ARTIST : Steep Canyon Rangers
TITLE : Next Act
LABEL : Yep Roc Records
RELEASE : 5/22/2026
GENRE : country, folk, rock
LOCATION : Asheville, North Carolina
TRACKLISTING :
1. Rumble Strips
2. Next Act
3. Circling the Drain
4. Heart’s the Only Compass (feat. Steve Martin)
5. Halfway to Reno (feat. Edie Brickell)
6. Some Days
7. Sugar Lake
8. The Kindest Thing
9. Hard Times
10. Back of Beyond
11. Roll of the Dice
12. Stubborn Love
13. Babylon Stone
14. Hard Luck Kid
Steep Canyon Rangers は、15枚目のスタジオアルバム『Next Act』と共に、再生と再確認の瞬間を迎えました。本作は、バンドを最初に結びつけたブルーグラスの土台へと立ち返りつつ、長年の進化で培った自信と感情の幅を持ってアプローチした、意識的な焦点の絞り込みを象徴しています。伝統から力を得ながら、その中に新たな章を書き込み続ける彼らは、自らの音楽言語において深い安らぎを感じさせています。
ノースカロライナで結成された Steep Canyon Rangers は、アパラチア山脈とピエモンテの両方に形作られ、アメリカン・ルーツ・ミュージックにおいて独自の地位を築いてきました。伝統的な形式を重んじながらも、現代的なソングライティングや文学的影響を自然に染み込ませる能力は、2013年の『Nobody Knows You』でのグラミー賞最優秀ブルーグラス・アルバム賞受賞や、ノースカロライナ音楽殿堂入りという形で結実しました。近年、彼らの音楽の幅が広がるにつれ、生楽器の響きやアンサンブルの相互作用といった、自分たちを形成した根源的な力へと引き戻される感覚が本作の原動力となりました。
アルバムは Aaron Burdett が執筆した「Rumble Strips」で幕を開けます。路面の警告溝を人間関係のメタファーとしたこの曲は、物語を際立たせる明快なアレンジが特徴です。タイトル曲の「Next Act」では、Graham Sharp が意図的に空間を残すことで、沈黙と抑制に感情的な重みを持たせています。また、Barbara Kingsolver の小説に触発された「Circling the Drain」は、伝統的な楽器編成がいかに現代的な緊張感を伝えられるかを証明する、推進力に満ちた楽曲です。
歴史や世代の連続性は本作の重要なテーマであり、Steve Martin がバンジョーで参加した「Heart’s the Only Compass」に顕著に表れています。また、Edie Brickell がヴォーカルで加わった「Halfway to Reno」は、旅の途中で得られる奇妙な明晰さを捉えています。一方で、「Some Days」のように悲痛な歌詞と陽気な演奏を対比させる伝統的な手法や、過去の記憶を鮮やかに描く「Sugar Lake」など、楽曲ごとに多彩な感情のパレットが展開されます。
「The Kindest Thing」は、フィドラーの Nicky Sanders の提案により解体・再構築され、バンド史上最も繊細で共鳴を呼ぶ録音の一つとなりました。他にも、逆境を振り返る「Hard Times」や、長年温められてきた「Back of Beyond」、私的な献身を歌う「Stubborn Love」など、各曲が誠実さと人間の複雑さに投資されています。アルバムを締めくくる「Hard Luck Kid」は、解決策を提示しないまま終わる静かなポートレイトであり、安易な結論を拒む本作の姿勢を象徴しています。
総じて『Next Act』は、ブルーグラスが現代の物語や感情の機微を内包できる生きた伝統であることを肯定しています。ルーツに立ち返ることで、彼らは自分たちを形作った音楽を再定義し、成長とは必ずしも拡張を意味するのではなく、時には「より注意深く耳を傾けること」であることを示しました。Steep Canyon Rangers は、現代ブルーグラスとアメリカーナの旗手としての名声をさらに盤石なものにしています。





