Mogwai – The Bad Fire

Mogwaiの11枚目となるニューアルバムのリリースは、大いに祝うべき出来事です。アルバムのタイトル『The Bad Fire』は、グラスゴーの下層階級の言葉で「地獄」を意味します。このタイトルは、バンドのメンバーが経験した困難な時期を反映しています。スタジオに新たに迎えられたのは、Explosions In The Sky、Sigur Rós、John Grantなど、幅広いジャンルのアーティストと仕事をしてきたことで知られるアメリカのプロデューサー、John Congletonです。

Congletonの作品はアルバムの3枚のシングルで聴くことができます。アルバムのオープニングを飾る「God Gets You Back」は、Daft PunkがMy Bloody Valentineに追いかけられているような曲で、「Fanzine Made Of Flesh」はまるで赤ん坊のイエティの勝利パレードのようです。そして「Lion Rumpus」は、まさにライオンの大騒ぎのようです。Mogwaiの音楽は表現するのは難しいですが、体験するのは簡単です。容赦なく大きな音量で、体は破壊され、本来なら無力に地面に倒れこむはずの頭だけが残ります。しかし、音楽には上昇気流があり、猛攻撃の中に美の感覚が封じ込められています。この音楽はあなたを宙吊りにし、力を与え、楽園があなたの生まれながらの権利であることを思い出させます。これは特に『The Bad Fire』に当てはまります。暗い状況下で制作されたのかもしれませんが、4人のミュージシャンが今、この瞬間、共に活動するという行為によって、すべてが超越されています。Mogwaiが存在するのは、この瞬間だけなのです。