ARTIST : Avalon Emerson & the Charm
TITLE : Written into Changes
LABEL : Dead Oceans
RELEASE : 3/20/2026
GENRE : indiepop, synthpop
LOCATION : New York, New York
TRACKLISTING :
1. Eden
2. Jupiter and Mars
3. Happy Birthday
4. Written into Changes
5. Wooden Star
6. God Damn (Finito)
7. How Dare This Beer
8. Country Mouse
9. I Don’t Want to Fight
10. Earth Alive
変化こそが人生における唯一の不変なものであると言われますが、マルチな才能を持つミュージシャン Avalon Emerson は、Avalon Emerson & the Charm 名義での第2作『Written into Changes』において、絶え間なく移ろう自らの存在をありのままに描き出しています。回想録的な性格を持つ本作は、徹底した創作と推敲の産物であり、Emerson によれば、自己や人間関係の進化というテーマは「すべてを書き終えた後になって鮮明になった」といいます。
本作の制作プロセスは、前作『& the Charm』とは大きく異なりました。前作が「ソフトでベッドルーム的」だったのに対し、今回はライブでのパフォーマンスを強く意識し、エネルギーの出力が引き上げられています。その結果、バンド主導でありながら重厚なグルーヴとダンスミュージックの要素を併せ持つ作品となりました。ブレイクビートを取り入れた「Eden」は80年代後半から90年代初頭のダンス・ロック・ハイブリッドを彷彿とさせ、ユーモア溢れる「How Dare This Beer」は The Magnetic Fields への愛あるオマージュとなっています。「87年から94年こそが最高の音楽の時代」と語る Emerson の感性は、共同プロデューサーである Nathan Jenkins(Bullion)とも深く共鳴しています。
Bullion こと Nathan Jenkins は前作に続き、2024年の冬から春にかけてイギリスのブレインツリーで行われた録音の大部分を手掛けました。また、Rostam Batmanglij と共同プロデュースした2曲(「Jupiter & Mars」「Earth Alive」)はロサンゼルスで、シンセサイザーの仕上げはグレンデールの Rosen Sound にある Synth Cabin で行われました。本作の共同制作スタイルは、Emerson がこれまでに手掛けてきたフロア向けのソロ作品とは一線を画すものですが、ダンスミュージックの影響は随所に散りばめられており、彼女自身「ベース(低域)を最優先した」と語るほどボトムエンドへのこだわりが反映されています。
本作のメロディと歌詞は Emerson 自身が執筆し、その多くは彼女の私生活に基づいています。今回はより「直接的」な表現を目指したといい、タイトル曲は2020年のベルリンからロサンゼルスへの移住を、「Happy Birthday」は「死ぬには若すぎるが、現状を打破するには年をとりすぎている」という切実なリフレインを晴れやかなサウンドに乗せて歌っています。また、「Eden」や「Country Mouse」は妻 Hunter との関係に捧げられた楽曲であり、「I Don’t Want to Fight」や「Earth Alive」では、人を変えることはできないと悟り、ありのままを受け入れることの難しさと愛について触れています。
『Written into Changes』は、単に変化を受け入れるだけでなく、それを全身で抱きしめることを綴ったアルバムです。作品の背景にある進化のプロセスそのものが「変化の中に記された(written into changes)」表現であり、人生に対する意識的なアプローチを象徴しています。



