交流を法医学的に分析する長いボイスメモという形で謝罪を唱えます。パンキッシュなギターと、シャッフルするローファイなドラムマシンのノイズに乗せて、「Asking The Apes」の語り手は「人間よりも物の方が好きだ」と語り、その後、市営動物園で人質に取られて自身の強迫観念を告白します。曲は「君の通りの突き当たりで、古い新聞紙の繭に包まって眠る / たぶん、仕事はクビになったと思う」という不滅の二行で締めくくられます。アルバムのハイライトである「Posthumous Hologram」では、語り手は人間のシミュラクラ(模造品)、この場合は死せるポップスター、つまり忍び寄る技術的特異点(シンギュラリティ)に直面します。そう、それはリクエストに応え、「My Way」を200の言語オプションで歌うことができます。しかし、その意味するところは何なのでしょうか?あなたが考えに耽っている間、交互に繰り返される無機質な語りのヴァースと、否定しようのないキャッチーなサビが、あなたに寄り添ってくれます。
「Break Up With Johnny Dogbirth」がガタゴトと姿を現す頃には、バンドは郊外のくだらなさを漫画のようなプロポーションにまで膨らませて風刺しており、Rowland S. Howard の The Birthday Party 脱退後のバラディアー的なスタイルを彷彿とさせる、気だるい音楽性がサウンドトラックとなっています。このアプローチは「Human Resources」でさらに推し進められます。角ばったギターとベースのトラックに乗せて、Lisa Jones の短編小説は Dry Cleaning の知的なリリカル・ポスト・パンクを思い出させます。「Soft Face」では、Chas Lalli のギターとドラムマシンがエコーとディレイに包まれ、Lisa Jones がスコットランド西部の皮肉なユーモアを交えてデートの儀式を解剖します。「Hamming It Up」は、豚の視点を取り入れた短編ストーリーで始まります……。



