Spyros Polychronopoulos – Duende

これまでのリリースでは、作品ごとに異なる焦点や美意識を持ちながらも、作品間の共通点として「未知」を追求してきました。今回のアルバムでは、フィールド・レコーディングを除くすべての音を、このプロジェクトのために特別に製作した楽器で出しています。フィールド・レコーディングは、主にコロナウィルスでアテネに隔離されていた時に捉えた音です。昼間は人の出入りが少ない店の中で、夜は人の交流が盛んな街中で録音しました。

今回のリリースまでは、アナログとデジタルのツールを使って音をコントロールしていました。今回、初めて物理的な物体を作ってアルバムを録音しましたが、細かい部分までコントロールする必要はなく、場合によっては楽器のランダムな振動に任せることも必要だと感じました。作られた楽器が新たな作曲の道筋を示し、その道筋が新たな楽器の製作を促しました。それは、装置と音という、互いに依存し合う2つの要素のダイナミックな相互作用でした。

‘Duende’ というタイトルは、1934年にフェデリコ・ガルシア・ロルカがブエノスアイレスで行った講演に由来する。この講演でロルカは「ドゥエンデ」という言葉を使って、すべての芸術作品の本質、私たちが触れたいと思っているのに、いつも手が届かない隠れた要素を指しています。この言葉は、翻訳するのが難しいだけでなく、他の言語で定義するのも難しい言葉のひとつです。それゆえに、この作品「Duende」は独自の存在感を持ち、解釈を許さないものとなっています。この作品は、私のこれまでの作品を含めた星座のようなものと考えるのがよいでしょう。

Duende

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